テーマ
中堅・リーダー層の能力開発
こんなお悩みは
ありませんか?
- 目の前の仕事に埋没している中堅社員に、現場の中核としての意識転換を促したい
- 次の管理職候補を計画的に育てたいが、何をすればよいかわからない
- 新入社員や後輩に対して、効果的な指導・育成ができていない
- 論理的に考える力やわかりやすく伝える力が弱く、職場の課題解決が進まない
- 先々のキャリアを自律的に考えて行動してほしいが、危機感や主体性が見られない
問題・背景
将来のマネジメントの弱体化を招く「中堅社員の小粒化」
多くの企業で「中堅社員の小粒化」を問題視する声が聞かれます。弊社が実施した「人材マネジメント実態調査2021」では、企業の組織・人材マネジメントの現状を尋ねたところ、「中堅社員が小粒化している」を課題として挙げた方が51.1%でした。「次世代の経営を担う人材が育っていない」「ミドルマネジメント層の負荷が過重になっている」(ともに55.2%)、「新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」(51.9%)に次いで第4位となっています(図表参照)。
<図表>組織・人材マネジメント課題
自社の組織・人材マネジメントの現状としてあてはまるもの、また、コロナ禍において課題感が高まったものはどれですか。それぞれあてはまるものをすべてお選びください。(複数回答/n=491/%)
一方で、中堅社員と呼ばれる層は幅広く、年齢や役割もさまざまで一括りにして考えにくいため、ミドルマネジメントの強化や次世代経営人材の育成に比べて、検討の優先順位が下がりがちです。しかし、少し先を見据えると、中堅社員の小粒化を放置することは、将来のミドルマネジメントの弱体化につながりかねません。
では、中堅社員層の能力開発をどのように考えていけばよいのでしょうか。まずは、今の中堅社員を取り巻く以下の3つの状況を理解する必要があります。
(1)組織内での役割を自覚しにくい職場構成
1990年代後半以降、多くの企業で組織のフラット化が進みました。また、景気変動に伴う採用人数の大幅な増減が、企業内の年齢構成をいびつなものにしています(就職氷河期の入社者が極端に少ない「ワイングラス」型など)。このような組織の変化は、中堅社員の意識にも大きな影響を与えています。かつてのピラミッド型組織では、中堅になれば自然と後輩の面倒を見る、リーダークラスに昇格すればチームを率いる責任を担うなど、組織内での立ち位置と役割が密接に結びついていました。しかし、現在の多くの組織は、指導する後輩がいない、同役職の先輩やシニア社員がいるために誰がリーダーなのかが明確でないなど、中堅社員が組織内での役割を自覚しにくい状況になっています。
(2)タコツボ化につながる業務の専門化・分業化
長引く不況などを背景に、多くの企業が業務効率化を推進したことも、中堅社員の小粒化の一因です。アウトソーシングや仕事の専門分化が進んだことで、仕事全体の流れを広い視野で眺める力や、他業務の担当者を巻き込む力が養われにくくなっています。加えて、特に氷河期入社世代は人数が少ないため、異動や配置転換の機会があまりないという傾向があります。結果として、所属部署内の閉じた世界に長く留まり、視野が狭くなってしまうケースが見られます。
(3)キャリア不安を招く先行き不透明な経済・労働環境
若年層の多くが、老後や年金への不安を抱えていると言われています。中堅社員にとっては、まだキャリアの先は長く、見通しは不透明です。会社の上層部を見ればポスト不足で、自身の明確なキャリアプランを描きにくい状況があります。活躍できていないシニア社員などが問題視されるなか、中堅社員は優れたロールモデルも見出せないまま、漠然としたキャリア不安を抱えてしまいがちです。
主な課題
職場環境の変化や価値観の多様化を踏まえた能力開発施策が必要
このような状況のなかで、多くの中堅社員が生き生きと仕事の幅を広げながら力をつけ、将来のミドルマネジメントや事業を牽引するエキスパートになっていくためには、何が必要でしょうか。主な課題としては、次の5点が挙げられます。
(1)現場の中核としての役割認識・リーダーシップ開発
中堅社員に現場の中核としての意識転換を促すためには、制度上の役割定義を伝えるだけでは不十分です。チームに後輩がいない、リーダーのポジションが明確には与えられないなど、現場の実態を踏まえた上で、中堅社員の役割認識を促し、リーダーシップ開発を行う必要があります。
課題「現場の中核としての役割認識とリーダーシップ開発」を詳しく見る
(2)後輩指導・育成力の向上
いびつな年齢構成の影響から、中堅社員自身が、新人・若手時代に先輩から手厚い指導を受けた経験が少ないケースが多く見られます。また、新人・若手世代の仕事観や学習スタイルの変化などにより、後輩の指導・育成そのものが、以前よりも難しいテーマになっています。
(3)職場における課題解決力の向上
業務がより一層複雑化してきたため、自ら問題を捉えて原因を究明し、解決に向けて周囲を動かしていく力が、マネジメント層だけでなく、中堅社員層にも求められるようになってきました。マネジメントに必須の力という意味でも、中堅社員のうちに職場での課題解決を推進する力を鍛えておくことが重要です。
(4)モチベーションの向上
中堅社員のモチベーション低下には、業務のマンネリ感、組織の閉塞感への不満や、先行き不透明な環境に対する漠然とした不安が影響しています。また、「管理職になりたくない」「仕事ばかりの生活にしたくない」という人が増えるなど、昇進や仕事に対する価値観の変化も進んでいます。こうした変化を踏まえた施策を考える必要があります。
(5)管理職候補者の計画的育成・評価
フラット化により、「組織No.2」のポストがなくなった、あるいは形骸化したことで、プレ・マネジメント経験(マネジメントの準備となるような仕事の経験)を積ませることが難しくなっています。一方で、今後、管理職ポストが潤沢に用意できるわけではないことを考えると、管理職候補者を計画的に育て、適切な評価によって登用していくことが重要となります。
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