はじめての事業部人事が、事業の背骨を通すまでのプロセス

株式会社ミクシィ

プロジェクト概要

背景・課題

デジタルエンターテインメント事業本部こと、DE事業本部は、現在250名の組織です。株式会社ミクシィの一部門として、デジタルエンタメ領域で事業を行っています。
組織の拡大に伴い、スタートアップなどでも起きうる組織課題が出てくることを想定し、組織全体としての目線をもって組織づくりを行うために、組織づくりに特化したグループを設けたのが約2年前です。

検討プロセス・実行施策

新設部署かつ組織開発未経験のメンバーが集まっていたため、まさに手探りでした。私がジョインしたのは、グループが立ち上がってから半年後。すでに進んでいたコミュニケーション基盤を整備すると共に、事業部のミッションと行動指針を策定するなど、さまざまな組織開発施策を実行してきました。その際にアドバイザリーサービスを利用しました。

成果・今後の取り組み

本部長や部長・全社人事との連携も深まり、今後はミッションと行動指針を軸にして事業戦略をどのように実現するか、実現するために必要なHR施策は何なのか、成功確率を上げる仕組みは何なのかを模索しています。

背景・課題

ゼロからのスタート。手探りでの組織開発

野村様の写真

私がジョインした約1年2カ月前、デジタルエンターテインメント事業本部こと、DE事業本部に所属しているメンバーは250名を超えており、ベンチャー企業並みの規模がありました。また、内容もフェーズもバラバラの新規事業のプロジェクトを抱えていました。

ミクシィ社は正社員だけで1000人規模の会社ですから、全社人事では現場の細かい部分をサポートしきれないという部分もあり、現場に即した形で文化形成・メンバーケアができる体制を作りたい、という本部長の強い意思のもと、組織づくりを主務とする組織開発グループが立ち上がりました。

私自身は、1年半ほど前にマーケターとして入社しました。入社後3カ月ほどたって、担当していたプロジェクトが一段落ついたタイミングで、組織開発グループからお声が掛かり、自分のキャリアやこの会社でやりたいことを鑑みた結果、組織開発を通じて事業に貢献したいと思うに至り、挑戦することを決めました。

今後組織が大きくなるなかで、組織課題も大きくなることを見越して編成された組織開発グループでしたが、当時のマネジャーは組織開発のプロではなく、私も未経験だったので、結果的に初心者中心のメンバーで組織開発グループが始動することになりました。

カルチャーの違う組織の統合。まず露呈した課題とは?

現在のDE事業本部内は、運用タイトルが1つとフェーズの異なる開発タイトルが複数動いています。
マーケティングやアート、サウンドなど、各プロジェクトを支える横軸組織もあり、マトリクス上に組織が構成されています。複数のプロジェクトが集まって組成された本部でしたので、まずは、組織全体のゴールの認識を合わせるために、組織の存在意義であるミッションと、その達成のために必要な人材像を示した行動指針を決めることが最初に取り掛かったことです。

また、それぞれ進めているプロジェクトを超えて、DE事業本部としてどういう方針で今後進めていくのか、どんな人がいるのか、各プロジェクトで何をやっているのかを組織に周知できるような、組織全体のコミュニケーションの基盤を整えることも必要でした。

このような状況だったので、組織づくりに伴走してもらえるパートナーとして、リクルートマネジメントソリューションズのアドバイザリーサービスを利用しました。

検討プロセス・実行施策

未経験の組織開発チームが信頼を得るまでのプロセス

野村様の写真

新設部署であり、未経験の人材が集まった組織でしたので、正直我々に対する当初の期待値は決して高くなかったと思います。そのため、さまざまな組織開発施策を一つひとつ展開させるなかで、地道に信頼を得ていくというプロセスを踏んでいきました。

DE事業本部のミッションを明確化するワークショップを実施したり、本部が独自に行っているアワードを改善したり、試行錯誤しながら事業本部の行動指針を作り切ったりと、施策を進めていくなかで少しずつ風向きが変わってきたことを覚えています。

ゴールを定めたうえで、組織に不可欠なコミュニケーション基盤を整える

事業の戦略や各プロジェクトのトピックスを伝えるために、毎週行っている朝会や四半期に一度のキックオフ、ミッション・行動指針を浸透させる仕掛けとしてのグッズの作製や、DE事業本部独自のアワードである「ファーストペンギンアワード」の表彰設計などを実行しました。

実施当初のアワードは、満足度が5段階中2.8というかなり評価の低いものだったのですが、アドバイザーの方に何度も壁打ちさせてもらい、評価の高いアワードは何だろう?と試行錯誤しながら、DE事業本部らしい仕組みを作り込んでいきました。
とくに事業部内の部ごとの従業員特性や雇用形態に想像をめぐらせながら、白けた施策とならないように、運用に気をつかい磨き込んだ結果、今では安定的に満足度4.2水準の評価を得られています。

徐々に事業部側の信頼を得られていくなかで、施策単体の作り込みにおける工夫もさることながら、メンバーのコンディションを把握するコンディションアンケートの実施や、新規入社者のオンボーディング機能を担っていることも、施策検討上は効いています。現場のメンバーをパーソナリティベースで把握できているため、施策を打つ際に「あの人は乗ってくるよね」「白けるよね」と想像力を働かせられるようになったためです。

基盤を整備後、ミドルマネジメント機能の強化に着手

コミュニケーション基盤やメンバーの状態を可視化する仕組みを整えつつ、並行して事業本部内のミドルマネジメント機能を強化するため、部長と連携しながら、部長合宿やマネジャー合宿の企画や運営も始めています。また、マネジャーレイヤーにも過去にマネジメント経験のない方やプレイヤーもかねてマネジメントをしている方もいるため、任用からオンボーディングまでの一連のプロセスをアップデートし、サポートしていこうと思っています。

守りの全社人事と攻めの現場。そのハブとして人事施策の展開スピードを促進

今後は、事業戦略・組織戦略を精緻化して、そこに全社人事の力も借りながら、メンバーの育成や採用を戦略的に進めていけるように体制を整えていこうと思っています。

全社人事と現場の間に、我々が事業本部側の人事として入ることで、ハブの機能をもつようになってきました。全社人事は事業部を超えて全社目線の大きな枠組で、現場人事である我々は、その枠組のなかで現場に合わせてカスタマイズしスピード感をもって進めていく。組織開発グループはハブとなることで、どちらの目線ももちながら施策を実行できるため、今までよりもスピーディに進められるようになってきています。

成果・今後の取り組み

戦略の確からしさの向上と、マネジャーが正しく機能する組織へ

野村様の写真

抽象度の高い戦略を、「どうやったら実現できるのか」「実現するためにはどういう組織構造が必要なのか」「どういう組織文化が必要なのか」を具体化し、その一貫性を保つためには、どういうHR施策が必要かをミドルマネジメントと議論し、落とし込めると事業推進がスムーズです。

組織開発グループで勝手に物事を進めるのではなく、部長やマネジャー陣とも密に議論を重ね、施策を実行していきたいと思っています。

最後に、私たちのグループは、人事経験もなくボトムアップ型で組織づくりを行っていくという点でミクシィにおいて稀有な部門人事機能です。良い形で価値を生み出し、DE事業本部をパイロットとして、他の事業本部に対してもノウハウを横展開していきたいと考えています。

戦略の実行とメンバー活性化の同時実現を現場のマネジメント層だけで実現できればよいのですが、最初からうまくは進みません。部門組織開発機能は、マネジメント層を支える機能として必要な場面も多いと感じていますので、まずは我々を上手に活用してもらいながら、ゆくゆくはマネジメント層で、健全な組織運営ができる状態になることを目指しています。

「2ステップ上の視座」を確認。外部メンターとしてのアドバイザリーサービス

DE事業本部、その一機能としての組織開発グループの立ち上げにおいて、リクルートマネジメントソリューションズの外部アドバイザーの方が、常に部長レイヤーの目線で対話してくれることで、部長の視点をもって討議を進められたことが大きかったです。
抽象度の高い戦略の話でも、全体方針の考え方など大きな視点でのアドバイスをもらえました。

また、ミッション・行動指針ができ、コミュニケーション基盤の土台ができ、部長陣も採用できたところで、じゃあ次は何を優先して取り組むべきか?という部分でなかなかイメージがもてず、日々のオペレーションでいっぱいになるなかで全体の視座を高めてもらえた点も良かったです。

初めての組織開発でしたし、部長の目線もなければマネジメント経験もない、マネジャー育成のやり方もわからないなか、部長陣に必死で食らいついていかなければどうにもならないという状況下で、外部メンターとして支えてもらいました。もし伴走してもらっていなかったら、企画から運用のスピードが上がらなかったと思います。

今では、組織開発グループから組織戦略グループへとグループ名も変わり、部長陣からも、難度の高いオーダーを相談してもらえるようになりました。立ち上げ当初の期待値を考えると、大きな変化です。こうした期待に応えつつ、ミクシィの次の事業の柱をつくり出す一助となれるように、本部の部長陣や、全社人事の助けも借りながら、組織戦略グループのメンバー全員で、これからも知恵を絞っていきます。

企業紹介

株式会社ミクシィ
ミクシィグループは、“ユーザーサプライズファースト”の企業理念のもと、ユーザーの皆さまの想像や期待を超える価値提供に取り組んでいます。当社グループは 1997 年の創業以来、SNS「mixi」やスマホアプリ「モンスターストライク」など、友人や家族といった親しい人と一緒に楽しむコミュニケーションサービスを提供してきました。これからも、“フォー・コミュニケーション”と定めたミッション(私たちのやるべきこと)を遂行するため、人々の生活がより豊かになる未来を思い描き、IT の側面からコミュニケーションの活性化を促す事業・サービスを推進し、より良いコミュニケーションの創造に取組んでいきます。


■関連記事
・事業成長期のHRMを考える勉強会
vol.1 CXO向け研究会レポート リクルート創業期の「心理学的経営」とは何か?
vol.2 HRBP勉強会レポート 「組織の発展モデル」から組織課題の焦点を発見する
vol.3 HRBP勉強会レポート 組織のリーダー・マネジャーが成長する仕掛けとは何か?
vol.4 HRBP勉強会レポート 入社者が早期に活躍するためにHRができる仕掛けづくり
vol.5 HRBP勉強会レポート 仲間を誘いたくなる会社とは――組織が拡大しても社員がエンゲージメントし続ける企業の条件
vol.6 HRBP勉強会レポート 企業の理念を体現する人事制度をつくる(近日公開)

・急成長するネット系企業と共に人・組織を考える研究会
IT Management Journey vol.1 組織拡大に伴いマネジャーをいかに立ち上げるか?
IT Management Journey vol.2 採用した人材が活躍するための「採用」「配属」「適応支援」とは?
IT Management Journey vol.3 組織の力を高めるために、どのような評価・処遇を行うか?
IT Management Journey vol.4 個人の意欲をどのように高め、組織の力に転換していくか?
IT Management Journey vol.5 ミッション・ビジョン・バリューをどうやって浸透させるのか?

■関連セミナー
【ベンチャー企業の事業・人事責任者向け】事業成長を阻害する組織のひずみを予測し先手を打つ

■関連サービス
日々の業務マネジメントを通じて、経営理念を現場に浸透させるキーパーソンとなるのが、職場の中間管理職(マネジャー)です。
ベンチャー・中小企業向け モバイル・データ活用 伴走型マネジメント研修「マネスタ」のご紹介はこちらをご参照ください。