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調査レポート

「守られる環境」では足りない。次の一手は成長環境づくり

新入社員意識調査2026

読了時間:9

  • 公開日:2026/09/07
  • 更新日:2026/09/07
新入社員意識調査2026

2026年の新入社員意識調査では、従来とは異なる新たな変化が見られました。成長意識の高まりはこれまでも見られましたが、「成長したい」という前向きな欲求だけでなく、不確実な時代環境やAIの進化を前に「成長しなければ」という切迫感や焦りが新たに加わってきているのです。

企業の育成施策は充実し、マイナスの問題は減りつつあります。しかし「問題がないこと」と「成長が進んでいること」は別物。本コラムでは、新入社員の意識変化の本質を見据えながら、今後の育成アップデートの方向性について考察していきます。

■調査概要

調査1

調査2

目的

今年の新入社員の意識・特徴を把握する

調査日

2026年4月

2026年3~4月

対象者

  • 弊社の公開型新入社員導入研修「8つの基本行動」の受講者683名
  • 平均年齢:22.5歳
  • 最終学歴:大卒以上77.6%
  • 300名未満企業比率:67.1%
  • 弊社のインハウス型新入社員導入研修「F-BT」の受講者3041名
  • 300名未満企業比率:6.3%
    5000名以上企業比率:41.5%

回答方法

質問紙

研修に付随するWEB学習支援システム内のアンケート

働くうえでの意識
仕事・職場観の特徴
今後の育成の方向性

働くうえでの意識

まずは、働くうえでの意識に関する結果を見ていきたいと思います。

〈図表1(調査1)〉働いていくうえで大切にしたいこと(最大3つまで複数選択/n=679)

Q:あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?

社会人としての基盤となるルール・マナーへの意識は例年同様にトップで、安定しています。
また「挑戦すること」が過去最高を記録したことは、不確実性が高まる時代のなかで、自ら変化に向き合おうとする意識の芽生えを感じさせます。一方で、「あきらめずにやりきること」が過去最低となった点には留意したいところです。挑戦意欲の高まりの裏側で、粘り強さは相対的に薄れている可能性があり、挑戦を奨励するだけでなく、継続することに対するフォローの重要性が示唆されます。

〈図表2(調査2)〉新入社員時代に身につけるべきこと(単一選択/n= 3,033)

Q:新入社員時代に身につけるべきことのなかで、特に重要だとあなたが考えるものを1つ選んでください

働き方やキャリアの多様化が進むなかでも、報告・連絡・相談や主体性、責任感といった基礎的な行動様式は、変わらず重要な土台として認識されていることがうかがえます。

〈図表3(調査2)〉仕事・職場生活をするうえでの不安(最大3つまで複数選択/n=3,031)

Q:あなたが仕事・職場生活をするうえで不安に思っていることは何ですか?

最大の不安が「仕事についていけるか」なのは、不確実性が高まる時代環境やAIの急速な進化を背景に、「自分の能力が通用するのか」という不安を感じやすくなっていることを示しています。

一方、「収入」や「雇用」への不安は低く、近年の初任給引き上げの動きや転職市場の活況により、収入・雇用面での不安は相対的に和らいでいる可能性があります。

こうした結果は、今の新入社員の関心が「経済的な安定」よりも「仕事を通じた成長」にあることを示唆しており、育成施策においては成長実感を早期に持たせる工夫が重要になりそうです。

仕事・職場観の特徴

次に、仕事・職場観の特徴に関する結果を見ていきたいと思います。

〈図表4(調査2)〉仕事をするうえで重視すること(最大2つまで複数選択/n= 3,041)

Q:あなたが仕事をするうえで重視することは何ですか?

新入社員は、「達成」や「金銭」など外からの刺激による動機づけ(外発的動機づけ)よりも、「成長」や「貢献」など、内面的価値観とのつながりを感じることによる動機づけ(内発的動機づけ)が有効であることがうかがえます。
また、「創造」については選択率は高くないものの、前年から最も上昇した項目でした。この傾向が一過性のものなのか継続するものなのかは、今後の注目ポイントです。AIが普及する時代において、自ら新たな価値を生み出すことへの意識が高まりつつあるのかもしれません。

〈図表5(調査1)〉働きたい職場の特徴(最大3つまで複数選択/n=680)

Q:あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?

「お互いに助け合う」の選択率の高さは、図表3で同じく高い選択率であった「仕事についていけるか」という不安の裏返しとして、困ったときに頼れる環境を求めていることがうかがえます。変化が速く、対応の難しさが増す今日のビジネス環境では、成果や成功体験を得ることは容易ではありません。経験が少ない新入社員が大きな不安を持つのは当然と考え、不安を前提とした受け入れ設計や成長支援の仕組みを築いていくことが、結果として成長や成果への近道になっていくでしょう。

〈図表6(調査1)〉上司に期待すること(最大3つまで複数選択/n=676)

Q:あなたが上司に期待することは何ですか?

「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が過去最高になり、また「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は3年連続の上昇となりました。今日の若者は「厳しい指導は苦手」という傾向がありましたが、仕事への不安の高まりを背景に、「何も言われず成長しないことの方がリスク」という捉え方が生まれてきていることがうかがえます。

上司に期待することに見られるこれらの変化も、「仕事についていけるか」という不安が背景にあると考えられます。今日のビジネス環境では、1人で壁を乗り越えていくことはとても困難であり、「お互いに助け合う」という心理的安全性の高い職場風土を土台に、「上司からの丁寧で、成長につながる指導」への期待が見てとれます。

また、上司世代が感じてきた「厳しい」のイメージとは一致しないかもしれませんが、上位にある「丁寧さ」「耳を傾けること」「ほめること」と、成長のために「言うべきことは言う」ことは決して矛盾するものではありません。フィードバックにはさまざまなノウハウが存在し、そうした最新の知恵も取り入れながら、言うべきことを言う技術をアップデートしていくことに今後の関わり方のヒントがありそうです。

〈図表7(調査1)〉理想の職場・上司の過去10年間比較

10年前の2016年と比較すると、新入社員が理想とする職場像・上司像には大きな変化が見られます。かつて重視されていた「活気」「情熱」「厳しい指導」といった要素よりも、「個性の尊重」「助け合う」「丁寧な指導」「よい点はほめる」への期待が高まっています。

上昇項目と下降項目の変化は、効果的な育成のあり方が大きくシフトしていることを示しています。強さを持ち熱量で引っ張るアプローチではなく、一人ひとりの個性と不安に向き合い、安心できる関係性を土台に伴走的に成長を支援するアプローチが、今後の新入社員育成には有効となるでしょう。

なお「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は、10年前との比較において他の項目より減少幅が大きいためピックアップしましたが、近年は3年連続で上昇傾向にあり、今後もこの流れが続くのか注目したい項目です。

今後の育成の方向性

最後に、ここまでの調査結果全体を俯瞰し、今後の育成のポイントと方向性について考えてみたいと思います。

新入社員の調査結果から見える成長意識の変化

今年の結果全体から読み取れるのは「成長への意識の高まり」です。ただ、これは単に「やる気のサイン」というわけではなさそうです。現代は正解のない不確実な時代であり、AIの急速な進化も相まって、「このままで通用するのか」という不安や焦りを感じやすい環境にあります。新入社員の不安として、「仕事についていけるか」が調査項目全体のなかでも最高水準となっています。つまり成長意識の高まりは、「成長したい」という前向きな欲求だけでなく、「成長しなければ」という切迫感や焦りが新たに加わったものと捉え、今後の施策を考えることがポイントです。

職場や上司への期待においては、「お互いに助け合う」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」「言うべきことは言い、厳しく指導すること」が重視傾向にあり、単に「守られる環境」だけではなく、「成長できる環境」を重視する傾向になってきています。これらの傾向は一過性ではなく構造的なものであり、今後は「成長できる環境づくり」が、採用での訴求ポイントにもなり、入社後の育成・定着においてもますます重要になっていくでしょう。

現状の育成施策の成果と課題

では、こうした傾向に照らして、育成の現状はどうなっているかを見てみたいと思います。

まず会社の打ち手として、さまざまな育成制度(OJT制度・メンター配置・コンディション把握サーベイなど)が導入され、環境面の整備が進んできました。新入社員のメンタル不調や早期離職の減少につながっている事例も見られ、一定の成果が出ているものと思います。

一方で、重視されてきている「成長できる環境」という面で見ると、新入社員育成の現場からは多くの悩みや苦労の声が届いています。上司・先輩には成長を支援したい意欲はあるものの、世代間ギャップ・コンプラやパワハラへの不安・多忙さという3つの壁が、現場での育成を阻んでいます。

「問題が起きていないこと」と「成長が進んでいること」は別物です。このままでは肝心の成長が進まないリスクを内在しているともいえそうです。

成長意識の変化を踏まえた、これからの方向性

こうした現状を踏まえ、成長できる環境づくりには何がポイントになるでしょうか。

STEP1として、まずは「安心環境の土台づくり」をすることがポイントです。不安や焦りを抱えた新入社員に対して、いきなり成長を求めるアプローチをすることは逆効果になりかねません。まずは不安を減らし安心して活動できる環境を整えることが、本来の意欲や能力を引き出す前提となります。

ここが整えば、次にSTEP2として成長支援の取り組みになりますが、先に見たように上司頼みの施策は効果を上げにくい構造にあり、「上司頼みからの脱却」をしながらの施策がポイントになります。

具体的な実践のヒントとして、職場全体で育成に関わる「職場ぐるみの育成」は有効です。上司と育成担当者の連携を軸に、職場メンバーを効果的に巻き込んだ育成の取り組みは、負担の分散と育成効果の両方をねらうことができる施策として注目されています。具体的な事例はこちらをご参照ください。

また、新入社員の特徴やコンディションを可視化するアセスメントツールの活用も今日の環境下で役立つアプローチです。上司や育成担当者は、「多くの時間を割かずに新入社員の特徴を理解」でき、「相手の特徴に応じた効果的な育成のヒント」が得られます。世代間ギャップ・パワハラ不安・多忙さのなかでも、成長に向けた関わりが生まれやすくなります。

企業の外を見渡すと、さまざまな領域(スポーツ、芸能、社会起業家など)で、かつてないほど若者の活躍が目覚ましい状況が生まれています。それは、若者の変化を時代の変化と捉え、彼らが持っている強みややる気の源泉を理解し生かすアプローチによって生まれているものです。私たち企業においても、若者の変化に応じたアプローチを取り入れることで、新人・若手の成長を最大限に引き出し、組織としての成長・成果につなげていけるものと思います。

資料での解説はこちら
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若手の本音は『成長しなければ』。ゆるブラック・ホワハラに陥らない定着・成長のポイントとは?
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執筆者

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サービス統括部HRDサービス開発部
トレーニングプログラム開発グループ
主任研究員

桑原 正義

1992年当社入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て2015年より現職。入社以来『個をあるがままに生かす』を探究し、現在は新人若手育成領域での研究と実践に取り組む。NPO法人青春基地(プロボノ)。立教大学経営学部BLP兼任講師。早稲田大学グローバルエデュケーションセンターLDP非常勤講師。

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