導入事例
現場、ITアカデミー、人事が「つながり」で若手社員を育成する
三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社

- 公開日:2025/10/20
- 更新日:2025/10/20
事例概要

背景・課題
三菱UFJインフォメーションテクノロジー(以下、MUIT)のITアカデミーは、MUITおよび三菱UFJ銀行を中心とするMUFGの人材育成施策の企画・設計・運営を担う組織です。なかでもオンボーディング課では、新入社員および若手社員の育成、キャリア入社社員のオンボーディングなどを主に担当しています。MUITでは、ハイブリッドワーク下で「コミュニケーションの希薄化」や「つながりの希薄化」が課題となっていました。そのため、オンライン化によって希薄化したコミュニケーションとつながりを、何らかの方法で補う必要がありました。

検討プロセス・実行施策
コミュニケーションやつながりの希薄化を解消するために、マネジメント支援ツール「インサイズ」を活用し、新入社員を含む若手社員のメンタリティを定期的にチェックしています。ネガティブな精神状態の社員は現場の育成担当者がフォローし、必要に応じて部長、ITアカデミー、人事もサポートして「つながり」で若手社員をフォローします。また、対面形式の「4年目研修+懇親会」で、同期のつながりを醸成する施策も行っています。

成果・今後の取り組み
インサイズのスコアが軒並み上がり、特に「キャリア展望」のスコアが大きく向上しました。これは、現場の育成担当者と若手社員のコミュニケーションの質が高まった証拠と考えており、インサイズ活用や4年目研修の成果でもあるのではないでしょうか。4年目研修の実施後は、同期のつながりが実際に生まれており、研修を通して視座が高まり、気付きを行動に移している社員も多くいます。
背景・課題
ハイブリッドワーク下で生まれた、「コミュニケーションの希薄化」や「つながりの希薄化」という課題

髙橋:三菱UFJインフォメーションテクノロジー(以下、MUIT)は、三菱UFJ銀行をはじめとする三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のITシステムを支える会社です。現代の金融ビジネスは、ITなくしては成り立ちません。
特に最近は、生成AIやブロックチェーンなどの進歩が一層速まったり、決済手段の多様化が進んだりして、金融におけるITの存在感がますます高まっています。その流れに合わせて、MUITは順調に成長を遂げており、新卒採用・キャリア採用ともに人数が増えています。
私たちが所属するITアカデミーは、MUITおよび三菱UFJ銀行を中心とするMUFGの人材育成施策の企画・設計・運営を担う組織です。なかでもオンボーディング課では、若手社員の育成、キャリア入社社員のオンボーディングなどを主に担当しています。
新入社員には、まずはITアカデミーで3カ月間の導入研修を受けてもらいます。次に、入社1年目の7月から1年間、現場の育成担当者のもとでOJTを受けてもらい、早期戦力化を目指します。その後も、プロフェッショナルを目指す入社数年目までの若手社員に対して、当オンボーディング課にて、開発の基礎スキル状況などのデータを現場還元して、成長を後押ししています。
瓦井:私たちはリクルートマネジメントソリューションズの「インサイズ」と「4年目研修」を導入しましたが、そのきっかけは、ハイブリッドワークや研修のオンライン化にありました。
コロナ禍以降、私たちも例に漏れず、テレワークを積極的に推進しました。現在は、出社勤務とテレワークの「ハイブリッドワーク」を取り入れています。また、新入社員導入研修の大半は「オンライン研修」となりました。これらはもちろんポジティブな面もありましたが、同時にいくつかの課題も生まれています。
大きな課題の1つが「コミュニケーションの希薄化」や「つながりの希薄化」です。ハイブリッドワーク導入以前と比べると、上司・部下やチーム内での対面コミュニケーション量が減り、上司が部下の状況や精神状態を把握するのが難しくなっています。また、新入社員導入研修のオンライン化を導入したことで、同期が対面で会う機会が減りつながりが薄まっています。彼らにとって、上司・周囲・同期とのつながりは、成長へのエネルギーになったり、試練を乗り越える支えになったりするものです。また、キャリア入社社員も社内のつながりを強く求めています。
私たちは、オンライン化によって希薄化したコミュニケーションとつながりを、何らかの方法で補う必要がありました。
検討プロセス・実行施策
「インサイズ」で若手社員たちのメンタリティを定期的にチェック&フォロー
髙橋:私たちは、コミュニケーションの希薄化やつながりの希薄化を解消するために、さまざまな取り組みを進めています。「インサイズ」と「4年目研修」は、そのなかでも特徴的な2つの施策です。

瓦井:私たちは2021年7月より「インサイズ」を導入していますが、きっかけはハイブリッドワークによって、上司が部下一人ひとりの精神状態(ワークメンタリティ)やストレス要因を把握するのがより難しくなったからです。
特に若手社員は育成上、ワークメンタリティを定期的にチェックした方がよいと考え、5年目までの社員にインサイズを導入しました。
「窮々」「悶々」などネガティブな精神状態にあることが分かった社員は、現場の育成担当者が中心となって1on1などを通じてフォローし、メンタリティの改善に努めます。なお、インサイズデータはITアカデミーや人事部だけでなく、現場の部長にも展開しており、必要があれば三方面から育成担当者をサポートする体制を整えています。
そうやって、現場の育成担当者、部長、ITアカデミー、人事が「つながり」で若手社員を育成しているのです。インサイズはそのための有効なツールです。
髙橋:例えば、残業が比較的多い若手社員がいたとします。しかし、その若手社員が残業を嫌っているか、残業をやりがいに感じているかは、ハイブリッドワーク下ではなかなか見分けがつきません。上司は、そうしたときにインサイズデータを見て、「窮々」「悶々」なら残業を減らした方がよい、「懸命」「充実」ならある程度の残業を許容してもよいと判断するのです。また、1on1や日常の声がけも、「窮々」「悶々」と「懸命」「充実」では変わってきます。私たちはこのように日々インサイズを活用しています。
瓦井:私自身が、上司としてインサイズデータを活用したことがあります。その際は、特に「性格タイプ診断」が参考になりました。自分とは性格タイプの違う部下なのだと分かったうえで接すると、1on1などで話しやすくなるのです。こうした使い方もあります。
対面形式の「4年目研修+懇親会」で同期のつながりを醸成する
中谷:もう1つの「4年目研修」は、私たちがリクルートマネジメントソリューションズと共に企画し、2023年度から実施している施策です。
それ以前は、入社2年目の6月にOJTが終わると、以降は昇格時まで大規模な研修がありませんでした。そこで私たちは、4年目に1泊2日の対面集合研修を実施し、自分らしいリーダーシップのあり方を学んで昇格への意識を高めてもらうと共に、同期のつながりを作ってもらう場を用意することにしたのです。1日目の夜に「懇親会」を設け、お互いに心を開きやすい仕立てにしました。

私たちは、この4年目研修を毎年アップデートしています。初回の2023年度は、前半で「身近にあるモヤモヤ」や「それを放置してしまった先にある、会社・自分・お客様にとっての最悪の未来」を想像してもらい、後半にはそれを反転させて「自分がやりたいこと」や「自分らしいリーダーシップを発揮している明るい未来」を言語化してもらうプログラムの基本型を作りました。
2024年度は、このプログラムに加えて、自身のキャリアを前向きに捉えるワークを新たに取り入れました。また、新卒入社社員だけでなく、キャリア入社社員やグループからの出向者にも参加してもらいました。キャリア入社社員や出向者も、リーダーを目指したい、社内につながりを作りたいという想いは同じだからです。
成果・今後の取り組み
インサイズのスコアが軒並み上がり、特に「キャリア展望」が大きく向上
八木:インサイズに関していえば、対象者(入社5年目まで)のアンケート結果スコアが軒並み上がっています。特に「将来へのキャリアの展望が持てる」という項目のスコアは30ポイント近く向上しました。若手社員育成がうまくいっている証拠であり、現場の育成担当者と若手社員のコミュニケーションの質が高まった証拠と考えています。当然ながら、これはインサイズ活用や4年目研修の成果でもあります。
瓦井:私がインサイズの効果を特に実感するのは、若手社員の「窮々」「悶々」への落ち込みをいち早く検知できたときです。これはMUITに限った話ではないと思いますが、新入社員はある日突然、何らかの理由で「窮々」「悶々」に陥るケースが珍しくありません。上司が、ハイブリッドワーク下で若手社員のこうした変化を敏感に察知するのは簡単ではありません。ところがインサイズ導入後は、若手社員がインサイズを通して「窮々」「悶々」の悩みを自ら語ってくれるケースが明らかに増えたのです。インサイズ情報の速さと質の高さは、間違いなく私たちのメリットとなっています。

髙橋:また、現場の育成担当者、部長、ITアカデミー、人事が必要に応じてインサイズデータを共有して話し合うことで、組織ぐるみで若手社員を育成する姿勢もより一層強まりました。
中谷:4年目研修の実施後は、同期のつながりが実際に生まれています。
研修以降も定期的に話し合っている同期グループがいくつもあるのです。また、4年目研修を通して視座が高まり、気付きを行動に移している社員も多くいます。例えば、自らが自組織を変えていく必要性を理解し、自組織の変革をリードしているメンバーが実際にいます。狙い通りに、若くしてリーダーシップを発揮する社員が増えつつあります。
八木:今後については、インサイズはまだまだ活用の余地があると考えています。例えば、他のデータと組み合わせて分析することで、新たな傾向が分かるのではないかと期待しています。
髙橋:新卒採用もキャリア採用も人数がますます増えており、今後も効率的に育成対象者の状況を素早く把握する必要性を感じています。人材は多様化しており、インサイズのような個別対応ツールがより一層重要になるのは間違いありません。しかし一方で、4年目研修のように多くの社員が一堂に会して話し合う機会も大切です。今後もそのバランスを見ながら、より良い育成の最適解を追求していきたいと思います。

ソリューションプランナーの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
営業統括部 営業2部 5グループ
ソリューションプランナー 板東 慧
三菱UFJインフォメーションテクノロジー様では今、MUFGにおいて金融×ITという社会インフラを支える重要な使命を担われており、新卒・キャリア採用ともに拡大期を迎えていらっしゃいます。そのなかでも印象的なのは、オンボーディングに携わる皆様が入社者一人ひとりと向き合い、社内での成長を後押ししていこうとする姿勢です。
インサイズによる個別最適化されたフォローや、4年目研修での同期のつながり醸成により「個と集団の両面からアプローチする」取り組みについては先述のとおりですが、オンボーディング自体を現場の育成担当者任せにせず、育成責任者を置き、ITアカデミーや人事も一丸となって取り組む体制を構築されていることからも、「組織ぐるみで人を育てる」という強い意志を感じます。まさに「当社の資産は人材である」という貴社の価値観の表れに他なりません。
今後も目まぐるしく変化し続ける事業環境のなかで、一人ひとりの成長を支え続けたいという三菱UFJインフォメーションテクノロジー様の想いに、私どもも全力でお応えしてまいります。

カスタマーサクセスの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
サービス統括部HRMサービス推進部カスタマーサクセスグループ
カスタマーサクセス 浜口 拓也
三菱UFJインフォメーションテクノロジー様のオンボーディングの取り組みで特筆すべき点は、ITアカデミーの皆様の徹底した新卒入社社員、キャリア入社社員の方へのサポート体制だと思います。新卒入社社員の方が5年次を迎えるまで、インサイズのサーベイの対象とし、状態が心配なメンバーがいた場合は、上司だけではなく職場ぐるみでフォローし、結果どうなったか、まで追いかける実行力は、当たり前のようで簡単に真似できるものではありません。
IT人材確保は、時代の変化と共に年々難しくなる一方ですが、その分入社された方が定着し、全員にポテンシャルを発揮してもらうことが非常に重要になってくると思います。今後もインサイズというツールに閉じず、営業、担当トレーナー等、リクルートマネジメントソリューションズとして提供可能な力を結集し、ITアカデミー様のオンボーディング施策をさらに前に進めていただけるよう、全力でご支援させていただきたいと思います。
取材日:2025/07/14

企業紹介

三菱UFJインフォメーションテクノロジー株式会社
三菱UFJインフォメーションテクノロジーは、三菱UFJ銀行をはじめとする三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のITシステムを支える会社であり、重要な社会インフラである金融システムを、先進的な技術と高いセキュリティで、安心・安定・安全に提供している。そして、ITが切り拓く新しく利便性の高いサービスを開発していく。
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