ビジネスマナーと基本行動の習得

課題解決のポイント

実践の場を組み込み、「リアリティ」を感じてもらうことが重要

いつの時代も、ビジネスマナーや報・連・相、PDCAといった基本行動の習得は、新入社員教育の主要なテーマです。しかし近年、従来のやり方では、「力を出し切らずこなそうとする新入社員が多い」「一度身についたと思っても、学んだことが続かない」という悩みの声が多くの企業から聞かれるようになりました。そこで、ここでは新入社員教育の学習効果を上げるポイントをお伝えします。まず、従来のやり方ではうまくいかない要因の1つでもある、今の新人・若手世代の特徴を押さえておきたいと思います。

腹落ちしないと本気にならない

今の新人・若手世代は、家庭や学校教育の変化により、納得できないことを押しつけられる「理不尽さ」や「強制」といった経験をする機会が減りました。その結果、今の新人・若手は実行しながら自ら意味を見出すことに不慣れで、あらかじめ「行う意味」が腹落ちできるかどうかでパフォーマンスが大きく異なります。入社前の知識も豊富で、「社会人の基本だから」という理屈だけでは押しつけだと感じ、さらには新しい学びがあるとも思わないため、本気で取り組まないのです。

本音や気持ちを表に出さない

一方、叱られたり失敗して恥をさらしたりという経験が少ないため、緊張感の高い場面では自分の本音や気持ちを出さないという特徴があります。内心は納得していなくても、叱られたくない、間違いたくないという心情が先に立ち、表向きはその場を無難にこなします。

これらの特徴が顕著になってきた当初の時代は、「厳しくして本気を引き出すアプローチ」が各企業で模索されていたようです。しかし、そのアプローチでは新人・若手はただ否定されているだけと感じ、相手は自分を受け入れてくれないのだと捉えてしまいます。その結果、自分を見つめ直すことにつながりにくく、叱られないためにこの場を乗り切るという意識がより強くなってしまいます。このアプローチでは本人の腹落ちにつながらず、相手や場が変わると継続しないことになってしまいます。

このような特徴を踏まえて、効果的な学習をするにはどうしたらよいのでしょうか。ポイントは2つあります。

(1)自分にとって本当に必要なことだという「リアリティ」をもたせる

今の新人・若手世代の多くは、自分にとって必要不可欠だと実感すると驚くほどのパフォーマンスを発揮します。したがって、一般論的な意味付けではなく「確かに、これができないと実際の仕事でうまくいかない(ビジネスのリアリティ)」と感じ、「いざやってみると、自分はできない(自分自身のリアリティ)」と思えば、一生懸命にそのことを学ぼうと努力します。

(2)「実践の場」を学習設計の中に取り込む(「経験学習」を意識する)

研修という空間だけで「ビジネスのリアリティ」を実感させるには限界があります。そこで、「実践の場」を学習の全体設計に取り込むことが有効です。また、入社直後にすべてを詰め込むのではなく、研修直後に実践の機会を設け、そのために重要な学習に絞り込むことが効果的です。さらに、実践してうまくいかないと実感しているタイミングで、その経験から学ぶ研修機会をもつというように、Off-JTとOJTを組み合わせて、全体ストーリーを構築するのです。そうすることで、新入社員が何のために学んでいるのかを自ら意味付けしやすくなり、ビジネスのリアリティを感じながら学べるので、学習効果を高めることができます。


施策例

事例①:化学工業関連企業 集合研修を分割し、OJTを取り入れて学習効果を高める

背景

  • 仕事シミュレーションを通じてマナーと基本行動を身につける3日間研修を行っていたが、力を出し切らずにこなそうとする新入社員が増え、学習内容が定着しにくくなっていた

施策

  • 集合研修1日×3回と、現場でのOJTを組み合わせた約3週間にわたる施策へ変更した
  • 具体的には、集合研修1日目(仕事の基本のレクチャーと取り組む仕事テーマの発表)→現場での実習と並行してチームでプランを検討→集合研修2日目(プラン中間報告と顧客視点を学ぶ座学)→現場での実習と並行してチームでプランを検討→集合研修3日目(プラン最終発表と3週間の学びのまとめ)という流れで行った

成果

  • 職場や先輩社員との接点を作ることで、ビジネスのリアリティを実感しながら取り組むことができ、受講者の本気度が格段に増した
  • 職場実践と振り返りを繰り返すことで、仕事の基本行動が定着した

事例②:金属製品・加工関連企業 工場実習を実践の鍵にして、基本行動の定着を図る

背景

  • 例年、入社後の集合研修で社会人としての基本姿勢・行動を学んだあとに工場実習を行っていたが、実践が継続せず、職場配属直前には学生気分に逆戻りしていた

施策

  • 集合研修2日間を工場実習に向けた姿勢・基本行動の習得と位置付け、工場実習で直面する現実などを具体的に提示した上で、明確なアクション目標を設定した
  • 工場実習の振り返り研修を実施し、実践場面での自分の課題を明らかにして、職場配属に向けた明確なアクションプランを策定した

成果

  • これまでの受講者はお客様気分で工場実習に臨んでいたが、受講者が学びの機会と捉えるようになり、自ら周囲に働きかけて仕事を取りに行くといった主体的な行動が増えた
  • 振り返り研修で、工場実習を通じて成長した人とそうでない人の差が明らかになったことで、成長しなかった人も職場配属に向けて危機感を高め、真剣に取り組むようになった

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