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さあ、扉をひらこう。Jammin’2025 owner session report

多くのJammin’参加者が「自分が会社を変革する」という意欲を高めた〈第4回オーナーセッション2025〉

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  • 公開日:2026/05/11
  • 更新日:2026/05/11
多くのJammin’参加者が「自分が会社を変革する」という意欲を高めた〈第4回オーナーセッション2025〉

異業種・越境による共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」、7年目のJammin’2025が終了した。47社228名の次世代リーダーたちが、「不」を基点に新価値を生み出すプロセスに取り組んだ。2025年9月5日の第1回リーダーセッションから始まり、2026年1月23日のJammin’ Awardでゴールを迎えた。今回紹介するのは、その後の2026年2月27日に実施した「第4回オーナーセッション」である。

このオーナーセッションのテーマは「Jammin’2025の振り返り」と「終了後の参加者の活躍支援」だった。前半は、弊社Jammin’チームの内田怜七が「プレ・ポストアンケート調査」の結果を紹介し、後半は、藤澤理恵氏(青山学院大学 経営学部 経営学科 准教授)が、越境学習のメカニズムと組織を柔軟にする人材マネジメントについて語ってくれた。本記事ではその要点を紹介する。

●語ったのは

内田さんの画像

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
Jammin’チーム
内田怜七

2009年(株)リクルートエージェント(現・インディードリクルートパートナーズ)入社。企業の中途採用支援、女性リーダー採用・活躍支援プロジェクトに従事したのち、リクナビ副編集長として首都圏の大学を中心に、就職活動・キャリア支援に関する講演を行う。2023年より、(株)リクルートマネジメントソリューションズにて、異業種・越境による共創リーダーシップ開発研修「Jammin'」の企画・開発、広報を担当。

藤澤氏の画像

青山学院大学経営学部准教授
藤澤理恵 氏

リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所主任研究員、東京都立大学経済経営学部助教を経て、2025年より現職。“ビジネス”と”ソーシャル”のあいだの「越境」、仕事を自らリ・デザインする「ジョブ・クラフティング」、「HRM(人的資源管理)の柔軟性」などをテーマに研究を行っている。『人材マネジメントの革新』(共著・千倉書房)、『ジョブ・クラフティング』(共著・白桃書房)などの著書がある。

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多くの参加者が「日ごろの仕事では得にくい成長経験」を得られたと回答
Jammin’で学んだことで、職場や実際の仕事で意識していることがある人は95.1%
Jammin’は参加者の「ジョブ・クラフティング」にも役立っている
越境では、他のやり方やあり方に気づく「水平学習」が生じやすい
本物の経験ができなければ「第3の知」は得られない。越境学習のデザインは繊細で難しい
人材マネジメント施策は「垂直・水平適合」によって効果を発揮する

多くの参加者が「日ごろの仕事では得にくい成長経験」を得られたと回答

内田:Jammin’は毎年、少しずつ改善しています。Jammin’2025では2つの大きな変更を行いました。1つ目はセッション2で、解決の方向性について事業ビジョンをチームメンバー全員で共有できるように、「ビジョンを描く」セッションを新設しました。2つ目は、セッション4で、コースを越えてシャッフルしたチームでピッチを行う「合同セッション」を実施し、お互いに多様な観点で事業案を磨き合ってもらいました。

さて、このJammin’2025はどのような場になったのでしょうか。参加者に実施前に回答してもらった「プレアンケート」と実施後に回答してもらった「ポストアンケート」から分かったことを紹介します。

図表1は、仕事とJammin’の経験を比較した分析データです。全項目でJammin’の方が仕事よりもポイントが高く、参加者の皆さんがJammin’で良い経験ができたと感じていることが分かりました。特に差が大きかったのは、「異業種企業との混成プロジェクト(+82.9ポイント)」「社会課題の解決をテーマとする活動(+78.0pt)」「世の中にまだない価値や、前提を変える価値の創出(+64.8ポイント)」「経営者またはプロフェッショナルの考え方や覚悟に触れる(+50.3ポイント)」などでした。いずれにしても、多くの参加者が「日ごろの仕事では得にくい成長経験」を得られたと回答しています。

また、Jammin’参加者に目指してもらうのは「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」リーダーですが、この3つに関しては、ほとんどの項目で85%以上が「伸ばせた/大いに伸ばせた」と回答しています(図表2)。特に「未来を描いて語る」「価値を共創する」のうちの5項目は、実施前は本人たちがことさらに弱さを自覚していましたが、90%前後が伸ばせたと回答しています。Jammin’参加者たちは「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」の能力を間違いなく高めています。

図表1:

図表2:

Jammin’で学んだことで、職場や実際の仕事で意識していることがある人は95.1%

内田:このアンケートでは、学習後の変化も分析しています。「Jammin’で学んだことで、職場や実際の仕事で意識していることはありますか?」という問いに「ある」と回答した人は95.1%に上りました(図表3)。

具体的にどのようなことを意識しているのかと質問すると、「多様性を生かすチームづくり」「本音や本質に触れる対話」「目的・ビジョンと熱意によるリーダーシップ」「スピード感のある積極的な行動とアウトプット」「顧客価値起点・社会課題起点での発想」を意識するようになった、という声が多く寄せられました。

アンケートの声をいくつか紹介します。「Jammin’を通じて、多様性をうまく利用することで個人では到達できない高みに到達できることが分かり、チーム内の多様性をより強く意識するようになった」「Jammin’の後は、ゴールや目的を明確に言語化し、メンバーと高いレベルで認識共有することで、自律的に動くチームをつくるようになった」「Jammin’で、まずはやってみることの大切さを学び、職場でも考え過ぎずにやってみるようになった。枠にはまらずに飛び出しても意外と受け入れられることが多く、結果的に前進できることが多いことを実感している」

図表3:

Jammin’は参加者の「ジョブ・クラフティング」にも役立っている

内田:また、プレとポストを比較すると、「この会社に愛着を感じる(+0.14**)」「所属する会社の風土や職場の雰囲気は、自分の関わり方次第で変えていける(+0.23**)」「自分の所属する会社をよりよく変える責任がある(+0.34**)」の3項目が有意に高まっていました(図表4)。会社への愛着が高まっているだけでなく、自分が会社を変革するという意欲が高まっていることは注目すべき点です。

それから、「ジョブ・クラフティング」に関わる項目をプレ・ポストで比較すると、多くの項目でプラスの有意差が見られました(図表5)。Jammin’は参加者のジョブ・クラフティングにも役立っているといえるでしょう。特に、自分自身の仕事の意味づけや創造に関わる項目、他者と熱意を共有しあい共に新しい仕事を創造していく動きに関わる項目が伸びていました。(※ジョブ・クラフティングについて詳しく知りたい方は、後半の藤澤氏の語りを参照してください。)

このようなJammin'での前向きな変化を、職場で生かしていくためには、リーダー個人の頑張りだけではなく、職場のサポートも欠かせません。参加者たちはオーナーや上司の皆さんの積極的な関わりを求めています。私たちもオーナーの皆さんと共に、リーダーの活躍支援に向けた提案や伴走ができたらと思います。

図表4:

図表5:

越境では、他のやり方やあり方に気づく「水平学習」が生じやすい

藤澤:私からは、「“個人の越境”と“組織の柔軟性”を考える」と題して、越境学習のメカニズムと、組織を柔軟にする人材マネジメントについてお話しします。

「越境」とは、どのような経験でしょうか。学術的には、境界を横断するという行為や事態(香川, 2015)、複数の文脈を横断する学習(香川, 2008)などと定義されています。より具体的には、異業種交流、社外勉強会、プロボノ、ボランティア活動、企業間出向、海外駐在・帰任、副・複業、留職(新興国)、社会人大学院・ビジネススクール、育児休業、学校から職場への移行などが、越境に当たります。このことから分かるとおり、越境自体は特別なことではなく、日常にありふれています。

越境で生じやすい学びがあります。それは水平学習(異化)です。自分の属している文化や活動が相対化され、「他のやり方やあり方があるのでは」「これを当たり前だと思っていた自分が変なのか」「自分の当たり前に思わぬ価値があるのか」などと気づくことを指します。そして、越境において仕事を捉え直すような水平学習が起こることにより、仕事や役割の境界を変更する「ジョブ・クラフティング」生じやすくなります。私の研究では、ボランティア活動や育児経験の後にジョブ・クラフティングが促されることが示唆されています。

本物の経験ができなければ「第3の知」は得られない。越境学習のデザインは繊細で難しい

藤澤:ジョブ・クラフティングは、従業員個人の主導で行われる、いわば仕事のカスタマイズです。個人の満足や仕事のパフォーマンスにつながることが多いことが報告されています。しかし私は、どんな時に目の前の仕事のデザインを変更しようという動機やアイデアが湧くのだろうか、と疑問を感じ研究を進め、越境経験との関連に着目してきました。

アッカーマンとバッカーは、越境経験を通じた学習プロセスを4段階に整理しています(図表6)。また、青山と香川によれば、私たちは越境による協働・実践・内省を経て、ものの見方が多面的になって「第3の知」を得ることができるというのです。第3の知とは、越境元の知でも越境先の知でもない、両方の活動を経験したからこそ見いだされた新しいやり方や考え方を指します。この第3の知を所属組織で実践しようとして、ジョブ・クラフティングが行われるのだろうと私は解釈しています。

理論的には以上のように語ることができるのですが、実際の越境学習のデザインは、繊細で難しいものです。なぜなら、本業での経験が相対化されるような、いわば「本物」の経験ができなければ、水平学習は起こらず、「第3の知」も生まれないからです。先ほど内田さんが紹介したような成果は、その設計がうまく機能している証拠だと考えられます。

また、自己や仕事を捉え直したり、第3の知を生み出したりする一連の学びのプロセスは、異文化経験だけでは完結せず、経験したことの振り返りや所属組織との対話によって着地します。おそらくJammin’も本当は実施後こそが肝心なのです。オーナーや上司の皆さんが実施後に参加者をサポートし、彼らに働きかけることが、越境学習の効果を最大限に組織に還元させるはずです。

図表6:

出典:Akkerman & Bakker (2011)および青山・香川 (2015)を参考に話者作成

人材マネジメント施策は「垂直・水平適合」によって効果を発揮する

藤澤:個人の越境経験の機会をつくる企業が増えていますが、その背景や目的は「組織を柔軟にすること」にあるのではと感じます。最後に、越境プログラムが組織に効果をもたらすためのポイントについて少しだけお話しします。

「戦略的人的資源管理」の研究により、個々の人材マネジメント施策は「垂直・水平適合」によって効果を発揮することが分かっています。垂直適合とは人事施策と戦略を適合させることです。水平適合とは人事施策間の一貫性を図ることです。この両方が大切なのです。

越境学習の効果を高めようとする場合も、単体のプログラムの改善だけでなく、例えば、経営人材育成やタレントマネジメント、新規事業創出に関わる戦略方針とその実現に向けた異動・配置、評価、能力開発施策などとの連動を図ることで、中長期的には良い結果が出るのではないかと思います。

他方で、変化と不確実性の時代には戦略や環境が変化してしまうため、垂直・水平適合を維持し続けるためには「柔軟性」が必要となります。人材マネジメントが組織にもたらす柔軟性とは、人的資源の多様性と可変性であり、仕事や組織の再編成や人材の配置変更を迅速に行えることであるとされます。すなわち、越境経験を通じて不確実な状況に適応し、思考や行動の幅を広げ、新しい知を生み出すことを学んだ人材は、戦略的な人材マネジメントに欠かせない「柔軟性」を組織にもたらすと考えられます。個人の越境経験は、組織に柔軟性をもたらす手段として戦略的に捉えるべきだと考えます。

以上で、内田と藤澤氏の語りは終了した。最後に参加したオーナー同士で対話と感想を交わしてもらい、第4回オーナーセッションを閉じた。

【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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