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OKRとは? 企業が使う目標管理の手法を、他の手法と比較して解説

  • 公開日:2021/04/06
  • 更新日:2024/06/21

OKRとは、目標設定や目標管理の手法です。「Objectives and Key Results」の略称で、「達成目標(Objectives)」と、その目標の達成度を測る「主要な成果(Key Results)」を設定することで、企業やチーム、個人が、全力で同じ重要課題に取り組めるようになる点が特徴です。インテルやGoogleなど有名企業が導入したことで注目されています。

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OKRの基本

OKRの基本

OKRでは、まず企業全体の重要な「達成目標」と「主要な成果」を決定します。
次に企業の達成目標とリンクさせながら、チームのOKR、個人のOKRの順に細分化しながら設定していきます。
企業が求めている結果がチームの目標に、チームが求める結果が個人の目標となり、企業と個人の方向性が統一されます。これにより、スピーディーな目標達成が可能となります。

日本ではまだ身近ではないOKRの導入事例

日本ではまだ身近に感じられないOKRですが、OKRを導入して成果を上げている企業も存在します。ここでは、日本と世界で先駆的にOKRを取り入れた企業をご紹介します。

■GoogleのOKR導入事例

Googleは、OKRの導入に成功している企業の代表例です。インテルに勤めていたジョン・ドーアが2000年代初めGoogleにOKRを紹介したことから運用がスタートしました。

■メルカリ

株式会社メルカリは、まだ日本に情報が少なかった2015年にOKRを導入したことから、日本国内におけるOKRのパイオニアといわれています。

■Chatwork

ビジネスコミュニケーションツール「チャットワーク」の提供元であるChatwork株式会社でも、2017年からOKRを導入しています。

OKR以外の人事評価に関する手法との違い

人事評価の手法としては、すでに多くの企業がMBOやKPIを用いた管理などを導入していますが、OKRは他の手法と何が違うのでしょうか。具体的にそれぞれの特徴と違いを見ていきましょう。

■MBOとOKRの違い 

1954年にピーター・ドラッカーが提唱した「MBO(Management by Objectives and Self Control、目標による管理)」は、個人の自主性を尊重しながら達成すべき目標を設定し、業績向上を目指すマネジメント手法です。

■KPI管理とOKRの違い

「KPI(Key Performance Indicator、重要業績評価指標)」は、最終目標を達成するために必要なプロセスが適切に実施されているかをチェックするための中間指標のことです。
定量的な目標を定める点でOKRと似ていますが、KPI管理では部署やプロジェクト単位で実現可能な数値を設定し、100%達成を目的とするのに対し、OKRは企業全体で高い目標を掲げ、主要な成果では60%~70%の達成率を目指します。

■ノーレーティングとOKRの違い

評価しないという考え方の「ノーレーティング(No Rating)」は、社員を点数やランク付けしないという新しい人事評価です。対話を重視し、目標設定やフィードバックする点は、OKRと共通しています。
しかし、ノーレーティングは上司が部下の仕事ぶりをリアルタイムで把握するために運用される一方で、OKRは報酬などの評価には結びつけず、組織の目標達成を目的とする点で大きく異なります。

■その他の人事評価についての手法

上記のほか、人事評価制度を補完する手法としては「コンピテンシー評価」や「360度評価」などが代表的です。
「コンピテンシー評価」は、業績を上げるための行動特性(コンピテンシー)を基準として、個人の能力を評価する手法です。目標達成のための行動を分析し明確化するため、人事評価だけでなく人材育成にも活用できるというメリットがあります。
「360度評価」は、上司や同僚、部下などさまざまな立場にある複数の人が1人の社員を評価するものです。上司だけの評価よりも多面的な判断になるため、評価に対して本人も納得しやすく、企業への信頼も高まります。

OKRを導入するメリット

OKRを導入するメリット

OKRを導入することは目標達成のため以外にも、組織にとってさまざまなメリットがあります。

■最重要課題を明確にして共有できる

明確な目標を全員で共有することにより、目的意識と連帯感が生まれ、重要課題に協力して取り組むチームづくりができます。

■仕事の優先順位づけと生産性の向上

優先事項が明らかになることで、重要でない課題との区別ができます。今やるべき仕事に集中できる環境が整うため、社内全体で生産性の向上につながります。

■明確な社内コミュニケーション

OKRを通じて同じ目標と期限に向かって仕事を進めていくため、OKRが社内全体の共通言語となり、役職や部署に関係ないフラットなコミュニケーションが取りやすくなります。

■社員のやる気やエンゲージメントの向上

組織の目標と個人の目標が連動しているため、自分の仕事が会社にどのように影響するのかが分かりやすく、仕事へのやる気やエンゲージメントの向上が期待できます。

OKRの効果の設定方法

OKRには多くのメリットがありますが、最大限の効果を発揮するためには「達成目標(Objectives)」と「主要な成果(Key Results)」を正しく設定することが大切です。

■「達成目標(Objectives)」の設定

「達成目標」では、最初に設定された企業の目標とリンクさせながら、チームや個人の目標を決めていきます。

【達成目標(Objectives)の設定条件】
・四半期など短期間での達成を目指す
・60~70%程度の達成率を見込める目標にする
・企業にとって最重要な課題に取り組む
・チームや個人の目標は企業の達成目標とリンクさせる

達成目標は利益や業績を上げる以外にも、顧客満足度を高める、理想を実現するなど、さまざまな目標が考えられます。最重要で取り組むべき目標を絞り込みましょう。

■「主要な成果(Key Results)」の設定

達成目標に対して3~5個の「主要な成果(Key Results)」を設定します。

【主要な成果(Key Results)の設定条件】
・定量的に計測できる
・難しいが実現可能なもの

例えば、達成目標が「1カ月の売上を過去最高にする」とした場合、主要な成果は「顧客単価を500円アップさせる」「新規購入者のリピート率を20%増加させる」「新商品を10個企画し販売する」など、具体的な数値で結果が示せるものにします。

OKRを効果的に運用する際のポイント

「OKRを導入したけれど、上手く運用できなかった」とならないためにも、OKRを運用する上で気をつけたいポイントを押さえておきましょう。

■目標設定から結果までを常に公開する

OKRでは、透明性が重要になります。すべての目標から進捗状況、結果までを公開し、経営陣や社員など社内の誰もがアクセスして見られる状態にしておきましょう。

■目標を高く設定し、社員のモチベーションを高める

到達できそうなレベルより少し上の「野心的(ストレッチ)目標」を設定することで、挑戦する意欲やチームで協力して乗り越えようとする気持ちが高まります。

■処遇や昇格・昇進への直接の連動・活用は避ける

OKRでは高い目標を掲げることが大切です。しかし、OKRを評価制度に直結させると、目標未達となり昇格・昇進に響くことを恐れ、個人が設定する目標のレベルが低くなる可能性があります。OKRを評価制度に影響させることは避けたほうが良いでしょう。

■定期的にミーティングやフィードバックをする

期限の終わりに成果を確認するのではなく、1週間などの短いスパンで日常的にOKRの進捗状況の確認をし、成果を報告します。失敗や間に合わないことを責めるのではなく、どうしたら目標達成できるかを話し合い、トライアンドエラーを繰り返しながら目標到達を目指していくことが重要です。

おわりに

OKRはIT業界だけでなく、BMWやサムスン、ディズニーなどの企業でも実施されており、医療や教育など多種多様な分野に広がっています。OKRについて正しい運用方法を身につけ、組織の目標達成に活用してみてはいかがでしょうか。

目標管理については、以下の研修で詳しく解説しています。
◆管理職のための目標管理制度(MBO)の基本 ~よりよいマネジメントのために~(011)

目標管理についてこちらのコラムでもご案内しています。ぜひこちらもご覧ください。
●MBOのホント -MBOこそ、業績向上・人材育成をともに達成するマネジメントのカギ-

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