用語集
アンラーニングとは? 必要である理由や企業が推進するメリット、具体例を解説
- 公開日:2024/12/20
- 更新日:2024/12/20
移り変わりが激しい現代において、状況に合わせて価値観や考えを常にアップデートしていくスキルが必要です。本記事では、既存の価値観を見直して新たな知識やスキルを習得する「アンラーニング」について解説。あわせてアンラーニングを企業が推進するメリットや、効果的な推進方法も紹介します。
アンラーニングとは
アンラーニング(unlearning)とは、現在の状況に合わなくなった既存の価値観を見直して、新たな知識やスキルを習得することです。「学習棄却」と呼ばれることもあります。
学んだことをただ忘れるのではなく、脳のワーキングメモリから一時的に外して知識を活用しない状態にすることが特徴です。つまり、必要なタイミングがあれば知識を再度取り出して、活用できる状態を目指すということです。
リスキリングとの違い
アンラーニングと似た言葉に、リスキリングがあります。アンラーニングは現状に見合わない価値観や習慣を捨て、新しく見合うものに入れ替えることです。新しい環境やルールに適応できるように、現在自分が持っている知識や価値観を取捨選択していく必要があります。
一方でリスキリングは、業務で必要な新しいスキルを習得することです。過去に学んだ知識や価値観はそのままに、取捨選択を伴わず新しいスキルを追加する点でアンラーニングとは異なります。
アンラーニングが必要である理由
現代はVUCAの時代と呼ばれており、未来の見通しが難しい複雑な状態です。インターネットの普及や経済のグローバル化が進むなかで、日々新しい技術や概念が生まれています。
また新型コロナウイルス感染症の流行や生成AIの発展など、あらゆる物事が急速に変化していくなかで、従来の価値観やスキルにとらわれていては柔軟に対応することができず、結果的に退化につながる可能性もあります。
トレンドに敏感な20代でも、早ければ数年で自身の知識・経験が時代遅れのものになることもあるでしょう。そのためアンラーニングにより知識や経験・価値観の取捨選択を行い、アップデートをして柔軟に対応できるように変化していく必要があります。
アンラーニングを企業が推進するメリット
アンラーニングを企業が推進するメリットは、主に以下の4点です。
人材育成につながる
企業がアンラーニングを推進することは、人材育成につながります。社歴が長いベテランの従業員に対して、何か新しいことを学ぶ際に消極的な様子で困ったことがある企業もあるでしょう。
過去の成功体験やこれまでの慣習をアップデートする機会がないために、成長を妨げていることもあるかもしれません。アンラーニングを推進すれば、若手からベテラン従業員まで新しいアイディアや突破口を掴むきっかけになります。
業務が効率化する
アンラーニングの推進により業務の進め方が見直されると、業務効率化につながる点もメリットの1つです。知識や価値観の見直しは業務フローを変えるきっかけになるため、結果的に業務を効率化できる可能性があります。例えば現状に見合わない書類ベースの業務環境を見直して、新たな手法やITシステム等を導入するのもアンラーニングによる効果といえるでしょう。
これまでのやり方に慣れている従業員のなかには、仕事の進め方が変化することに抵抗がある従業員もいるかもしれません。また、本当は必要ないのに続けている慣習もあるでしょう。アンラーニングは今までの否定ではなく、成長の機会である旨を伝えながら進めていくことが大切です。
変化に強い組織がつくれる
アンラーニングを推進することで従業員の視野が広がれば、時代に合わせて柔軟に変化する力を身につけられます。例えば新しいビジネスを展開する際や技術の発展があった際も、柔軟に適応していくことができるでしょう。
従業員の変化により結果的に業績が向上し、さらなる従業員満足度の向上につながることも見込まれます。組織の風通しが良くなれば新たなアイディアも出やすくなるため、変化に強い組織をつくることは企業にとって大きなメリットを生むでしょう。
従業員の意識改革に役立つ
従業員の意識改革に役立つのも、アンラーニング推進のメリットです。歴史が長い企業ほど、これまでの風土や経験を重視する風潮が根付いているかもしれません。アンラーニングは価値観や思考を見つめ直す機会になるため、変化に抵抗がある従業員も従来の考えを捨て、新しい学びを受け入れる体制をつくりやすいのです。
アンラーニングを効果的に推進する方法
続いては、アンラーニングを効果的に推進する方法を4つのステップに分けて解説します。
従業員の内省を促す
アンラーニングの初めのステップは、従業員個人で内省を行って自分の考えや価値観を見つめ直すことです。自身の経験や知識を整理し、「古い」と感じるものは捨てていきます。この際、日々の成功や失敗について記録していく方法が有効です。アウトプットをしながら内省することで、従業員自身が気づかなかった価値観や信念を見つけることができるでしょう。
取捨選択する
内省した考えや価値観を整理し、取捨選択を行うのが次のステップです。取捨選択は、チームメンバーや上司が一緒に行うのがお薦めです。他者の考えや価値観と照らし合わせながら、客観的な意見も考慮して「捨てるべきもの」を慎重に選択していきます。時代や現状に見合わない価値観を捨て、必要なものを残す段階です。
内省を行う際は、自身の強みに目を向けることも大切。自身の失敗や苦手なことだけでなく、どうして成功できたのかも考えるとより効果的です。
学ぶ機会を設ける
考えや価値観の取捨選択ができたら、次は研修やワークショップを通して従業員が学びを深め、新しいスキルや価値観に気づき、習得するための機会を提供しましょう。社内のメンバーだけでなく、外部の交流会やワークショップ・コーチングなどの機会も活用するのがお薦めです。違う文化を持つ人と交流する機会を得ることは、新しい学びの機会にもつながるでしょう。
振り返り・フィードバックを行う
最後に、学びを見つめ直すフィードバックの機会を設けます。上司との面談を通して、従業員自身が捨てた価値観や知識・新たな学びを整理していきましょう。「なぜうまくいったのか」「なぜ失敗したのか」など具体的にヒアリングすることで、より深い内省を促すことができます。
なおアンラーニングは、一度行うだけでは期待通りの効果を得られない可能性があります。何度も繰り返し行うことで、結果に結びついていくでしょう。
アンラーニングを企業が導入する際の注意点
次に、アンラーニングを企業が導入する際に注意するべきポイントを解説します。
モチベーションが低下する場合がある
アンラーニングを行う過程でこれまでの考えや価値観を客観的に考え直すため、従業員のなかには「自分を否定されている」と感じるメンバーがいたり、自分を責めたりすることがあるかもしれません。
とくに、従来の価値観を捨てるには大きな勇気が必要です。従業員が自己批判を行わないよう「内省はこれまでの否定ではなく、成長のために必要である」という点を、根気強く伝える必要があるでしょう。
チーム・組織単位で行う
アンラーニングにより新しい価値観や考えを取り入れた結果、業務の進め方を変える場合もあります。1人だけ業務の進め方を変えると、他のメンバーの業務に支障が出る可能性があるため、社内で情報共有をする目的もかねてチームや組織単位でアンラーニングを推進するのがお薦めです。
チームや組織単位でアンラーニングを行う際は、業務効率化を妨げている課題を整理してから行うと効果的に進められるでしょう。
他部署や異業種も交える
他部署や異業種のメンバーも交えながら、アンラーニングを行うのもポイントです。自分の組織にはない視点を学べるため、従業員個人ひいては組織全体の成長につながる可能性があります。また、さまざまな人を交えながらアンラーニングを行うことで、業務上の連携が取りやすくなるのもメリットです。
まとめ
アンラーニングを活用することで、従業員の凝り固まった価値観や社内の古い慣習が見直され、人材育成や業務効率化の推進につながる可能性があります。アンラーニングを取り入れる際は、従業員のモチベーション低下に配慮しながら異業種も交えて行うと良いでしょう。
なお、メンバーの成長を支援する1on1ミーティングは、アンラーニングの推進に重要な役割を果たします。下記の研修では、1on1ミーティングの必要性や効果的に進めるためのコーチングコミュニケーションスキルについて学べます。従業員のモチベーションを高め、効率的にアンラーニングを行うヒントが得られますので、ぜひ活用してみてください。
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