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導入事例

一人ひとりの挑戦と成長を支援するために「ノーレイティング」を導入

サッポロビール株式会社

一人ひとりの挑戦と成長を支援するために「ノーレイティング」を導入
  • 公開日:2024/04/01
  • 更新日:2024/04/29

事例概要

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背景・課題

私たちには以前から、「相対的な考課ランク付け(考課ランク)」をなくしたいという想いがありました。考課ランクの調整・決定には多くの時間がかかるものの、人財育成にあまり生かせていなかったからです。社員の挑戦と成長を促す評価制度に変革したい。そのために考課ランクを廃止して「ノーレイティング」に変えようと考え、グループ3社で人事制度改定プロジェクトを立ち上げました。

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検討プロセス・実行施策

グループ3社(サッポロホールディングス、サッポロビール、ポッカサッポロフード&ビバレッジ)の経営・人事・労働組合は、約2年半にわたって人事制度の改定について議論しつづけ、2020年1月、グループ3社の人事制度を改定して共通化することができました。相対評価による考課ランク判定の代わりに、絶対評価でレイティングを行わない、スキルレビュー、パフォーマンスレビュー、およびストレッチゴールを導入しました。

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成果・今後の取り組み

ノーレイティングに変えたことで、活躍人財の早期抜擢が増え、社内副業なども目立つようになりました。1on1によるリアルタイムフィードバックも着実に行われるようになりました。しかし、改定直後にコロナ禍に見舞われ、制度の理解浸透が中途半端になってしまった面もありました。そこで2023年、人事が各事業場(支社や工場など)を回って対話し、新人事制度の理解を深めてもらう「人事キャラバン」をスタートしました。

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背景・課題

人財育成のために「考課ランクをなくしたい」という想いがあった

インタビューの様子(1)

高田:私たち人事部は以前から、人事評価制度の「相対的な考課ランク付け(考課ランク)」をなくしたい、という想いを抱いていました。なぜなら、考課ランクは管理しやすい一方で、人財育成にあまり生かせていなかったからです。考課ランクは相対評価で決定されるため、誰かを高く評価するには、誰かを低くする必要がありました。

しかし、マネジャーが部下の誰かを低く評価するのは心理的に抵抗があるため、どうしても考課ランクが中央値に集まる傾向がありました。ですが、皆に似たようなランク付けをしても、挑戦や成長を促すことはできません。マネジャーたちは毎期の考課会議に丸一日をかけており、部下にランクを伝えるときには気を使っていました。

マネジャーが、部下の成長につながらない考課ランク判定にこれだけ多くの時間や労力を割くのは無駄ではないか。その時間や労力を「1on1による支援型マネジメント」に使って、部下の主体性を後押しする方が、一人ひとりの成長につながるのではないか。私たちはそう考え出しました。

社員一人ひとりの挑戦と成長を促す評価制度に変革したい。そのために考課ランクを廃止して「ノーレイティング」に変え、1on1による支援型マネジメントに移行しよう。私たちはそう考えて、2017年にサッポロホールディングス、サッポロビール、ポッカサッポロフード&ビバレッジの3社共同で人事制度改定プロジェクトを立ち上げました。評価だけでなく、連動する等級や賃金などの制度全体を改定し、人事戦略として掲げる「挑戦・越境」を一層推進するための取り組みでした。

このプロジェクトの協力パートナーに、リクルートマネジメントソリューションズを選びました。同社は、以前の人事制度改定でもコンサルティングを依頼したことがあり、私たちの社内事情に深い理解があったからです。

検討プロセス・実行施策

経営・労働組合と2年半議論したうえで、グループ3社の人事制度を改定

高田:2017年の夏から2019年末までの約2年半、グループ3社の経営・人事・労働組合は、人事制度改定について議論しつづけました。2018年は、3社の人事部長が毎週集まって、等級・評価・賃金の具体的なコンセプトを話し合いました。2019年は、新人事制度案を3社の経営会議に毎月諮りつづけました。並行して労働組合とも継続的に意見交換の場を持ち、多いときは月3回ほど話し合いを重ねました。

経営との濃密な議論を経たことで、新たな人事制度は、当時のグループ長期経営ビジョンや各社の経営戦略を実現するための制度になりました。また、労働組合からは経営・人事とは異なる視点からさまざまな意見や要望をいただきました。組合からの意見を反映することで、社員がより使いやすい制度になりました。こうして人事・経営と密な連携が取れ、労働組合と真摯に話し合いを続けたことで、評価制度だけでなく、賃金・賞与の設計や職務グレードなども合わせて大きく変更し、一貫性のある新人事制度を設計することができたのです。

その間、リクルートマネジメントソリューションズとも週次でミーティングを重ね、ずっと伴走してもらいました。コンサルタントや営業の方々が具体的な知見やトレンド情報を提供しつづけてくれたおかげで、さまざまな選択肢からそれぞれのメリット・デメリットを十分に認識したうえで、自社に合った選択ができ、経営・組合の納得感も高まりました。今回の制度改定のキーワードの1つは「内向きから外向き・未来向き」でしたから、社外のトレンド情報は必須でした。

インタビューの様子(2)

宮澤:2020年1月、私たちはグループ3社の人事制度を改定して共通化しました。当初の構想通り、考課ランクを廃止してノーレイティングに変え、1on1による支援型マネジメントに移行しました。

育成評価制度は、個人のスキル発揮度合いを確認する「スキルレビュー」、組織目標への貢献度を評価する「パフォーマンスレビュー」、挑戦的な目標を掲げる「ストレッチゴール」の3つで構成し、現場の自由度を高めました。考課ランクによる相対評価の代わりに、3つの仕組みではいずれも絶対評価を導入しています。また、各事業場(支社や工場など)が主体的に「人財育成会議」を開催し、メンバーの育成を考えると共に、役割変更(昇格・降格)についても現場の意見をもとに実施する仕組みに変えました。

成果・今後の取り組み

現場の自由度が増し、活躍人財の早期抜擢が増えている。1on1も浸透してきた

インタビューの様子(3)

丸一:現在、ノーレイティングを中心とした新人事制度は一定の成果をあげています。相対評価から絶対評価に変えたことで、活躍人財の早期抜擢が増えました。自分のやりたいことを起点とするストレッチゴールの実施により、のびのびと挑戦する社員が増え、社内副業なども目立つようになりました。

また、ノーレイティング運用のカギは1on1にあるため、私たちは1on1研修にも力を入れました。その結果、1on1によるリアルタイムフィードバックも着実に行われるようになり、マネジャー、メンバーともにコミュニケーションを活発に行うことへの意識が高まっています。

宮澤:しかし、2020年1月の改定直後にコロナ禍に見舞われたため、新しい制度の理解・浸透が中途半端になってしまった面もありました。例えば、初めての人財育成会議をリモートで開催することになり、戸惑う事業場が多くありました。評価者研修を実施しましたが、それでも評価や1on1の進め方に不安や不明点があり、人事に問い合わせるマネジャーも見られました。とはいえ、コロナ禍は早急に対応すべきことの多い非常事態だったので、新人事制度の理解や浸透がやや後回しとなる局面が出るのは、致し方ないところがありました。

「人事キャラバン」をスタートし、現場との対話を深めている

丸一:そこで私たちは、自由に移動できるようになった2023年、新たに「人事キャラバン」をスタートさせました。人事キャラバンとは、私たち人事が各事業場を回って、各地のマネジャー・メンバーと意見交換する場です。現場の生の声に耳を傾けると同時に、新人事制度のポイントをあらためて伝え、理解を深めてもらっています。2023年12月時点で約3分の2の事業場が終わり、2024年は残りの3分の1を回る予定です。

宮澤:実際に話をしてみると、現場の理解度に差があることが分かってきました。新人事制度を上手に使いこなしているマネジャーがいる一方で、そうでない方もいました。メンバーのなかにも、スキルレビュー、パフォーマンスレビュー、ストレッチゴールのそれぞれの意味や意義をよく分かっている者とそうでない者がいました。例えば、一人ひとりの主体的な挑戦を促すストレッチゴールでは、ゴールの立て方に悩むメンバーが少なくないことが判明しました。この悩みを受けて、私たちは今、ストレッチゴールの運用改善を進めています。人事キャラバンは制度の浸透だけでなく、改善にもつながっています。

丸一:人事キャラバンでは、マネジャーとメンバーを同じ会場に集めて、お互いの意見をダイレクトに出し合ってもらっています。人事も含めて、全員がそれぞれ違う視点の意見を傾聴することが学びにつながるからです。それから、先日のキャラバンで印象的な場面がありました。1人のメンバーが「チーム内の評価差を気にするよりも、全員でもっと高い業績を目指して力を合わせましょう。事業場や会社の業績が高まれば、給与・賞与のベースが上がるのですから」と呼びかけ、会場全体が盛り上がったのです。こうした意見が出て現場の結束が強まるのも、リアルイベントならではの効果だと感じています。

高田:サッポロビールでは、人事制度の運用に関して、現場がこれほど大きな裁量と権限を持つことは過去ありませんでした。これからは各事業場がその裁量と権限に慣れていくはずです。事業場のありたい姿を実現するために、この人事制度を最大限に活用してもらいたい。そして究極的には、各事業場が人事抜きでも人財育成会議を行い、自走できるようになってもらいたいと思っています。

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コンサルタントの声

コンサルタント 森本伊織

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
コンサルタント 森本伊織

サッポロビール様でのノーレイティング導入のポイントは 、経営・人事・現場の双方向の信頼関係が強化され一体となって進められていることです。

長い歴史がある会社においては、根付いた組織風土は良くも悪くも変わりづらく大きな慣性が働いています。そんななかでも、プロジェクト開始当初に実施した現場インタビューにおいてさまざまなことにチャレンジしている管理職の方々と接し、新たなことへ挑戦する潜在力と前向きさを感じ、我々も人事と現場感を共有したうえで設計に取り組めました。

加えて、人事に、部分改定ではなく大きなチャレンジとして取り組むという覚悟と、ブレないポリシーがあったことが挙げられます。一貫性ある制度設計ができたことはもちろん、経営・現場との密なコミュニケーションを取れたことが挑戦を生み出す基盤づくりにつながっていると考えます。

今現在も双方向の信頼感 を生み出す取り組みとして、現場への権限委譲とスキル向上支援を継続的に実施されているということで、制度を作って終わりにせず仏に魂をいれていく様子がうかがえました。

今後も運用面でのご相談をお伺いし、 また制度改定が必要になった際にはよいものを創り上げるパートナーとして支援できるよう精進してまいります。

取材日:2024/04/01

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企業紹介

サッポロビール株式会社

サッポロビールは、140年以上にわたる歴史を持ち、「サッポロ生ビール黒ラベル」「ヱビスビール」という2つのビールブランドをはじめ、ビール・発泡酒・新ジャンル・ワイン・焼酎などを製造販売する酒類メーカー。「新しい楽しさ・豊かさを お客様に発見していただけるモノ造りを」という経営理念のもと、すべての商品やサービスにより磨きをかけ、お酒と人との未来を創る酒類ブランドカンパニーを目指している。

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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