用語集
電話応対(電話対応)のビジネスマナー 信頼を守る基本と現場で使える実践例
- 公開日:2025/12/08
- 更新日:2025/12/09
電話応対は基本的なビジネスマナーの1つであり、第一印象に影響する場面も少なくありません。顔が見えないやり取りだからこそ、声のトーンや言葉遣い、対応のスピードなどに対する細やかな配慮が信頼を生み出します。
電話応対に必要な心構えや基本マナー、実際に使える具体的な言葉遣いの1例をご紹介し、現場で役立つポイントを解説します。
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電話応対の基本的な考え方と重要性

電話応対は、単なる事務作業ではなく会社の第一印象を決める重要なコミュニケーションです。声のトーンや言葉遣い1つで相手の受け止め方が変わります。
丁寧で的確な対応は、相手に安心感や信頼感を与え、取引や人間関係を円滑にする基盤となります。常に「相手の期待を考える」姿勢を持ち、相手が求めている情報や対応を意識することが、ビジネスにおけるあらゆるコミュニケーションの基本です。
電話を受ける前の準備と心構え
電話応対をスムーズに進めるためには、受話器を取る前の準備と心構えが欠かせません。必要な道具を揃え、気持ちを整えておくことで、落ち着いた対応や正確なやり取りが可能になります。ちょっとした準備の有無が、相手に伝わる印象や業務の効率を大きく左右します。
▼準備と心構え
- メモと筆記用具の準備
- はっきりと、明るく、丁寧に
メモと筆記用具の準備
電話中は必要な情報をすぐに書き留められるよう、常に手元にメモと筆記用具を用意しておきましょう。机の上にメモを置く習慣をつけておくと、急な電話にも慌てず対応できます。まずは要点のみを書き留めるなどの工夫をすることで、聞き漏らしや誤伝を防ぐことができます。
▼メモの工夫の例
- 電話中のメモ(一時メモ):要点を素早く書き留める(自分が読めれば十分)
- 伝言メモ:1をもとに整理し、相手に正確に伝えられる形に整える
はっきりと、明るく、丁寧に
電話ではお互いの表情や雰囲気が見えないため、声の印象がすべてです。受話器を取る際は、普段より一段明るい声を意識し、はっきりとした発音で丁寧に話しましょう。明るいトーンは、相手に安心感や信頼感を与えます。
また、落ち着いて聞き取りやすい言葉遣いを心がけることで、業務上のやり取りもスムーズに進みます。
電話を受ける際のビジネスマナー
電話を受けるときの第一声は、相手に与える印象を大きく左右します。迅速で丁寧な対応を心がけることが、会社全体の信頼につながります。
特に新入社員のうちは、自分宛てではなく他の担当者への電話を取り次ぐ場面が中心となるため、まずは確実で丁寧な取り次ぎを徹底することが大切です。
▼電話を受ける際の基本マナー
- 迅速な対応
- 内容は正確に
- 電話を取り次ぐ
- 電話を静かに切る
- 伝言メモをまとめる
迅速な対応
電話は鳴ってから3コール以内に取るのが基本です。3コール以上鳴ってしまった場合は「大変お待たせいたしました」と一言添えてから出ましょう。
また、電話を受ける際は「会社名・自分の名前」をはっきりと伝えます。「もしもし」はビジネスシーンでは不適切とされるため、「お電話ありがとうございます」といった丁寧な言葉で始めましょう。
電話を取ったときのあいさつ例 |
|---|
「お電話ありがとうございます。〇〇(会社名)の〇〇(自分の名前)でございます。」 3コール以上鳴ってしまったとき: |
内容は正確に
相手の用件を正確に把握することが、電話応対の基本です。5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように) を意識して聞き取り、要点を簡潔にメモしましょう。
【復唱について】
誤解を防ぐために、重要事項はその場で復唱して確認します。復唱は認識合わせに有効で、相手の安心にもつながります。
▼復唱しておきたい主な項目
- 会社名・部署名
- 名前
- 連絡先(折り返し先の電話番号など)
- 用件(依頼内容・問い合わせ内容など)
復唱の例 |
|---|
「〇〇様でいらっしゃいますね。いつも大変お世話になっております」 |
【聞き直しについて】
相手から名乗りがない場合は、まず自分から名乗ったうえで、落ち着いたトーンで相手の所属と名前をたずねます。聞き取りづらい場合は、その旨を伝えて丁寧に聞き直すことが大切です。
聞き直しの例 |
|---|
「わたくし、〇〇と申しますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」 |
電話を取り次ぐ
担当者の名前を確認し、担当者が在席かどうかを確認します。
▼取り次ぎのポイント
- 在席の場合:担当者が電話に出られる状況か確認し、電話を取り次ぐ
- 不在の場合:担当者の不在理由(電話中、外出中など)を確認し、相手に伝える
担当者が在席/不在時の応対例 |
|---|
在席中: 電話中の場合: 離席中: 外出中: 外出中で戻る時間が分からない場合: |
【担当者が不在の場合について】
担当者が不在の場合、「あいにく席を外しております」といったクッション言葉を用いることで、柔らかい印象を与えます。
担当者に取り次げなかった際は、折り返しを希望されなくても、相手の連絡先(電話番号など)を確認しておくと安心です。担当者から、聞いておいてほしかったと言われる可能性もあります。
【保留・伝言の取り扱い】
保留はできるだけ短くすることを心がけましょう。
また、担当者の状況を詳しく伝える必要はありません。トイレ、体調不良、遅刻といった細かな情報は不要です。「電話中」や「離席中」「外出中」と簡潔に伝えるのがマナーです。外出先や出張先を尋ねられた場合も答えないのが原則です。「申し訳ございません。わたくしには分かりかねます」などと応対しましょう。
電話を切る前には相手の用件を復唱して確認し、正確な伝言を残すことが信頼につながります。
電話を静かに切る
通話の最後まで気を抜かず、丁寧な対応を心がけましょう。相手が受話器を置いたことを確認し、静かに電話を切るのがマナーです。受話器を雑に置くと、相手に大きな音が伝わり不快な印象を与えてしまいます。
特に固定電話の場合は、フックを指で軽く押してから受話器を戻すと音が響かず、丁寧な印象を保てます。小さな所作ですが、相手に与える印象を左右することもあります。
伝言メモをまとめる
伝言メモは、いつ、誰から、用件、連絡先を明記し、簡潔にまとめることが重要です。相手が「またかけます」と言って切った場合や、特に用件を伝えられなかった場合でも「誰から電話があったのか」を必ず共有しましょう。
▼伝言メモにまとめる基本項目
- 会社名・部署名
- 名前
- 連絡先(折り返し先の電話番号など)
- 用件(依頼内容・問い合わせ内容など)
- 受電日時
- 折り返しの必要有無
- 受電応対者(自分の名前)
メモは誰が読んでもすぐ理解できる形式で残すことが大切です。
電話をかける際のビジネスマナー
自分から電話をかける場合も、相手への配慮やマナーは欠かせません。事前の準備や電話をかける時間帯への気配りを徹底することで、より良いビジネスコミュニケーションの実現につながります。
▼電話をかける際の基本マナー
- 事前準備を怠らない
- かける時間に配慮する
- はっきり名乗り、用件を伝える
- 相手が不在の場合は伝言を残す
- 電話を静かに切る
事前準備を怠らない
電話をかける前に、必ず相手の会社名・部署名・担当者名を確認しましょう。用件は要点をメモにまとめ、結論から伝えられるよう準備しておきます。必要に応じて資料や関連データも手元に置き、途中で取りに行くことがないようにします。
かける時間に配慮する
相手の業務を妨げないよう、電話をかける時間帯に配慮します。
▼一般的に避けるべき時間帯
- 始業前
- 週明けの午前中
- お昼休憩
- 先方の業務時間外
どうしても電話をかける必要がある場合は、冒頭で一言添えるのが礼儀です。
最初に一言添える際の例 |
|---|
就業前に電話をかける場合: 終業後に電話をかける場合: |
はっきり名乗り、用件を伝える
電話をかける際は、自分の社名と名前をはっきり、ゆっくり伝えることが基本です。相手の所属や名前を確認したいときは、聞き取りやすい表現を心がけます。用件は結論から話し、手短に、要領よく伝えましょう。
名乗りの例 |
|---|
「〇〇(会社名)の〇〇と申します。いつもお世話になっております。〇〇部(相手の所属部署名)の〇〇様はいらっしゃいますでしょうか?」 |
相手が不在の場合は伝言を残す
担当者が不在のときは、戻る時間を確認したうえで、あらためて電話する旨を伝えます。用件が簡潔であれば、伝言をお願いしてもかまいません。その際は相手に負担をかけないよう、伝言内容を短く整理して伝えることが重要です。
電話を静かに切る
用件が終わったら、必ずお礼の言葉を添えてから電話を切ります。電話はかけた側から切るのが原則とされていますが、相手がお客様の場合は、相手が切ったことを確認してから静かに受話器を置きましょう。固定電話の場合は、受電時と同じく、フックを手で押してから受話器を置くとよいでしょう。
電話応対で活用できる具体的な言葉遣い

電話によるコミュニケーションは、話し言葉だけでやり取りするという点で他のコミュニケーション手段とは大きく異なります。声だけが印象を形づくるため、特に言葉遣いの正確さと丁寧さが重要です。
相手が心地よく、必要な情報をスムーズに得られるよう配慮した表現を身につけることが、ビジネスマナーとしての電話応対を磨く第一歩です。
▼具体的な言葉遣い
- 敬語
- クッション言葉(控えめ表現)
- その他の改まった表現と依頼文
敬語
ビジネスシーンにおいて、敬語はビジネスパーソンに必須のスキルです。適切に敬語を使うことで、相手に対する敬意を示し、大切に思う気持ちを伝えられます。「丁寧な言葉遣い」は、相手に良い印象を与えるための基本であり、ビジネスパーソンとしての信頼感につながります。
クッション言葉(控えめ表現)
依頼や要望、断りなどを伝える場面では、直接的な表現は相手に強制感や不快感を与えることがあります。そこで役立つのが「クッション言葉」です。控えめな表現を添えることで、相手に配慮している姿勢を示し、円滑なやり取りにつながります。
クッション言葉の例 |
|---|
|
その他の改まった表現と依頼文
否定的な表現をそのまま伝えると、冷たく響いてしまう場合があります。より改まった表現を用いることで、相手に柔らかい印象を与えられます。
改まった表現の例 | |
|---|---|
否定的な表現 | 改まった丁寧な表現 |
「できません」 | 「できかねます」「いたしかねます」 |
「分かりません」 | 「分かりかねます」 |
「ありません」 | 「ございません」 |
「(自分の席に)いません」 | 「席を外しております」 |
また、命令形の文は相手に強制的な印象を与えるため、依頼文に言い換えることが推奨されます。より丁寧で相手に配慮した表現となります。
依頼文の例 | |
|---|---|
命令文 | 依頼文 |
「~してください」 | 「~していただけますか」「~していただけませんか」 |
弊社の研修では、さまざまな電話応対の場面(担当者が電話中のときや外出中のときなど)を想定し、適切な言葉遣いを学べる機会を提供しています。単に情報を伝えるだけでなく、相手に良い印象を与え、信頼関係を築くための「言葉遣い」の重要性と具体的な方法を習得します。
【お薦めのビジネスマナー研修】
信頼を高めるビジネスマナー研修(講師派遣型)
信頼を高めるビジネスマナー研修(公開型)
新入社員研修
携帯電話やスマートフォン利用時のビジネスマナー
現代のビジネスでは、携帯電話やスマートフォンが欠かせません。利便性が高い一方で、利用方法を誤ると周囲に不快感を与えたり、信頼を損なったりする可能性もあります。ビジネスの場で使用する際には、常に「会社を代表している」という意識を持ち、適切な利用を心がけましょう。
携帯電話・スマートフォン利用で注意すべき場面
状況に応じたマナーを身につけることで、周囲とのトラブルや信頼低下を防ぐことができます。
注意すべき場面 | |
|---|---|
利用シーン | ポイント |
外出先 | 外出先で電話に出る際は、会社名や部署名を名乗らず、必要最低限の情報で応答するのが望ましいです。 |
公共交通機関 | 基本的には通話は避け、必要な場合は短時間かつ周囲に配慮した利用を心がけましょう。 |
飲食店 | 大声での通話は避け、バイブレーション機能を利用するなど音を控える工夫が必要です。 |
運転中 | 運転中の通話やメールは法律で禁止されており、重大な事故につながるリスクがあります。 |
タクシーのなか | 移動中に顧客情報や機密事項を話すのは情報漏えいのリスクがあるため避けましょう。 |
こんな場所では電源を切りましょう
電波が影響を及ぼす環境では、電源を完全に切ることが求められます。
電源を切るべき場所と状況 | |
|---|---|
飛行機内や病院内 | 電波が機器に影響を与える可能性があるため、必ず電源をオフにしましょう。 |
公共交通機関の優先席付近 | ペースメーカーなど医療機器に影響を与える恐れがあるため、指定されている場所では電源を切る必要があります。 |
精密機器の近く | 高度な制御を行う電子機器や微弱な信号を扱う設備の周辺では、誤作動を防ぐために利用を控えましょう。 |
ビジネスシーンでの携帯電話マナーの注意点
携帯電話やスマートフォンの扱いにおいては、小さな配慮の有無が信頼を大きく左右します。
携帯電話マナーの注意点 | |
|---|---|
大事な会議では電源OFF | 会議中は基本的に電源を切り、着信があっても応答しないことがマナーです。 |
スマートフォンの待ち受け画面やアクセサリー | スマートフォンの待ち受け画面やアクセサリーが、ビジネスの場にふさわしいかを確認しましょう。 |
撮影や録音は必ず確認 | カメラ付き機器を利用する際は、著作権やプライバシー、肖像権を侵害しないように注意が必要です。必ず確認を取ってから行動しましょう。 |
会社の資産としての認識 | 会社から支給された携帯電話やスマートフォンは、企業の資産です。私的利用や不適切な持ち出しは、情報漏えいや悪用のリスクにつながります。 |
まとめ|電話応対マナーで磨くコミュニケーション力
電話は、声だけで信頼を築くコミュニケーション手段です。基本を大切にしつつ、状況に応じた柔軟な対応を心がけることで、信頼されるビジネスパーソンへと成長できます。
敬語やクッション言葉を適切に使い、さまざまな場面に合わせて実践することで、確かなスキルとして定着していきます。少しずつ実践を重ねることが、将来の自信につながるでしょう。
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