導入事例
見える化がゴールではない。健康経営を“対話”で支えるインサイズの活用法
株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー
- 公開日:2026/05/11
- 更新日:2026/05/11
事例概要
背景・課題
・数年前、社内の他の事業部門がインサイズを導入し、職場改善に大きな効果を上げた
・その好事例を受け、全社的に健康経営の一環としてインサイズを活用している
・航空宇宙カンパニーも2021年にインサイズを導入
検討プロセス・実行施策
・まず部課長層を対象にインサイズを導入し、現在は対象を一般間接社員にまで拡大
・年3回実施のアンケート結果を踏まえて面談を実施
・専任コンサルタントからの報告会により、部課長の「自分ごと化」が進んだ
成果・今後の取り組み
・インサイズを活用し、優れたマネジメントを実践するマネジャーも出てきた
・上司が部下の理解を深めるためだけでなく、部下自身の振り返りとしても役立っている
・マネジャーに望むのは、インサイズを活用して部下に寄り添ってもらうこと
背景・課題
他事業所の好事例を受け、健康経営の一環としてインサイズを導入
山本:私たちSUBARUグループは、付加価値の高い商品を通して「安心と愉しさ」を提供する自動車メーカーであり、一方で航空機メーカーとして、民間事業、防衛事業、ヘリコプター事業という3つの柱にて、多種多様な航空機を開発・生産しています。今回は、航空宇宙カンパニーでの取り組みをご紹介します。

SUBARUは健康増進活動を経営課題と捉えており、「健康経営」に力を入れています。2019年より、他の事業部門がコミュニケーションツールとしてインサイズを導入し、職場改善に大きな効果を上げました。
その好事例を受け、SUBARUは現在、健康経営の一環として全社的にインサイズを活用しています。全員が生き生きと働くことが組織力や生産性の基盤であり、社員の健康は極めて重要です。その社員の健康を守るツールとしてインサイズを活用しているわけです。私たち航空宇宙カンパニーでは、2021年からインサイズを導入しました。
検討プロセス・実行施策
現場の声を聴きながら、段階的に実施対象を拡大

安齋:私たちは2021年に、まず課長以上の管理職を対象にインサイズを導入しました。2023年に対象を係長層にまで拡大し、2025年からはさらに対象を拡大して、間接部門の一般社員にも実施しています。
倉野:現場からは、インサイズは個人に直接アプローチできるコミュニケーションツールとして役立つので、課長・部長層だけでなく広く実施してほしいという要望を受けることがありました。また、私たち人事としても、組織全体によい効果をもたらすためには、役職層のみだけでなく一般層にまで取り組みを広めることが重要と考えていたので、現場の活用状況をみながら段階的に拡大していったのです。

私たちはインサイズのアンケートを年に3回、定期的に実施しています。アンケート実施後は、ワークメンタリティの状態が懸念されるメンバーに対して、直属の上司から面談の場を設けてもらうようにしています。
課長に面談するのは部長、係長に面談するのは課長、一般社員に面談するのは係長です。ただ、課長層以上は以前からインサイズ後に部下との面談を実施してきましたが、係長層は今年度から行うことになるので、部下ならびに自組織のワークメンタリティの見方、それに基づく面談のポイント等を事前に教育するところから始めました。
専任コンサルタントからのフィードバックが、マネジャーにとってよい刺激となっている
山本:また、私たちは「マネジャー層に対するインサイズ分析フィードバック」にも力を入れています。2025年からは、リクルートマネジメントソリューションズの専任コンサルタントの力を借りて、部課長に直接フィードバックする場(報告会)を設けています。毎回、各部署の結果を、SUBARU全社平均、航空宇宙カンパニー平均、各部署平均と比較分析いただきながら、今後対応すべきポイント等についてアドバイスをいただいています。
今までも各部署にフィードバックはしていましたが、読み解きは部署に任せていました。そのため、結果の示す意味合いが十分に伝わっておらず、また結果を生かしきれていないのではという思いがありました。そのような背景もあり、マネジャー層に対してよい刺激になればと始めた試みでしたが、想定していた以上に効果的でした。
倉野:私たち社内の人事から伝えるのと、社外の専門家から伝えるのでは、マネジャーの感じ方や受け止め方が全然違うと思いました。分析の内容も実態に即しているという部課長の声が数多く届いています。この報告会には部課長が参加しているのですが、皆モニターを食い入るように見てくれています。活発に質問が寄せられるようになり、徐々に「自分ごと化」が進んでいる印象です。
回数を重ねるごとに、報告会に参加する部課長のインサイズ理解は深まっています。ただ一方で、職場にどう落とし込めばよいか分からずに悩んでいる管理者も少なくありません。彼らをどうサポートすべきか、それがこれからの課題でもあると思っています。
成果・今後の取り組み
見える化も大事だが、結果を用いてしっかり対話することがより重要

安齋:インサイズ実施後の面談件数も増えてきています。このことは、インサイズが徐々に浸透してきた証しでもあると考えています。特にワークメンタリティの状態が懸念される社員を中心に、上司との面談の場を設けるようにしています。
なかには、インサイズを上手に活用し、メンバー一人ひとりの結果を参考にしながら、彼らのキャリアや今後を真剣に考え、常に先手を打って働きかけているマネジャーもいます。このような部課長を増やしていくことが、私たちの目標の1つです。
山本:とはいえ、インサイズ活用の取り組みはまだまだだと考えています。見える化も大事ですが、それよりも結果を用いてしっかり対話することの方がより重要です。現状では、部課長によってインサイズに対する認識や面談頻度などに差があります。今後も、管理者を中心にコミュニケーションの重要性を伝え、「対話」の質を高めていきたいと考えています。
上司が部下の理解を深めるためだけでなく、部下自身の振り返りとしても役立っている

倉野:インサイズを受検したメンバーは、結果に応じて上司から声かけや面談が行われることで、心理的な安心感を得ています。また、インサイズの結果を通じて、自分では認識しづらい心身の状態に気づける点も有用だと感じています。
多忙な時期には自身の状況に目が向けづらいものですが、結果を見ることで「現在、負荷が高い状態にある」と自らを客観的に捉えるきっかけとなっています。
山本:マネジャー側も、インサイズを活用することでメンバーの理解が深まりつつあります。1on1をはじめ定期的に話し合う機会を設けることで、例えば1on1後にメンバーから「スッキリしました」「話せてよかったです」といった感想をもらうこともあるようです。今後も、その都度メンバーの想いを真摯に受け止めながら、よい方向に進んでいけたらと思っています。
安齋:私もマネジャーとしてインサイズを利用する立場ですが、事前に状態を確認できるので、話す内容により配慮するようになりました。とはいえ、たった1回の面談で部下が抱える悩みを解決できるわけではありません。その時々に、真摯に話を聞いて受け止めるということを繰り返すことで、よい方向に導ければと思っています。
インサイズは部下と向き合い、部下に寄り添うためのきっかけ
安齋:私たちが今後注力したいことの1つは、部課長たちにインサイズの位置づけをより深く理解してもらうことです。マネジャーたちは自組織に責任がありますから、ワークメンタリティの状態が懸念されるメンバーがいると、どうしても自責感情を持ってしまうのです。
山本:インサイズの目的は、あくまでも社員の状況を改善し、彼らの健康を守ることです。インサイズのサーベイ結果が示すのは、そのためのコミュニケーションのきっかけに過ぎません。私たちがマネジャーに最も望むのは、インサイズを活用して、部下と向き合い、部下に寄り添ってもらうことなのです。
ですから、私たちはことあるごとに、ポジティブな意味で自分の組織の変化を感じたり、マネジメントの自分事化につなげたりしてほしいと伝えています。今後もこのことを繰り返し伝え、インサイズをうまく活用できるマネジャーを増やしていきたいと思います。
取材日:2025/12/17
企業紹介

株式会社SUBARU 航空宇宙カンパニー
SUBARUの前身は、1917年に創設された「飛行機研究所」をルーツとする「中島飛行機」。航空宇宙カンパニーは、「中島飛行機」から続くモノづくりへの情熱を受け継ぎ、民間事業、防衛事業、ヘリコプター事業という3つの柱にて、多種多様な航空機を開発・生産しています。
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。
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