用語集
能力開発の目的と目標設定 人材成長と企業成長をつなぐポイント
- 公開日:2026/01/26
- 更新日:2026/01/26
環境変化が激しく、将来の見通しが立ちにくい時代において、企業が持続的に成長していくためには「人の成長」を中長期の視点で捉えることが欠かせません。その中核にあるのが、社員一人ひとりの能力開発です。
一方で、「研修は実施しているが、現場での行動変化につながらない」「能力開発の目的が曖昧で、施策が点在している」といった悩みを抱える企業も少なくありません。能力開発は、実施そのものが目的化すると、期待した成果が生まれにくくなります。
本記事では、能力開発を「個人の成長」と「組織の成果」につなげるために押さえておきたい考え方と、目標設定のポイントを整理します。能力開発を戦略的に進めたい人事・育成担当者、管理職の方にとって、実践のヒントとなる内容をお届けします。
ビジネスにおけるエンゲージメントとは、「従業員や顧客とのつながり」を示す言葉です。優秀な人材の確保には、従業員エンゲージメントの向上が欠かせません。そこでこの記事では、エンゲージメントを高めるメリットや方法、企業の事例を詳しくご紹介します。
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能力開発とは

能力開発とは、従業員が持つ知識やスキル、判断力、問題解決力などを向上させ、組織で実際に発揮できる状態にする取り組みです。研修(Off-JT)や業務を通じた学習(OJT)、オンライン学習やアクションラーニングなどさまざまな方法があります。
重要なのは、単にスキルを増やすことではなく、組織の目標や事業課題に直結した能力を計画的に伸ばすことです。これにより、従業員の成長と組織の成果を同時に実現できます。
研修との違い
研修は、能力開発を支える重要な「手段」の1つです。特定の知識やスキルを体系的に学ぶ機会として、Off-JTは欠かせない役割を果たします。
一方、能力開発そのものは、研修という「点」だけでなく、日常業務での実践、上司や同僚からのフィードバック、自己学習といった「線・面」を含む継続的なプロセスです。
研修で学んだことを、仕事のなかでどう生かし、次の成長につなげるかを含めて考えることが、能力開発の本質といえるでしょう。そのため、研修の企画・実施だけでなく、その前後の学びをどう設計するかが重要になります。
なぜ能力開発の「目的」と「目標」が重要なのか
能力開発がうまく機能しない背景として、「何のために能力開発するのか」「どこを目指すのか」が曖昧なまま進められているケースが多く見られます。
目的が曖昧だと起こること
目的が共有されていない能力開発は、次のような状態に陥りがちです。
- 研修参加がゴールになり、行動が変わらない
- 現場任せになり、能力開発の質にばらつきが出る
- 社員が「なぜ学ぶのか」を理解できず、主体性が育たない
こうした状況を防ぐためには、能力開発の目的を明確にし、その目的に沿った目標設定を行うことが不可欠です。
目標が曖昧だと起こること
一方、目的は明確でも、目標が曖昧な場合も問題が生じます。
- 「成長してほしい」という期待は伝わるが、何をどこまで目指すのかが分からない
- 抽象的な目標(「コミュニケーション力を高める」など)のまま進み、成長を実感できない
- 評価や振り返りの基準が曖昧で、本人も上司も成長を確認できない
目標は、目的を実現するための「具体的な到達点」です。目的と目標の両方が明確になって初めて、能力開発は実効性を持ちます。
能力開発の目的は「成果につながる成長」
能力開発の目的は、「社員の成長」と「組織の成果」を切り離さずに考えることにあります。
- 社員にとっては、役割を果たす力が高まり、仕事の手応えが増すこと
- 組織にとっては、戦略を実行できる人材が育ち、成果が安定・向上すること
この両立こそが、能力開発の目指す姿です。
能力開発の目標は「行動レベルの到達点」
そして、この目的を実現するために設定するのが「目標」です。目標は、以下のような要素を含む具体的な到達点として設定します。
- どの役割・業務において
- どのような行動ができるようになるのか
- いつまでに、どの程度のレベルで
例えば、「1年後に、チーム会議で自分の意見を論理的に説明し、メンバーの合意を得られるようになる」といった形です。このように、目的が「方向性」を示し、目標が「到達点」を示すことで、能力開発は計画的かつ実効性のあるものになります。
こうした「行動レベルの目標」を機能させるためには、現状の行動がどのように発揮されているのかを客観的に把握することが必要です。
本人の自己認識や上司の評価だけでは、日常の行動や周囲への影響を十分に捉えきれないこともあります。そこで有効なのが、上司・同僚・部下など複数の視点から行動を捉える360度評価システム(360度サーベイ)です。
360度評価システムを活用することで、
- 目標として設定した行動が、実際にどの程度発揮されているのか
- 強みとして伸ばすべき点はどこか、改善すべき点は何か
を具体的に把握でき、能力開発の目標を行動と結びつけて運用していくことが可能になります。
能力開発の目標設定における3つの視点

能力開発の目標は、「何を学ぶか」ではなく「どのように仕事の成果につなげるか」という視点で設定することが重要です。ここでは、目標設定の際に押さえておきたい3つの視点を紹介します。
1. 役割起点で考える
目標設定の起点は、個人の希望や興味だけでなく、「今の役割」「次に期待される役割」に置きます。
- 若手社員:担当業務を安定して遂行できているか
- 中堅社員:周囲と連携し、業務を改善・推進できているか
- 管理職:チームとして成果を出し、人を育てられているか
役割に即した目標は、本人にとっても納得感が高く、行動につながりやすくなります。
2. 行動レベルで具体化する
「コミュニケーション力を高める」「リーダーシップを身につける」といった抽象的な目標だけでは、成長を実感しにくくなります。
- 会議で自分の意見を構造的に伝える
- 部下との1on1で、相手の考えを引き出す問いを立てる
- 業務改善の提案を月1回行う
このように、行動として何が変わるのかを明確にすることが重要です。
3. 中長期の成長ストーリーを描く
能力開発は短期間で完結するものではありません。今期の目標だけでなく、数年後を見据えた成長の道筋を描くことで、学びが点在せずにつながります。
- 今は基礎を固める時期なのか
- 次のステップで求められる力は何か
こうした視点を上司と共有することで、能力開発はより実効性の高いものになります。
能力開発を機能させるための組織の仕組み
適切な目標を設定しても、組織の仕組みが伴わなければ、能力開発は定着しません。
管理職が果たす役割
管理職は、能力開発の実行の要です。
- 目標設定の対話を行う
- 日常業務のなかで成長の機会をつくる
- 振り返りを通じて学びを言語化する
これらを支えるために、管理職自身が能力開発を学ぶ機会を持つことも重要です。
振り返りとフィードバックの習慣化
成長は、経験を振り返り、意味づけることで加速します。
- 何がうまくいったのか
- 何が難しかったのか
- 次にどう生かすのか
こうした対話を定期的に行うことで、能力開発は「やりっぱなし」にならず、次の行動につながります。
まとめ|能力開発は、目標設定から始まる
能力開発は、企業の未来をつくるための重要な投資です。その効果を高めるためには、目的と目標を明確にし、仕事と学びを結びつける視点が欠かせません。
- 役割に基づいた目標を設定する
- 行動レベルで成長を捉える
- 組織として支え、振り返る仕組みを持つ
これらを丁寧に積み重ねていくことで、社員一人ひとりの成長は、やがて組織全体の成果へとつながっていきます。能力開発を単なる施策ではなく、経営・マネジメントの中核に据えることが、これからの企業に求められています。
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