特集
調査から導き出した育成の課題とポイント!
「ミドル・リーダー選抜・育成」という戦略人事のヒント
- 公開日:2014/06/16
- 更新日:2024/03/26
今回の特集では、近年ますます期待が高まる現場のミドル・リーダーに焦点を当て、調査・研究から導き出した育成の課題やポイントをご紹介します。
- 目次
- 企業は誰に投資すべきか?
- これからのミドル・リーダーに期待される役割とは?
- ミドル・リーダー育成で人事が抱く4つの課題
- 育成の近道は「ミドル・リーダーを体験すること」
- 本人、上司、人事の協働で成長機会を創出する
企業は誰に投資すべきか?
「第2ラウンド」
このキーワードをご存じでしょうか。
弊社組織行動研究所の調査(2015)によると、近年注目される人事・人材開発テーマは、「ミドル・リーダー候補者の異動・配置・修羅場体験のデザイン」や「グローバル環境下で活躍できるリーダーの発掘と育成」というものが挙げられます。
それは、「次世代リーダー育成」や「グローバルHRM(Human Resource Management)の整備」といった人事制度の枠組みづくりが終了した後に、次の新しいテーマに着手するのではなく、さらに一歩踏み込んだ運用の課題が人事の中心テーマになってきていること、つまり「第2ラウンド」に突入していることを意味します。
この背景には、グローバル化やITの高度化により、不確実性・複雑性への対応を求められる場面が増えていることが挙げられます。このようななか、各企業は成長路線に舵を切り、多くの企業が「競争優位の高い事業の創造」「これまでにない高いレベルの業績/改善目標の達成」をめざして、組織の構造改革を推し進めてきていることがあります。
では各企業は、どのようにしてこういった “チャレンジャブル”な戦略を実現しようとしているのでしょうか。弊社調査(2013)によると約60%の企業が、「現場に意思決定権限を委譲すること」「本社と現場とが適切な役割分担を行うこと」により乗り越えようとしていると回答しました。

環境変化が激しくなるなかで、経営トップがすべての変化を認識し、意思決定を行うことは難しくなってきています。そこで変化にさらされている現場そのものが、変化に基づき、自ら考え、行動を起こすことができるような体制を組もうとしていると考えられます。その際、その中核を担うのは、現場の組織やプロジェクトの中心にいるミドル・リーダーたちであるということになります。
では、これからのミドル・リーダーには、どのような役割が期待されているのでしょうか。
これからのミドル・リーダーに期待される役割とは?
ミドル・リーダーに期待される役割は、環境と共に変化してきました。弊社では1980年代から、その変遷を継続的にリサーチしています。その一部をご紹介しましょう。
市場全体が成長してきた1990年代までは、「人間関係を中心としたリーダー」が求められてきました。頑張り次第で右肩上がりの成長が見込めた時代は、組織の士気・モチベーションをあげる調整力が重要視されてきたのです。
市場成長が横ばいになってきた 1990年代中盤からは、「主体的な問題解決ができるリーダー」が求められるようになりました。同じやり方で売上が維持できる時代は終わり、創意工夫が求められるようになってきました。
弊社調査(2013)によると、今後の予測される環境変化として、「既存市場の縮小」「人員構成、雇用形態の多様化・複雑化」「IT化・グローバル化等によるビジネススピードの高速化」を挙げる企業が目立ちました。おそらくその傾向は今後も継続するでしょう。これは「思いもよらないところから強力な競合が現れる」「ITの発展で業界がシュリンクする」などの難題に対応する必要が出てくることを意味します。
そのような環境のなかでミドル・リーダーには、どのような要件が求められるのでしょうか。弊社では早稲田大学と共同研究(2012、2013)を行い、グローバル企業で活躍しているミドル・リーダーのインタビューを通じて、そこからヒントを見つけ出しました。
ミドル・リーダーに共通して認められた4つの要件を、少し具体的にご紹介しましょう。
「広い現場視点で進む方向を先読みする(変化を先読みする)」
「スピードが速く複雑性の高い環境変化を前向きにとらえる(変化を取り込んで動く)」
「組織の多様性を強みにしながら、成果を最大化することができる(組織に変化を生み出す)」
「職責を果たすプロセスのなかで自分の能力・価値観を更新する(柔軟に変化し続ける)」
というのが理想像になります。
加えて弊社調査(2013)の研究では、これらミドル・リーダーの要件が求められる企業は、「自らを取り巻く環境変化が激しい/今後激しくなる」と自覚していることも明らかになっています。この点に関して、共感する企業は多いことでしょう。

ミドル・リーダー育成で人事が抱く4つの課題
複雑さが増す環境変化をタフに乗り切るミドル・リーダーの育成に向けて、その対象者への人材能力開発はいつから開始するのがよいのでしょうか。弊社調査(2013)によると、「ミドルマネジャー任用前後」が約40%、「主任・係長・リーダー職時代という早期に着手する」企業も約40%にのぼりました。
つまり、活躍しているミドルマネジャーがもう一段階成長するのを待っているだけでは、環境変化への対応に間に合わないため、課長クラスへの昇進より早いタイミングで育成を考える企業が出てきているのです。各企業の人事担当者にヒアリングをかけた結果、4つの課題が浮き彫りになってきました。
【課題1】これからのミドル・リーダーは「求められる要件が違う」
目先の環境変化を乗り切るだけならば、ミドル・リーダーは一定数いればなんとかなるかもしれません。しかし、今後ほとんどの事業において、変化スピードが速く、複雑な環境にさらされることが予想され、これからミドル・リーダーになる人材は、これまでとは違う、さらに高度な人材要件を満たす必要があります。
【課題2】今後ミドル・リーダーを担う中堅層は「人員構成上少ない」
今後、ミドル・リーダーとしての活躍を期待する主任・係長・リーダークラスの中堅層は、30代中盤の就職氷河期の入社組が中心となるため、人員構成上の母数が少ないという事実があります。また、中途採用も売り手市場であるため、中堅層の即戦力採用も困難であり、今いる社内の中堅層に、高い確率で新たなミドル・リーダーとして活躍してもらわなくてはなりません。
【課題3】ミドル・リーダー候補の「意識改革が必要」
全体的に見て30代中盤の中堅層は、就職氷河期や企業のリストラを目の当たりにしてきただけに、「手に職」をつけたがる傾向が強いようです。それゆえに、プレイング業務が多い、スペシャリスト志向が強いなど固有の課題もあるため、その意識改革を促す意味で、早期に手を打ち始める必要があります。
【課題4】大きな仕事を与えられず「成長機会が乏しい」
業績圧力が、会社としての失敗が許されない環境により、大きな仕事を上層部が中堅層に任せることができず、中堅層の成長機会が乏しいという問題があります。
このような課題をもつ企業は、すでに活躍しているミドル・リーダーの底上げだけではなく、次のミドル・リーダーを育てる方法も同時に検討しています。
ミドル・リーダー候補に自らの役割を認識してもらい、能力開発を促す、あるいは現在その役割を期待されているわけではない従業員に対して、ミドル・リーダーに必要な力をつけてもらうにはどうすればいいのでしょうか。長年の共同研究の上、導き出した育成のポイントをご紹介していきます。
育成の近道は「ミドル・リーダーを体験すること」
ミドル・リーダー育成における1つ目のポイントは、「ミドル・リーダーのあるべき水準」を知り、その水準に照らして乗り越えるべき課題を特定することです。「名プレイヤー、名監督にあらず」という言葉もあるように、プレイヤーとしての強み・弱みは、必ずしもリーダーとしてのそれとは一致しません。
効果的に育成していくためには、これからのミドル・リーダーとして期待される動き方やポイントを明示するとともに、その動き方・活用イメージを体験させ、「あるべき水準からの」強み・課題への自覚を促すことが肝要だと考えられます。

ミドル・リーダーに期待される働き方を体験させる方法として、効果的なのは上位者がミドル・リーダー候補に対して、OJTを通じて仕事の一部を任せるということです。しかしながら、シビアなビジネスの現場では、失敗が許されない場合も多く、未経験者にミドル・リーダーの職務を任せることは、大きなリスクが伴います。また、新しい仕事を与えるために異動の機会を作るのも容易なことではありません。
そのため、研修という場を使ってミドル・リーダーのあるべき姿に照らした強みや課題を明確に把握する、「アセスメント研修を起点とした施策」を立案する企業も多くなっています。
アセスメント研修とは、「ビジネスケースを用いてリーダーが置かれている環境を擬似的に再現し、リーダーシップの発揮を促すシミュレーション研修」のことです。言い換えると、「ミドル・リーダーとして理想的な動きをしているA社のBさんになりきり、疑似体験を通じて自分に足りないもの、これから身につけるべきことに気づく」ということです。
研修のなかで本人の気づき・学びを促すだけでなく、専門のアセッサー(講師)が参加者のアウトプットや言動を、“あるべきリーダーの姿”に照らして客観的に評価し、研修後にその結果を報告するところにアセスメント研修の特長があります。これにより参加者は、役割の遂行すべき行動をイメージできるだけでなく、「どういう状態が“あるべき姿”なのか」「“あるべき姿”に照らした客観的な自身の特徴(強み・課題)」を把握することができるのです。
また、研修を通じて得られる客観的な評価結果があることで、人事部門や上司も参加者の状況について同じ認識をもつことが可能になり、協力しながらミドル・リーダーの育成に必要なサポートを提供しやすくなるというメリットもあります。
ここで重要なのは、“これからの、あるべきミドル・リーダー”に照らしたアセスメント研修を選択することといえるでしょう。今後、自事業が直面するであろう環境変化を予測した上で、期待する働き方を描き、その働き方を体験できる手法や運営が行われるものを吟味していくことが必要です。
本人、上司、人事の協働で成長機会を創出する
育成のポイントの2つ目は、ミドル・リーダー候補に、挑戦的な仕事機会を意図的に与えることです。職場において、経験を通じて学ぶという「経験学習」の考え方が普及しつつあるのです。あるべき姿に近づくためには その力を発揮することが求められる機会(仕事経験)を与える必要があります。なかでも、主任・係長クラスのように、現在ミドル・リーダーの役割を期待されていない従業員に対して、早期育成を行いたい場合はなおさらです。
仕事機会の提供は上司や各部門の仕事と捉えられがちですが、人事がサポートできることも実は多くあります。例えば、上司が意図的に仕事を割り当てるためのガイドラインの作成は、人事が主導して行うことができるのです。「他部署との調整」「業務の改善提案」「後輩の育成」など、能力を高めるために有効な仕事をリストアップしている先進企業も存在します。
特に、「経験学習」研究の第一人者である北海道大学教授 松尾睦先生は、成長し続けるミドル・リーダーは、「変革参加」「部門間連携」「部下育成」といった経験から多くのことがらを学びとっていたことを報告しています。こういった研究は、候補者が能力を高めるために有効な、経験しやすい仕事を抽出する際にも大いに参考になるでしょう。
職場によっては能力を高める経験を積みにくいところもあるかもしれません。そういった場合、人事部門が異動・配置にまで踏み込んで支援する企業も現れています。具体的には、リーダー候補者である人材の今後の育成計画を関係者で議論する「人材育成委員会」を設置するという方法です。「人材育成委員会」で上司・各部門が目線を合わせることで、ミドル・リーダーの育成を会社全体で進めていくことが可能になり、各部門での「抱え込み」の問題を抑制できます。
環境変化を乗り越えるミドル・リーダーを育成していくためには、本人の努力だけでなく、上司や各部門・本社人事が協働し、有機的な施策を立案・推進していくことが望ましいです。取り組みの効果を高めるために、どのような協働が考えられるのか、弊社も交えてディスカッションする機会をいただければ幸いです。
おすすめコラム
Column
関連する
無料セミナー
Online seminar
サービスを
ご検討中のお客様へ
- サービス資料・お役立ち資料
- メールマガジンのご登録をいただくことで、人事ご担当者さまにとって役立つ資料を無料でダウンロードいただけます。
- お問い合わせ
- 貴社の課題を気軽にご相談ください。最適なソリューションをご提案いたします。
- 無料オンラインセミナー
- 人事領域のプロが最新テーマ・情報をお伝えします。質疑応答では、皆さまの課題推進に向けた疑問にもお答えします。
- 無料動画セミナー
- さまざまなテーマの無料動画セミナーがお好きなタイミングで全てご視聴いただけます。
- 電話でのお問い合わせ
-
0120-878-300
受付/8:30~18:00/月~金(祝祭日を除く)
※お急ぎでなければWEBからお問い合わせください
※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください
- SPI・NMAT・JMATの
お問い合わせ -
0120-314-855
受付/10:00~17:00/月~金(祝祭日を除く)






