導入事例
もう一段上に新卒採用をレベルアップさせる「未エントリー者調査」と「面談員研修」
株式会社電通コーポレートワン
- 公開日:2026/08/03
- 更新日:2026/08/03
事例概要
背景・課題
・学生のプレエントリー数やエントリー数の増減理由を感覚値でしか語れず、施策の企画や優先順位づけにつなげられなかった
・面談員への資料配布だけでは、面談評価のブレや評価の癖が出てしまい、面談精度を高めることができなかった
検討プロセス・実行施策
・プレエントリーをしたがエントリーには至らなかった学生を対象に、オンラインサーベイ「未エントリー者調査」を実施
・どのような面談が良い面談なのかを具体的に伝えるため、模擬面談動画などに注力した「面談員研修」を実施
成果・今後の取り組み
・未エントリー者調査データによって課題が明確になり、実施施策の優先順位づけと説得力のある社内説明が可能に
・面談員研修を通して、面談コメントの質・量が格段に高まり、面談員によって評価が割れることも減っている
背景・課題
次年度施策を考えるための「未エントリー者調査」と面談精度を高めるための「面談員研修」を実施

伊藤:電通コーポレートワンは、国内電通グループ各社の事業を包括的に支援することをミッションとしたコーポレートのプロフェッショナル集団です。そのなかで、私たち3人が所属する人事オフィスHRマネジメント室の新卒採用部では株式会社電通の新卒採用を一手に引き受けています。
今回は、2024年以降に開始した2つの施策「未エントリー者調査」と「面談員研修」についてお話しします。いずれも、新卒採用をもう一段上にレベルアップさせるための施策です。
大野:1つ目の「未エントリー者調査」とは、新卒採用へのエントリーをいただけなかった学生を対象にしたサーベイを指します。実施した理由はシンプルで、なぜエントリーいただけなかったのかを明らかにしたかったからです。
新卒採用の場合、エントリー時やエントリー後にさまざまな情報を提供してもらう機会を設けているため、エントリーいただいた学生の情報については採用担当として解像度高く知ることができている自信がありました。一方、プレエントリーをしてマイページには登録しているものの、エントリーには至らなかった学生が毎年一定数いらっしゃいます。エントリーをいただけていないため、直接的な接点を持つことができず、エントリーいただいた方に比べると情報が十分とは言えない状況でした。
そのため、学生のプレエントリー数やエントリー数の増減理由を、担当者の感覚値でしか語ることができませんでした。そこで私たちは、エントリーいただけなかった方の定量的/定性的なデータを得て、次年度施策の企画や優先順位づけに活かそうと考えたのです。
伊藤:当然ながら、良い学生に多く受験いただくことは、新卒採用にとって最重要課題の1つです。未エントリー者調査は、我々により興味を持っていただくきっかけやヒントを得るうえで必要な施策だと考えました。
鈴木:一方で私たちは、面談時に学生の能力や適性を見抜く「面談員のジャッジ精度」にも課題感を持っていました。もちろん従来から、面談員には事前に資料を渡し、面談時にどのような点を確認すればよいか、何を評価すればよいかを具体的に伝えていました。しかし、資料配布だけでは、どうしても面談員によって面談評価のブレや評価の癖が出てしまうのです。そこで私たちは「面談員研修」を実施し、面談評価のブレや属人性を減らして、面談精度の向上を図ることにしました。
検討プロセス・実行施策
「未エントリー者調査」の比較対象企業にコンサルティングファームや商社を多く選んだ
伊藤:リクルートマネジメントソリューションズには、以前からさまざまな面で新卒採用を含むHR領域の支援をお願いしてきました。SPI3はもちろん、新卒採用全般に対して豊富な知見や他社事例情報を持っており、なおかつ私たち電通グループのことをよく理解してくれているからです。何か新たな施策、特にエントリー前後や選考に近い施策を企画する際には、まず相談するようにしています。今回の2つの施策も、そのようにしてリクルートマネジメントソリューションズに相談・依頼して始まりました。
鈴木:「未エントリー者調査」では、リクルートマネジメントソリューションズの知見や市場データを活用しながら、株式会社電通新卒採用においてエントリーをいただけなかった方を対象にオンラインサーベイを実施しました。質問項目やコミュニケーションの取り方など、全般にわたってリクルートマネジメントソリューションズと話し合いながら決めていきました。従来から行っている内々定者アンケートと比較しやすくするために質問粒度を揃えるような工夫もしました。

大野:今回、私たちがこだわったことの1つは、比較対象企業にコンサルティングファームや商社を選んだことです。
株式会社電通は長らく広告マーケティングを得意とする会社でしたが、現在は広告だけではない広義のマーケティング領域に加え、テクノロジー領域やビジネス・トランスフォーメーション領域、スポーツ&エンターテインメント領域にも注力しており、「マーケティング、ビジネス・トランスフォーメーション、スポーツ&エンターテインメントの融合」を強みとする組織に変貌を遂げています。ですから、私たちとしては、多様な領域を組み合わせてビジネスを創造することのできる学生などを、より積極的に採用したいのです。未エントリー者のなかでも、同じく無形商材を扱うコンサルティングファームや総合商社を志望する学生が何を求め、どのように動いているのかを特に詳しく知りたいと考えていました。
面談員研修では、どのような面談が良い面談かを具体的に伝える「模擬面談動画」に注力

鈴木:「面談員研修」は初年度の2024年に、リクルートマネジメントソリューションズに集合型研修プログラムの設計、模擬面談動画のスクリプト制作、講師をお願いしました。
2025年からは、模擬面談動画のスクリプト制作を継続的に依頼しています。初年度から非常に好評で、初年度は3次面談のみを扱いましたが、2025年は1次・2次面談にも拡大し、より大規模に実施しています。
面談員研修で特に重視したのは、面談員の皆さんに「どのような面談が良い面談なのか」を具体的に伝えることです。そのために力を入れたのが、模擬面談動画と模擬採点演習です。採用要件やペルソナは私たちが作成しているのですが、それを分かりやすくスクリプトに落とし込む支援をリクルートマネジメントソリューションズにお願いしています。例えば、面談員たちが学生との対話のなかで評価に必要な情報やストーリーを引き出す方法や、良くない質問の仕方などを具体的に理解できるようにスクリプトを作り込んでもらっています。研修内ではこの動画を見てもらったうえで実際に自ら評価をしてもらい、自分の評価の良し悪しや評価の癖を把握してもらっています。
また、研修内では「面談コメントを大事にしてほしい」「勝手な解釈を避けてほしい」といったことをお願いしています。このように人事が面談員に向けて直接メッセージを伝えられることも、研修のメリットの1つだと考えています。
成果・今後の取り組み
未エントリー者調査によって「総合職向け夏季インターンシップ」の新設を決めた

伊藤:「未エントリー者調査」では、さまざまなことが明確になりました。特に大きなヒントとなったのは、比較対象企業に置いたコンサルティングファームや商社の各社が、早期から積極的に採用活動を行っている実態が見えてきたことです。
同時に、私たちの想定以上に、株式会社電通がコンサルティング領域やテクノロジー領域に力を入れていることが学生に伝わっていない実態も分かりました。
そこで次年度からは、夏季に「総合職向け採用選考直結型インターンシップ」の新設や社員訪問受付時期の前倒しなどを通じて早期のタッチポイントを増やしたり、早くから採用サイトの情報を厚くしたりして、株式会社電通がマーケティング、テクノロジー、コンサルティングの融合企業であることをより積極的にアピールする方針を取ることに決めました。
大野:また、電通グループの働き方や社風に懸念を感じている学生が、私たちの思っている以上に多いことも分かりました。実際には働き方改革などが相当進んでいるのですが、それが伝わっていなかったのです。未エントリー者調査を通して、私たちが中長期的に取り組むべきコミュニケーション課題が明確になりました。
鈴木:私たちにとっては、未エントリー者調査を通して、前述の課題を示す「調査データ」が手に入ったことに大きな価値がありました。データがあると社内各所に説明しやすく、かつ納得してもらいやすくなるのです。さらに、私たちはこの調査データを活用して、施策の企画や優先順位づけを行うことができました。例えば、総合職向け採用直結型インターンシップを最優先で実施すべきだと判断できたわけです。反対に、実施しなくてもよい施策も把握できました。
面談員研修の後、面談コメントの質と量が格段に高まり、評価が割れることも減っている
鈴木:「面談員研修」は受講者から非常に好評です。特に忙しい社員ほど、「このような研修をしてもらった方が、資料を読み込むよりも短時間で的確に理解できる」という感想を伝えてくれることが多いです。面談員の工数は以前から社内で問題になることがあり、工数削減の意味でも面談員研修は歓迎されています。
大野:また、面談員研修で「面談コメントを大事にしてほしい」と直接伝えた効果が早速出ており、全般的に面談コメントの質と量が格段に高まっています。また、面談員によって評価が割れることも減りました。
伊藤:面談員の立場に立つと、資料を渡されただけで面談することに不安を感じる社員が一定数いたはずで、そのような不安の払拭につながっていることも間違いありません。
大野:私は2025年、一次面談員として自ら面談員研修を受講したのですが、模擬面談動画と自分の面談を比較することで、自分の評価の甘い点と辛い点を具体的に理解できました。もちろん私は採用要件を熟知していますが、採用要件知識を覚えるだけで実際の面談スキルが高まるわけではありません。面談スキルを高めるためには、面談員研修のような仕組みが必要であることを自ら体感できました。

伊藤:私たちは今、「いま、自分にないものを。まだ、世の中にないものを。」という採用コンセプトを立て、新卒採用を展開していますが、当然ながら、これは採用を担当する我々自身にとっても大切にしている言葉です。
今後も私たちは新卒採用活動を経て、新たな仲間と出会い、株式会社電通として「まだ、世の中にないものを。」実現していきたいと考えております。リクルートマネジメントソリューションズには、私たちのチャレンジに引き続き伴走してもらえたらと思います。
取材日:2026/01/16
企業紹介

株式会社電通コーポレートワン
電通コーポレートワン(DC1)は、電通をはじめとしたグループ国内主要会社のコーポレート部門が独立し、コーポレート専門会社と統合して設立された会社です。グループ各社の事業を包括的に支援することをミッションとしたコーポレートのプロフェッショナル集団です。総務、人事、経理、法務、ITインフラ構築等の基幹コーポレート機能に加え、経営企画、M&A、グループブランディング等の経営戦略機能を備えています。それぞれの分野で、実務の遂行はもちろん、制度設計から戦略立案に至る広範な役割を担っています。
※記事の内容および社名・所属等は取材時点のものとなります。
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