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調査レポート

Z世代の育成は、組織アップデートのチャンス

新入社員意識調査2025 【前編】

  • 公開日:2025/06/23
  • 更新日:2025/06/23
新入社員意識調査2025 【前編】

近年、どのような企業でも新入社員育成の難度は高まっています。先輩・上司も正解が分からないビジネス環境のなかで、どのようにすれば新入社員の成長を後押しし、共によりよい未来をつくっていけるでしょうか。今回は、弊社が2025年度の新入社員を対象に実施した、以下2つの意識調査の結果から、新入社員の特徴と育成に生かすポイントをお伝えします。

調査概要

調査概要
働くうえでの意識
仕事・職場観の特徴

働くうえでの意識

まずは、働くうえでの意識に関する結果を見ていきたいと思います。

<図表1(調査1)>働いていくうえで大切にしたいこと(最大3つまで複数選択/n=714)

Q:あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?

働いていくうえで大切にしたいこと

トップは「社会人としてのルール・マナーを身につけること」(53.6%)で2010年からの調査実施以来の過去最高値となりました。「周囲(職場・顧客)との良好な関係を築くこと」(35.0%)は上位ですが過去最低となりました。最下位は「会社の文化・風土を尊重すること」(2.6%)でした。

<図表2(調査2)>新入社員時代に身につけるべきこと(単一選択/n=2,565)

Q:新入社員時代に身につけるべきことのなかで、特に重要だとあなたが考えるものを1つ選んでください

新入社員時代に身につけるべきこと

トップは「社会人としての基本行動」(53.8%)、最下位は「会社の理念や価値観に沿った行動」(0.5%)となり、これまでと比べて傾向に大きな違いは見られませんでした。
調査1でも「会社の文化・風土を尊重すること」が最下位であり、今の新入社員のなかでは、会社の文化・風土や理念・価値観を身につけることの優先順位が低いことが分かります。

<図表3(調査2)>仕事・職場生活をするうえでの不安(最大3つまで複数選択/n=2,569)

Q:あなたが仕事・職場生活をするうえで不安に思っていることは何ですか?

仕事・職場生活をするうえでの不安

トップは「仕事についていけるか」(64.8%)で、「自分が成長できるか」(30.1%)が昨年比+4.6ポイントで昨年5位から今年は4位へ上昇しました。

これまで見てきた働くうえでの意識に関する結果について、注目したい傾向とその考察をまとめます。

注目したい傾向/考察

仕事・職場観の特徴

次に、仕事・職場観の特徴に関する結果を見ていきたいと思います。

<図表4(調査2)>仕事をするうえで重視すること(最大2つまで複数選択/n=2,577)

Q:あなたが仕事をするうえで重視することは何ですか?

仕事をするうえで重視すること

トップ2は「成長」(35.1%)、「貢献」(23.8%)で、最下位は「競争」(3.0%)でした。以前より、「成長」と「貢献」が2トップではあるのですが、最近は「成長」の選択率がより高くなってきています。

<図表5(調査1)>就職先を選ぶうえで重視していたもの(最大3つまで複数選択/n=688)

Q:あなたが就職先の会社を選ぶうえで重視していたものは何ですか?

就職先を選ぶうえで重視していたもの

トップ3は「働いている人が魅力的・職場の人間関係がよい」(39.4%)、「仕事内容が魅力的・やりがいがある」 (36.8%)、「自分らしく働ける・強みや持ち味を生かせる」(35.8%)で、最下位は「周囲の意見やすすめ」(3.9%) でした。

本調査は昨年から取り始めた項目ですが、傾向に違いは見られませんでした。

<図表6(調査1)>働きたい職場の特徴(最大3つまで複数選択/n=717)

Q:あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?

働きたい職場の特徴

トップは「お互いに助けあう」(69.4%)で、「アットホーム」(32.5)は中位ですが過去最低となりました。

<図表7(調査1)>上司に期待すること(最大3つまで複数選択/n=713)

Q:あなたが上司に期待することは何ですか?

上司に期待すること

トップ2は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(49.7%)、「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」(47.9%)で、「部下に仕事を任せること」(7.5%)は最下位ですが過去最高となりました。

<図表8(調査1)>理想の職場・上司の過去10年間比較

理想の職場・上司の過去10年間比較

新入社員意識の変化の傾向を捉えるため、理想の職場と上司の項目について、10年前(2015年)の結果との比較を行いました。各項目の選択率について、増減の大きいものを抜粋したのが上図です(注:読み取り方として、現在の選択率の高低を示すものではなく、過去との比較から変化の傾向を見るデータであることにご留意ください)。

理想の職場は、「活気があって鍛えあう職場」から「個性を尊重しながら助けあう職場」へ。理想の上司は、「情熱を持って厳しく引っ張る上司」から「よいことをほめながら丁寧に指導する上司」へと変化していることが読み取れます。

<図表9(調査1)>現在の会社への勤続意向(単一選択/n=663)

Q:あなたの考えにより近いのは、A・Bのどちらですか?

現在の会社への勤続意向

「現在の会社で勤め続けることにこだわらない・どちらかと言えばこだわらない」(計49.5%)が、「定年まで現在の会社で勤めたい・どちらかと言えば勤めたい」(計42.7%)をやや上回りました。

最後に、これまで見てきた仕事・職場観の特徴に関する結果について、注目したい傾向とその考察をまとめます。

注目したい傾向/考察

Z世代といわれる新入社員のこうした変化について、育成の現場ではこれまでの考え方ややり方が通じず、苦労しているケースが少なくありません。多忙で自分のことだけでも精一杯な環境で、育成に時間を割くことは大きな負担と感じやすいことと思います。

ただ、Z世代といわれる新入社員の変化は時代の鏡でもあります。そうしたZ世代の変化をふまえ、コミュニケーションや育成、マネジメントのあり方を見直していくことは、実は新時代のビジネス環境に対応できるリーダーや組織へとアップデートする機会でもあります。

企業の外を見渡すと、さまざまな領域(スポーツ、芸能、社会起業家など)で、かつてないほど若者の活躍が目覚ましい状況が生まれています。それは、若者をこれまでの価値観や指導法で縛るのではなく、彼らが持っている強みややる気の源泉を理解し生かすアプローチによって生まれているものです。

企業においても、若者の変化をよりよい企業組織をつくっていく機会と捉え取り組むことが、結果的に関わるすべての人に大きな恩恵をもたらしてくれるでしょう。

執筆者

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主任研究員

桑原 正義

1992年当社入社。営業、商品開発、マーケティングマネジャー、コンサルタント職を経て2015年より現職。入社以来『個をあるがままに生かす』を探究し、現在は新人若手育成領域での研究と実践に取り組む。NPO法人青春基地(プロボノ)。立教大学経営学部BLP兼任講師。早稲田大学グローバルエデュケーションセンターLDP非常勤講師。

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