導入事例
両利きの経営を支える新規事業開発力——選抜研修で次世代リーダー育成を後押し
ブックオフグループホールディングス株式会社
- 公開日:2026/06/29
- 更新日:2026/06/29
事例概要
背景・課題
・既存事業の深化と新規事業の探索を推進する「両利きの経営」を開始
・組織全体として既存事業の深化や有事への対応に強みを持つ一方で、新規事業の探索・構想経験が不足していた
・次世代経営者育成の観点から、ミドルクラスを対象とした選抜型の人材開発を強化したいという想いもあった
検討プロセス・実行施策
・ミドルマネージャーを選抜して行う「ワークアウト研修」をスタート
・複数社を比較するなかで、定型プログラムをあてはめるのではなく、抽象的な課題感をもとに対話しながら一緒に設計できる点が決め手になった
・受講者が、半年かけて新規事業案を実際に構想・具体化しながら、事業創出の型を学ぶ高負荷かつ実践的なプログラム
成果・今後の取り組み
・受講者たちの学習意欲は総じて非常に高く、なかにはプログラムを通じて熱量が増していき、新規事業案の事業化を真剣に目指すほど没入して取り組む者も少なくなかった
・受講者のなかから、子会社社長や部長級・副部長級などが複数出ている
・今後は育成した人材を新規事業探索に送り込んでいく機会設計と、人事配置の仕組みづくりが論点となる
背景・課題
組織全体として既存事業の深化に長く集中してきたため、「新規事業開発力」が不足していた

堀内:私は2018年にブックオフグループホールディングスの代表取締役社長に就任した後、しばらくは業績回復を最優先にして、既存中核事業である国内ブックオフ事業の改善や磨き込みに地道に取り組みました。そのかいあって、コロナ禍の苦境にも負けることなく、2023年度には業績が十分に回復しました。
そこで私たちは次の一手を打ちました。2022年度から「両利きの経営」の実践を始め、既存事業(国内ブックオフ事業)の深化を継続する一方で、「新規事業の探索」にも力を入れ始めたのです。具体的には、海外ブックオフ事業、プレミアムサービス事業(Rehello by BOOKOFF、hugall、aidectなど)、新規事業開発を強力に推進しています。現在、新規事業としてはトレーディングカード専門店事業、おかたづけ事業、CD・DVDの再資源化事業(CDプラ)などをすでに始めており、今後さらに新たなチャレンジも進めていく予定です。
両利きの経営を実践するうえで鍵となるのが、社員の「新規事業開発力」です。しかし、私たちは既存事業の深化に長く集中してきたため、新規事業や新規サービスの開発や構想をする機会が多くありませんでした。組織全体として事業改善力や有事への対応力は十分に高まっていたのですが、新規事業開発力が不足していたのです。
また、次世代経営者育成の観点から、将来を期待するミドルクラスを対象とした人材開発を強化したいという想いもありました。そこで私たちは、新規事業開発力強化の第一歩として、ミドルマネージャーを対象に選抜型の研修機会を提供することを決めたのです。
検討プロセス・実行施策
「事業創出の型を実践的に学べること」と「社外の異質な環境や情報に触れながら考えられること」を強く求めた

野村:研修の選定にあたっては複数社にお声がけしました。そのなかから最終的にリクルートマネジメントソリューションズを選んだのは、対話しながら一緒に研修を設計できる相手だと感じたからです。
リクルートマネジメントソリューションズの皆さんは、私たちの抽象的な課題感や要望などによく耳を傾けてくれて、そのうえで既存プログラムをアレンジし、私たちが求める研修を用意してくれました。
堀内:私たちがこの研修に強く求めたことが2つあります。1つ目は、新規事業開発力の基盤となる「事業創出の型を実践的に学べること」です。この型を身につけるためには、座学だけでは不十分で、自ら事業創出をやってみる必要があります。リクルートマネジメントソリューションズには、受講者たちが新規事業開発を実際に体験できるプログラムをお願いしました。
2つ目は「社外の異質な環境や情報に触れながら考えられること」です。ブックオフグループの今の強みは、社員同士が共通の価値観を持っていることです。社員全員が理念や文化をしっかりと共有し合い、お互いにブックオフ事業の専門性やノウハウを深めながら、力を合わせてより良い店舗をつくったり、厳しい状況を乗り越えたりすることを得意としています。その半面、多くの社員が、社外の異質な環境や情報に触れながら、新たなアイディアを生み出す経験をしていません。そこでこの研修では、受講者たちに異質な環境下で奮闘しながら社外の新鮮な情報をインプットしてもらい、従来のブックオフにはなかった新規事業を考える経験を積んでもらいたいと考えていました。
リクルートマネジメントソリューションズには、以上の2つの願いを叶える研修プログラムを用意してもらいました。
半年かけて自ら新規事業案を創出しながら、事業創出の型を実践的に学ぶ「ワークアウト研修」をスタート
野村:私たちは2023年度から、ミドルマネージャーを選抜して行う「ワークアウト研修」をスタートしました。受講者が半年かけて、チームに分かれて新規事業案を実際に構想・具体化しながら、事業創出の型を学ぶ高負荷かつ実践的なプログラムです。現在は2025年度の3回目まで実施しました(※取材時は2026年4月)。

プログラム内容を少し具体的に説明すると、月1回のペースで集合型研修があり、受講者は講義を通じて戦略論、マーケティング、マーケティングリサーチ、ビジネスプラン策定、プレゼンテーションなどを学びます。
これらの研修の合間に、各チームは講義の学びを生かしながら議論を重ねたり、フィールドワークで現場の声に耳を傾けたりして、自分たちで新規事業案を企画立案していきます。さらに集合型研修では、各チームが途中経過を発表して、講師や他受講者からフィードバックを受けるワークアウトの時間も設けています。
受講者たちはこのように「講義→企画立案→ワークアウト」を繰り返しながら、6カ月で新規事業案を完成させ、最終的に、堀内をはじめとする経営層に新規事業案を自らプレゼンテーションすることが研修のゴールとなっています。
堀内:リクルートマネジメントソリューションズの講師は、自身の15年ほどのコンサルタント経験をベースに、受講者たちに極めて具体的かつ実践的なアドバイスをしてくれました。また、双方向的に対話しながら、一人ひとりの学びを深めてくれる講義スタイルも特徴的でした。私たちが「事業創出の型を手厚く教えてほしい」とオーダーしたこともあり、インプット量は多かったのですが、講師のおかげで受講者は毎回飽きることなく学べたと感じています。
野村:私は、講師が受講者の問いに対して、いつも分かりやすく明快に答えてくれる姿が印象的でした。そのおかげで、受講者たちはモヤモヤとした部分を残すことなく、気持ちよく研修を終えられていたと思います。
成果・今後の取り組み
「卒業生のなかから2人の子会社社長が生まれる」などの成果がすでに出ている
堀内:私は過去3回、すべての最終プレゼンテーションを聞きましたが、受講者たちは総じてモチベーションが高く、全力で新規事業案を考えてくれていました。講師も、「この研修では初回終了時に受講者たちが私に名刺交換を求めてくれたのですが、このようなケースは初めてで、意欲が非常に高いと感じました」とコメントしてくれました。
野村:私も、受講者のモチベーションは非常に高かったと感じました。多くの受講者が学ぶことに積極的で、良い事業案を作ろうという強い意志を持っていました。
堀内:それだけでなく、ある受講者は、プログラムを通じて構想への熱量が増していき、実際に本研修を起点として、あるビジネスの事業化を実現しました。私たちとしては「事業創出の型を身につけてもらうこと」が最優先事項であり、研修時点でのアウトプットの質は必ずしも重視していなかったのですが、研修発で新事業が生まれたのは嬉しい驚きでした。

また、卒業生の多くが、受講後に自ら考えて行動するようになり、社外情報を積極的に求めるようになりました。その結果、卒業生のなかから、すでに2人の子会社社長が生まれており、部長級・副部長級などに昇進した者も数多くいます。
こうした卒業生の変化と昇進を見るだけでも、研修の成果は十分にあったと感じています。
とはいえ当然ながら、研修の学びを実践につなげるには、ある程度の時間が必要であり、彼らが本格的に新規事業探索に取り組むのはこれからの話です。今後は、育成した人材を新規事業探索に送り込んでいく機会設計と、人事配置の仕組みづくりが論点となります。受講者たちを新規事業開発などの「異質な領域」に次々と送り出し、ワークアウト研修で得た学びを実務で生かしてもらいたいと考えています。
ソリューションプランナーの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
営業統括部マーケティング営業部4グループ
ソリューションプランナー
松村 圭祐
ブックオフ様では、「次の中期経営計画を担う人材」を対象として、本施策を実施しました。 3年にわたる研修運営を通じて特に印象的だったのは、受講者の皆様の自社事業に対する高い当事者意識と研修に対するコミットメントです。
研修冒頭に堀内社長ご本人から直接いただいたメッセージも後押しとなって、受講者の皆様は「これからのブックオフをどのように創っていくのか」「既存事業の強みを生かしながら、どのように新たな価値を生み出していくのか」非常に真摯に考えられていました。
日々現場に向き合っているからこそ生まれる視点やアイディアも多く、最終発表では、単なる研修アウトプットにとどまらない、実現性と熱量を兼ね備えた提案が数多く見られたことも印象に残っています。
今後も、ブックオフ様のさらなるサクセッション推進と事業成長に向け、人材・組織開発の側面からご支援できるよう、引き続き尽力してまいります。
ソリューションアーキテクトの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
サービス統括部 HRD・ODテーマ推進部 提携サービスグループ
ソリューションアーキテクト
田邊 大地
ブックオフ様が求められているニーズの実現に最も重要なのは、受講者の皆様がお客様の“不”を強く実感する体験であると考えました。そのため、想定するお客様が誰で、実際に何に困っているのかを研修場面で講師が問い続け、机上の空論にさせないことを重視しました。このプロセスは、研修と研修の合間のフィールドワーク期間において、想定するお客様の不をしっかりと拾う意識づけを意図しており、実際に地方エリアに赴きお客様にインタビューを行うチームも現れました。
受講者の皆様の強みは、厳しい状況でも力を合わせて乗り切る力です。お客様の不を強く実感できれば、自ずとその解決に向けてチームは団結し、新たなサービスアイディアを学習した内容を活用して必ず練り上げてくれると信じていました。
受講者の皆様の信頼できるポイントを生かした設計が大きな学習成果の創出につながることを、私自身、あらためて学ばせていただきました。
取材日:2026/04/15
企業紹介

ブックオフグループホールディングス株式会社
1990年、神奈川県相模原市の住宅街にある35坪のスペースからBOOKOFFがスタートし、現在は国内外800店舗以上、連結売上高は1000億円を超える企業グループに成長。「事業活動を通じての社会への貢献」と「全従業員の物心両面の幸福の追求」という経営理念の下、国内ブックオフ事業・プレミアムサービス事業・海外事業の3つの事業を柱に「多くの人に楽しく豊かな生活を提供する」ことをミッションとして掲げている。
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。
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