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人事評価制度とは? 役割や重視すべきポイントを解説

  • 公開日:2025/05/26
  • 更新日:2025/05/26

多くの企業で人事評価制度が導入されていますが、効果的な運用はできているでしょうか。評価が適切に行われることで、従業員のモチベーションや業績向上に繋がり、組織全体の成長が促進されます。一方で、評価基準や評価方法の不透明さが、従業員の不満を生む原因となっていることもあります。人事評価制度に興味のある方は参考にしていただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

人事評価制度の概要

人事評価制度は、従業員の能力やパフォーマンスを評価するための制度です。本節では、人事評価制度の概要と、同じく評価に関連する「人事考課制度」との違いについて解説します。

人事評価制度とは

人事評価制度とは、従業員の成果や努力、能力を評価する制度です。この制度は、従業員一人ひとりの事業への貢献度を公正に測り、組織全体のパフォーマンスを向上させるために活用されます。人事評価制度は、等級制度、評価制度、報酬制度が連携して従業員の成長を支援し、組織全体の目標達成を促進します。

人事考課との違い

人事考課と人事評価は似たような意味で使われることがありますが、目的が異なります。
人事評価:従業員の成果や努力、能力を一定の基準に基づいて評価すること
人事考課:従業員の成果や努力、能力を評価し、処遇や配置を決定する一連のプロセス

人事評価制度の役割と目的

人事評価制度は、企業の成長と従業員の能力向上を促進する重要な手段です。公平な評価を通じて、従業員のモチベーション向上や組織目標の達成に貢献します。継続的な人材育成を支援し、企業全体の生産性向上に繋がります。

公正な成果・努力・能力の評価

人事評価制度の基本的な役割は、従業員の成果、努力、能力を公正に評価することです。透明性のある評価基準を設定することで、従業員は自身の成果が正当に評価されていると実感できます。成果評価では目標達成度を数値化し、努力や能力の評価を通じて、個人の貢献を認識できます。

従業員のモチベーション向上

公正な評価は、従業員のモチベーション向上に直結します。公正で透明性の高い評価体系を確立することで、従業員が感じる不公平感を解消し、自己成長への意欲を高めます。適切な評価とフィードバックが、従業員と企業の信頼関係を深め、エンゲージメントを強化します。また、評価は上司と従業員の双方向のコミュニケーションを促進し、双方が主体的に関わることで、組織全体のモチベーションを向上させる重要な役割を果たします。

組織目標達成への方向性の提供

人事評価制度は、組織全体の目標にリンクさせる役割を持っています。評価基準が明確であり、上司との納得できる対話を通じて、従業員は自分の役割と組織の目標との関係を理解しやすくなります。これにより、従業員が目指すべき方向性が明確となり、組織全体の一体感を持った目標達成へと繋がります。

人材育成の促進

人事評価制度は、従業員の成長とキャリア形成を支援する重要な役割を果たします。評価を通じて、従業員がどのようなスキルやノウハウを身につけるべきかを伝えることで、育成計画が具体的に策定され、成長を促進します。このプロセスは、現場における指針として機能し、従業員のキャリアアップにも繋がります。

人事評価制度で重視すべきポイント

人事評価制度は、企業の成長に欠かせない要素ですが、その導入や運用にはいくつかの課題があります。以下では、人事評価制度で重視すべきポイントについて解説します。

多様な働き方に対応した評価基準の見直し

テレワークやフレックス勤務の普及にともない、従来の評価基準では新しい働き方に十分対応できないという課題があります。特に、テレワークでは従業員の主体性や自律性が求められるため、オンラインでのコミュニケーション能力や自己管理能力を評価基準に加えることが重要です。評価基準の見直しを行い、多様な働き方に適応した柔軟な評価方法を取り入れることが求められています。

評価方法の幅広い選択肢

人事評価制度にはさまざまな評価方法が存在します。従来の上司による評価に加えて、360度評価や部下から上司を評価する制度なども注目されています。これにより、評価がより多面的なものとなり、従業員一人ひとりの強みや改善点を多角的に把握することが可能になります。企業の状況や従業員の特性に最適な評価方法を選び、柔軟に対応することが大切です。

フィードバックの透明性と一貫性の確保

人事評価制度において、従業員に対して透明で一貫性のあるフィードバックを提供することが重要です。事前に評価基準を明確にし、「何を評価するのか」を従業員に伝えることで、評価基準が具体的な目標設定に結びつき、モチベーションの向上を促進します。評価基準に対する納得感を高め、評価に対する不公平感や不満を解消できます。

人事評価制度の仕組みと機能

人事評価制度は、企業の成長と従業員のモチベーション向上に活用される仕組みです。従業員の能力や貢献度を公正に評価し、企業の目標達成と個人のキャリアアップを両立させるための基盤となります。

等級制度

等級制度は、従業員の能力、職務、役割を明確化し、組織内での成長パスを示すものです。等級制度があることで、従業員は自分がどの段階にいるのか、そして次のステップに進むためにはどのようなスキルや経験が必要なのかを理解できます。
等級制度は、主に以下の3つのタイプが用いられています。
職能資格制度:職務を遂行するなかで積み重ねられるスキルや能力に基づいて評価を行う
職務等級制度:勤務年数や雇用形態に関係なく、担当する業務内容に応じて評価を行う
役割等級制度:従業員に与えられた役割や責任に基づいて評価を行う

評価制度

評価制度は、従業員の能力や企業への貢献度を測るための仕組みです。評価は、等級制度や報酬制度と連動しており、従業員の給与や昇進に直接影響を与えます。評価項目は、売上や利益などの「定量的」な目標と、提案力や積極性といった「定性的」な目標の2つを設定することが一般的です。目標設定の際には、従業員と上司が協力して、具体的で達成可能な目標を設定することが重要です。また、評価結果は従業員の成長を促すためのフィードバックとして活用されることが望ましいです。

報酬制度

報酬制度は、評価制度の結果に基づいて、従業員に報酬を支払う仕組みです。報酬は、給与や賞与などの金銭的なものだけでなく、研修機会の提供や社内表彰などの非金銭的なものも含まれます。報酬制度を設計する際には、従業員のモチベーションを高め、企業への貢献意欲を向上させることを目的とすることが重要です。そのためには、報酬がどのように決定されるのかを明確にし、従業員が納得できるような透明性の高い制度を構築する必要があります。

人事評価の方法

人事評価制度にはさまざまな手法があり、企業の文化や目標に応じて最適な方法を選択することがカギです。ここでは、代表的な4つの評価方法について、それぞれの特徴と導入のポイントを解説します。

MBO(目標管理制度)

MBO(Management By Objectives:目標管理制度)は、従業員一人ひとりが自ら目標を設定し、その達成度に基づいて評価を行う方法です。目標設定には、上司と部下が密にコミュニケーションを取ることが重要です。企業の目標と個人のキャリアプランをすり合わせ、目標達成に向けた具体的な道筋を明確にします。従業員が目標達成のプロセスを自ら管理するため、責任感と自律性が養われ、モチベーションが高まります。定期的な進捗確認とフィードバックを行うことで、目標達成に向けた課題や改善点を早期に発見し、必要な修正を加えることが可能です。

OKR(目標と成果指標)

OKR(Objectives and Key Results:目標と成果指標)は、企業やチーム全体の目標(Objectives)と、その達成度を測るための具体的な指標(Key Results)を設定し、進捗を管理するフレームワークです。MBOと似た仕組みを持つOKRですが、より高頻度で目標を見直し、変化するビジネス環境への柔軟な適応を促します。OKRを導入することで、組織全体の目標に対する理解が深まり、従業員が一体感を持って業務に取り組むことが可能になります。

360度評価

360度評価は、上司だけでなく、同僚や部下、さらには顧客など、さまざまな立場の関係者から評価を受ける方法です。このアプローチにより、単一の評価者による偏りを排除し、多角的な視点から従業員を評価できます。360度評価を活用すると、従業員の強みや改善点をより客観的に明確にでき、自己認識の向上にも繋がります。しかし、評価者の主観や人間関係が評価に影響を与えるリスクがあるため、評価基準をしっかりと明確化し、評価者に対するトレーニングが重要です。

コンピテンシー評価制度

コンピテンシー評価制度は、従業員が高い成果を上げるために発揮する行動特性(コンピテンシー)を基に評価を行う方法です。コンピテンシーには、問題解決能力、リーダーシップ、コミュニケーション能力など、成果に結びつく行動特性が含まれます。コンピテンシー評価を導入することで、従業員の潜在的な能力を引き出し、育成に繋げることが可能になります。また、評価基準が明確化されることで、従業員は自らの成長を実感しやすく、納得感が高まります。

テレワーク環境下での人事評価

テレワークの普及により従業員の働き方は多様化していますが、従業員の成果や成長を公平かつ納得感のある形で評価し、モチベーションや組織成果に繋げるという、評価制度の基本的な目的は変わりません。一方で、職務の特徴によっては、テレワークになったことで評価の納得度が下がったというデータもあり(参考:テレワーク環境下における人事評価に関する意識調査)、テレワーク環境下において公平で納得感のある評価を実現するために、評価制度の基本的な枠組は維持しつつ、以下のように運用方法を見直すことが必要になる場合もあります。

明確な評価基準を共有する

テレワーク下では、上司が部下の仕事ぶりを日常的に観察しにくくなり、誰がどの業務をどの程度担当しているのかが見えづらくなります。評価する側の視点が不十分になることで、評価基準が担当者ごとにぶれやすくなり、公平性や一貫性が欠けてしまう恐れがあります。その結果、従業員にとっても「何を頑張れば評価されるのか」が曖昧になりがちです。
このような課題を解消するには、評価基準を明確にし、それをメンバーに共有することが必要です。明確な基準が共有されることで、従業員は自身の目標や評価のポイントを理解しやすくなり、テレワーク下における人事評価への納得感を高めることに繋がります。

成果とプロセスの両面を評価する

テレワーク環境では、業務プロセスが見えにくくなり、成果のみが評価対象となることが少なくありません。成果主義は昨今、働き方が多様化するなかで再び注目されています。成果主義の正しい運用には、結果だけでなく、その過程や背景にも目を向けた評価が必要です。成果とプロセスの両面が評価されることで、従業員は納得しやすくなり、満足度や仕事への意欲向上が期待できます。また、こうした評価を実現するには、上司と部下の対話が欠かせません。テレワーク下でも十分なコミュニケーションを確保することで、評価への納得感と業務意欲を引き出しやすくなります。

評価の透明性を向上させる

テレワークによって従業員の働きぶりが見えにくくなるなか、ITツールの活用は、評価の透明性や納得感を高める有効な手段としてお薦めです。なかでも、クラウド型の人事評価システムを導入すれば、評価データや目標設定、評価プロセスを一元管理できるようになり、評価の「見える化」にも繋がります。さらに、評価者ごとの傾向分析や勤怠システムとの連携により、評価のばらつきを防ぐ仕組みも構築できます。画面共有機能を活用すれば、上司と従業員が同じ情報を見ながら評価内容をすり合わせることもでき、相互理解の促進にも役立ちます。評価基準やプロセスが明確になることで、従業員の不公平感や不信感が軽減され、透明性の高い評価が実現しやすくなります。

まとめ

人事評価制度は、従業員の成長と組織全体のパフォーマンス向上に欠かせない制度です。公正で透明性のある評価基準を取り入れることで、モチベーションを高め、成果を持続的に向上させることが可能です。テレワーク環境においても、評価基準や運用方法の見直しを行うことで、従業員一人ひとりの成長を支援し、企業全体の発展を促進できるでしょう。

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