用語集
リスキリングとは? DX化で注目される理由と意味を分かりやすく解説
- 公開日:2023/06/20
- 更新日:2024/10/03
リスキリングとは、業務において必要なスキルを獲得することを指します。欧米では2016年頃から取り組まれており、日本においては政府がリスキリングへの取り組みを呼びかけている状況です。
リスキリングはデジタル分野での学び直しと考えられがちですが、デジタル分野に限らず市場のニーズがあるところに学びの対象があります。近年ではGX(グリーントランスフォーメーション)の普及にともない、「グリーンリスキリング」が注目されており、欧州では石油や電力などのクリーンエネルギー分野におけるリスキリングも推進されています。
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リスキリングとはどのような意味?

リスキリングが注目を集めている理由
リスキリングに多くの企業が関心を寄せる理由の1つとして、上記で挙げたGXのほかにDX化が挙げられます。DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、直訳すると「デジタル変革」という意味です。
DXでは、AIやIoT(Internet of Things)、ビッグデータなどのデジタル技術を使って業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出などを行うため、それらに必要となるスキルをリスキリングとして新たに求める企業が増えてきています。
なお、リスキリングに関しては、新たな業務を行うためのスキルだけでなく、既存業務で用いるスキルを強化するニーズも高まっています。
リカレント教育との違い
リカレント教育とは「社会人が、大学などの教育機関で学び直すこと」です。一方で、リスキリングは「企業が、従業員に新しいスキルを獲得してもらうために研修や業務などを通して学んでもらうこと」です。そのため、リスキリングとリカレント教育の違いは「企業主体か、個人主体か」という部分にあります。リカレント教育は「自分のスキルアップをする」という個人主体であることが多く、学習も大学などの教育機関で行います。
生涯学習との違い
生涯学習とは「人生を豊かなものにするために、生涯にわたって幅広い分野の事柄を学んでいくこと」です。学習する内容は、教育機関での勉強やスポーツ、ボランティア活動、文化的な活動、趣味など多岐にわたります。リスキリングでは業務に必要なスキルを習得するために学習しますが、生涯学習は学習する内容が限定されないという特徴があります。
アンラーニングとの違い
アンラーニングとは「既存の知識や経験などを捨て、新しい知識やスキルを習得すること」です。「学習棄却」とも呼ばれています。テクノロジーが進化し、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化する今の時代では、これまでと同じやり方では通用しません。そこで自分の持つ知識やスキルのうち、今の時代に合わないものは一旦忘れ、代わりに新しいものを取り入れようという考え方です。新しいスキルを得るという点ではリスキリングと似ていますが、「古い知識を意識的に捨てる」という点が特徴です。
リスキリングを行うメリット
企業において、リスキリングは時代の変化に対応するため欠かせません。ここでは、リスキリングに取り組むことで得られるメリットを紹介します。
業務効率化
従業員がリスキリングにより最新のデジタル技術を習得すれば、企業は新たな技術の導入を推進できます。社内で新技術の導入が進めば、既存業務の効率化に加え、正確なデータ分析やデータの一元管理が可能になります。
〇リスキリングによる業務効率化の例
- 業務フローの改善
- 業務の自動化、効率化
- 正確なデータ分析
- データの一元管理
業務効率化が実現すれば、新しい業務に時間を費やせるほか、残業が減り残業代の削減や従業員のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の改善が見込めます。リスキリングは、企業と従業員の双方にとってメリットがあるといえるでしょう。
新しいアイディアの創出
リスキリングにより従業員がスキルを習得することで、今までにない新たなアイディアが創出されることもあります。新しいアイディアが社内で生まれることにより、売上の向上はもちろん、既アイディアおけるマンネリ化の解消にもつながるでしょう。
このように、変化が激しい現代でも、リスキリングにより時代に合わせたスキルや知識を獲得することで企業を成長させることが可能です。リスキリングに取り組むことで、時代に取り残され、経営が悪化することを防ぐ効果が期待できます。
採用コストの削減
少子高齢化により労働人口が減少していることで、企業においては採用の難易度が上がっています。DX人材を外部から確保する場合、大きな採用コストが発生する状況です。
そこで既存の従業員をリスキリングすれば、社内異動で必要な人材を用意でき、採用コストを削減できます。外部から人材を確保するのに比べ、既存の従業員のリスキリングは時間がかかります。しかし、リスキリングにより既存の従業員を新しい事業の戦力にすれば、従業員が幅広く活躍できるようになり、キャリアアップもできるため、結果的に定着率の向上につながる可能性もあるでしょう。
さらにリスキリングに注力している企業であることをアピールできれば、採用の際、スキルアップへの意欲が高い優秀な人材を獲得しやすくなると考えられます。
既存業務を継承したまま成長が可能
既存の従業員がリスキリングに取り組めば、既存業務のノウハウなどを継承した形で事業展開を目指すことも可能です。既存の従業員は既存業務に関するやり方を熟知しているため、新規事業を立ち上げる際に既存事業とのスムーズな連携が行えます。
企業でリスキリングに取り組む際のステップ

企業でリスキリングに取り組む際には、以下の4つのステップを用います。
ステップ1:自社のリスキリング定義設定
リスキリングに取り組む前に、まずは自社における今後の経営戦略と照らし合わせ、それと連動した人事戦略を決めることが大切です。そのうえで、その人事戦略を行うためにはどのような人材とスキルが必要かを検討します。現状(As is)と理想(To be)の要員計画からギャップ分析を行うとよいでしょう。
分析の結果、今後必要になると考えられるスキルが現状としてない部分をリスキリングの対象にします。
ステップ2:リスキリングの必要性の理解
リスキリングの必要性を社内で高めるためには、経営層から学びの機会に合わせてその学習に関する情報を周知しましょう。
スキルを身に付ける際、その従業員には負荷がかかります。そのため、従業員にはリスキリングに取り組むことで自身のキャリア展望が開けることをあらかじめ認知させ、従業員本人に取り組みたいという意志を持ってもらうことが大切です。
なお、就業時間外でのリスキリングは従業員のやる気を損なうおそれがあるため、就業時間内に学習時間を設けるようにしましょう。
ステップ3:リスキリングのコンテンツ・実践機会の提供
従業員がリスキリングに取り組む際には、効率よくスキルを習得できるようなコンテンツを考えることが大切です。コンテンツの質の高さはもちろん、習熟度を高められる構成や順番になるよう配慮しましょう。
リスキリングの方法には、研修やオンライン講座、社会人大学などさまざまな種類があります。自社でコンテンツを用意できない場合は、外部の人材を講師にしたり、外部ベンダーのコンテンツを利用したりする方法を検討しましょう。幅広い学習方法を用意することで、従業員は自分に合った方法を選んで学習できるようになります。
従業員自身の自己学習だけでリスキリングを完結させるのでなく、組織全体で学習支援を行う体制を整えて教育効果を高めるのがコツです。面談や育成ツール、課題チェックシートを活用してリスキリングを推進し、効果を高めていきましょう。
ステップ4:学習を習慣化させる風土づくり
リスキリングで学習して習得したスキルはそのままにせず、実務で実践してもらうようにします。そして実践で得られたノウハウや教訓は組織内で共有し、従業員同士でも定期的に相互フィードバックが行える環境にすることが大切です。このようにリスキリングで得たスキルの実践やフィードバックが根付かせることは、社内において学習が習慣化する企業風土の醸成にもつながります。
リスキリングを行うデメリット・注意点
リスキリングは、企業にとってデメリットもあります。主な2点を紹介しましょう。
企業や従業員に負担がかかる
リスキリングでは、企業が従業員に対し、研修やオンライン講座といった学びの場を提供する必要があります。外部の講師に依頼したり、セミナーへの参加費用を負担したりするなど、金銭的な負荷がかかるケースもあるでしょう。また就業時間内に行う場合、それまでの業務が圧迫されるなど、従業員にとって時間的な負担もかかるでしょう。
従業員のモチベーション管理が必要
新しい知識やスキルを習得するには、時間や労力がかかります。従業員のなかにはストレスを感じる人もいることでしょう。人によって習熟度が異なるため、思ったように知識やスキルを習得できず、モチベーションが下がる従業員も出てくるかもしれません。また習得しても「実務で生かす場面がない」というケースも。そうなると「勉強しても意味がない」と感じ、学びへの意欲は低下してしまいます。
リスキリングに取り組む際には、こうしたデメリットを解消するための対策が必要となるでしょう。
リスキリングに取り組む際のポイント
ではリスキリングの導入には、どのような点に気をつければいいのでしょうか。ポイントを4つ紹介します。
従業員に必要なスキルを選定してから行う
リスキリングで学ぶスキルは、経営戦略を実現するためのものでなければいけません。自社の目標と現状を照らし合わせて、必要なスキルを明確にしましょう。そのうえで従業員が持つスキルを洗い出し、自社が必要とするスキルとのギャップから、習得すべきスキルを選定します。従業員のスキルはスキルマップやデータベースで管理すると運用しやすいでしょう。
無理なく取り組める体制を整備する
リスキリングを導入すると、担当部署や現場に負担がかかります。負担を軽減し、無理なく取り組めるような体制を整えることが大切です。リスキリングの必要性を従業員全員に理解してもらい、企業全体で協力体制をつくりましょう。リスキリングに取り組む人へのインセンティブを設けるなど、モチベーションを維持するための仕組みを作るのも有効です。
従業員が主体的に取り組める環境を作る
リスキリングで学習するのは、従業員です。従業員自身の意思がなければ成功しにくいでしょう。そのため従業員が主体的に自身のキャリアを考え、そのキャリアに向かって学べる環境を整えることが重要です。業務内での困りごとや改善したいことなどを従業員に聞き、その内容から適切なスキルを選んでリスキリングに取り組むことで、企業にも従業員にも満足のいく結果が得やすくなるでしょう。
外注も視野に入れて取り組む
リスキリングの内製化が難しい場合は、外部に依頼することも方法の1つです。特にリスキリングに使用するコンテンツの作成は、既存の知識や経験が生かせないこともあり、スムーズに進まないケースもあります。その場合は、社外リソースの活用も検討するとよいでしょう。
まとめ
リスキリングとは、業務において必要なスキルを獲得することを指します。企業においてDX化を推進する際には新たなデジタルスキルが必要となるケースが多く、既存の従業員に新たなスキルを習得させる手段として、多くの企業がリスキリングに関心を寄せています。
リスキリングに取り組むと、DX化の推進による業務効率化はもちろん、新たなアイデアの創出が期待できる点がメリットです。また、DX人材を外部から確保する場合、採用コストが大きくなりがちですが、既存の従業員をリスキリングすれば、採用コストを削減できます。さらに、既存の従業員なら既存業務を熟知しているため、新しい技術を既存事業とスムーズに連携させられるのもメリットです。
企業においてリスキリングに取り組む際には定義の設定から始め、社内への周知、コンテンツの提供を行います。習得したスキルは実務で実践してもらい、従業員同士で相互にフィードバックできる環境を用意するなどの工夫をし、学習を習慣化させる企業風土を醸成することも大切です。
DX推進の影響により高度なスキルを持った人材が不足しており、リスキリングによって社内育成することが注目されています。こちらの記事ではリスキリングにお薦めのコースを特集しているので、ぜひご一読ください。
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