- 公開日:2020/11/20
- 更新日:2024/06/03
初めて人事になったとき何から学べばよいか、どのように情報収集をすればよいか、人事に異動された方からよくご相談をいただきます。
人事は、経営の中心的業務として重要な役割を担っています。変化の激しい世のなかの動きと連動しながらも、自社の事業や戦略に合わせて課題を設定し、企画を打ち出していく必要があります。そのため、「年々忙しくなっている」という声もお聞きします。
そこで本連載では、人事のなかでも、人事企画・人材開発のみなさまのお役に立ちそうなテーマを回ごとに取りあげ、ストーリー仕立てで紹介していきます。架空のキャラクターである新米人事担当の北山さんが、悩みながらも一つひとつのお題に取り組み、それに対してベテラン人事であるフクロウ先輩が解説していきます。
最終回となる今回は組織開発をテーマに理解を深めていきます。
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登場人物のプロフィール
北山ともこさん
設立10年、社員300名のIT企業に勤務する、新卒入社3年目の社員。2年間は営業に所属していたが、1カ月前、関心のあった人事部へ異動したばかり。営業ではベンチャー企業を数多く担当し、持ち前の行動力で顧客からの信頼も厚かった。
趣味はカフェ巡りとアクセサリー作り。
フクロウ先輩
同社、人事10年目のベテラン社員。人事企画や社員育成のほか、組織活性などの職務も経験。特に新人育成に力を入れており、最近配属された北山さんのことも気にかけている。
なぜフクロウの姿をしているかは社長と人事部長以外知らない。
プロローグ 「テレワーク下で組織間の連携を強化するには?」
北山さん「今日の社員総会は気合が入っていましたね」
フクロウ先輩「そうだね。今年度は新たな中期経営計画が始動する年だから、例年より盛り上がっていたね!」
北山さん「テレワーク下でも組織間の連携を強化して、事業を成長させていこうというメッセージが特に気になりました」
フクロウ先輩「なるほど。実は人事でもいろいろと企画しているんだよ! 気になるかい?」
北山さん「はい、もちろんです!」
フクロウ先輩「今日のテーマは『組織開発』だね!」
第1章 組織開発とは?
北山さん「『組織』ってぼんやりしている言葉ですよね。実態があるようで、ないというか……」
フクロウ先輩「そうだね。チームや部、プロジェクトなど人が集まるところには組織ができる。でも、実際は何に対して課題を設定すればいいのか悩んでしまうだろうね」
北山さん「組織開発は、何に対してアプローチするのでしょうか」
フクロウ先輩「北山さんは今、主に研修を担当してもらっているよね。研修は人に対するアプローチで人材開発の1つの手法だよ」
北山さん「どういう人材に育ってもらいたいか、社員一人ひとりの現状はどうなっているか……。確かに対象は『人』ですね」
フクロウ先輩「そう。そして、組織開発で考える対象は、人と人の『関係性』や『相互作用』なんだ」
北山さん「なるほど! 組織は人の集合体で、人と人の関係性や相互作用で成り立っているのですね」
フクロウ先輩「正解! 組織開発とは、組織に内在するエネルギーや主体性を引き出すアプローチともいえるね」
組織開発とは?
組織開発とは、組織パフォーマンスの向上を目指した、組織内プロセスへの介入である。人材開発の対象が『個々人』であるのに対し、組織開発の対象は、人と人の『関係性』や『相互作用』。組織開発アプローチでは、個人に対する育成施策ではなく、例えば関係者が相互に期待することをすり合わせたり、職場メンバーが全員参加するようなワークショップを行ったりして、関係性に良い変化を起こす施策を企画・実行する。
■人材開発と組織開発の違い
人事による「組織開発」というアプローチ 人事の新たな武器 「組織開発」とは何か?
北山さん「よく部長が悩んでいる組織力の向上も、組織開発のアプローチになるのですね!」
フクロウ先輩「そうだね! 具体的にどんな時に組織開発を取り入れるか考えてみよう」
北山さん「例えば、今回の中期経営計画にあったような部門間の連携を強化して、これまで出てこなかったようなアイディアや方法で事業を成長させたいときに有効そうですね」
フクロウ先輩「うんうん。最近だと在宅勤務やテレワークが増えてきて、職場内のコミュニケーションも課題になっていると耳にすることが多くなったね」
北山さん「他には……部長はよく事業戦略が社員になかなか伝わらないっておっしゃっていますね。経営陣と社員間の関係性も組織開発でアプローチできそうです。活用場面を挙げてみると、組織に対する期待や課題がさまざまあることが分かりますね!」
組織開発が注目される理由
激しい環境変化によって、人事課題はますます高度で複雑になってきており、短期的な施策ではなく、長期的に会社の強みの源泉となる組織力の向上が着目されている。
例えば、自社に新たなチャレンジを起こす風土をつくる、多様な価値観を生かして成果を上げる組織をつくるといった、従来の人材開発のアプローチだけでは十分な解決につながらない場合に組織開発は有効といえる。組織開発と人材開発、両方のアプローチも柔軟に組み合わせて、理想とする組織の姿を目指すことが求められる。
● 組織開発で扱うテーマ例
- 会社方針や戦略の浸透・推進
- 職場活性化
- 生産性向上
- イノベーション創出
- ダイバーシティ推進
- 営業力強化
また、在宅勤務やテレワークなど働く環境が変化している昨今、組織力の強化は一層注目を集めている。複雑な人事課題を解決してくためには、時代に合ったアプローチを模索しながら、意図的に施策を打っていくことがますます重要になっている。
第2章 組織開発の手順とポイント
北山さん「組織開発で扱うテーマはさまざまありますが、人材開発と同じように課題解決にベストな手順があるのでしょうか?」
フクロウ先輩「組織開発の手順を確認してみよう!」
組織開発の手順
組織開発を通じて解決したい課題はさまざまだが、手順は大きく変わらない。
- 1.目指す姿に照らし、事実をもとに組織の現状を把握する
- インタビューやサーベイから得られた「事実」をもとに現状を把握する
- 2.キーパーソンを巻き込み、課題解決の必要性について合意する
- 職場の関係者を広く巻き込むため、早い段階からキーパーソンと課題解決の必要性について合意しておく
- 3.早期の成果獲得のため、スモールスタートで施策を講じる
- 関係者間のリアルな議論の「場」においては、想定外の状況が起こることも多いため、小さな職場でパイロットケースを作って成果を出した上で、全社などへ大きく展開する
- 4.施策を拡大し、組織が「自走」するプロセスを整える
- 現場での自立的な取り組みを支援するツールを整備する
- 関係者間でタイムリーに成果を共有する仕組みやプロセスを整える
北山さん「キーパーソンを巻き込むことや、組織が自走するプロセスを整えるなど、組織ならではのポイントがありますね」
フクロウ先輩 「そうだね。人事としても、現場に踏み込んで課題解決に直接手を出すのは難しい面もある。だからこそ、手順を踏んでいくことが大事になってくるね」
北山さん 「なるほど! 世のなかにはたくさんの組織がありますが、共通する課題はあるのでしょうか」
フクロウ先輩 「さすが、鋭い質問だね!」
組織ステージ別 組織開発の課題例
事業の拡大にともなって組織は発展し、その過程においてさまざまな人・組織の問題が生じる。リクルートマネジメントソリューションズでは、ある組織が現在置かれているステージから次のステージに移行する転換期に起こる「人・組織のひずみ」として問題を捉え、よくある課題をまとめた。
例えば、拡大化ステージから公式化ステージへの転換期においては、経営理念の浸透や組織間コミュニケーションの促進が課題となることが多い。
今後起き得る人・組織の問題を事前に把握・予測し、問題が発生する前に、もしくは深刻化する前に、計画的な人材・組織マネジメントを推進していく必要がある。
■組織ステージ別 組織開発の課題例
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第3章 これからの人事に求められること
北山さん「人事に配属されてからこの1年間、フクロウ先輩からたくさんのことを学びました」
フクロウ先輩「初めてのテーマは研修企画だったね」
北山さん「人材開発だけでなく、組織開発や制度についても学んできましたが、これから人事担当としてどのようなことが求められるのでしょうか」
フクロウ先輩「人事の業務は多岐にわたるよね。採用・雇用、等級、配置・異動、評価、報酬、育成、代謝といった人事管理上の機能を駆使する必要がある」
北山さん「いずれの機能も連携が取れていることが大事ですね」
フクロウ先輩「そうだね。そして、どのような会社にしていきたいか、社員にどのように働いてほしいかを考えながら業務を推進することが必要だね」
北山さん「タレントマネジメントシステム(TMS)のようなデータベースやラーニングマネジメントシステム(LMS)のような学習管理の活用など、新しい手法や技術も取り入れながら、事業・社員の発展を支援していきたいです!」
フクロウ先輩「うんうん。戦略人事の時代ともいわれている今、社員に寄り添いながら、事業発展に貢献する『攻めの姿勢の人事担当者』でありたいね」
北山さん「私はまず、企画立案のための課題解決スキルの強化と、もっと社員のことを理解するために部門連携を頑張りたいと思います!」
フクロウ先輩「その調子! 期待しているよ!」
あとがき
人事関連の情報収集ツールはさまざまです。書籍や雑誌、WEBなどの各メディアでは、人事業務の知識から最新のトレンドまで情報が日々アップデートされています。新たな手法やツールは武器になるため押えておくことは重要ですが、流行に左右されることなく、自社の目指す姿や教育体系、風土に合ったものを見極めることが重要です。
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【text:北嶋理沙】
シリーズ記事
第1回 「何かいい研修ないですか?」
第2回 「マネジャーになったことがなくても、管理職研修の企画はできますか?」
第3回 「配属後の新入社員を育成するには?」
第4回 「中堅社員の役割と育成のポイントを教えてください」
第5回 「リーダーに求められていることは何ですか」
第6回 「使えるスキルを身につける!ビジネススキル研修の企画ポイント」
第7回 「人事制度を改定すれば社員のモチベーションは上げられますか」
第8回 「昇進・昇格はどうやって決めるのですか?」アセスメントツールの活用
第9回 「教育体系と研修の効果測定について知りたいです」
第10回 「テレワーク下のコミュニケーション課題は人材開発だけでは解決できない……」組織開発のヒント
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