【特別座談会】SELF SHIFT ideas 〜学びは「自己」の時代へ〜 なぜ今アンガーマネジメントが日本のビジネスパーソンに人気なのか?

最近、リクルートマネジメントスクールでは、セルフマネジメントやセルフアウェアネスに関するコースの利用が増えています。そのなかの1つが、イライラや怒りの感情とうまく付き合うための心理学をベースにしたトレーニング「アンガーマネジメント」。今回は、企業内教育機関「セガサミーカレッジ」でアンガーマネジメントの講座を何度も開催しているセガサミーホールディングスの笠井氏(写真左)・三原氏(写真中央)に、なぜアンガーマネジメントが人気講座となっているのか、どのような効果があるのか、といったことについて、リクルートマネジメントスクールのアンガーマネジメントの担当講師・宮本氏(写真右)とともに対話しました。

対談メンバー
●笠井 敬博氏(セガサミーホールディングス株式会社 グループ代表室 人財開発部 部長)
●三原 真梨奈氏(セガサミーホールディングス株式会社 グループ代表室 人財開発部)
●宮本 剛志氏(リクルートマネジメントスクール アンガーマネジメント 講師 
〈日本アンガーマネジメント協会 アンガーマネジメントトレーニングプロフェッショナル〉)


セガサミーらしいリーダーを育てる「セガサミーカレッジ」

――最初にセガサミーカレッジについて教えてください。

笠井:セガサミーカレッジは2018年9月に開校しました。セガサミーホールディングス株式会社 代表取締役社長グループCOOの里見治紀は、社会人になってからMBAを取得しており、その時から、いつか自身が学んだエッセンスを社内に展開できるような“社内カレッジ”を創りたい、という想いを温めていました。その里見が、よく言うのは「明日マネジャーにはなれないけれど、リーダーには今日からなれる」です。経営理念、中期経営計画とリンクし、セガサミーグループらしいリーダーを育てるために創設したのが、セガサミーカレッジです。
私たちは現在、セガサミーホールディングスのグループ代表室に所属し、セガサミーグループらしいリーダー育成の場となるよう、セガサミーカレッジを運営しています。開校して約1年で180クラスほどの講座を開き、のべ3,300名以上の社員が受講しました。今後はさらにコンテンツなどを充実させていき、より多くのグループ社員の成長の場となるよう尽力します。

三原:セガサミーカレッジを開校するにあたって、まずリクルートマネジメントスクールも含めた社会人スクールを徹底的に研究し、ゼロから仕組みや講座を考えていきました。今回のテーマとなっている「アンガーマネジメント」もその時に発見し、開校時から講座の1つとして導入しました。

笠井:セガサミーカレッジを創る上でベースとなっているのが、「SEGA SAMMY 5つの力」です。セガサミーグループでは、「Be a Game Changer(革新者たれ)」をビジョン(ありたい姿)として掲げています。その革新者としてのコンピテンシーが、創業者・里見治(セガサミーホールディングス 代表取締役会長グループCEO)のリーダーシップを研究・分解した「突破力」「共感力」「決断力」「自制力」「徹底力」の5つの力です。

三原:端的にいえば、セガサミーカレッジは、この5つの力を磨いてもらうための場なんですね。その1つに、「自制力」があります。アンガーマネジメントを講座の1つに選んだのは、自制力を身につける上で、アンガーマネジメントが絶対に欠かせないと考えたからです。

笠井:セガサミーカレッジを開校した背景には、セガサミーグループとしての求心力/一体感を高め、グループシナジーたる各社が発揮する遠心力を最大化したいという想いもありました。セガサミーグループは、遊技機事業、エンタテインメントコンテンツ事業、リゾート事業といった多様なドメインでビジネスを推進しています。各社が今まで以上にグループシナジーを発揮するため、グループとしてのミッション・ビジョン・バリューが設定され、そして2018年8月、品川区大崎の1つのビルに各社のオフィスを集約しました。そのような環境のなか、“私たちグループの誰もが共有しつづけたい革新者のコンピテンシー”として5つの力を位置づけ、共に学び、対話し、成長するための場としてセガサミーカレッジを開いたのです。

三原:つまり、セガサミーカレッジは、グループ各社の仲間をつなぐ場としても重要な機能を持っているんです。

アンガーマネジメントの講座は何度開催しても倍率が下がらない

――実際にアンガーマネジメントの講座を開いてみていかがですか?

三原:マインドフルネスレジリエンスなどと共に、人気講座の1つになっています。すでに何度か開催しているのですが、一向に倍率が下がらず、毎回多くの社員に断りを入れなくてはならない状態なんです。受講希望者は増えつづけています。

笠井:アンガーマネジメントが人気である一番の理由は、特に管理職のなかに、イライラや怒りの感情のコントロールに悩んでいるメンバーが多いからだと思います。また、時代の変化に伴い、部下の多様性が増しており、接し方が難しくなっていることも影響しているのでしょう。

――宮本さん、講師から見て、セガサミー様の講座にはどのような印象を持っていますか?

宮本:熱心な受講者が多いですね。笠井さんのおっしゃるとおり、マネジャーの皆さんが、自身の怒り感情を気にしているケースが特に多いようです。マネジャーが怒り感情を持つと、職場全体の雰囲気や環境が悪くなってしまいますから。そうした方々がアンガーマネジメントを学ぶことには、大きな意味があると思います。

なお、アンガーマネジメントをごくごく簡単に説明すると、怒りの原因が、自身の「○○するべき」「○○するべきではない」という「べき」にあることをよく理解し、相手の「べき」を知ろうとすることです。それが十分にできれば、自ずと怒りをコントロールできます。もちろん、決して簡単なことではないのですが。

三原:私自身も受講しましたが、ああやって自分の「べき」を見つめ直す機会は、日常ではほとんどありません。貴重なチャンスをいただけて嬉しかったです。自分のチームでも、アンガーマネジメントミーティングを一度やってみたいと思いました。

宮本:復習は大事ですね。チーム内でも夫婦間でも、いろんなところでアンガーマネジメントの復習をして、相手に伝えてみてください。効果があると思います。ただ、その時に気をつけていただきたいのは、怒りは悪いことばかりではない、ということですね。怒りはエネルギーにもなります。「べき」という理想に向かって、より良くしていくという側面もあります。

笠井:それは重要ですね。個人的には、自分の「ありたい姿」に近づくために、アンガーマネジメントなどの講座を利用してもらうのが理想だと思います。

講師が私たちに寄り添ってくれるのが嬉しい

――ほかに、アンガーマネジメントが人気講座になっている理由はありませんか?

三原:マネジャーのなかには、5つの力の1つである「共感力」を高めたいと思っている者が多くいます。怒りは共感を妨げますから、アンガーマネジメントは共感力の向上にも役に立つ。そのことに気づいている管理職も多いようです。

笠井:その意味では、やはりマネジャーを取り囲む環境が、10年前とは圧倒的に違うことが大きく関係していると思います。働き方改革が急速に進み、個の多様性がどんどん増し、クロスファンクショナルチームなど、ラインも複線的になっています。その結果、以前のように、チームを一律の「べき」でマネジメントする手法がほとんど通用しなくなりました。自制力と共感力を高めて、一人ひとりに丁寧に接するほかないのですね。その時にアンガーマネジメントが欠かせない、と考える管理職が増えている。そう見ることもできそうです。

三原:それから、一受講者としての目線で語ると、宮本先生の講義がすっと入ってきたんですよね。私たちに寄り添いながら教えてくれていると感じました。それが心地よかったです。

笠井:受講者アンケートから受ける印象では、三原が言うとおり、宮本先生が自分たちと同じ側に立って、同じ悩みを持つ者として語ってくれているのがよいのだと思います。また、随所でセガサミーにフィットするよう、講座内容を調整していただいているのも人気の理由の1つだと思いますね。

三原:アンケートには、「上司にも受けてほしい」「家や職場で実践したい」といった声が多いです。これはアンガーマネジメントに限りませんが、持ち帰って実践できる講座は、全体的に人気が高い傾向にあります。

宮本:そうおっしゃっていただけると嬉しいです。アンガーマネジメントは「未来志向」の技術です。自分の怒りの感情をコントロールした上で、どうしてほしいのかを相手に伝え、未来を変えていくのが、アンガーマネジメントの一番のメリットです。その点を理解してくださっている受講者がきっと多いのでしょうね。

笠井:アンガーマネジメントをスキルとして身につけると、無駄に疲れることがなくなりますよね。その効果を実感している受講者は多いと思います。

宮本:私がアンガーマネジメント研修を始めて今年で5年になるのですが、1年目は事前の打ち合わせの際、「アンガーマネジメントって何?」「効果あるの?」というような反応が実は大多数だったんですよ。今日のお話を伺って、日本にもようやくアンガーマネジメントが浸透してきたのかもしれないと実感しています。

アンガーマネジメントを仲間に勧める場面に遭遇した

――セガサミーカレッジ全体は今どのような状態にあるのでしょうか?

三原:想定以上に人気を集め、効果を発揮していると思います。最初に開いたのはリクルートマネジメントスクールのロジカルプレゼンテーションだったのですが、ただイントラネットに募集記事を掲載しただけなのに、受講上限人数の4倍以上の応募がありました。それ以来、社員の学びに対するモチベーションの高さには驚きつづけています。

笠井:私たちは今、高速PDCAを回して常にセガサミーカレッジの変革を行っており、その一環として全講座の満足度を数値化しています。その満足度の数値も思っていた以上に高いですね。なかには「ありがとう、こういう機会をもらえて嬉しい」と、私たちに直接言ってくれた受講者もいました。

三原:実は先日、とても嬉しいことがありました。ランチを食べていたら、たまたま隣の席で、1人の社員がもう1人の社員に、アンガーマネジメントの受講を勧めている場面に遭遇したんですよ。思わず聞き耳を立ててしまいました(笑)。また、受講者のなかには「講座内容がすばらしかったので、部署やチームで講座テキストを共有したい」と連絡をくれる者もいます。どうやら、こうして受講者の一定数がインフルエンサーとなり、講座の良さを周囲に広めてくれているようなのです。その結果、セガサミーカレッジがグループ内の噂になり、受講者が増えている面も少なからずあるようです。

笠井:それから、冒頭で、セガサミーカレッジはグループ各社の社員たちをつなぐ場でもあると話しましたが、その面でも想定外にうまくいっています。というのは、多くの講座で、受講者は隣や周囲の席の方とディスカッションや対話をすることになるのですが、グループ各社が大崎に一堂に会して日が浅いですから、ほとんどの場合は初対面同士が一緒になります。場合によっては、「そういうビジネスをしているのですね」というところから、会話が始まるくらいなんです。結果として、利害関係のない相手と机を並べ、バイアスを外し、普段とは異なる視点に触れることになります。それが仕事上の悩みを話す上ではかえって好都合で、かつ新たな気づきや発見が生まれ得るので「初対面の人ばかりでしたが直ぐに話が弾みました」といった感想が多くなっています。

三原:先日は、ある講座でまったく知らない者同士がチームになって、一気に仲良くなり、全員でLINEの連絡先交換をしているのを見かけました。こうしたことが増えると、やがてセガサミーカレッジの存在がグループシナジーにつながっていくはずです。

スピーディかつ大胆にカレッジの変革をつづけたい

――今後はどのような展開を考えているのですか?

笠井:セガサミーグループのミッションは、「感動体験を創造し続ける〜社会をもっと元気に、カラフルに。〜」です。私たちセガサミーカレッジは、いつでも誰でも学びたい者が学べ、成長を望む方にその機会を提供することで、社員一人ひとりをもっと元気に、カラフルにしたい、と考えています。それが、社会を元気に、カラフルにすることにつながっていくからです。

さらにいえば、セガサミーカレッジで得た知識が個人の能力を高め、採用市場での評価につながるというブランドイメージを築き上げたいと考えています。先ほども少し触れましたが、私たちはそのために高速PDCAを回し、今日は昨日よりも良いカレッジを創ろう、と日々変革を進めています。

三原:セガサミーグループの社員の大多数は、「好き」を仕事にしているタイプ。ですから、彼・彼女のやりたいことができる会社であることが、大きな価値です。そのために役立つスキルをさらに提供していきたいと思っています。

笠井:また、エンタテインメントビジネスは何がヒットするか分かりませんし、多様な事業ドメインで勝負しているセガサミーですから、講座メニューのカラフルさも重要です。もっともっと多様性のあるカレッジにしたいですね。このカレッジを楽しいモノ/コトを創るための土台創りの場=道場のような存在にして、Game Changerが1人でも多く生まれるきっかけになりたいですね。

一方で、カレッジの変革という意味では、セガサミーグループは挑戦を後押ししてくれる企業文化であることが間違いなく大きい。私たちの熱意と論理がしっかり伝わりさえすれば、多くの提案に対して「挑戦してみなさい」と応援してくれるのがセガサミーグループです。まさにGame Changerを後押ししてくれるからこそ、スピーディに大胆に変革を進められるのは事実です。今後もこのメリットを最大限に活かし、セガサミーカレッジを良い意味で変えつづけます。ただ、いくら変えても、きっとアンガーマネジメントは残ると思いますよ。組織やチームを束ねるリーダーにとって、自制力と共感力を身につける上で欠かせない講座ですから。

宮本:これからもよろしくお願いします(笑)!
企業紹介セガサミーグループ
セガサミーグループは、サミーを中心とした「遊技機事業」、セガグループのデジタルゲーム事業を中核にアミューズメント機器開発や施設運営、そして映像制作やトイなどを展開する「エンタテインメントコンテンツ事業」、ホテルの開発・運営などを手掛ける「リゾート事業」など、幅広い領域で事業を展開しています。私たちは新たな「遊び」の提供を目指す総合エンタテインメント企業として、グループシナジーを創出し、セガサミーならではのクオリティの高いエンタテインメントを提供しています。


※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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