2013年7月より「リクルートマネジメントスクール チケット制サービス(旧:リクルート ラーニングクラブ)」を導入。業務が多忙で社内の集合研修※1に参加しづらい社員のフォローアップなど、補完の位置づけで運用をスタート。対象を全社員、メインターゲットを若手中堅層に設定。2013年度の受講者は約80名。
※1 株式会社WOWOWが社外の講師を社内に招いて行う階層別研修・自由選択型研修の呼称
おかげさまで当社は現在、8期連続で加入者が増え、順調に事業を展開しています。しかしながら、主な事業内容は国内での有料放送サービスのため、今後人口が減少する国内でお客さまを増やしていくという難しいビジネスにチャレンジしなくてはなりません。現場での学びが一番大切ではありますが、これから訪れる「前例なきビジネス環境」においては、仕事を通じて学ぶだけでは不十分だと思います。
2009年以降、少数の体制を貫きつつ、人材育成をより一層強化していくという人材マネジメント方針を打ち出し、研修制度を整備してきました。育成テーマは、大きく分けて3つ。「自律した人材の育成」「人を育てる企業文化の醸成」「ネクストリーダーの育成」です。
教育体系の大枠が決まり、運用を開始しましたが、当社には「仕事を通じて学び成長していくスタイル」が定着しており、研修に前向きな社員が多いとは言えない状況でした。
研修に対する社員の捉え方に加え、2011年10月にフルハイビジョン・3チャンネルの放送がスタートしてから、多忙な社員が増えたことも、研修制度の強化における課題でした。社内の集合研修は基本的には終日です。興味があるテーマだから参加したいと申し込みをしたとしても、番組の収録や編集、取材対応などが入り、どうしても業務の調整がつかずに、研修をキャンセルする社員が毎回出てきました。15名の参加予定が10名になると、一人当たりの研修コストは上がりますし、また、参加者が少ないと研修で得られる気づきも少なくなってしまいます。
研修に対する負担感を減らし、且つより効果的に、学ぶ意欲がある社員を支援するにはどうすればいいかと考えていたとき、「リクルートマネジメントスクール チケット制サービス」に出会いました。基本的には社内で実施する集合研修が教育体系の軸となりますが、不参加社員のフォローなど補助的な位置づけで役立てることができますし、「自ら学ぶ姿勢」を育む意味でも、自己選択式の公開型研修を導入する価値があると感じたのです。
「リクルートマネジメントスクール チケット制サービス」は階層別研修、ビジネススキル研修、語学スキル研修など様々な講座があります。管理職のマネジメント研修や若手中堅層のキャリア研修などを新たに導入する一方で、一部の社内集合研修をリクルートマネジメントスクール チケット制サービスへ切り換え、限られた予算内で研修をさらに充実させることができました。また、社員が異業種交流会へ気軽に参加できるところにもメリットを感じています。エンタメ業界以外の社外のさまざまなビジネスパーソンと交流することで、刺激をうけ、視座を広げることができます。そのような場をつくるのは容易ではないですから。
1講座3時間という手軽さも好評です。どれだけ忙しい社員でも、ある1日のたった3時間なら工面できるものです。どうしても都合がつかず受講できない場合も、期日までにキャンセル手続きをすれば、あらたに日程を調整して参加することができますので、費用面のロスにはなりません。
当社で人気のコースは「企画」「英語」「プレゼン」に関わるものです。ドラマやドキュメンタリーなどの番組制作では企画が命ですし、そこにかける想いを確実に届けるには「伝える力」が求められます。また、海外のコンテンツを扱うことも多いので、英語を学びたいという社員も多いです。ある若手社員は、「朝学んだ内容を、職場に戻ったらすぐに実践した」という感想をアンケートに残していました。つまり、午前中の講座に参加すれば、午後からその内容を実践できるほど、現場に即した内容だったということです。3時間という短い時間ですが、受講者の学ぶ意欲に火をつけるには十分なようで、継続的な学習の動機づけになっています。
開始する前には想定していなかった「嬉しい誤算」もありました。たとえば、ここ3年ぐらい、社内の集合研修には見向きもしていなかった社員が、自分から「この講座を受けたい」と申し込みをし、その後も定期的に参加しているのです。このような社員が何名か出てきました。 ほかには、「社外の方とグループワークを行うなかで、自分にないものに気づいた」とか、「普段と違う環境で学ぶことで頭も気分もリフレッシュできて、仕事にもいい影響がありそう」「楽しみながら学べたので毎月でも参加したい」などの声も印象的です。研修予算のやりくりに頭を悩ませるぐらい、さらに参加希望者が増えると嬉しいですね。
それほど人事がお膳立てをしなくても社員たちが有効性に気づいてくれるので、大きな手間がかからない点も、リクルート ラーニングクラブの魅力だと思います。
「リクルートマネジメントスクール チケット制サービス」を導入して1年ほどになりますが、「気軽に参加できる」「異業種交流ができる」「気分転換にも使える」など、社員にとってのメリットをシンプルに訴求するだけで反響がありますね。ひとまず3年ぐらいは運用方法を大きく変えず、あくまで社内集合研修の補完の位置づけで利用していく予定です。
その後はアンケート状況などをチェックしつつ、運用を見直していこうと思っています。ゆくゆくは、どこの部署でも上司と部下の評価面談などの場で「企画力をもっと高めるために、研修を受講してみたら」などの会話が出るようになるといいですね。管理職クラスの受講が増えることは、「人を育てる企業文化の醸成」の実現にもつながると思います。集合研修と上手く絡めて、今後は管理職クラスの受講意欲と部下育成意欲を、より高めていけたらいいですね。