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【調査レポート】企業人事が感じる人手不足実態調査2025

2025年現在、75%超の企業人事が「人手不足」を感じている

  • 公開日:2025/10/14
  • 更新日:2025/10/14
2025年現在、75%超の企業人事が「人手不足」を感じている

「人手不足倒産」や「ドライバー不足」「早期離職」など、最近の日本では人手不足に関わるニュースが増えている印象があります。また厚生労働省は、2024年の労働経済白書(令和6年版労働経済の分析)の第Ⅱ部を「人手不足への対応」として、人手不足問題を大きく取り上げました。人手不足は、間違いなく企業課題のキーワードの1つになっています。では実際には、人事部門の皆さんは人手不足をどのように捉え、どういった対策を行っているのでしょうか。今回、私たちは企業人事の皆さん300名を対象に「人手不足調査」を実施しました。全社の人手不足と人事部門の人手不足について質問しました。その分析結果を報告します。

調査概要
人手不足を感じる場面で最も多く選択されたのは、「現場から『人が足りない』と繰り返し相談されるとき」
人手不足の対応策として主流なのは「働き方改革」や「人事制度の見直し」
人事部門も人手不足で、「長期視点で取り組むべきこと」に着手できずに悩むケースが多い
人事部門の人手不足は「長期的改革」に最もネガティブな影響が出やすい可能性がある
まとめ:人手不足感が高まっており、長期的な改革を地道に続けることが鍵

調査概要

調査概要

人手不足を感じる場面で最も多く選択されたのは、「現場から『人が足りない』と繰り返し相談されるとき」

まずは全社の状況について「人手不足を感じているか」を質問したところ、75%超(75.7%)の人事の方が人手不足感を抱えていることが分かりました(図表1)。そのうち、40%程度(39.7%)は以前から人手不足を感じており、36.0%はここ数年、特に人手不足だと感じていました。人手不足は以前から問題ではありましたが、数年前からその実感がより大きくなっているようです。

<図表1>貴社では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

貴社では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

なかでも従業員数100名以上400名未満の企業では「人手不足を感じる」が86.0%に達しており、中小企業の人手不足が顕著です。一方で、従業員数1000名以上の企業でも71.0%と7割を超えており、そのうち「ここ数年特に感じている」割合が43.0%に上っていました。最近は中小企業だけでなく、大企業の人手不足感も強まっていることが分かります。

<図表2>【企業規模別】貴社では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

【企業規模別】貴社では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

次に、「人手不足を感じている」と回答した人事の方に、人手不足を感じる場面について質問しました(図表3)。その結果、最も多かったのは「現場から『人が足りない』と繰り返し相談されるとき」で、46.7%と半数近くに達しました。次に多かったのが「採用募集を出しても応募が集まらないとき」(37.4%)で、この2項目が突出していました。

<図表3>どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

なお、従業員数100名以上400名未満の企業に限ると、「採用募集を出しても応募が集まらないとき」は51.2%に達しており、小規模な企業ほど採用募集に悩んでいる現状が窺えました。他方で、従業員数400名以上1000名未満の企業は「内定辞退や早期離職が相次いだとき」が30.0%と他群よりも高く、内定辞退・早期離職に悩みを抱えがちであることが分かりました。従業員数1000名以上の企業は、「DX化や組織改革のような中長期施策が現場で停滞するとき」が23.9%となっており、大企業の主な課題の1つがDXや組織改革であることが垣間見える結果となりました(図表4)。

<図表4>【企業規模別】どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

【企業規模別】どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

人手不足の対応策として主流なのは「働き方改革」や「人事制度の見直し」

続いて、「人手不足を感じている」と回答した人事の方に、人手不足の対応策について質問しました(図表5)。現在行っている対応策で一番選択されたのは、「働き方改革・制度の見直しを主導する」(32.0%)でした。第2位の「中長期の人員計画・採用計画を立案・実行する」(21.3%)と比べて10ポイント以上多い結果となりました。特に従業員1,000名以上の大企業に限ると、43.0%が行っていると回答しています。

一方、これから行う予定の施策は、突出して比率の高い項目がなく、最も多いのは「行う予定はない」(23.3%)でした。現在は最も多く行われている「働き方改革・制度の見直しを主導する」は、11.3%とむしろ少ない結果となりました。

<図表5>人手不足に対応するために、何を行っていますか。また、行う予定ですか。以下からそれぞれ3つまで選択してください。(3つまでの複数回答)

人手不足に対応するために、何を行っていますか。また、行う予定ですか。以下からそれぞれ3つまで選択してください。(3つまでの複数回答)

また、人手不足の対応で最も感じている課題は、「若手や新卒の定着率が低い」(24.0%)、「採用競争力(待遇・ブランド力)が低い」(23.3%)、「社内で育成・教育の仕組みが整っていない」(21.7%)が項目の中では上位となりました(図表6)。「新人・若手の早期離職」や「採用ブランディング」は、最近よく耳にする人事課題です。ただ、こちらも突出して多い項目はありませんでした。

<図表6>お勤めの会社で、人手不足の対応で最も感じている課題を以下から3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

お勤めの会社で、人手不足の対応で最も感じている課題を以下から3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

人事部門も人手不足で、「長期視点で取り組むべきこと」に着手できずに悩むケースが多い

企業全体の人で不足感とは別に、「人事部門内での人手不足」についても調査しました。その結果、人事の方の60%程度(60.3%)が、人事部門の人手不足を感じていました(図表7)。人事部門でも、やはり人手不足の傾向があるようです。なかでも「ここ数年特に感じている」が34.0%に上り、最近になって課題感が強まっていることがわかります。

<図表7>貴社の人事部門内では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の人事部門の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

貴社の人事部門内では人手不足を感じていますか。お勤めの会社の人事部門の状況について、最もあてはまるものを1つ選択してください(単一回答)。

人事部門の人手不足を感じる場面としては、「日常業務に追われ、評価制度や人事制度の見直し業務が進まないとき」(35.4%)、「採用活動の繁忙期に対応が追いつかないとき」(31.5%)、「人事データの分析・戦略立案に必要な時間やスキルが足りないとき」(31.5%)が30%を超えていました(図表8)。人手不足のために、制度の見直しや人事データ分析などの「長期視点で取り組むべきこと」になかなか着手できずに悩む人事が多い様子が窺えました。

<図表8>どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の人事部門の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

どのような場面で人手不足を感じますか。お勤めの会社の人事部門の状況について、あてはまるものを3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

人事部門の人手不足は「長期的改革」に最もネガティブな影響が出やすい可能性がある

現在行っている人事部門内の人手不足対応策で比較的多いのは、「業務プロセスの見直し・簡素化や業務削減を行う」(24.3%)、「部内メンバーのスキルシェア・多能工化を促進する」(21.7%)、「属人化を避けるため、業務のマニュアル化・標準化を行う」(20.7%)などの取り組みでした(図表9)。その傾向は、今後行う予定の対応策についても同じでした。

一方、「特に何も行っていない」(22.7%)、「行う予定はない」(27.3%)が目立つ結果ともなりました。人事部門内の人手不足にどう対応してよいか、分からずに困っている人事の方が多いのかもしれません。

<図表9>人事部門内の人手不足に対応するために、何を行っていますか。また、行う予定ですか。以下からそれぞれ3つまで選択してください。

人事部門内の人手不足に対応するために、何を行っていますか。また、行う予定ですか。以下からそれぞれ3つまで選択してください。

また、人事部門内の人手不足の対応で最も感じている課題としては、「日常業務に追われて、長期的な改革に手が回らない」(24.0%)が最も多く選択されました(図表10)。これは、図表8で「日常業務に追われ、評価制度や人事制度の見直し業務が進まないとき」が最も多かったことと呼応しているとみることができます。

そのほかには、「人事業務の専門性が高く、外部や他部署に頼りにくい」(20.3%)、「人事経験者を探すのが難しく、短期的な人手補填が難しい」(19.7%)、「人事が『支援部門』として軽視されがちで人員補充の優先度が低くされてしまう」(18.7%)と続く結果となりました。これらは、どのような人事部門も潜在的に抱える悩みではないでしょうか。

特に、「人事業務の専門性が高く、外部や他部署に頼りにくい」については、図表9で「他部署からの一時的な応援体制の構築を行う」が突出して低い(現在行っている9.7%/今後行う予定4.7%)こととも関連しているとみてよいでしょう。人事部門は、人員補充の優先順位が低く、専門性も高いため外部や他部署にも頼りづらい、いざ採用しようとすると経験者探しに苦労する、という特徴があるようです。この特徴に悩まされる人事が多いのではないでしょうか。

<図表10>お勤めの会社の人事部門内で、人手不足の対応で最も感じている課題を以下から3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

お勤めの会社の人事部門内で、人手不足の対応で最も感じている課題を以下から3つまで選択してください(3つまでの複数回答)。

まとめ:人手不足感が高まっており、長期的な改革を地道に続けることが鍵

今回の調査で、多くの企業が人手不足感を抱えていることが分かりました。そして、現在の人手不足の対応策として主流となっているのは、「働き方改革」や「人事制度の見直し」でした。ただ一方で、課題や今後の取り組みは、会社によってさまざまでした。人手不足問題の原因は少子高齢化なども絡むため、根本的な解決が難しい可能性があります。

こうした問題を少しでも解決に近づけるためには、やはり働き方改革や人事制度の見直しをはじめとする長期的改革を地道に続ける必要があるのだと考えられます。そして、これらの長期的改革を力強く推進するためには、人事部内の人手不足の課題解決も鍵となるでしょう(図表10)。

お手元にダウンロードいただける、調査結果のPDF版はこちら

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