連載・コラム
なぜマナーが仕事の上で大切なのか
ビジネスマナーに、その「人」が出る。
- 公開日:2008/04/07
- 更新日:2024/05/16

世の中にマナーと名の付く研修はたくさんありますが、弊社が行っている ビジネスマナー研修(BMS)は行儀や礼儀作法のマナーを教えるのではなく、マナーをビジネス遂行上の基本と考え、かつ実践的であることを狙いとしています。今回のコラムはビジネスマナー研修の経験が豊富な弊社トレーナーがお届けいたします。
研修の場を職場にしてみる。マナーを実際の仕事とつなげてみる。
実際どの企業でもマネジャーが「マナーを教えてほしい」とおっしゃる時は、決して挨拶や電話応対だけを教えて欲しいわけではないんですね。必ず仕事と一体化して考えていらっしゃる。
このように裏表をなしているビジネスマナーと仕事の基本とを両面からセットで学ぶことにより、「なぜマナーが仕事の上で大切なのか」という根本に気づいていただく。それを、会社組織でこれまで職業人生を送り、マネジメント経験のあるトレーナーが行うというところが大きな特徴ではないでしょうか。
もうひとつの特徴である「実践的である」とは、研修の場で学んだことを生かし職場での行動変容につなげたいと考えている点です。人は納得すると行動につながるものです。
そこでBMSでは「研修の場=職場」として設定し、ロールプレイングを交えた実践的なプログラムを行っていきます。トレーナーは上司役として参加し、受講者はグループ活動の中で、組織の中での上司や同僚、お客様とのかかわりを体現していくわけです。

例えば、最初にチーム作りを行います。一見するとアイスブレイクのようなチーム作りというワークを仕事と捉えた行動を要求します。納期を意識して成果をあげていかないとトレーナーから詰められる。私の上司役は結構厳しいですよ(笑)。本気で叱ることがありますから。こうしたケースでは「たかだかマナーの研修じゃないか」というふわふわした受講者の空気が、「この研修、なめちゃいかんな」と一変することもあります。
また、グループ内のメンバーの相互フィードバックで、自分の素晴らしいところや癖や足りない部分を指摘されるのも効くようですね。マナーの評価はあくまで他人が下すものです。たくさん失敗して、恥をかくことでお互いに磨き合うことができたら、その分職場に帰ってすぐに活用できるのではないでしょうか。
目的はいろいろ。期待もいろいろ。目指すは行動。
1日間で行う公開コースのBMSは、1グループ6名ずつ、計3グループ18名が基本です。受講される方はいろいろで研修に求めることも違います。中小企業が新人教育の一環として活用される場合もありますし、大手企業の一部門のメンバーや、あるいは外国人の方が参加されることもあります。
プログラムの位置付けはビジネスパーソンのための基礎研修としていますが、新入社員のみが対象とも限りません。例えば、IT関連の企業などに多いのですが、組織が成長していく過程でお客様のグレードが変わった場合などは全員で受講されるケースもあります。社内でも取引先とも友達感覚、仕事も短パンで済むといった段階からそうではなくなる時期といったらわかりやすいでしょうか。一番マナーができていないのが実は社長だったり(笑)。
あるお役所では、担当者の方が「いまさら聞けないビジネスマナー」というタイトルをつけて所内公募したところ定員30人に80人もの応募がありました。それも若手より中堅以上が多く、主要施設の所長・副所長クラスの方もいらっしゃいました。やはりいろんな面で不安だったのでしょうね。
これは、一般企業にもあてはまるケースだと思います。通常のプログラムを必要に応じてアレンジを加えることもあります。ある不動産販売会社では、自社のサービスをプレミアムなものに変えたいという戦略に基づいてロールプレイングの内容を設計し、その中でマナーの基本行動の見直しを行ったケースもありました。

受講者の行動変容を目的とするBMSですが、わずか1日でがらっと変わるところまではなかなかいきません。皆さんには目標を持って職場に帰っていただくわけですが、くしゃくしゃの髪型が休憩時間に変わっていたとか、丸まっていた背筋がしゃっきりとする、話せなかった人が話せるようになる。こういったケースはたくさんありますし、
「ちょっとした笑顔や姿勢で、こんなにも印象が換わるんですね」
「社会人への気持ちの切り替えができました」
「マナーについて思い違いをしていました」
「ずっと悩んでいた疑問が解決できました」
といった感想もよくいただきます。プログラムが全て終わって帰っていいはずなのに、講師に対する感謝の気持ちを述べることに気づいて、前まで来て、「ありがとうございました。元気で頑張ります」と笑顔で挨拶をして帰っていく姿を見ると、やっぱり嬉しいですよね。
仕事とは?働くとは?を、考えるきっかけに。
私は弊社の中でもBMSを担当することが多いトレーナーです。今でこそ肩の力を抜いて自然体でできるようになりましたが、最初の頃は悩み、もがきながらやっていましたね。というのも自分の気持ちの中にマナー研修は苦手という意識があったからです。
マナーに基本はあるけれど決まりきった正解はない。型も大切。だけど型にとらわれるのもイヤ。(笑)そもそも自分が会社員として働いていた時代にできていたかというと、これまた疑問。ちゃんとしたことをお伝えしなければならないのに、どれが正しいなんて言い切れない、自信がない、と思っていたところがありました。
そう思っている自分がきらいで、これはなんとかしないといけないと・・・。マナーってなんだろう?どうして大切なんだろう?あの時、どう判断して、どう行動してきたか。受講者と同じようなことを一生懸命に考え、試行錯誤をしていたんですね。今でもそれは続いているのですが、確かに実感できるようになったことがあります。
マナーには、その人の人間性や仕事に取り組む姿勢が出るんだなぁということです。
つまり、ビジネスマナーを考えていくと、マナー以前の問題に行き着くのです。その人が仕事をどう考えているか?仕事や相手のことをどれだけ考えているか、仕事のスタンスというか姿勢そのものですね。働くってことをどう考えているか。あるいは自分の人生をどう考えているか?その部分がチャーミングな人は、マナーもやっぱりチャーミング。形なんかどうでもよくなってしまうんですね。最後はなんだかややこしい話になってきましたが、この研修がそういう根っこのところを考えるきっかけになってくれたら嬉しいと思っています。
執筆者

人材開発トレーナー 米国CCE, Inc. GCDF-Japan キャリアカウンセラー
尾科 則子
小中学校向け写真新聞社で秘書・一般事務から職業人生をスタート。営業事務部門の責任者を務める。その後、流通系カード会社に転職し、人材開発の社内トレーナーとして一連の意識変革・実務研修を実施。チーフトレーナーとして全社トレーナーのまとめ役を担ったのち、役員担当秘書に異動。30代後半企業経営全般を学ぶためコンサルタント養成講座で学び、中小企業診断士資格を取得。95年、リクルート(現リクルートマネジメントソリューションズ)のトレーナーになり現在に至る。
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