導入事例
ミドルマネジャーが権限を委譲し、 メンバーの当事者意識に火がついた
リーズンホワイ株式会社

- 公開日:2019/07/01
- 更新日:2024/11/07
事例概要

背景・課題
ヘルスケアサービスを提供するスタートアップ企業「リーズンホワイ株式会社」。マネジャーたちはそれぞれ別の企業で実績を積んできたこともあり、自信があるからこそマネジメントは我流になりがちで、メンバーへのアプローチにもバラつきがありました。また、マネジャーがメンバーに仕事を委ねられず、抱え込む傾向もありました。

検討プロセス・実行施策
現状のマネジメントの見直しと、リクルートグループが培ってきたマネジメントナレッジを学ぶことを目的に、「マネスタ」を導入。受講者には、各事業の責任者6名を選抜しました。オンラインとワークショップでマネジメントの原理原則を学び、今後の組織の成長にともなって起こる課題について、先手を打つ機会にもなりました。

成果・今後の取り組み
マネスタ受講後、マネジャーからメンバーへの権限委譲が進み、一人ひとりの当事者意識の高まりが感じられるようになりました。マネジャーとメンバーの信頼を強めるコミュニケーションも増えています。組織開発に継続して取り組み、ゆくゆくは一人ひとりが圧倒的な当事者意識を持つ、起業家集団になるところまで会社を導いていくことが目標です。
背景・課題
我流のマネジメントを見直し、組織を再構築したい

当社は、医療関連のデータを活用してヘルスケアサービスを提供するスタートアップ企業です。代表的なサービスに、がんのセカンドオピニオンを、インターネットを通じて提供する「Findme」があります。
現在の日本では、がんの患者様に適切な診断を提供するまで、平均して2カ月くらいかかってしまっているため、この時間をいかに短縮し、患者さまと専門医をいかに早くつなげるかという課題に挑戦しているところです。
社員は現在、約30名。20名以下の規模の組織の場合、メンバー同士は勝手知ったる仲ですし、仲間同士でわいわい働いている一体感を得られるものです。しかしながら、人数が増えてくると、全く違うバックグラウンドを持つ人や、さまざまな個性を持った人も加わることになります。それらが有機的につながればいいですが、不協和音が生じることもあるわけです。
マネジメントについても、それぞれが我流の状態でしたので、マネジャーとメンバー、もしくはチームごとのベクトルが合わないこともありました。お互いへの不満が噴出し、いつの間にかそれが会社への不満に変わり、その結果として、社員が2/3まで減ってしまったこともありました。
それぞれ別の企業で成功体験を積んで、自負を持って当社のようなベンチャー企業に入ってきてくれているので、マネジメントスタイルが我流になってしまうのは仕方がない部分もあります。しかしながら、当社におけるマネジメントの共通認識が必要であるとも感じていました。
もう1つの課題として、ミドルマネジャーに業務負荷が集中しているという問題もありました。メンバーの力不足をミドルマネジャーがフォローし、問題があったときも巻き取ってしまう状況だったのです。そうなると、当然、マネジャーたちのプレイヤー業務が増え、負荷も増大します。
短期的な視点だと自分でやった方が早いと思ってしまいがちですが、本当は仕事をメンバーにどんどん託した方がラクになれるし、中長期的には成果も上がっていくことを理解してほしいという願いもありました。
ちょうどそんなとき、経済産業省が推進するスタートアップ企業の育成支援プログラム「J-Startup」で、リクルートマネジメントソリューションズの実践型マネジャー育成プログラム「マネスタ」を知ったのです。
検討プロセス・実行施策
リクルートのマネジメントノウハウへの関心が導入の決め手

※マネスタは2022年6月で新規受付を終了いたしました。
もともと私は、リクルートグループの文化に惹かれていました。「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」「圧倒的な当事者意識」などの言葉に表されるリクルートグループの文化が、どのように生まれているのかにも関心があったのです。
「マネスタ」には、リクルートが積み上げてきたマネジメントのノウハウが詰まっています。そのため、マネジャーの育成だけでなく、企業文化の醸成にも役立てられるのではないかという期待を抱きました。リクルートのやり方をそのまま取り入れたとしても機能しないかもしれませんが、一人ひとりが当事者意識を持って、仕事にやりがいを見出せる環境をつくりたいと思ったのです。
まずは当社のメンバー同士で助言し合い、励まし合うところからはじめて、仕事がうまくいったらしっかり褒めることで、一人ひとりが成長の階段を上っていくことができるような組織にしたいと考えました。最終的には、何も言わなくても成果を出して、ステップアップしていける環境をつくることもできるのではないか。マネスタ受講の背景には、そんな期待もありました。
マネスタを受講したのは6名。それぞれ事業の責任を持っているメンバーです。私もオブザーバーとして参加しました。マネジメントの原理原則をオンラインとワークショップで学べることに加えて、組織が大きくになるにつれて出てくる不具合を事前に学習できたことも、当社にとって意味があることでした。
メンバーが増えれば増えるほど、多様性を受け入れることが大事になっていきます。当社には、BtoBとBtoCのどちらのビジネスもあります。これら2つのビジネスではKPIも、行動規範も異なります。例えば、BtoBに関わるメンバーは法人のお客様からのお取引をいただくことが重要であるため、スーツなど礼儀正しい服装で、始業時間もお客様に合わせて早くなる傾向があります。
一方、BtoCのアプリ事業は、ユーザーである患者様の満足度が重要。服装や時間については、自由度が高くても問題ありませんが、ユーザーにとっての使い勝手に丁寧に気を配る必要がある。前者と後者では、大切にする行動も評価軸も異なってきます。そういったメンバーが同じ職場で働いているわけですから、すれ違いが起こるのも当然です。そのような私たちが1つの企業として結束していくためには、それぞれのビジネスモデル、そして他者への理解が不可欠なんですね。
マネスタは、一人ひとりのメンバーの個性にきちんと向き合うことの大切さを教えてくれますが、それを通じて、多様性を認める組織作りの大切さを改めて気づかせてくれたとも感じています。
成果・今後の取り組み
メンバー一人ひとりが当事者意識を持つ起業家集団を目指したい

マネスタを終えてから、早くも組織が変わりつつあるように感じています。例えば、仕事に対する不満が耳に入ってくることがなくなったんです。これは、少しずつ権限委譲が進んでいることによる効果だと思います。人は、誰かにきちんと評価されていると思うと嬉しいものです。
逆に仕事を任せてもらえず期待されていないと思うと辛いものですし、やがては、不満・不信の感情にもつながっていきます。メンバーたちは、マネジャーからの権限委譲を、自分への期待として、意気に感じてくれたのではないかと思っています。メンバー一人ひとりの当事者意識が高まり、「こういう働き方をしたいからこの会社にいる」という自分本位の考え方ではなく、「この会社はこんなビジョンを持っているから、こういう組織づくりを目指しているんだ」と理解した前提で行動することが浸透し始めているのかもしれません。
つい先日、当事者意識の高まりを感じる出来事がありました。当社のサービス「Findme」の会議を、9時から行うことになりました。その会議は、エンジニアは参加が任意となっていましたが、これまで10時出社が当たり前だったあるエンジニアのメンバーが、「9時からの会議、自分の業務にも関わるので参加していいですか」と自ら申し出てくれたのです。小さな一歩に思われるかもしれませんが、とても嬉しく思いました。メンバーが、マネジャーから任されていることを実感し、「これは自分の仕事だ」と当事者意識を高めてくれた結果、会議の内容をより深く理解するために決断してくれたのだと思います。
会話のあり方も変わってきました。例えば、メンバーとも一緒にランチにいき、仕事の話抜きで、お互いのバックグラウンドについて話したりしているようです。まずはお互いの理解と信頼を深めた上で、少しずつ期待をかけていって、メンバーが自走できるようになったら、どんどん仕事を任せていく……そんなアプローチができるようになることを願っています。さらに、マネジャーたちと組織づくりについての会話が増えました。先日も、Slackでマネジャーとこれからのリーズンホワイの組織がどうあるべきなのかについて意見を交わしました。
今、当社は、リクルートマネジメントソリューションズのコンサルタントの力を借りながら、さらなる事業拡大にも耐え得る強い組織づくりに挑戦しています。
ゆくゆくは、一人ひとりが圧倒的な当事者意識を持つ起業家集団になるところまで、人と組織を成長させていきたい。今後の事業を考える際、例えば日本国内だけでは大きな拡大は期待できません。事業のドメインは日本だけでいいのか、新しい事業の展開は必要ないかなども真剣に考えていかなくてはならないと思っています。その実現のために、本当に一人ひとりが時にリスクを取って新しい挑戦や発見をしながら、事業化を推し進めていける。そんな組織になることが求められるでしょう。
そういう意味でも、マネスタを導入したことにより、権限委譲が進み、一人ひとりが会社のなかで役割を見つけて、パフォーマンスを上げていくきっかけづくりができたことは非常に有意義だったと思っています。
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ミドルマネジャーが権限を委譲し、メンバーの当事者意識に火がついた(リーズンホワイ株式会社様)

受講者の声

「マネジメントの引き出し」を増やす良い機会になりました
リーズンホワイ株式会社
CTO 小林 敬太郎様
マネスタを受講して、あらためてメンバーとのコミュニケーションに重きを置くようになりました。メンバーと一緒に、目指す成果を確認しながら、仕事を進めていくことをより強く意識しています。
もともと僕は、とくに用事がなくてもメンバーに「元気?」と話しかけて雑談したり、ランチに誘ったりなど、意図してやってきました。しかしながら、これまでは忙しいときにはやりづらかったですね。信頼関係を築くためにやっていることだけれど、全然関係ない人から見ると、「こんなに忙しいのに、あの人は仕事をしていない」と見えてしまう可能性もあるからです。
それが今回のマネスタのおかげで、マネジメントには信頼関係を築くことが不可欠であり、そのためにはコミュニケーションが大切であるということが組織の共通認識になりました。雑談だけではなく、定期的な面談も前向きに行われるようになりました。もしかすると、これまでは「ルールだからやっている」という人もいたかもしれませんが、今は「ちゃんとやろう」という意識に変わっています。マネスタを経て、マネジャー全員とマネジメントに対する共通認識をつくることができたことも良かったですね。おかげで、マネジャー間のコミュニケーションも円滑になりました。
“PCでできることは人にさせるな”というのが僕のモットーです。会社は人の集まりですから、悩みや課題を話し合うとか、人間らしいことをすることが大事だと思っています。新しいことを学び、挑戦し、失敗し、また学ぶということは、まさに人間にしかできないこと。メンバーが失敗を恐れずに、新しいことに挑戦できる環境をつくることが目標です。
取材日:2019/07/01

企業紹介

リーズンホワイ株式会社
“「医療 × IT 」で患者と専門医を繋ぎ、全人類の寿命を1秒伸ばす”をビジョンに掲げ、ITとビッグデータの力で、1人でも多くの患者が最適な治療を受けられる世界の実現に取り組んでいる。主なサービスに専門医ネットワークを駆使して、複数のオピニオンを届けるWEBサービス「Findme」や、“専門医”あるいは“専門医を目指すドクター”限定のプロフェッショナルネットワークサービス「Whytlink」などがある。
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