他人の目にはそうは映らない「いまどきの若いもんは……」 若い力を信じよう 〜 トレーナーから見た新入社員の素顔 〜

執筆者情報
人材開発トレーナー
渡辺 拓二
執筆者情報
人材開発トレーナー
佐々木 あかね

以前、このコラムで弊社の新入社員研修の一つである『8つの基本行動』が生まれた背景をご紹介させていただきました(2006年12月トレーナーコラム)。
今回は同研修を担当する二人のトレーナーの話を対談形式でお伝えします。とかく「いまどきの若いもんは…」で括られやすい昨今の新入社員。しかし、二人の目にはそうは映っていないようです。


受け止めるトレーナーの役割、送り出す企業の役割

―― 『8つの基本行動』は2003年の3月からスタートしているわけですが、お二人がこの研修を担当するようになったのはいつからですか?

渡 辺:もうそんなになりますか。私はスタート時から担当しておりますので今年で6年目になりますね。

佐々木:私は3年目。まだまだ新人ですね。


―― お二人ともほかにもいろいろな研修を担当していると思いますが、新入社員研修ならではのスタンスというようなものはあるのでしょうか。

佐々木:特に意識はしていないですね。「おはようございます」って、自然に始まる感じですよ。

渡 辺:私も同じですね。新入社員に迎合するのでもなく、特に厳しくすることもない。あえて場を和ますこともせず、できるだけニュートラルなスタンスで臨むようにしています。
受講者の皆さんも社会に出たばかりとはいえ大人ですし、わかっていますよ。こちらが変な意図というか思惑を持った瞬間に感じ取られますからね。人間ワタナベを見てくださいというところでしょうか。ただ、地方から出てきたばかりの受講者の方もいらっしゃるので「方言などは気にしないでくださいね」といったケアはするようにしています。

―― 公開コースですと、いろんな方がいらっしゃいますからね。

佐々木:そうですね、100人以上の受講者がいらっしゃる中で、どれだけ一人ひとりに目を向けられるか…。

渡 辺:そこはやっぱり前に立つトレーナーだけでなく、各グループを担当するトレーナーが複数いるっていうのが大きいのではないでしょうか。前から話して全体を見ているとわかるんですね。例えば「あそこにいる○○さん、体調悪そうだな」って。そんな時、他のトレーナーがさっとフォローに行けると非常に助かりますし、受講者の方もほっとしますよね。
こうした対応ができるように、トレーナー同士がどれだけ意思の疎通をはかれているかはすごく重要です。

佐々木:私は今年初めて前に立って全体の進行を担当したんですが、改めて複数人のトレーナーがいることは大きいなって思いましたね。
前に立つと一人ひとりとしっかり接したいと思っても限界がありますから。

渡 辺:終了後のアンケートを読むと、トレーナーにもっと関わってほしかったという声は多いですよ。

佐々木:やっぱり関わってほしいんですよね。

渡 辺:そりゃそうですよ。だって入社1日目とか、場合によっては入社前とかのケースもあるわけでしょう。やっぱり不安ですよね。どんな気持ちで座っているんだろうって考えると、こっちが泣きそうなくらいになります。
ですから、トレーナーでありながら人事担当者でもあるんだぞっていう気持ちで接することもあります。またある時はお兄さん的であったり、お父さん的であったり、いろんな立場で関わっているような気がします。

―― 人事担当者というと、新入社員本人だけでなく周りにいる方の関わりもポイントになってくると?

佐々木:新入社員を研修に送り出す企業側の意識や姿勢も大事ですよね。

渡 辺:ものすごく大事です。「頑張ってこいよ」「終わったら電話しろよ」「どうだった?」そんなひと言がすごく大切で、受講者のモチベーションがまったく違ってくる。そういう企業であればあるほど効果も高く、満足度も高い。
逆に、「行って来い」とだけ言って放り出すような企業ですと受講者は不安ですし、効果や満足度も得られない場合がありますよね。

なぜビジネスマナーが必要かを根本から考え、行動と結びつける

―― 『8つの基本行動』の特徴に、「相手の期待を考える」という一貫したコンセプトがあります。受講者の皆さんはそれをどのように感じているのでしょうか?

渡 辺:「ビジネスマナーの向こう側には、必ず相手の期待や気持ちがあること」「それはあらゆるビジネスの基本であり、組織を円滑に回していく上で必要不可欠なものでもあること」。
知識やスキルだけではなく、ビジネスマナーの根本にある考え方や姿勢を学び、持ち帰ってもらいたい。これが一般的な新入社員研修と『8つの基本行動』の最も大きな違いだと思いますね。

佐々木:そのためにビジネスマナーを一方的に教えるのではなく、受講者の皆さんにまず考えてもらう。

渡 辺:そうですね。例えば、挨拶はなぜ重要なのか。
自分で意味を考えた上で行動に移してもらう。考えるだけでも、行動するだけでもない。だから腹の中にぐっと落ちやすいのだと思います。特に最近の若者たちは意味づけを重要視しますから、この部分がないと納得しないでしょうね。

佐々木:自分自身で考えるための工夫は、プログラムのいたるところでされていますよね。良い例と悪い例を紹介するVTRも「なぜ?」という部分をきちんと考えられるように組み立てられている。ドラマ仕立てでわかりやすいですし。

渡 辺:途中、理解が難しかったり、わかりにくい箇所についてはトレーナーが直接解説しています。「相手の期待」とは何かがプログラムを通じて徐々に自ずとわかるようになり、2日間の研修期間中に理解・成長できる仕組みになっていると思います。

佐々木:ただ、最初は言葉だけで受け取っている受講者の方も多いと思うんですよ。言われたからやっているという態度の方もいます。「ロールプレイは時間いっぱい使って何度も繰り返してやってみてください」と言っても、一度やっただけで時間を持て余し、なんとなく心ここにあらずな人もいます。

渡 辺:初日に多いですよね。でもこの研修を通して、私たちトレーナーや他の受講者と時間を共有し、関わり合っていく中で、相手が何を期待しているのかが徐々にわかってくるんでしょうね。「なぜトレーナーは『何度もロールプレイをしてみよう』と言うんだろう?」「同じグループのメンバーは自分に何を期待しているんだろう?」とか。自然と自分で考え始めるているんですよね。

佐々木:受講者が100人を超える研修で、こうしたスタンスが生まれるものは少ないと思います。今年の春、ある都市で研修をやっていた時、ちょうど隣のホールで他企業の新入社員研修が開催されていたのでこっそり拝見したんですよ。寝ている人、結構いましたよ。

渡 辺:寝ているんだ(笑)。『8つの基本行動』で寝るなんてありえないですよ。

佐々木:寝られたら、逆にすごい。

研修時の本気さと真剣さを、自分の職場に持ち帰り、ぜひ発揮してほしい

―― 研修前と後で受講者の皆さんにはどんな変化があるのでしょう。

佐々木:まったく変わりますよね。顔つきはきりりと、立っている時の姿勢はぴしっと、バラバラだった挨拶は揃い、「よろしくおねがいしまーす」が「よろしくお願いいたします!」に(笑)。ちょっと感動しますよね。

渡 辺:研修前と後の姿をビデオに撮って、比べて見せてあげたいくらいですよ。きっと「え? これが2日前の自分?」って驚くんじゃないかな。それくらい違うんですよね。受講者には見えていないけれど、トレーナーにはその変化がわかる。

佐々木:あの変化はすごい迫力です。その分、研修が終わるとトレーナーはどっと疲れます。多いときには120人が机から身を乗り出して、真剣に私の方一点だけを集中して見ているわけですから。また『8つの基本行動』は他の多くの研修と違って、個人ワークの時間がほとんどないので、ずっと気が張っている状態で受講者と向き合っているんです。

渡 辺:私も研修終了後に熱が出たことがありますよ。100人以上の若いパワーがぐっと迫ってくるところを踏ん張って受け止めないといけないですからね。

佐々木:本当に言葉では言い表せないパワーですよね。でも、あの本気さや真剣さに触れると「いい若者たちだな」って素直に思いますね。いまどきの若者はってよく言われますけど、もっと信じていいんじゃないかなって。

渡 辺:私もそう思いますね。上の世代が感じているほど彼らは冷めていないし、とっても熱いものを持っていると思います。

佐々木:私たちだって新人の頃は「いまどきの若者は・・・」って言われてましたし、いつの時代もそういう世代論はありますよね。

渡 辺:だからこそ、「いまどきの若者は」で括らないで、新入社員が持っているその熱いパワーを送り出す企業側にもしっかり受け止めてほしいんですよね。「お、変わったな」って迎えてほしい。

―― トレーナーによっては、新入社員研修が集中する半月間は若さをもらう期間だと言う人もいますがいかがですか?

渡 辺:私は逆に若さを吸い取られてしまっているかも(笑)。だから熱出しちゃったのかな。

佐々木:私ももらえているかどうかよくわかりませんが、うらやましいなとは思いますね。「皆さんは、これからの人生を自分で好きなように変えていけるんです。頑張って」って。研修の最後には、そんなメッセージが自然と口をついて出ますよね。

渡 辺:いいよねぇ。明るい未来がある若者は(笑)でも、そのスタートになる場所に自分は立ち会えているんだと思うとやっぱりうれしいな。自分を信じて、周りも新入社員を信じて、一生懸命頑張ってほしいです。
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