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Case1. 社会人3年目で挑戦。手探りのマネジメントを支えた“環境”の力

  • 公開日:2025/04/07
  • 更新日:2025/04/24
Case1. 社会人3年目で挑戦。手探りのマネジメントを支えた“環境”の力

近年、多様な価値観を持ったメンバー構成、少子高齢化による人手不足の深刻化、コンプライアンスに対する意識の高まりなどにより、マネジメントの難度が上がっています。

そのような環境のなかで、業績達成はもちろん、最適な業務アサインや、メンバーの意欲を引き出しながらの業務遂行など、多くの役割を担わねばならず、マネージャー層の負担が増えているといわれています。また、人事の方からはマネージャーになりたい若手が少ないというお悩みをうかがうことも。

しかし弊社の調査(※)では、マネージャー昇格後に、メンバーの成果や成長などをやりがいに感じているマネージャーが多いことが分かっています。つまり、部下から見ると大変さばかりが目にとまり、やりがいがなかなか伝わりづらい、という側面があるのかもしれません。

本連載では、組織の要としてさまざまな企業でマネージャーとして活躍している方々に、やりがいや思い、工夫されていることなどについてお話をうかがい、ご紹介していきます。

初回となる今回は、PLAN-Bマーケティングパートナーズ・マネージャーの南 春花さんにお話をうかがいました。今まさにマネージャーとして悩まれている方や、将来マネジメントを担っていくかもしれない若手の方の参考になれば幸いです。

マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2024年

あえてハードモードを選ぶ姿勢から、社会人3年目でマネージャーに挑戦
“似たもの同士”が集う環境が、日々のマネジメントを支えてくれている
仕事を“自分ごと”にしてほしいからこそ、「なぜやるのか」を伝える

あえてハードモードを選ぶ姿勢から、社会人3年目でマネージャーに挑戦

南様の画像

――はじめに、南さんのマネージャー歴と、マネージャーになったきっかけについて教えてください。

私は社会人8年目なのですが、マネージャーというポジションに就いたのは3年目のタイミングでした。マネージャーになったきっかけとしては、「マネージャーというポジションを目指していた」というよりは、「キャリアアップの王道ルートだと感じていたから挑戦した」という感覚に近いです。

弊社はいわゆるベンチャーのデジタルマーケティング企業で、私がマネージャーになった当時は成長フェーズの最中でした。社内でキャリアアップしていく先輩方も、当時はどちらかといえばスペシャリストではなくマネージャーというポジションを通ってステップアップしていく印象が強かったんです。だからこそ、上司からマネージャー職の打診が来た時は「喜んで」とお請けしました。

ベンチャー企業に入社した動機もそうですが、あえてハードモードを選ぶのが好きなんです(笑)。楽をしようと思えばいくらでも楽ができる時代だからこそ、あえてハードな道を楽しめる人でありたいと思っています。

――南さんの「ある1日のスケジュール」を教えていただきましたが、プレイングマネージャーとしてクライアントワークもされているんですね。

1日のスケジュール

そうですね。現在は弊社のデジタルメディア事業部という部署で、WEB広告の運用チームと、広告クリエイティブの制作チームの2つを担当しながら、直属の部下4名のマネジメントを行っています。業務時間の内訳としては、「マネジメント業務」「クライアントワーク」「広告運用などのサービスのブラッシュアップ」の3つを、同じくらいの比率でこなす日が多いです。

マネジメント業務については、週1回の1on1とクオーターごとの評価面談を軸にしています。メンバーごとの1on1では、細かいタスクを指示するというよりは、「今どんな感じ?」と進捗をチェックするのがメインです。チームで達成したい年間目標は適宜伝えているので、現状の確認とフィードバックを重ねて、サービスのクオリティやメンバーの成長実感を支えるようにしています。

――マネージャーという仕事を5年間経験してみて、特に難しいと感じることはありますか?

「理想と現実のギャップをどう埋めるか」が、やはり難しいですね。本来マネージャーとしてやらなければならないことは、「チームの皆が、成長痛を楽しみながら目標達成に向けてパフォーマンスを上げていける体制を整えること」だと思っています。皆に適材適所の仕事を担当してもらい、限られた業務時間のなかで、やりがいや成長実感を得られるようなチームにしていきたいんです。

ただ、私達は日々、ベンチャー企業というマインドのなかで仕事をしています。お客様から求められる成果の水準もどんどん上がっていくなかで、着実にハードルを乗り越えていけるチームをつくらなければなりません。そうやって事業の未来を見据えた時に、あれもこれもやってほしいと皆にお願いせざるを得ないこともありまして……。会社としてやるべきことと、皆の未来のために挑戦してほしいことのギャップをどう調整していくかが、マネージャーとしての難しさだと感じています。

もちろんマネージャーとしての経験を積むにつれて、視野は広がりやすくなりました。それこそマネージャー1年目の頃は、自分の未熟さもあって目の前のことしか考えられなかったのですが……5年を経た今は自分の経験をシェアしたり、一緒に働く皆の良さを引き出したりといった気遣いも、少しずつできるようになったと思います。

“似たもの同士”が集う環境が、日々のマネジメントを支えてくれている

――チームの方々を支えるマネジメントスキルについては、どのように磨かれていったのでしょうか。

会社にマネジメントのマニュアルがあるわけではなかったので、基本的にはビジネスパーソンとしての経験を磨きながら手探りで進めました。ただ、同世代や先輩にマネージャーの経験者がいましたので、相談相手には困りませんでしたね。

弊社は事業の種類が多いので、マネージャーとして活躍している社員も多いんです。私がマネージャーになった5年前の時点でもグループ全体で5~6名ほどのマネージャーがいまして、今は企業規模が大きくなった関係で20名ほどに増えています。 “同じように踏ん張っている同世代がいて、何でも話せる先輩もいる”といった環境そのものが、日々の支えになっていたのは間違いありません。

マネジメントの難易度は環境によって変わると思うのですが、正直なところ、比較的マネジメントしやすい環境でやらせてもらっているという安心感があります。チームの一人ひとりが人生で大切にしていることや、「やらされ仕事をやりに来ているわけではない」というマインドが皆似ているからこそ、呼吸が合いやすいといいますか……。

南様の画像

――チーム内のマインドが似ているとのことですが、そういった共通意識を培う方法とは?

チーム内で共通意識を育てているというよりは、“マインドの近い仲間が既に集まっている”という感覚の方が近いですね。

弊社は採用にかなりこだわりがありまして、応募から入社までの突破率が低いです。それこそ過去には500人に1人通過するかどうかという年もあったほど、特にカルチャーフィットに関しては対話を重ねながら確認するようにしています。人の確保が難しいといわれる時代ですが、応募者の方々の人生観や仕事観と弊社のビジョンがマッチしないのであれば、入社いただいたとしてもお互いのためにならないという考え方なんです。

選考の過程で最も特徴的なのは、応募者の方々が社員と深く話せる機会を設けているところでしょうか。例えば新卒採用の場合だと、二次面接を通過した応募者には1人の社員がリクルーターとして付き、キャリアの理想像や会社への疑問点にしっかりと向き合い、対話をするようにしています。

そうやって選考の段階で、仕事に対する向き合い方や方向性がマッチするかどうかを確かめたうえで入社していただくので、ミスマッチも比較的少ないです。マネージャーとしてもメンバーを引き上げやすい、ありがたい環境だと感じていますね。

仕事を“自分ごと”にしてほしいからこそ、「なぜやるのか」を伝える

――マネジメントをするにあたっての持論や、南さんが特に意識していることがあればぜひ教えてください。

メンバーマネジメントについては、皆の言葉ではなく行動を見ることを意識しています。人間誰しも日によって調子の良し悪しがありますし、ネガティブになる時もあれば、ポジティブになる時もありますよね。だからこそ表面上の言葉ではなく、ある程度の期間の行動を見ることが大切だと感じています。

あとは、やはりマネージャーとして仕事をお願いする時に、「いつまでに」「何をやってほしいのか」だけでなく、「なぜやるのか」「どうやるのか」まで伝えることを結構意識していますね。

なぜかというと、私も含めて社会人としてはまだまだ経験を積んでいる段階なので、仕事の指示だけでは意図を十分に理解しきれない場合があるからです。自分のモチベーションが仕事に紐付かないとやらされ感が生まれてしまいますし、やっぱり仕事は自分ごととして楽しんでほしいので……。マネージャーである私が仕事の方向性をある程度定めながらも、“過程をどう埋めていくか”はできるだけ相手に任せるという、ボトムアップとトップダウンの中間をねらう感じで関わるようにしています。

南様の画像

最近マネージャーをやっていて思うのですが、今の新卒の世代は「自分でやっている感」というか、手応えを感じる機会が私達の世代よりもさらに少なくなっている気がしています。AIの発達が代表的ですが、今は私が新卒だった8年前と比べても機械が自動でやってくれることがどんどん増えています。私がかつて試行錯誤をしながら「できた!」と達成感を得ていた作業も、今は自動でできてしまうこともあるわけです。

そういった、今から見れば無駄かもしれない試行錯誤と成功体験が、仕事のやりがいや愛着に繋がっていた面もあったと感じていて。「なぜやるのか」を伝えて自分ごと化してもらうのもそうですが、「あなたがやり遂げてくれた仕事なんだよ」という成功体験を補捉していけるように、マネージャーとしても働きかけていきたいと思っています。

――最後に、これからマネージャーになる方に向けて、メッセージをお願いします。

マネージャーって「責任が重くなるからちょっと……」と敬遠されやすいポジションですし、実際に責任は伴います。でも、何か自分の武器・魅力みたいなものを磨いていけば人はきっとついてきますから、思い切って挑戦してみてほしいです。

例えば私の部下のなかにも、マネージャーというポジションに対して消極的な様子のメンバーがいました。前職では“マネージャーになりたがらない先輩”が多かったそうで、あまり魅力を感じないみたいだったんです。

でも最近、そのメンバーが「マネージャーになりたい」って言ってくれて。理由を聞いてみたら、「この会社のマネージャークラスの先輩達が魅力的に見えたから、自分もそうなってみたくなった」と言ってくれて、すごく嬉しかったですね。一緒に働いてくれているメンバーが何かに興味を持ったり、楽しそうに仕事をしたりしている様子を見るのが、やはりマネージャーとして一番嬉しいですから。

これからもチームの皆から元気をもらいながら、マネージャーとしてもプレイヤーとしても、魅力的な存在になれるよう頑張っていきたいです。


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