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女性活躍を加速させる組織とは?

第2回 女性活躍を妨げる7つの課題と乗り越え方

読了時間:10

  • 公開日:2026/04/06
  • 更新日:2026/04/06
第2回 女性活躍を妨げる7つの課題と乗り越え方

2026年4月から、常時101人以上の労働者を雇用する事業主に対して「女性管理職比率と男女の賃金差異の公表」が義務化されます。とはいえ、こうした動きを踏まえて女性管理職比率の向上に取り組むことを、単なる義務と捉えてしまうのは少々もったいないかもしれません。投資家はESGを、求職者はダイバーシティを重視して企業を選ぶ現代において、女性社員の活躍推進はもはや企業価値と採用競争力に直結する経営戦略なのです。

前回の記事では、女性社員の活躍を阻む要因の1つとなっている「本人の管理職志向」の実態をご紹介しました。今回は、私たちが多くの企業と向き合うなかで得られた知見をもとに、女性の活躍が進みにくい企業に共通して見られる「7つの構造的な課題」をご紹介します。多様な社員が活躍する組織づくりのヒントとして、本記事の内容がお役に立てば幸いです。

本シリーズ記事一覧
女性活躍を加速させる組織とは?
第2回 女性活躍を妨げる7つの課題と乗り越え方
女性活躍を加速させる組織とは?
第1回 管理職志向のデータを踏まえた具体的なアプローチ
女性活躍が進まない要因となる7つの構造的課題
成果を出す企業に共通する3つのポイント
目指すべきは、女性だけでなく「全員が活躍できる組織」

女性活躍が進まない要因となる7つの構造的課題

女性社員の活躍の重要性が叫ばれるようになったのは決して最近のことではなく、すでに多くの企業が女性活躍推進に向けた取り組みを進めています。

しかし、思うように成果が出ていないケースも少なくありません。本節では、そうした女性活躍推進に行き詰まる企業に共通して見られる課題をご紹介します。

1.  施策のゴールイメージの共有不足

女性活躍の推進が行き詰まっている企業に多いのが、企業自身の「女性活躍施策を通じての目指す姿(ビジョン)」がはっきりしないまま、ただ闇雲に施策だけを行っているケースです。

例えば、「2030年までに女性管理職比率を30%に引き上げる」などの数値目標だけが存在する企業では、「とりあえず女性を多く登用して比率を上げればそれでよい」といったように、取り組みの手段と目的が逆転してしまうことが起きがちです。

上記のようにならないためにも、女性活躍推進に取り組む際は、施策を実行した先にある「どのような組織を実現したいのか」というゴールや経営としての意思を先に明文化し、全社で共有することが重要です。

2. トップ(経営)のコミットメント不足

1つ目の課題と関連しますが、経営のトップ層が取り組みに対して本気ではない、あるいはその本気度が伝わっていないといったことも、女性の活躍推進を妨げる要因になります。

たとえ制度や仕組みが整っていても、トップからの発信が弱ければ現場は動かず、むしろ「やらされ感」が蔓延してしまう恐れもあります。また、トップが積極的に取り組みに関与していても、人員や予算といったリソース配分、評価への反映、公平性などが不十分であれば、現場は「本気で取り組むつもりがない」と受け取ってしまうかもしれません。

こうした事態に陥らないために重要なのは、表面的なメッセージにとどまらず、トップ自らが率先して制度改定などに動くことです。目に見える形でトップとしての姿勢を示すことができれば、施策に対する現場の受け止め方は大きく変わるでしょう。

3. 上司の意識・マネジメントの協力体制の不足

いくら女性の活躍を支援する優れた社内制度を整えたとしても、現場で最も大きな影響力を持つ直属の上司が非協力的では実行力が伴うことはありません。そうした上司の理解や関わりの不足も、活躍促進が成功しない組織に見られる特徴の1つです。

特に、近年はハラスメントへの懸念から女性部下の育成に積極的になれず、遠慮や固定観念に阻まれて部下に適切な期待や成長機会を提供できない管理職が増えています。

女性社員の「やってみたい」という意欲を引き出すには、本人が目指すキャリアや自己実現のなかで上司が持つ管理職経験をどう役立てられるかを女性社員本人と共に考え、目標達成のために成長機会を付与していくことが求められます。まずはこうしたキャリアの効力感を高める関わりを、日常的に実践できるように上司を育成することから始めてみましょう。

4. 女性本人への意識醸成不足

前回の記事でもご紹介したとおり、現代の日本企業にはそもそも管理職を現実的かつ魅力的な選択肢として認識できていない女性社員が多い傾向にあります。

弊社が2025年に実施した「若手・中堅社員の組織適応に関する現状把握調査」では、女性社員は自己効力感や経営参画への関心が低い傾向にあり、入社後は一貫して管理職志向が低下し続けるという傾向が明らかになりました。

加えて、参考になるロールモデルが身近にあまり多くないことや、昇格とライフイベントのタイミングが重なっていることなどが原因で、女性社員は管理職に対し「自分には向かない」「負荷が高い」といったイメージが固定化されやすいことも分かっています。

一方で、実際に管理職に昇格した女性社員はその後、認識がポジティブに転じる例も多いことから、課題は資質や意欲ではなく、あくまで経験や情報の不足による「認知のギャップ」にあると考えられます。そのため、女性社員が自らの強みや成長可能性を思い描けるよう、企業には本人との対話と段階的な経験を通じた意識形成に取り組むことが求められます。

5. 社内外への広報活動による風土醸成の不足

男女を問わず社員が女性活躍推進を自分事として捉えられていない企業では、どれだけ優れた取り組みも効果を十分に発揮できません。特に現場では、会社全体に向けた施策は「うちの部署には関係ない」「よその話だ」と人ごとのように捉えられてしまうことも少なくありません。

だからこそ、女性活躍促進に取り組むうえでは経営方針や施策の在りたい姿と連動させ、社内の実施・成功事例を対話やメディアを通じて社内外に発信し続けることが必要です。その際、ポイントとなるのは「リアルな現場のストーリー」と「挑戦の姿が見える場づくり」です。

例えば、社内イントラネットでロールモデルとなる女性社員へのインタビュー記事を配信したり、社内交流の施策とリンクさせて経営層との対話セッションや部門別の取り組み共有会を行ったりするのもよいでしょう。ほかには、取り組みの事例やストーリーを外部のメディア、採用サイトなどで発信するといった取り組みも有効です。

6. 制度・仕組みが抱える問題

取り組みが思うような成果につながらない場合、企業側の制度や仕組みに問題がある可能性も考えられます。ここでは、3つの観点に分けて考えていきましょう。

① 人事制度
評価、配置、労働時間などの制度が、女性を含む社員の活躍に合った形で整備されていない場合、制度設計の見直しが必要となります。

また、実際に改定に着手する際には女性管理職や管理職候補者、その上司に制度上の課題をヒアリングすることがポイントです。当事者の意見を取り入れることで、社員がより活用しやすい制度の構築・運用が見込めます。

② 育成プロセス
余裕を持って女性活躍推進の目標を達成するためには、女性社員が若手の段階から計画的に育成を行い、キャリア形成や能力開発の機会を提供していくことも重要です。

特に管理職への昇格においては、現時点で不足しているのが経験なのか能力なのか、それとも意欲や自信なのかといったように課題を見極め、適切な学習テーマを選定することが求められます。

③ 施策運用体制
施策の成果が出ない組織に多く見られるのが、実施後に効果検証がされず「やりっぱなし」になっているケースです。施策の効果は必ず組織診断などで測定し、そこから得られた気づきや反省点を次の取り組みに生かしてPDCAサイクルを回していくことを推奨します。

また、これら①~③の課題を解決するうえでは、それぞれを単発ではなく連動した「仕組み」にすることも重要なポイントです。

7. ダイバーシティへの意識が不十分

「ダイバーシティ(多様性)」は女性など一部の人々だけが対象の概念として捉えられることも多いですが、企業におけるその本質は「一人ひとりの社員を生かす」という価値観を全社員で共有することにあります。

女性以外にも若手・シニア・外国籍・障がいのある方など、すべての人々が力を発揮するためには、相互理解とリスペクトの文化を組織に根付かせることが必要です。

ここまで紹介した7つの課題は、それぞれが個別に存在しているわけではなく、互いに連動し影響し合いながら作用しています。育成や制度だけ、あるいは女性社員本人だけにアプローチするような部分的な施策では、十分な成果は得られない可能性があります。

また、意識改革は本来一定の時間を要するものであり、取り組みが短期で終わって継続的なフォローが欠如すると「やっても変わらない」という諦めのムードが広まってしまいます。このように取り組みが一過性の表面的なものにならないためにも、女性活躍推進に取り組むうえでは組織を取り巻く課題全体を構造的に理解し、包括的にアプローチしていくことが大切です。

成果を出す企業に共通する3つのポイント

ここまで見てきた7つの構造的課題に対し、なかにはあまりに多くの課題が自社にあてはまり「何から手をつければいいのだろう」と戸惑ってしまった方もいらっしゃるかもしれません。

大事なのは、一度にすべての課題を解決しようとはせず、取り組みやすいところから着実に始めていくことです。例えば、「研修」は比較的実行しやすい施策として多くの企業で取り入れられています。

そこでここからは、研修を起点として女性活躍の推進に取り組み、成果を出している企業に見られる共通項をご紹介します。

1. 施策が段階的、かつ継続的な設計になっている
社員本人の意欲や上司側のキャリア支援スキルは、短期的な教育ですぐに高められるものではなく、成果が出るまでには時間を要します。そのため、例えば1年目に「意識醸成」、2年目に「影響力強化」、3年目に「マネジメントスキル」といったように、段階的に取り組みを深化していけるような制度設計にすることが成功につながります。

また、対象者も選抜制から手挙げ制へと段階的に拡大していくことで、社内の口コミも相まって女性社員本人・上司双方の意識の変化を期待できるでしょう。

2. マインドとスキルの両面から支援を行っている
女性の活躍推進に関して顕著な成果を上げた企業のなかには、マインドとスキルの両面から支援しているケースがよく見られます。

例えばある企業では、最初にマインド面としてMUST(自分の現状、周囲からの期待を理解する)、次にスキルとしてCAN(マネジメントに必要な知識や課題解決スキルなど実践的なスキルを学ぶ)、そしてWILL(キャリアを考える)といった順にアプローチを行っています。最終的にはその3つを統合し、「ここで学んだことを実践できれば管理職になれそうだ」という自信と納得感の獲得につなげているのです。

3. 女性本人とその上司を同時に支援している
先ほどの7つの課題でも触れたように、女性本人の意識の醸成に成功しても、影響力の大きい上司が変わらなければ女性の活躍は進みません。上司側にも当事者意識を持って、一人ひとりの部下に合わせた支援を行ってもらう必要があります。

実際に、私たちが日々企業の研修に同席させていただくなかでは、受講される上司の方からこんな声をいただくことがあります。

「日々の会話の積み重ねや、各人に合った方法で部下の成長をバックアップしたい」
「一方的に期待を伝えるのではなく、双方が納得できる形でキャリアを形成したい」

上司と部下、それぞれの成長とその先にある女性活躍の推進を実現するためには、両者が互いに協力者となるような関係を築くことが大切なのです。

目指すべきは、女性だけでなく「全員が活躍できる組織」

本記事でご紹介した体系的なアプローチは、どれも実施までに準備やリソースが必要とされ、一朝一夕には実現できないかもしれません。しかし、段階的に施策を積み重ね、当事者や周囲の声に耳を傾けてPDCAサイクルを回し続けることができれば、3年後・5年後にはきっと変化が表れるでしょう。これは簡単なことではありませんが、その先には社員が存分に活躍できる組織の実現が待っているはずです。

女性の活躍推進は決して女性社員だけの問題ではなく、その真の目的は性別や属性にかかわらず、すべての社員が自らの能力を最大限発揮できる組織をつくることにあります。とはいえ、まずは女性社員を取り巻く自社の現状を把握することから始めることを推奨します。そこから生まれる小さな一歩が、組織の未来を変えるきっかけになることを祈っております。

執筆者

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営業統括部
マーケティング営業部
ソリューションプランナー

結城 綾乃

2022年中途入社。入社以降、中堅・中小企業を中心とする営業部署にてソリューションプランナーとして、経営・人事・現場を見据えながら多領域にわたる課題解決や価値創造の支援に携わる。

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