連載・コラム
成長期のベンチャー企業i-plug、経営陣が“一枚岩”となったCES【前編】
第二の収益の柱づくりを本気で目指す今、既存の主力事業を幹部に任せられるようになったことが大きな成果
読了時間:9分
- 公開日:2026/03/30
- 更新日:2026/03/30
i-plugは、新卒オファー型就活サービス「OfferBox」などで知られる企業です。中野智哉氏(代表取締役CEO)が2012年に設立し、成長を続けてきました。2025年3月期の売上高は5084百万円、社員数は299名(※単体/2025年3月31日時点)に上ります。
創業以来、i-plugは中野氏を中心とする5人の経営体制で進めてきましたが、2022年から専門人材を役員として招き入れるようになりました。現在は創業以来の役員が半分、新たな役員が半分という構成になっています(※取材時は2026年1月)。2024年、中野氏はその役員全員を集めて、弊社のコミュニケーション・エンジニアリング・サービス(以降CES(セス))を実施、その後、創業以来の取締役COO直木英訓氏は自部門でも部長レベル以上を集めてCESを実施しました。
プログラム実施から1年を経た今回のインタビューで、中野氏は「既存事業を幹部に任せられるようになったことがとても大きい」と話してくれました。中野氏はなぜCESを実践され、どのような効果があったのでしょうか。また、経営幹部はどのように変わったのでしょうか。今回CES実践をご支援した鈴木が、中野氏と、創業以来の取締役COO直木英訓氏に伺いました。前後編の2回に分けてお送りします。
●対談者紹介中野智哉氏
株式会社i-plug 代表取締役CEO
直木英訓氏
株式会社i-plug 取締役COO
鈴木欧帆
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ シニアコミュニケーションエンジニア
- 成長期のベンチャー企業i-plug、経営陣が“一枚岩”となったCES【後編】
- 社長が企業買収を断ったエピソードを全員で「追体験」し、結束が強くなった
- 成長期のベンチャー企業i-plug、経営陣が“一枚岩”となったCES【前編】
- 第二の収益の柱づくりを本気で目指す今、既存の主力事業を幹部に任せられるようになったことが大きな成果
- 目次
- 既存役員と新役員の間に生まれた遠慮——「無邪気さ」を発揮できなくなった経営陣
- 出自の違いによって“バラバラ状態”だった役員・部長たちが、CESを通して1つの経営チームに
- 一人ひとりの「微弱な情報」がお互いの距離を縮めるうえで有効だと気づいた
- 後編に向けて
既存役員と新役員の間に生まれた遠慮——「無邪気さ」を発揮できなくなった経営陣
鈴木:中野さんから私たちに依頼があったとき、中野さんは「創業以来の役員と新たな役員の融和」を実現したいとお話ししていました。中野さんは、そもそもどのような問題意識を持っていたのでしょうか?
中野:私たちは2012年の創業以来、5人の役員体制でやってきました。2021年に東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)に新規上場し、2022年からはさらなる成長を目指して、外部から専門性の高い役員を新たに招き入れるようになりました。現在は、創業以来の役員が半分、新たな役員が半分という構成になっています。

しかし、その結果として、昔からの役員たちの「無邪気さ」が出にくくなってしまったのです。私も含めた創業以来の役員5人は、それまでに会社経営の経験などがあったわけではありませんが、振り返って考えると、それがプラスに働いていたのだと思います。私たちは、新卒オファー型就活サービス「OfferBox」という、伸びない方がおかしいような将来有望なビジネスの種を見つけ、無邪気かつ真摯に取り組んできました。そうやって新しいことに次々と楽しく挑戦した結果、私たちのサービスは世のなかに受け入れられたのです。
鈴木:一定の成長を遂げた企業で、成長期にあった活力が薄れつつある、という問題意識を持たれる経営者は少なくありません。私は「無邪気さ」という言葉を聞いたとき、中野さんは商品・サービスを生み出しつづける根本の活力・働き様を見ておっしゃっているのだと捉えました。一方で、事業を成長させるうえで新しい力は必要です。中野さんも、新たな役員は必要性を感じて迎え入れたわけですよね。
中野:そのとおりです。今後、新規事業開発やOfferBoxのさらなる成長を目指すためには、人材ビジネスなどの高い専門性が欠かせません。だからこそ、新たな役員たちに加わってもらいました。しかしその結果、昔からの役員たちが新たな役員たちに遠慮して、「無邪気さ」を発揮する機会が減ってしまったのです。新しい役員たちの知見や経験は確かにすばらしいのですが、彼らの考えがi-plugで100%正解とは限りません。彼らに活躍してもらうためには、例えば80%は彼らの考えを受け入れ、20%はi-plugらしく進める、というようなすり合わせが必要ですが、既存役員と新役員の間にある距離が、それを阻害していました。
私は、このままでは昔からの役員たちも新たな役員たちも、どちらも十分に活躍できなくなると感じ始めていました。そこで、役員全員を“一枚岩”にして皆の力を最大限に生かすために、何か研修を行おうと考えたのです。
鈴木:そこで、2024年に2泊3日の役員向けCESを導入されたのですね。
その後、研修に参加した役員の1人で、売上の9割以上を占める主力事業「新卒事業」のトップを務める直木さんより「自部門でも実施したい」とお声がけいただき、2025年に新卒事業の部長向けに2泊3日のCESを行いました。
出自の違いによって“バラバラ状態”だった役員・部長たちが、CESを通して1つの経営チームに
鈴木:先に「結果」についてお聞きしたいのですが、CESを実施した結果、役員・部長の皆さんはどのように変化し、役員チームや組織はどのように変わりましたか?
中野:一言でいえば、皆が「全体最適」を視野に入れて物事を考えるようになりました。これまでは役員の多くが自分の担当領域の視点から意見を言っていましたが、今は誰もが事業全体を考えたうえで意見を出すようになったのです。
鈴木:主力の新卒事業本部はどう変わったのですか?

直木:例えば、ある部長は、全体業績を高めるためには自部署の人員を他の部署に回すべきではないかと考え、他の部長と話し合って、実際に配置転換に踏み切りました。また、別のある部長は、業績見通しを考え、投資計画を見直して自部門ではなく別部門にヒト・カネの投資を優先させた方がよいと提案してくれました。反対に、ある部門にリソースが割けなくなった際、担当部長は「キツいけれども、全体のために必要なことだ」と踏ん張ることを決めてくれました。
もちろん今も、部長同士で意見が割れることはありますが、そうしたケースでも互いに配慮はしながらも遠慮なしに建設的に話し合うことができていると思います。
中野:私はこのような役員と部長たちの変容を見て、主力事業を直木さんと部長たちに任せられるようになりました。私にとって、これがCES後の最も大きな変化です。
鈴木:既存事業に首を突っ込まざるを得ず、なかなか新しいことにリソースを割けずに悩まれている経営者は少なくありません。i-plug様のこの1年の変化は、次の成長フェーズへの進化に向けて、本当に価値のある変化ですね。

中野:私は今、新規事業開発に集中しており、既存の主力事業にはほとんど関与していません。成長期のベンチャー企業で、創業者が主力事業に関わらないケースはめったにないはずです。それを可能にした大きな要因の1つは、CESでした。
一人ひとりの「微弱な情報」がお互いの距離を縮めるうえで有効だと気づいた
鈴木:主力事業を幹部に任せられるきっかけとなった2024年11月の役員向けCES、2025年8月の新卒事業幹部向けCES(2泊3日)について(図表1)、その感想をお聞きできればと思います。
なお、今回実施したCES「自己発見・探索プログラム」は、いわば「参加者が自分を味わい、同志を味わう」時間です。最初に、参加者一人ひとりに、自分史や自らの喜怒哀楽、やりがいの源泉などを探索し、自己を再発見してもらいます。次に、お互いの成功体験や行動原則をめぐって交流し、共に学ぶ同志を味わってもらいます。そのうえで、各自があらためて自らの未来を考え、一人ひとりが次に一歩踏み出す課題を設定するのです。ポイントは、仲間たちと交流する際に、「徹底的に相手の立場に立って追体験する」ことです。お互いの生き様や考え方を見つめ合い、深く知り合うことによって、単に仲が良いのではなく、全員が心から信頼し合えるチームをつくることを目指すプログラムです。より詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
<図表1>CES(自己発見・探索プログラム)

中野:一言でいえば、やってよかったです。役員全員が一人ひとりの生まれ育ちやストーリーをお互いに知ることで、実施前よりも皆の距離が明らかに近くなりました。特に印象的だったのは、一人ひとりの「微弱な情報」がお互いの距離を縮めるうえで有効だということです。微弱な情報とは、例えば「ある役員がまるで少年マンガの主人公みたいなキャラクターだと分かった」とか、「ある優秀な役員が幼い頃はコンプレックスを抱えていて努力の末に今のようになった」とか、普段の仕事には直接関係してこない個人的な情報のことです。
微弱な情報を通じて、実は人間味あふれる人なのだ、と皆の認識が変わった役員もいました。こういった部分にこそ、その人らしさが出るのです。役員全員で無邪気に話し合うためには、このような情報をお互いに知ることが極めて大切なのだ、という気づきを得ました。

鈴木:だったらインフォーマルな機会を創ればいいじゃないか、と言われるお客様も多いのですが、実はそんな簡単なことではないですよね。
中野:もちろん、飲み会でこうした話をすることはあります。しかし、役員全員が居酒屋に集合して、誰かの個人的な好みなどを話し合うというのは現実的ではありません。このような研修の場だからこそ、全員がお互いの微弱な情報をはっきりと共有できたのです。
直木:私自身は、皆に「自分らしさ」を見つけてもらい、自分のことを認識してもらえたと感じています。その結果、役員の仲間たちとこれまで以上に安心して関われるようになりました。
また、私は今回のCESによって、自分自身が解き放たれた感覚がありました。私は創業以来の経営陣の1人として経営未経験で参画し、常に迷いながら進んできたので、自分の経営手法には、いつもどこか自信がありませんでした。しかし今回、自分がこれまでやってきたこと、できたこと・できなかったことをあらためて振り返り、自分史に自信を持てるようになったのです。自分らしく経営に取り組んで、それなりの結果を出してきたじゃないか、と前向きに捉えることができました。そのおかげで、これからも自分のできることを自分らしくやればよいのだと吹っ切れて、元気になり、動きやすくなり、肩の荷が下りました。

私は「新卒事業」のトップを務めているのですが、その事業の幹部メンバーにも、私と同じような体験をしてほしい、そして役員チームと同じように自事業のチームも変えたいと思いました。そこで、新卒事業の幹部メンバー11人で「自己発見・探索プログラム」を実施しました。その結果、先ほど中野がまさに話したように、このチームも全体最適を視野に入れて議論できるチームになったのです。
鈴木:蓋をあけてみれば、i-plugに集まった役員・部長の皆さんは、根底では無邪気な自分らしさを持っている人でしたね。一度、そのようなことが場に出されてしまえば、堰を切ったようにお互いがお互いの“その人らしさを再発見すること”を楽しんでいたのが印象的でした。本来持っていたエネルギーが解放され、熱と、何を言っても安心だという空気が醸成されていきました。
後編に向けて
前編では、i-plug様がCESを導入された理由や、既存役員と新役員の距離を縮め、役員たちが持つ本来の「無邪気さ」を取り戻すまでの取り組みについてお聞きしました。後編では、「社長が企業買収を断ったエピソード」を皆で追体験したことがいかに結束を強め、経営陣がチームとして固まっていったのかを詳しくお聞きします。併せて、“CESの第二のポイント”についても詳しく紹介します。
CESのサービス紹介資料をご用意しています。
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この機会に是非ダウンロードください。
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