調査レポート
人的資本経営・開示に関する現状調査2025
開示義務化から2年、企業規模によって違いが見られる人的資本経営の「重要テーマ」「取り組み施策」とは
- 公開日:2025/06/16
- 更新日:2025/06/16

2023年3月期より、上場企業などを対象に人的資本に関する情報開示が義務化されて以降、各企業における取り組み内容や意識がどのように変化しているのか。昨年も実施した調査を引き続き実施し、経年比較と共に考察を行いました。
調査背景
企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区 代表取締役社長:山﨑 淳 以下、弊社)。
今回弊社では、人的資本経営を捉えるフレーム(図1)をもとに、勤務先で人的資本経営の取り組みに関わっている、または関わる予定の計811名を対象に、人的資本経営に関する現状調査を実施しました。なお本調査は昨年の調査結果との比較も行い、企業の人的資本経営に関する注力点、トレンドを明らかにすることを目的としています。
<調査概要>

<図表1>人的資本経営を捉えるフレーム
注)大手上場企業の統合報告書記載内容を分析し、人的資本経営の構成要素を集約
調査結果のポイント
- 人的資本経営の重要テーマは「人材のパフォーマンスの向上(42.0%)」が一番多く、昨年からの変化が見られた
- 人的資本経営において、最も取り組まれているのは「人事制度(評価・報酬・等級)の見直し(50.4%)」
- 2025年度の取り組みにおいて、最も重要な施策も「人事制度(評価・報酬・等級)の見直し(17.3%)」
- 人的資本経営において重要視するテーマや取り組み施策は、企業規模によって違いが生まれつつある
- これまでの取り組みに加え、動的人材ポートフォリオ、リソースシフト、アセスメントデータの活用に対する関心が高まりつつある
人的資本経営における重要テーマが逆転
人的資本経営における重要テーマは、前回調査時(2024年1月)においては過半数の企業が「人材の獲得・活用」(51.0%)を重要テーマとしており、次に「人材のパフォーマンス向上」(31.4%)でした。今回調査においては、その順位が逆転しており、「人材のパフォーマンス向上」(42.0%)、「人材の獲得・活用」(40.0%)となりました。この傾向は大手・中堅企業に大きく見られます(図2)。
2024 年度の取り組み内容として注力していることは、全体では昨年同様「人事制度の見直し」「新卒・中途採用の強化・見直し」「女性の活躍推進」が上位を占めていますが、すべての項目で昨年対比選択率が低下しています(図3)。
一方で注目したいのは、企業規模別の結果では新しく上位に入っている施策があることです。全体と中堅では「人材ビジョンや人材マネジメントポリシーなどの策定」、中小では「健康経営の推進」、大手では「マネジメント力の強化」がそれにあたります。
2025年度に取り組みたい施策についても興味深い結果が出ています。
全体、中堅、中小においては2024年度に引き続き「人事制度の見直し」「新卒・中途採用の強化・見直し」が上位を占めていますが、大手においては「人事制度の見直し」が4位にランクインするのみで、他の項目は上位5位に入っておらず、1位には「人的資本経営の目的明確化」となりました(図4)。
また2025年度の調査においては、新しく動的人材ポートフォリオ、人材の再配置、アセスメントによる人材の適性把握に関する質問を追加しました。 企業が取り組む予定の施策(または既に取り組んでいる施策)としてこの3つを挙げたところ、3つの項目のなかで最も選択率が低かったのは、中小における「人材ポートフォリオ設計(動的人材ポートフォリオ)に関する取り組み(37.5ポイント)」で、その他いずれの企業規模においても、3つの項目すべてに対して半数近くの企業が「取り組む予定/既に取り組んでいる」として選択しています(図5)。
以上のことから、人材マネジメントの土台となる人事制度の再構築や見直し、新卒・中途採用の強化による必要な人数の確保が一巡・一段落した企業から、徐々に人材の活用およびマネジメントの強化といったテーマにシフトしつつあるトレンドが、特に大手を中心に見て取れます。
加えて、自社にとっての人的資本経営の目的やありたい姿を再設定する動きも見受けられます。このことから、人的資本経営を通じて実現したい状態をあらためて具体的にしたうえで、人材・組織のパフォーマンス向上、戦略実現に向けた体制づくりを加速させていくことが今後の人的資本経営のテーマになるのではないでしょうか。
<図表2>人的資本経営における重要テーマ(単一回答)
Q:あなたの勤務先における「人的資本経営」の取り組みにおいて、最も重要なテーマをお選びください。


前回調査時回答者数(n数) 全体:826名、中小:104名、中堅:361名、大手:361名
今回調査時回答者数(n数) 全体:811名、中小:104名、中堅:346名、大手:361名
<図表3>人的資本経営における取り組み(複数回答)
Q:「人的資本経営」について、あなたの勤務先で具体的に取り組まれているものをすべてお選びください。
注)選択項目は昨年調査時と同一
注)選択率上位5項目を表記

調査時回答者数(n数) 全体:774名、中小:104名、中堅:319名、大手:351名
※回答者によっては本設問に回答していない場合があるため、他の設問よりも回答数が少なくなっています。
<図表4>今後の注力施策(複数回答)
Q:来年度(2025年度)の「人的資本経営」に関する取り組みについて、特にあなたの勤務先で重要となるテーマを3つまでお選びください
注)選択項目は昨年調査時と同一
注)選択率上位5項目を表記

調査時回答者数(n数) 全体:811名、中小:104名、中堅:346名、大手:361名
<図表5>人材活用に対する来年度取り組みたい施策
Q:来年度(2025年度)の「人的資本経営」に関する取り組みについて、以下のテーマを取り組む予定がありますか。既に取り組んでいるものも含めてすべてお選びください。

調査時回答者数(n数) 全体:811名、中小:104名、中堅:346名、大手:361名
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