課題解決のポイント
キャリアの展望をもち、目の前の仕事を意味付ける
中堅社員のモチベーション低下には、大きく2つのタイプが見られます。1つは、現場の中核としてさまざまな業務が集中し、多忙のあまり疲弊してしまうタイプです。もう1つは、組織や業務に慣れ、ある程度余裕をもって仕事ができるようになったため、ルーチンワークにマンネリを感じてしまうタイプです。どちらのタイプも、この先の不透明な経済環境や自身のキャリアに対する漠然とした不安を抱えています。
このモチベーション低下を放置しておくと、会社や職場環境に対する不満が蓄積して、パフォーマンスの低下や「ぶら下がり社員」化につながる恐れがあります。中堅社員に生き生きと仕事をしてもらうためには、キャリアの展望をもち、目の前の仕事に自分自身にとっての意義や意味を感じながら取り組んでもらうことが重要です。その第一歩は、現在の自分や目の前の仕事を、いつもとは違う視点から捉え直すことです。
(1)自分自身を捉え直す
昨今、昇進・昇格に関心をもたない人が増えてきており、また、ポスト不足で管理職になれる人も限られています。ビジネスや社会の先行きも不透明で、明確なキャリアビジョンをもちにくい環境といえます。このような状況では、まず自分自身がやってきたこと、できることなど、「積み上げてきたもの」に目を向けて、自身の現状を捉え直すのが有効です。「これまでの自分」を落ち着いて棚卸しすることが、「これからの自分」を考えるための準備になるのです。
(2)目の前の仕事を捉え直す
自分自身のこれまでとこれからが整理できたら、改めて目の前の仕事に目を向けます。無意識にやっていた仕事が、これからの自分にとってどんな意味があるのかを考えるのです。ただ成果を出すだけでなく、自分のできることを生かしたり、やりたいことに結びつけることで、自分としてこういう意義のある仕事にすると決めることで、仕事に向かう姿勢は大きく変わります。
このように、一つひとつの仕事を自分で「意味付ける」ことは、この先ビジネスパーソンとして長く活躍し続けるために非常に重要です。どのような仕事にぶつかっても、そこに意義を見出し、意欲的に取り組むことで成長し続けることができるからです。
施策事例
事例1生活用品関連企業
管理職手前でのキャリアデザイン
- 背景
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- 入社2年目以降、管理職になるまで階層別研修を実施しておらず、中堅社員に対するケアの不足を感じていた
- 中堅社員は、キャリアに対する関心が高い一方で、仕事に慣れたがゆえのマンネリ感や閉塞感を抱えていた
- キャリア面談制度を導入したが、あまり活用されていなかった
- 施策
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- キャリアデザインの意義を理解し、過去~現状を振り返って自己の特徴を把握。その後、今後の環境変化を想定し考慮した上で、複数のキャリアの可能性を描き、将来に向けた能力開発課題を明確にする「キャリアデザイン研修」を実施した
- 研修後にキャリア面談を行い、上司と本人で能力開発課題について合意する仕組みを整えた
- 中堅社員からは、「自分の現状をゆっくり見つめ直す機会になり、自分が大事にしたい強みが明確になった」「これまではあまり仕事に変化がなく、惰性で仕事をしているところがあったが、今後の環境変化に備えて自分が何を強化しておくべきかがわかった」という感想が聞かれた
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