2006年新入社員意識調査 新入社員の期待は「ソフトな上司」と「将来は独立」

「今の新入社員は何を考えているのかわからない」――昔からマネジャーや人事担当者を悩ますこの「新入社員の意識」というテーマを今回は取り上げてみたいと思います。具体的には、毎年弊社が各社の新入社員に対して実施している「新入社員意識調査」のデータを元に、今の新入社員の「働くことへの意識」について考察していきます。


新入社員意識調査の調査概要

新入社員意識調査の概要は以下のとおりです。

新入社員の期待は「ソフトな上司」

まず、「あなたにとって理想の上司はどんな上司ですか(最もあてはまるものを1つ選ぶ)」という質問に対する回答データを見てみましょう。

図表1  新入社員が思う理想の上司像

「人間関係を大事にする」「仕事を丁寧に指導してくれる」という項目が上位にきています。
さらに「不安に感じていること(複数回答可)」というデータをあわせて見てみましょう。

図表2  新入社員が不安に感じていること

この2つのデータを見ると、

仕事についていけるかどうか不安…仕事を丁寧に指導してくれる上司
上司や同僚などの職場の人間関係が不安…人間関係を大事にする上司

という、新入社員が持つ「不安」を解消してくれるサポーティブでソフトな上司像を、新入社員が期待として持っていることが読み取れます。

逆に、理想の上司として「仕事を任せてくれる」「厳しく指導してくれる」「正当に評価してくれる」などの項目は、相対的には上司にあまり期待していない、という結果が出ています。「不安」のデータでは「やりたい仕事に就けるかどうか」というスコアは低い結果になっており、「自分が成長できるかどうか」ということもあまり高くありません。就職活動中の学生が重視するであろうこういった項目が高くない、というこの現象をどう解釈すればよいのでしょうか。

推測できることは、以下のようなことです。

・就職活動中の学生は、無理やりでも「前向き」になって「やりたい仕事」探しをするムードになってしまっている(特に昨今、売り手市場ということもあり)。しかし、配属直前には冷静になって「社会人としてきちんとやっていけるんだろうか」という気持ちに戻っている。

・そもそも、「知っている人がいない」コミュニティに飛び込み、適応していくことに不安を覚える若者が増えている。背景としては、中高一貫校進学者の増加、学級数の減少でクラス替えが無い、高校や大学での課外活動参加率が50%を切っているなどの環境で育ってきて、そのような環境変化に適応する経験がかつてよりも減少しているのではないかと考えられる。

出世よりも「将来は独立派」が多い

次に、「あなたはどのくらいまで出世したいですか(1つを回答)」という設問に対する回答データを見てみましょう。

図表3 新入社員の出世意識

「独立したい」という項目が2005年にトップ、2006年も2位と高く選ばれています。また、「課長、または店長などのリーダー職ぐらい」という項目が2005年は2位、2006年はトップで選ばれています。

また、回答は全体にばらつきが見られました。フリーコメントなどから類推すると、「出世」に対して新入社員が以下のように様々に感じていることが見て取れます。

・「独立したい」の中身は、90年代後半の「アントレプレナー」、つい最近まであった「ITベンチャー」の様相とはかなり異なり、「お金が貯まったら賃貸住宅オーナーになる」「ペンション経営する」「好きなフードのフランチャイズ店舗のオーナーになる」「お金を貯めて40代で独立、フリーの観光ガイドをしながら、沖縄でのんびり暮らす」など。
「小さくても安定した収入が確保できて、あくせく働かずマイペースで人生を送ることができる」といった、かなり「ミーライフ志向人生の実現の手段」といった色合いが強い。

・「出世すると組織に取り込まれていく感覚がある」と、出世に対して好ましくない印象を持つ新入社員もいた。

・とはいえ「いつまでも平社員はカッコ悪い」「平社員だとリストラ対象になる」という声もあった。

・結局、「独立」を選ばなかった他の新入社員は、消去法的に「課長ぐらい」と中間あたりを「やむなく」選んでいる雰囲気も感じられる。

このような結果になったのは、もちろん、今の社会的な背景が大きいでしょう。今の新入社員が思春期を迎え、「働くこと」を少しずつ意識し始めた成長段階の時期に、世の中ではリストラが始まり、不景気に突入し、成果主義が導入され、終身雇用制が崩壊しています。新卒採用マーケットが売り手市場、ITベンチャーの信頼失墜のなかで、「大企業志向」への回帰は見られるにしても、「企業で出世すること」を自分の目標とは置けないメンタリティが形成されていることは、もはや疑いようのないことでしょう。

これに加え、新入社員は、自分の強みや弱みをどのように自己認知しているのでしょうか。「強み」上位3項目および「弱み」上位3項目を取り、彼・彼女らの自己像を作ると、以下の図のようになります。

少し強引な結びつけをあえてすると、こういった自己認知をしている彼・彼女らが、「自分は社長か役員クラスまで出世できそうだ・出世したい」などと思うでしょうか。また、昨今メディアに露出しているベンチャーなどの経営者から新入社員が抱く経営者像は、「独創的」であり、「計画性高く」「思い切りよく決断する」人なのではないでしょうか。そして、自分がより「弱み」であると感じているものを多く、あたかも生まれつきの才能のように持っている人が経営者であると感じているのではないでしょうか。そして、自己認知に対する、ある種の「控えめさ」が、出世に対する「消極的中流意識」と根っこでつながっているような気がしてなりません。

「働く」ことの意識形成は、多様な経験の積み重ねの延長

以上、いくつかのデータから考察、推察を深めてきましたが、「働く」ことについての新入社員の意識のばらつきや、見えてきた傾向の原因や背景を探るにつれて、わかってきたことがあります。
それは、最初に彼・彼女らの成育環境があり、そこでの経験があり、影響される人がいて、経験や人との交流を経て形成されたパラダイムなり価値観があり、物事に対する捉え方や意識の在り様がある。そして、その延長にこの新入社員特有の「働く意識」というものが形成されているということです。ですから、「そういう意識だからだめなんだ」と嘆いても仕方が無いことですし、それを無理やり変えようとしても難しいということです。

となると、あらためて大事なポイントは、そういう意識の上に「どんな経験を積ませ、どんなことを学ばせ、どんな意識を育んでいくのか」という明確なラーニングデザインを雇用する側が持つこと、それを持てる資源のなかで、どう実践していくのか――これらの望ましいシナリオを描いていくことになるでしょう。

もしそれを持たずして知識スキルだけ与えて現場に任せきり、という状況なのであれば、イメージギャップに苦しみ、「この会社はこんなもんだ」「仕事なんてこんなもんだ」という、プラスにならない意識だけが新入社員の心のなかに積もる――結果として、最悪の「離職」というシナリオになるリスクを負うことにもなりかねません。

採用する側も、採用される側も、内定時はお互いハッピーなシナリオを予期して握手をしたはずです。そのシナリオが実現できる必要な支援をすることが、採用した側の責任なのではないでしょうか。

関連するテーマ・課題

関連する無料セミナー

関連する記事

お問い合わせはこちらから
WEBからのお問い合わせ
資料請求・お問い合わせ
[報道関係・マスコミの皆様へ]
取材・お問い合わせ
電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付時間
/ 8:30~18:00 月~金(祝祭日除く)

※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください。

記事のキーワード検索
Page Top