導入事例
SPI3データを活用して社員パフォーマンス分析を行い、新卒採用面接に反映
パナソニックホールディングス株式会社
- 公開日:2026/10/13
- 更新日:2026/10/13
事例概要
背景・課題
・ピープルアナリティクスの観点から、「社員のポテンシャルをUNLOCKする施策」に取り組むことに
・人事センターのデータドリブンHR変革が進み、データ分析をスムーズに取り入れられる環境が徐々に整ってきている
・事業会社や職種を確約する新卒採用を行っているため、「採用の多様性向上」が課題の1つになっていた
検討プロセス・実行施策
・UNLOCK施策の1つとして、社員パフォーマンス分析「パナソニックに必要な人材を見極める分析」を実施
・SPI3データを活用して社員の性格を詳細まで分析し、社員の性格と活躍の相関関係をいくつも発見した
・現場面接官のインタビューを数多く実施し、分析結果とセットで「面接時に学生を見極めるための質問例」も用意
成果・今後の取り組み
・データ分析によって面接精度を高めることが十分に可能と分かった
・初年度から面接精度が向上したケースがあり、早くも一定の手応えを感じている
・この分析は中長期の取り組み。10年後、この分析が面接を変えたと言われるように改善を続けたい
背景・課題
ピープルアナリティクスで社員の可能性をUNLOCKする施策を構想

岡安:私たちパナソニックグループは今、「物と⼼が共に豊かな理想の社会」の実現に向け、社員⼀⼈ひとりが⾃らのポテンシャルを「UNLOCK(アンロック)」し、能⼒やスキルを最⼤限に発揮できる会社を⽬指しています。
UNLOCKとは、⾃⾝の持てる⼒や内に秘められた⼒を最⼤限に発揮しながら、挑戦し続けている状態を指します。このようなとき、⼈は「フロー状態」(仕事にはまりこみ、時間も忘れ、疲れも知らず熱中する状態)に⼊り、最⾼のパフォーマンスを発揮します。パナソニックグループは、そのような社員を増やすことが最も大切なことだと考えているのです。
私と関は、HRテクノロジーとピープルアナリティクスの専門家です。私たちはピープルアナリティクスの観点から、自分たちなりに社員のポテンシャルをUNLOCKする施策に取り組もうと考えました。そこでチャレンジしたのが、新卒採用に寄与する「パナソニックに必要な人材を見極める分析」でした。
上出:私はパナソニックオペレーショナルエクセレンスの人事センターの一員として、パナソニックグループ全体の新卒採用を担当しています。
人事センターでは、2年ほど前からHRデータの利活用が進み、「データドリブンHR」に急速に変わってきています。岡安・関たちのチームがHRテクノロジーのデータ基盤を構築し、人事データの一元化や民主化を推進してくれているおかげです。今回、岡安や関と一緒に「パナソニックに必要な人材を見極める分析」に取り組んだ背景にも、この変革の影響がありました。データドリブンHR変革のおかげで、私たちや現場がデータ分析をスムーズに取り入れられる環境が着実に整ってきていたのです。
また、「新卒採用の多様性向上」が課題の1つになっていたことも、データ分析実施の後押しになりました。私たちは事業会社や職種を確約する新卒採用を行っており、面接官は各社・各職種の責任者などが担当しています。もちろん、現場を知る彼らが面接官になることのメリットは大きいのですが、一方でデメリットとして、どうしても自分たちと似たタイプばかりを採用してしまいがちという問題があります。今回のデータ分析は、この問題を解消して採用の多様性を高める上でも役立つのではないかと考えました。
検討プロセス・実行施策
SPI3を活用し「パナソニックに必要な人材を見極める分析」を実施
岡安:私たちは社員のポテンシャルをUNLOCKする施策の1つとして、「パナソニックに必要な人材を見極める分析」を実施することを決めました。簡単に言えば、これはSPI3データを活用した社員パフォーマンス分析です。入社後にどのような人材が活躍する傾向があるのか、どのような人材の活躍が遅い傾向があるのかを明確にして、今後のパナソニックに必要な人材を見極め、より良い新卒採用を実現したいと考えたのです。
データ分析に関しては、社内データに加えてSPI3データを活用しました。パナソニックグループは2014年から新卒採用選考にSPI3を活用し続けており、現時点で10数年分のデータが蓄積されています。SPI3データは共通の物差しとして使い勝手が良く、社員一人ひとりに寄り添った分析をする上で間違いなく有用なデータです。また受検者数が多く、自社と日本社会一般との違いを簡単に比較できることも大きなメリットです。私たちはすでに各種のアセスメントデータを活用した配置・任命分析を行っており、幹部候補を見出す取り組みなども進めています。ですから、社員パフォーマンス分析にSPI3データを使うのは自然な流れでした。
SPI3データ分析の結果、私たちは社員の性格を詳細まで分析し、社員の性格と活躍の相関関係をいくつも発見しました。どのような性格の人材は活躍可能性が高いのか、どのような性格の人材には注意が必要なのかを細かく分析したのです。一律でみるのではなく、性格タイプ毎に分析したこと、あくまで活躍する可能性もあるためバイアスにならないように分析結果を伝えることなども工夫しました。

関:実は、私たちが採用アナリティクスに挑戦するのはこれが初めてでした。今回の取り組みは単にデータを分析して報告するだけでなく、面接時に面接官に分析結果を活用してもらうことが極めて重要です。
そこで私たちは、分析データとは別に一般的な傾向を示すデータも豊富に用意し、分析データと一般論データを比較しながら分析結果を分かりやすく伝える工夫をしました。
また今回、私たちは現場面接官のインタビューを数多く実施しました。なぜなら、面接で活用してもらうためには、分析結果とセットで「学生を見極めるための質問例」も用意する必要があるからです。そのために、私たちは面接官の皆さんに「このような性格を判別するために、学生にどのような質問を投げかけていますか?」などと聞いて回り、多様な視点からアドバイスしてもらったのです。私たちHRテクノロジー・ピープルアナリティクスチームにとっては、こうしたインタビューによるアプローチも初めての試みでした。この取り組みは、初めて尽くしのチャレンジでした。
成果・今後の取り組み
データ分析によって採用精度を高めることが十分に可能と分かった

上出:私は採用担当者として、「パナソニックに必要な人材を見極める分析」を通じて新たな視点を提供してもらえたと感じています。
岡安や関がデータ分析から見出したのは、例えば「これまで着目していなかった性格タイプのなかに、実は活躍に向けて注意深く見極める必要がある人材が混じっているかもしれない」というような細かな発見です。今回の分析にはこうした発見がいくつもあり、一つひとつ詳しく説明を受けると納得感の高い発見ばかりでした。これらの発見を面接に活用すると、これまで着目していなかった性格傾向を確認対象として、面接でより細かく見極めることが可能になります。今回の分析を通じて、データ分析によって面接精度を高めることが十分に可能なのだと分かりました。また、この分析を現場に導入すれば、『似た者採用』を抑制し、採用の多様性を高めることもできるはずです。
それから、岡安や関が多くの現場面接官にヒアリングした上で、「学生を見極めるための質問例」を面接官が使いやすいように具体的に編集してくれたのも好印象でした。こうした取り組みの際は面接官の負担減を考える必要があり、その点でも完成度が高いと感じています。
10年後、この分析が面接を変えたと言われるように改善を続けたい

上出:私たちは、2026年度の27新卒採用から、今回の分析結果と質問例を面接に導入しています。現在も採用を行っている最中ですので、まだ初年度の成果を明確に語ることはできません(※取材時は2026年5月)。
ただ、面接が進んでいる会社・職種のなかに、分析フラグを意識しながら面接してくれた事例がすでにいくつかあることは分かっています。ある面接官は「データ分析のサポートがなかったら、今までの経験から異なる合否判定を出していたかもしれません」とコメントしてくれました。分析による新しい視点を実感している面接官がいることは確認できています。
もちろん、最終的な合否判断をするのは各面接官であり、私たちができるのは分析サポートによる新しい見方を提供することだけです。しかしそれでも、私たちはすでに一定の手応えを感じています。
関:今後はデータ分析をさらに深めて、さまざまな性格タイプに対する提案を増やしていきたいと考えています。また、面接時間にはどうしても限りがありますから、面接中により質の高いサポートができるよう、データや質問例の提示方法や表現なども改善していきます。
岡安:今年度はスタート地点であり、まず一度やってみること、一度面接官に使ってもらうことに大きな意味があったと考えています。私たちはこれから毎年、成果と課題を見ながらブラッシュアップをかさね、分析とサービスの精度を高めていきます。将来的には分析モデルの高度化なども見据えています。一方で、面接官のデータリテラシー向上に取り組むことなども大切です。新卒採用チームと協力し、より良い成果を上げていきたいと思います。
上出:この「パナソニックに必要な人材を見極める分析」は中長期の取り組みです。1、2年で劇的な成果が出るものではなく、5年、10年単位で徐々に実績を上げて面接官の信頼を得ながら、着実に成果を出していくタイプのプロジェクトだと考えています。入社後に十分な活躍機会を得にくい可能性のある学生が入社することは、会社にとっても本人にとっても不幸なことです。10年後、このデータ分析が面接を変えた、活躍人材を多く採用できるようになったと言われるように改善を続けていきます。
取材日:2026/05/29
企業紹介

パナソニックホールディングス株式会社
家電や住宅設備をはじめ、製造・物流現場の機器やシステム、モビリティ・社会インフラを支える電池や電子部品など。皆さまの日々のくらしやビジネスに貢献する製品・ソリューションを提供しています。
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。
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