導入事例
対話と自己開示が生んだマネージャー層の変化——管理職研修で得られた手応えと可能性
株式会社システムサポート
- 公開日:2026/06/15
- 更新日:2026/06/15
事例概要
背景・課題
・現場においてVUCAの時代に合わせた急速な変化が求められるなか、組織として社員の挑戦を歓迎する風土もあり、マネージャー層に負荷がかかりやすい点が課題
・経営層の入れ替えに伴う社内体制の刷新にあたって、まず掲げたのは、“人的資本経営”
・社員への投資→生産性の向上→組織力アップという好循環を強化し、社員への還元も拡大するねらい
検討プロセス・実行施策
・自ら変化を起こし、周囲を巻き込んでいく「チェンジマネージャー」育成を目的に、360度フィードバックを活用した管理職研修を導入
・360度フィードバックをもとにした対話中心の研修プログラムにより、自分や同僚のマネジメント行動を客観視する機会を創出
・研修後の個別面談により、マネージャー自身の“気づき”を促進。さらに、研修2カ月後のミートアップなど、学んだことの実践や習慣化を促す仕組みを構築
成果・今後の取り組み
・マネージャー同士の横のつながりや相互理解が深化。日々相談し合える関係になった
・マネージャー層と部下の連携はできている一方で、マネージャー層とその上長の連携が薄い傾向が見られたため、今後の対策を検討中
・「これまでの自分を否定するのではなく、自分自身の特性を受け入れる」というイノベーティブな人材のベースをつくるため、受講者に対し、継続的な伴走を予定
背景・課題
社内体制の刷新にあたって目指したのは、“人的資本経営”

榎本:私たちシステムサポートは創業以来、「熱意のあるところに仕事が生まれる」という考え方を大切にしてきました。社員一人ひとりの得意分野や熱意から仕事が生まれ、新たな事業に育ち、組織に変革と成長をもたらしていく。そういったサイクルをとても大切にしてきた会社なんです。
一方でVUCAの時代では、現場の社員、特にマネージャー層に「恐れず一歩前に出てほしい」と促す難度が増しているとも感じていました。昨今は経営層でさえ、先々の予想がしにくい時代です。「社員には熱意と挑戦を忘れない、イノベーティブな人材になってほしい」という想いは変わらずありつつも、現場頼みでは負担が大きくなってしまう懸念がありました。
だからこそ経営層の入れ替えに伴う社内体制の刷新にあたり、“人的資本経営”というメッセージを掲げました。これまで以上に、会社として社員一人ひとりの成長に投資することを宣言したのです。
困難な時代であっても熱意を持って挑戦できるように、社員のやりがいや成長をしっかり支えること。社員から生まれたエネルギーを組織の生産性向上や発展につなげ、再び社員に還元していくこと。そんな好循環が当たり前に巡る組織の実現に向けて、企業としてできるサポートを最大限行っていく旨を、社員にあらためて伝えました。
検討プロセス・実行施策
管理職研修導入のねらいは、自己開示を体験してもらうこと
榎本:「“人的資本経営”の実現に向けて、企業として具体的に何ができるのか」を検討していくなかで導入したのが、リクルートマネジメントソリューションズの「360度フィードバックを活用した管理職研修」でした。理由としては、弊社が“チェンジマネージャー”と呼ぶ、強い組織の軸になり得るマネージャー育成に適したプログラムだと感じたからです。
チェンジマネージャーとは、「想像もつかない世のなかであっても、まずやってみよう」「1人ではなく、仲間たちと協力しながら一歩進んでみよう」——そんな姿勢で周囲を巻き込みながら、恐れず変化を生み出していく人材のことです。そうした人材に欠かせないスキルの1つが、抱えた不安や課題を1人で背負わずに、周りに開示しながら向き合う“自己開示”の力だと考えています。
ただ、自己開示は本来、勇気がいることですし、「マネージャーとしてどこまで弱音を言っていいのか」と迷う場面もあるでしょう。だからこそ360度フィードバックと対話を通して自身や同僚の今を俯瞰していくプログラムは、自己開示を体験する良い機会になると感じました。
成果・今後の取り組み
研修を通して生まれた、さまざまな“気づき”と“つながり”

土屋:実際に研修を受けた立場からお話をさせていただきますと、研修を通して私自身や職場に、さまざまな“気づき”が生まれたように感じています。例えば360度フィードバックでは匿名という形で、周りからの本音の評価を知ることができました。
やはり面と向かってネガティブなことは言いにくいと思うので、部下からの評価が良くても、嘘か本当か分からない部分があったのです。でも、「このマネジメントは本当にやってよかったんだ」「ここの動きは変えてあげた方がいいんだ」と本音が見えたおかげで、マネージャーとして動きやすくなりました。
「匿名の評価をもらうのは初めて」という社員ばかりだったので、研修当日は皆食い入るように評価シートを見ていましたね。なかには「思ったより周りから信頼されていた」と、自分を過小評価しすぎていたことに気づいたメンバーもいたようです。
マネージャー同士の関係性も大きく変わったと感じています。今までは他部署のマネージャーと話す機会が少なく、お互いにどういうことを考え、取り組んでいきたいのかを他部署の人と共有し合うことも稀でした。
それが、研修での対話を通して、他のマネージャーたちが部署でやっていることやマネジメントの仕方など、身近にいながらも見えなかった意見をたくさん聞くことができたのです。その結果、仲間の価値観も自分ごとにしながら、マネージャーとしての発想をアップデートすることができました。横のつながりができたおかげで、研修後も「こういうプロジェクトが動きそうなんだけど、土屋さんの部署って参加できる?」というように、他部署から相談が来ることも増えています。
榎本:このような研修での学びについては、現場で学びをスムーズに生かせる人もいれば、実際に生かすとなると手こずる人もいるかと思います。そのような点を踏まえ、今回の管理職研修については、研修の2カ月後にミートアップ(研修グループメンバーで再度集合し、実践の振り返りと相互アドバイスを行う場)を実施するというプログラム構成としました。こちらが、学びの定着化に一役買っていた印象です。
研修後にすべての参加者と個別面談をしたのですが、やはりミートアップを1つの振り返りの機会として意識しながら、マネジメントの在り方を試行錯誤していたことがうかがえました。「今まではチームの皆が業務でどんな苦労をしているのか、自分から聞いて回ることはなかったんです。でも今回、全員にヒアリングしてみました」と話してくれた人もいましたし、何気ない雑談をしたり、週1ペースで1on1をしたりするようになったと教えてくれた人もいます。「大したことではないんですが……」と前置きする人もいましたが、実際に聞いてみると意欲的にマネジメントに取り組んでいる様子が伝わってきて、非常に嬉しく思いました。
もちろん、「ミートアップがあるし、皆やっているからやらなくちゃ」という気持ちもあったかと思いますが、習慣はそういった小さな積み重ねから生まれます。マネージャーたちが自身のマネジメントのちょっとした変化を日々積み上げ、言語化できるようになったことが、管理職研修ひいてはミートアップの大きな収穫だったと感じています。
マネージャー個人から、組織に“気づき”を伝播させる動きも

榎本:今回の管理職研修を通じて、「1人で奮闘するのではなく、仲間と協力しながら一歩踏み出せばいいんだ」という安心感が、マネージャーの間に生まれたように感じています。部下との接し方や仕事の任せ方にも、それぞれの学びを生かそうとする動きが見られました。
土屋:私の場合は研修を受けてから、チームに対するマネジメントにおいて続けていきたいことと、控えたいことを切り分けることができました。続けていきたいことは、チームに対する方針の共有です。もともと「3カ月後や1年後にこのチームはどのようになっているのか」というマイルストーンを共有するようにしていたのですが、360度フィードバックでも評判が良かったので、今後も続けていきたいと思っています。
今後控えたいのは、チームの効率や生産性をむしろ落としているのではと感じる部署の慣習を、そのまま引き継いでしまうことです。常に余力がある状態をキープできた方が、突発事項にも対応できるため、アウトプットの少ない定例会議などは見直していきたいと思っています。
榎本:土屋もそうですが、特に印象的だったのはマネージャー層の意欲的な反応です。研修で学んだことを自分だけのものにするのではなく、周りに生かそうとする動きが見られました。例えば、「システムサポートは今、こんな課題を抱えていると思う。その解決に向けて、研修後から2~3カ月間、こんなことに取り組んだ」とわざわざ報告に来てくれたマネージャーがいました。組織的な課題に気づき、自らアクションを起こそうとしてくれたのです。
また、360度フィードバックを通して、マネージャーとしての自分の役割に気づいたという人もいます。詳しく聞いてみると、「自分とその部下は認識が揃っていて、自分と上長も方針を共有できているのに、自分の上長と部下の認識がずれていると気づきました。これは自分の明らかな課題です。上長が描いている方針や考えを、自分の部下にどう伝えるかを考えていきたいです」と言ってくれて、素晴らしい気づきだと思いました。
意欲的な層は自分のチェンジマネジメント力を高めたいという意欲が強く、今回の研修についても「刺激的で、気づきが得られて良い機会だった」という反応がありました。研修を導入した側としてとても嬉しく思います。
ただ、「研修前に企業としてフォローしておけばよかった」と、後から気づいたことが1つだけあります。こういった意欲のある層に、「学んだことを自分だけでなく、組織に生かすにはどうすればいいか考えたうえで研修を受けてみてほしい」と、声をかけておきたかったです。研修での学びを組織に還元しようとする動きが実際にあったので、次回以降の研修ではぜひ、多くのマネージャーに意識してみてほしいと思っています。
“マネージャー層の変化”を定着させる、伴走の重要性
榎本:収穫も多い一方で、研修を通して見えてきた課題もあります。例えば、「部下とこんな風に仕事していきたい」という意見がマネージャー層から多く出た半面、自分の上長層に対するアプローチは比較すると少なく感じました。マネージャーと上長の連携にはサポートが必要だと感じたので、今後の取り組みを検討しています。

また、研修を通してマネージャーに起こったさまざまな変化に対して、継続的に伴走することが何より大切だと思いました。今回、マネージャー層には360度フィードバックなどを通して自身と向き合ってもらいましたが、なかには自己評価より低い評価を受け取った人もいます。顔には出さないものの、自己評価とのギャップに戸惑っていた人もいるかもしれません。
しかし弊社の意図としては、フィードバック結果を改善すべき点や自己否定として受け取ってほしくはありません。「自分を変えなければ」と過去を否定するのではなく、自分の特徴として理解し、未来の行動へつなげてほしいのです。
「これまでの自分を否定するのではなく、自分自身の特性を受け入れ、挑戦していく」というイノベーティブな人材を育てるため、これからも面談やヒアリングを通して伴走していけたらと考えています。加えて、今回マネージャー層に生まれた変化を、組織内に連鎖させていく仕組みも作りたいです。他部署とつながった“チェンジマネージャー”たちが、各々得意なことを生かして活躍し、部下や上長にも熱が連鎖していく。そんな組織を目指していきたいですね。
トレーナーの声

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
HRDトレーナー
青山昇平、青山隆一、前川憲二郎、村井庸平、森山幹生
VUCAの時代における人的資本経営の観点から、本研修はマネージャー自身が変化しながら、組織に変化の循環を生み出せる人材の育成を目的としていました。事前に実施した数名の受講者インタビューでは、部下の仕事を巻き取ることで多忙を極め、マネージャーとしてのやりがい・あるべき姿を見失いかけている状況や、業績目標達成と部下育成の間で葛藤する姿が見えてきました。
そこで、研修では①自身と組織の現状に逃げずに向き合う事、②リーダーとして「次の一歩」を自己決定する事を重視しました。職場メンバーからのサーベイ結果を踏まえた対話をきっかけに、これまで感じていたが声に出せなかった上記の葛藤や悩みが共有され、相互アドバイスや率直な意見交換によってそれぞれが「次の一歩」を自己決定することができました。研修を通じて受講者同士の関係性が変わることで思考・行動が変わり、結果(変化)につながったと考えていますが、我々はこれこそが本プログラムの大きな価値だと捉えています。
研修終了直後、受講者数名が連れ立って榎本様への対話を申し入れたと伺いました。「対話を通じて新たな関係性を築くことで人も組織も変わっていける」——その可能性を力強く感じさせてくれるエピソードでした。
取材日:2026/03/11
企業紹介

株式会社システムサポート
AIやクラウドに特化したプロフェッショナル集団として、企業のDX推進や業務改善を支援している独立系システムインテグレーターで、クラウドインテグレーション事業、システムインテグレーション事業、プロダクト事業といった幅広い事業を展開し、システムの企画・設計から導入、運用、改善まで一貫して支援できる体制を強みとしている。「人が仕事を作り、会社を成長させる」という信念を軸に、社員一人ひとりの挑戦を力に変えながら、顧客の課題解決に貢献していく。
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。
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