課題解決のポイント
自身の立ち位置を捉え直し、役割と影響力を拡大させる
一般的に、中堅社員に求められる役割や影響力は多岐にわたり、企業によってもさまざまです。それは、中堅社員の年齢層が20代から50代まで幅広く、さらに雇用形態も正社員、エキスパート職、地域限定職などが混在することが多いためです。しかし、どのような組織でもある程度共通して求められる役割があります。それは、個人の担当職務を遂行すると同時に、周囲に積極的に働きかけることです。組織の目標・方針を理解して上司を補佐したり、後輩を指導したり、職場全体のチームワークや風土づくりに貢献したりといった、職場の中核としての関係者への働きかけが求められます。
しかし、中堅社員の多くは、自らの担当職務に集中するあまり、周囲にまで意識が向いていないのが実情です。周囲の期待を伝え、上司の補佐、後輩の指導、チームワークや風土づくりへの関心を呼び起こすことが重要です。
一方で、チームに後輩がいない、リーダーなどのポジションが明確には与えられないなど、組織内での役割を認識しにくい状況に置かれている中堅社員が増えています。こうした場合、研修などで組織内の役割を説いても、実態とのギャップが大きいため本人も納得しにくく、なかなか効果があがりません。そんな中堅社員に対しては、役割よりもビジネスパーソンとしての一般的な成長のロードマップから、現在の自身の立ち位置を捉え直させることが有効です。
下図は、ビジネスパーソンの成長段階を示すモデルです。中堅社員はMain Player(一人前)からLeading Player(主力)に該当します。現在、自分がどのステージにいて、次はどのステージが待っているのか。今のステージで何ができるようにならなければならないのか。今後、乗り越えなければならない課題は何か。このモデルを材料に考えることで、現在の立ち位置を客観的に捉え、今後の見通しをもつことができます。
例えば、Leading Player(主力)は、「継続的に高い個人業績をあげつつ周囲に目を配り、チームとしての業績達成を主導する」ステージです。自身の担当業務で忙しくても、一方でメンバーを育て動かしながら、チームとしての成果をあげることが求められます。次のManager(マネジメント)・Expert(専門家)のどちらに進むにしても、このステージをきちんと乗り越えておかなければなりません。
中堅社員に対しては、このようにして、ビジネスパーソンとしての成長のロードマップを見せることが、自身の現状に対する新たな見方の獲得につながり、次のステージに向けて何をすべきかを考えるきっかけとなります。
施策事例
事例1印刷・出版関連企業
役割認識の促進とリーダーシップの開発
- 背景
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- 人員構成上、中堅社員の人数が少ないために、業務負荷が集中しがちだった
- 3年目研修以降、体系的な育成施策を行っておらず、退職者の多さやリーダー不足が問題となっていた
- 施策
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- 中堅社員としての役割認識を促進し、具体的なアクションプランを策定する集合研修を実施した
- 中堅社員の職場実践活動のフォローアップとして、リーダーとしての自己を見つめ、リーダーシップ開発を促すワークショップを実施した
- 中堅社員の役割・能力開発の方針が明確になった
- 結果として中堅社員の退職者が減少し、仕事へのコミットメントが高まった
事例2専門サービス・コンサルタント関連企業
中堅社員の育成を起点に、職場ぐるみの実践定着を促進
- 背景
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- アウトソース化などの影響で、中堅社員を指導できる先輩が減少していた
- 上司もプレイング業務の比率が高まり、育成風土が後退していた
- 施策
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- 中堅社員としての役割認識を促進し、具体的なアクションプランを策定する集合研修を実施した
- 上司や先輩による職場での実践促進、フォローアップを仕組み化した
- 中堅社員の役割・能力開発の方針が明確になった
- 上司や職場関係者の育成風土の再構築につながった
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