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公開日:2023/06/20
更新日:2024/03/29

リスキリングとは?DX化で注目される理由と意味を分かりやすく解説

リスキリングとは、業務において必要なスキルを獲得することを指します。欧米では2016年頃から取り組まれており、日本においては政府がリスキリングへの取り組みを呼びかけている状況です。
リスキリングはデジタル分野での学び直しと考えられがちですが、デジタル分野に限らず市場のニーズあるところに学びの対象があります。近年ではGX(グリーントランスフォーメーション)の普及に伴い、「グリーンリスキング」が注目されており、欧州では石油や電力などのクリーンエネルギー分野におけるリスキリングも推進されています。

〇 VUCA時代に求められるリスキリングのポイントを解説
「リスキリング強化特集」こちら から

リスキリングとはどのような意味?

リスキリングとはどのような意味?

リスキリングが注目を集めている理由

リスキリングに多くの企業が関心を寄せる理由の一つとして、上記で挙げたGX(グリーントランスフォーメーション)のほかにDX化が挙げられます。DXはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、直訳すると「デジタル変革」という意味です。

DXでは、AIやIoT(Internet of Things)、ビッグデータなどのデジタル技術を使って業務フローの改善や新たなビジネスモデルの創出などを行うため、それらに必要となるスキルをリスキリングとして新たに求める企業が増えてきています。

なお、リスキリングに関しては、新たな業務を行うためのスキルだけでなく、既存業務で用いるスキルを強化するニーズも高まっています。

リカレント教育、生涯学習との違い

スキルアップやスキル習得に関係する概念としては、リスキリング以外にリカレント教育や生涯学習が挙げられます。

それぞれの特徴は、以下のとおりです。

  • リスキリング:新たな業務に必要なスキルや知識を習得すること。DX化が進む現代ではデジタルスキルを獲得する際によく使われる
  • リカレント教育:現在の会社を休職、退職してから、大学などの教育機関で仕事やキャリアに関係する勉強をすること
  • 生涯学習:人生を豊かなものにするために幅広い分野の事柄を学んでいくこと

リスキリングとリカレント教育は、「仕事やキャリアに関係する学習」という点で共通しています。リカレント教育の目的は「仕事やキャリアに生かすこと」なのに対し、リスキリングは「新しいスキルの習得」が目的で、リカレント教育より内容が具体的です。また、リスキリングは企業が主体的に動くのに対し、リカレントは個人を主体とすることも多いです。

また、リスキリングでは会社で働きながらスキルを習得しますが、リカレント教育では会社を休職もしくは退職して大学などの教育機関で勉強します。リカレント教育の場合、教育機関でスキルを身に付けたあとは、休職中の会社に戻るか、新しい会社に入社して働きます。

リカレント教育は、現代において以下の面で求められているといえるでしょう。

  • 人生100年時代を迎える時代に生涯現役を見据えて働くこと
  • 終身雇用が当たり前でない時代に自身のキャリアを構築すること

生涯学習は、生涯にわたって幅広い分野の学習を続けるというものです。学習する内容は、教育機関での勉強やスポーツ、ボランティア活動、文化的な活動、趣味など多岐にわたります。

リスキリングでは業務に必要なスキルを習得するために学習しますが、生涯学習は学習する内容が限定されないという特徴があります。

リスキリングを行うメリット

企業において、リスキリングは時代の変化に対応するため欠かせません。ここでは、リスキリングに取り組むことで得られるメリットを紹介します。

業務効率化

従業員がリスキリングにより最新のデジタル技術を習得すれば、企業は新たな技術の導入を推進できます。社内で新技術の導入が進めば、以下のように既存業務の効率化に加え、正確なデータ分析やデータの一元管理が可能になります。

〇リスキリングによる業務効率化の例
・業務フローの改善
・業務の自動化、効率化
・正確なデータ分析
・データの一元管理

業務効率化が実現すれば、新しい業務に時間を費やせるほか、残業が減り残業代の削減や従業員のワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の改善が見込めます。リスキリングは、企業と従業員の双方にとってメリットがあるといえるでしょう。

新しいアイデアの創出

リスキリングにより従業員がスキルを習得することで、今までにない新たなアイデアが創出されることもあります。新しいアイデアが社内で生まれることにより、売上の向上はもちろん、既存事業におけるマンネリ化の解消にもつながるでしょう。

このように、時代の変化が激しい現代でも、リスキリングにより時代に合わせたスキルや知識を獲得することで企業を成長させることが可能です。リスキリングに取り組むことで、時代に取り残され、経営が悪化することを防ぐ効果が期待できます。

採用コストの削減

少子高齢化により労働人口が減少していることで、企業においては採用の難易度が上がっています。DX人材を外部から確保する場合、大きな採用コストが発生する状況です。

そこで既存の従業員をリスキリングすれば、社内異動で必要な人材を用意でき、採用コストを削減できます。外部から人材を確保するのに比べ、既存の従業員のリスキリングは時間がかかります。しかし、リスキリングにより既存の従業員を新しい事業の戦力にすれば、従業員が幅広く活躍できるようになり、キャリアアップもできるため、結果的に定着率の向上につながる可能性もあるでしょう。

さらにリスキリングに注力している企業であることをアピールできれば、採用の際、スキルアップへの意欲が高い優秀な人材を獲得しやすくなると考えられます。

既存業務を継承したまま成長が可能

既存の従業員がリスキリングに取り組めば、既存業務のノウハウなどを継承した形で事業展開を目指すことも可能です。既存の従業員は既存業務に関するやり方を熟知しているため、新規事業を立ち上げる際に既存事業とのスムーズな連携が行えます。

企業でリスキリングに取り組む際のステップ

企業でリスキリングに取り組む際のステップ
企業でリスキリングに取り組む際には、以下の4つのステップを用います。

ステップ1:自社のリスキリング定義設定

リスキリングに取り組む前に、まずは自社における今後の経営戦略と照らし合わせ、それと連動した人事戦略を決めることが大切です。そのうえで、その人事戦略を行うためにはどのような人材とスキルが必要かを検討します。現状(As is)と理想(To be)の要員計画からギャップ分析を行うとよいでしょう。

分析の結果、今後必要になると考えられるスキルが現状としてない部分をリスキリングの対象にします。

ステップ2:リスキリングの必要性の理解

リスキリングの必要性を社内で高めるためには、経営層から学びの機会に合わせてその学習に関する情報を周知しましょう。

スキルを身に付ける際、その従業員には負荷がかかります。そのため、従業員にはリスキリングに取り組むことで自身のキャリア展望が開けることをあらかじめ認知させ、従業員本人に取り組みたいという意志を持ってもらうことが大切です。

なお、就業時間外でのリスキリングは従業員のやる気を損なうおそれがあるため、就業時間内に学習時間を設けるようにしましょう。

ステップ3:リスキリングのコンテンツ・実践機会の提供

従業員がリスキリングに取り組む際には、効率良くスキルを習得できるようなコンテンツを考えることが大切です。コンテンツの質の高さはもちろん、習熟度を高められる構成や順番になるよう配慮しましょう。

リスキリングの方法には、研修やオンライン講座、社会人大学などさまざまな種類があります。自社でコンテンツを用意できない場合は、外部の人材を講師にしたり、外部ベンダーのコンテンツを利用したりする方法を検討しましょう。幅広い学習方法を用意することで、従業員は自分に合った方法を選んで学習できるようになります。

従業員自身の自己学習だけでリスキリングを完結させるのでなく、組織全体で学習支援を行う体制を整えて教育効果を高めるのがコツです。面談や育成ツール、課題チェックシートを活用してリスキリングを推進し、効果を高めていきましょう。

ステップ4:学習を習慣化させる風土作り

リスキリングで学習して習得したスキルはそのままにせず、実務で実践してもらうようにします。そして実践で得られたノウハウや教訓は組織内で共有し、従業員同士でも定期的に相互フィードバックが行える環境にすることが大切です。このようにリスキリングで得たスキルの実践やフィードバックが根付かせることは、社内において学習が習慣化する企業風土の醸成にもつながります。

リスキリングに取り組む際の注意点

リスキリングは、将来的に必要になる新しい知識やスキルを従業員に身に付けてもらう手段であり、目的ではありません。経営戦略と連動する人事戦略を実現するのに必要な人物像とスキルを明らかにしたうえで、どのような従業員にどのようなスキルを身に付けてもらうかを決めることが大切です。

まずは事前に従業員が持つスキルを把握し、自社の現状と目標を考えたときに不足しているスキルを明確にしてから必要なスキルを選定します。あらかじめ従業員が現状で持っているスキルを明確にすることで、取得するスキルとのギャップを把握でき、学習スケジュールの管理もしやすくなるでしょう。

リスキリングの流れは、学習内容を選定し、学習計画を策定して実施します。その後、効果測定などを行うというものです。従業員のスキルをスキルマップやデータベースで管理し、社内で共有しやすい環境にしておくと、従業員の適切な配置が可能になります。

なお、リスキリングを導入すると、担当部署や現場に負担がかかります。担当部署や現場への負担を軽減し、無理なく取り組めるような体制を整備することも大切です。まずは社内でリスキリングを推進していることを周知し、企業全体でリスキリングを推進する環境を作りましょう。

併せて、従業員が主体的に自身のキャリアを考え、そのキャリアに向かって学べる環境を整えます。リスキリングは企業側が主導して取り組みますが、学習するのは従業員のため、従業員自身の意思がなければ成功しにくいものです。業務内での困りごとや改善したいことを従業員に聞き、その内容から適切なスキルを選んでリスキリングに取り組むことで、企業と従業員の双方にとって満足のいく結果が得やすくなるでしょう。

リスキリングを内製化することも重要ですが、難しい場合は外部に依頼することも方法の一つです。特にリスキリングに使用するコンテンツの作成は、既存業務の知識や経験が生かせないこともあり、スムーズに進まないケースもあります。その場合は、社外リソースの活用も視野に入れて方法を検討するとよいでしょう。

まとめ

リスキリングとは、業務において必要なスキルを獲得することを指します。企業においてDX化を推進する際には新たなデジタルスキルが必要となるケースが多く、既存の従業員に新たなスキルを習得させる手段として、多くの企業がリスキリングに関心を寄せています。

リスキリングに取り組むと、DX化の推進による業務効率化はもちろん、新たなアイデアの創出が期待できる点がメリットです。また、DX人材を外部から確保する場合、採用コストが大きくなりがちですが、既存の従業員をリスキリングすれば、採用コストを削減できます。さらに、既存の従業員なら既存業務を熟知しているため、新しい技術を既存事業とスムーズに連携させられるのもメリットです。

企業においてリスキリングに取り組む際には定義の設定から始め、社内への周知、コンテンツの提供を行います。習得したスキルは実務で実践してもらい、従業員同士で相互にフィードバックできる環境を用意するなどの工夫をし、学習を習慣化させる企業風土を醸成することも大切です。

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