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さあ、扉をひらこう。Jammin’2025 owner session report

Jammin’を経験して、コンプレックスを長所だと思えるようになった(リコー・市川さん)〈第1回オーナーセッション2025〉

  • 公開日:2025/09/29
  • 更新日:2025/09/29
Jammin’を経験して、コンプレックスを長所だと思えるようになった(リコー・市川さん)〈第1回オーナーセッション2025〉

「Jammin’2025」がいよいよスタートした。リーダーセッションは9月から始まるが、それに先立って、8月に「第1回オーナーセッション」をオンラインで開催した。オーナーとは、リーダーを派遣する企業の人事担当者などの皆さんである。実は、オーナーの皆さんも全4回の「オーナーセッション」に参加し、学び合っている。今回のオーナーセッションでは、Jammin’卒業生の市川陽一さん(株式会社リコー)に「Jammin’を通じて得られたことと越境後」を語ってもらった。その内容を紹介する。

▼Jammin’2025 全体像

Jammin’2025 全体像
グランプリ受賞者、リコー・市川さんに「得られたことと越境後」を語ってもらった
参加動機は「社内異動のコンプレックス」と「リーダーとしての手応えのなさ」
1つ目のターニングポイントは、専門家・小野邦彦さんに「事業案をボコボコにされた」こと
最後の1カ月は「相手を動かすためなら、できるすべてを積む、努力を惜しまない」と決めて突っ走った
Jammin’で自信がつき、社内でもリーダーシップを評価してもらえるように

グランプリ受賞者、リコー・市川さんに「得られたことと越境後」を語ってもらった

第1回オーナーセッションは、Jammin’2025の概要説明から始まり、続いてオーナー同士で自己紹介を行ってもらった。こうして一足先に、オーナーの皆さんの対話が始まった。Jammin’は参加者のリーダーシップ開発が主眼だが、一方で参加者を支援するオーナー同士も語り合い、学び合いながら、リーダーの活躍を支援する。

自己紹介が終わったところで、Jammin’卒業生の市川陽一さんに話してもらった。市川さんはJammin’2023の食料コースに参加し、「Pocket Deli Deli」チームの一員としてグランプリを受賞した。グランプリ受賞時にもインタビューを行っているが、あらためて卒業後2年経ったタイミングで「Jammin’を通じて得られたことと越境後」を語ってもらった。

▼株式会社リコー 技術統括部技術経営センター技術統括室技術調査グループ プロジェクトマネージャー 市川 陽一氏

株式会社リコー 技術統括部技術経営センター技術統括室技術調査グループ プロジェクトマネージャー 市川 陽一氏

参加動機は「社内異動のコンプレックス」と「リーダーとしての手応えのなさ」

「社会人になってから、こんなに喜んだことはありませんでした。社会人人生最高の写真です」。市川さんは、グランプリ受賞が決まり、チーム全員でハイタッチする光景を捉えた写真を見ながらそう語った。「私はJammin’卒業後、社内でさまざまな業務に幅広く携わるようになりました。なぜそのような変化が起きたのか、これから詳しくお話しします」

▼2023 Jammin’ Awardでグランプリが決まった瞬間

2023 Jammin’ Awardでグランプリが決まった瞬間

市川さんがJammin’に参加した動機の1つは、社内異動のコンプレックスだった。「私は2015年にリコーに入社し、研究開発職を7年続けた後、2022年から企画・マーケティング職に職種を変えました。2023年当時、私はキャリア途中で職種が変わったことへのコンプレックスを抱いていました。同年代よりも、企画・マーケティングの経験が圧倒的に浅かったからです。しかし顧客への提案の機会は限られており、差を埋める手段がなかなか見つかりませんでした。どうしたものかと思っていたときに、上司からJammin'の存在を聞き、自分を推薦してもらえるようお願いしました。Jammin’には事業案を本気で提案できる機会があると知り、企画提案の経験不足を少しでも補えるのではないかと考えました」

もう1つの動機は、リーダーとしての手応えのなさだった。「当時の私は、リーダーを担い始めた時期でもありました。リーダー業務をある程度はできている感覚がありましたが、確かな手応えは得ていませんでした。もっと上手にリーダーシップを発揮できるはずだと感じていたのです。私はそのために、リーダーシップについて学び、自分なりのリーダーシップの発揮の仕方を身につけられる場を求めていました。Jammin’は、さまざまな会社の優秀なリーダーたちと切磋琢磨しながら、実践的なリーダーシップを学べる場だと聞き、チャンスだと感じました。こうした越境学習の経験が、きっと今後のキャリアにいきるだろうとも考えました」(市川さん)

こうして市川さんは、上司推薦でJammin’に参加することになった。「参加を決める際、上司とJammin’のパンフレットを見ながら、どういう機会にできるとよいかをじっくり話し合いました。その結果、Jammin’受講中の上司の支援を取りつけることができ、安心して参加できました」。

1つ目のターニングポイントは、専門家・小野邦彦さんに「事業案をボコボコにされた」こと

Jammin’2023食料コースで、市川さんは多様なチームメンバーたちとチームを組んだ。「私は最初に個人目標として、Jammin’がリーダーに求める3つの行動(ひきつける・いかしきる・やってみる)のうち、自分に一番足りない『いかしきる』を伸ばすこと、特にチームの協業を円滑化すること、メンバーに活躍してもらうために動くことをチーム内で宣言しました。それから、やるからには、アワードまでの全期間をフルで活動するという目標も決めました」

市川さんチームの1つ目のターニングポイントは、食料コースの専門家・小野邦彦さんに「事業案をボコボコにされた」ことだった。「私たちは最初、グランプリを受賞したPocket Deli Deliとはまったく違う事業案を企画していました。ところが序盤のセッションで、私たちは小野さんに、その事業案を完膚なきまでに否定されたのです。あるメンバーがそのことを心底悔しがり、何とかして小野さんに『いいアイディアだね!』と言われたい、と感情をストレートに表現しました。それがきっかけとなり、私たちは従来のアイディアを全部捨て、一から考え直すことにしたのです」。その決断がグランプリ獲得につながったのだ。

▼食料コース専門家 株式会社坂ノ途中 代表取締役 小野 邦彦氏

食料コース専門家 株式会社坂ノ途中 代表取締役 小野 邦彦氏

市川さんにとって、専門家の小野さんとの出会いは大きかった。「本当に素晴らしい人と出会えました。『インターネット上の情報だけで、現場の実情を把握できるわけがありません。現場のフィールドに自ら出て行って情報を得てください』『皆さんは、私と話せる機会を無駄遣いしています』『小さくまとめてきたことがよく分かる事業案ですね』など、率直で手厳しく、しかし納得のいくアドバイスを何度ももらいました。今でも、小野さんの言葉を思い出すことがよくあります」

その後、Pocket Deli Deliのアイディアが生まれたことで、市川さんとメンバーのモチベーションは一気に高まった。「正直に話しますが、本業との両立はとにかく大変でした。序盤は、自分もメンバーも『しんどいけど頑張る』というモードで、何とか乗り越えましたが、そのままでは持たなかったと思います。私たちの転機は、解決したい『不』が明確になり、『不』を持つ人たちを助けられそうな事業案(Pocket Deli Deli)のアイディアが生まれたときでした。そのとき私たちは、自分たちの議論や行動がしっかりと成果や進歩につながっていると実感でき、やる気が一気に高まったのです。それ以降は、皆が『忙しいけど、何とか時間をつくってJammin’を進めたい』というモードに変わりました」

その後も本業との両立は課題だったが、チームで乗り越えていった。「全員、業種も業務も違いますから、繁忙期もまったく異なりました。ただ、そのことはあらかじめ分かっていたので、事前に全員のスケジュールを共有し、頑張れるときは頑張り、任せるときは他のメンバーに安心して任せられる体制を構築しました。私自身はまったく動けない時期はありませんでしたが、なかには一時期動けなくなるメンバーもいました。そうしたメンバーには、これまでの仕事の価値や貢献度を伝え、できるだけ後ろめたさを減らすように心がけました。チーム一丸となるためには、そのような働きかけが必要なのです」

最後の1カ月は「相手を動かすためなら、できるすべてを積む、努力を惜しまない」と決めて突っ走った

Pocket Deli Deliの事業案を磨き上げた結果、市川さんのチームは食料コースの最終セッションでコース代表に選ばれた。Jammin’ Awardでプレゼンテーションし、グランプリを目指す権利を得たのである。「最終セッションからJammin’ Awardまで1カ月ありました。その1カ月は『相手を動かすためなら、できるすべてを積む、努力を惜しまない』と決めて突っ走りました。外向きの活動はいったん完了させ、発表の作り込みにフォーカスしました」

このとき市川さんたちは、どうすればグランプリを獲得できるのかを徹底的に考え抜いた。「Jammin’ Awardに集まった皆さんに、『Pocket Deli Deliの実現を応援したい』と思われることが最も大切だと考えました。そのために、プレゼンテーションの8分間で、僕らが何を実現したいのかを明確に伝え、15コースを聞き終わった後も記憶に残るような強いインパクトを与えることを目指しました。プレゼン資料は、提出30分前まで1mm単位で修正を続けました。プレゼンターには、最も表情が豊かで、明るい雰囲気を醸成できるメンバーを選び、ワクワクをベースとした発表を心がけました。食料コースの強みを生かして『商品プロトタイプ』を製作し、プレゼンに合わせて掲げました。商品プロトタイプのインパクトは大きかったと思います。メンバー全員でお揃いのパーカーを用意して着たことも、目立つ一因になったはずです」

このように、市川さんのチームは「すべてやる」チームだった。「メンバー全員が腹落ちするまでとことん討議して、皆で出した結論をもとに、できることをすべてやるチームでした。事業案を考えるときも、グランプリを目指すときも、話し尽くし、行動し尽くしました。その際、お互いの成長や変化、長所や不足点、どう変わっていけばよいかといったことを、繰り返し言語化し合ったのもよかったのだと思います」

Jammin'

Jammin’で自信がつき、社内でもリーダーシップを評価してもらえるように

こうして市川さんたちは、想定ユーザーや協業候補など多方面を巻き込む提案を実践し、結果としてグランプリを獲得した。「期待以上の経験ができました。その経験は、2年経った今も間違いなく生きています。例えば、現在の業務でマーケティング提案をする際、アワードのプレゼンテーションのように徹底的に作り込んで臨むようになりました。相手が経営陣であっても、Jammin’を経験してからは以前ほど緊張しなくなりました」

市川さん自身はJammin’を経験して、社内異動のコンプレックスをむしろ長所だと思えるようになり、リーダーとしての手応えも出てきた。「Jammin’の最中、チームの仲間たちから、自分の社内異動経験は『幅広い相手と対等にコミュニケーションできる』という長所を磨くためではないか、とポジティブに評価してもらい、自分の見方が変わりました。また、メンバーから『市川さんはリーダーだ』というフィードバックをもらい、自信になりました。それからは、社内でもリーダーシップをより発揮できるようになったと感じています。フィードバックの伝え方、チームづくりの仕方なども、Jammin’のなかで実践的に学ぶことができました」

現在、市川さんはプロジェクトマネージャーに昇進し、技術営業やシステム開発も兼務する活躍を見せている。「幅広い相手と対等にコミュニケーションできる長所を社内で生かしてみたら、業務の幅がどんどん広がったのです。また、リーダーシップ力やマネジメント力を周囲から評価してもらえるようにもなってきました。振り返ると、Jammin’を通じて、解決すべき『不』を捉えること、自ら考えて行動すること、周囲とコミュニケーションを密に取ることへのハードルが明らかに下がりました。そのことが現在の業務にプラスになっています」

市川さんのお話が終わった後は、質疑応答を経て、オーナーの皆さんに感想を交わし合ってもらった。オーナーの皆さんは、「市川さんのように自ら手を挙げて参加した人は、やはり多くの経験や知恵を持ち帰るのだと感じた」「上長フォローの重要性を感じた。これからは上長への理解促進にも力を入れたい」など、さまざまな感想を話していた。

こうして、第1回オーナーセッションは終了した。Jammin’2025は始まったばかり。いよいよこれからが本番である。

【text:米川 青馬、illustration:長縄 美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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