【特別座談会】SELF SHIFT ideas 〜学びは「自己」の時代へ〜 新たな未来社会(Society 5.0)に求められる
ビジネスパーソンの学びとは【後編】

リクルートマネジメントスクール サービス開発チームではスタディサプリ教育AI研究所 小宮山利恵子所長をお迎えし、政府が提唱する新たな未来社会(Society5.0)(※)に求められるビジネスパーソンの学びについて対談しました。リクルートマネジメントソリューションズの主な対象は社会人ですが、学習指導要領が2020年度から順次変わるなかで学生の学びも大きな変化を迎えています。彼・彼女らが大人になった時にどういう時代になっているのか。今の社会の現状と学びをめぐる環境変化についてもお伝えします。
◆前編はこちら

対談メンバー
●小宮山 利恵子氏(スタディサプリ教育AI研究所 所長/東京学芸大学大学院 准教授)
●渡部 数満(リクルートマネジメントソリューションズ HRテクノロジー事業開発部 サービス開発リーダー)

※ 「Society 5.0(ソサエティー5.0)」は、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指す。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、政府において日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された。


AI・テクノロジー時代に必要な自分のポートフォリオの作り方

――リクルートマネジメントスクールのコース開発について、さらに今後の学びについてはいかがでしょうか。

渡部:学びのテーマパークのような世界観を作りたいと思っています。
人気の遊園地やテーマパークって、アトラクションや施設は多様でカラフルなのですが、ちゃんと世界観があり、ワクワクできるようにできている。
リクルートマネジメントスクールも楽しんで学んでいただけるような世界観を作っていきたいと思い、学び×テーマパークの構想で作っています。
たどり着いたのがこの4象限です。

横軸がマネジメント、クリエイト、縦軸が人生(ライフ)、仕事(ワーク)です。マネジメントとは、1を10にするとか、効率的に仕事をすることによって10を100にするといった広義のマネジメントという意味です。クリエイトとは0→1。生み出すことによって仕事を作っていく。
現在は図の左下(マネジメント×仕事)がメインで、今後ももちろんビジネスパーソンの土台として非常に重要な領域ではありますが、非連続な変化の時代、先行き不透明な時代には、いわゆるクリエイター職でなくても、クリエイティブなスキルや考え方が求められます。
与えられた課題について効率的に解決するスキルだけでなく、何が問題かを発見する力の重要性が高まっていることが背景にはあります。
また、仕事の領域の学びだけではなく、マインドフルネスやレジリエンスのように、セルフマネジメントの分野にも注目が集まっています。AI・ロボットが出てきているなかで自分たちはどのように生きていくか、ある意味一人ひとりが人生を作り上げていかないと、というなかで哲学とビジネスを絡めた「ビジネスに活かす哲学的思考〜創造的問題解決のための『考え抜く力』を身につける〜」をスタートしました。

小宮山:今の仕事は、AI・テクノロジーに取って代わられるといわれています。でも、AIにすべて代わられてしまうのは全体の5%で、残りの95%は部分的な代替です。自分のなかのタスク・仕事全体を10として、どこまでAIやロボットに代わられるかを考えなければいけません。100%代わられてしまうという人は根本的に考えないといけませんよね。AIに代わられるものはすべて数字で追いかけられるものだと私は考えています。例えば、「取って代わられない仕事が3、代わられる仕事が7」だとしたら、3の部分を増強していくのか、新しいことを7としてやっていくのか。こういうところを自分のポートフォリオから考えていく必要があります。自分の「好き」が何で、自分の現在の仕事がどれだけ取って代わられるのか。そこから「この部分は学ばないと」となるのだと思います。

渡部:ポートフォリオ作りには、すべてのことを平均値に持っていくのではなく、弱みはある程度得意な人にカバーしてもらいながら、強みを生かしていく、という振り切りも必要だと思います。

これからのリーダーシップのあり方とは

――リーダーシップやマネジメントの形も変わっていくのかもしれませんね。

小宮山:これからリーダーシップは、「誰か1人がひっぱっていく」のではなくて、セルフリーダーシップ、オーナーシップも含めて定義が広がっていくと思います。これは社会人も子供も同じです。参加するメンバー全員が主体的であるために、そのプロジェクトにしっかりコミットして、自分で責任を持ってやるにはどうすればいいのか、というところですね。

そして、マネジャーに関しても、「管理しようと思わないこと」。基本はメンバーに主体的に進めてもらっておいて、効率的に情報還流を起こすというのが大事な役割になりそうです。あの人これに興味ありそうだな、と思うものは情報を出して、その情報を活用してメンバーがどんどん主体的に仕事を進められるサポートをできればいいかと。若手のなかにはリードしてほしいという人も一定数いるのは事実で、そこは気にしないといけないですが。

渡部:マネジャーは、組織の一人ひとりを見ないといけないので、主体的に進めるのが効果的なのか、ある程度サポートが必要なのか見ていくことは必要そうですね。

小宮山:理想は(組織の皆が)主体的に物事を進められるようになることだと思います。マネジャーが課題を与えるのではなく、各人が課題を発見していく。
常に課題を与えながらでないと進めないのであれば、いつも指示者がいないといけないことになります。そうではなくて、自分が指示者になる必要があると思います。

渡部:そのためには、各人が課題発見力を磨いていく必要がありますね。

小宮山:答えは1つではないですし、世界的な潮流を見ても、課題発見、課題解決力が重視されているので、そうならないと生き残っていけないと思います。
昨今では、パーソナライズドラーニング(個々の学習者の習熟度・ペースに合った)という学習手法が入ってきていますが、キャリア形成でもパーソナライズドキャリア、パーソナライズドデベロップメントといった自ら問いを立て自分なりの解を見つけていく「セルフマネジメント」の領域がさらに重要になっていくのではないかと思います。

渡部:課題発見力を磨くには「学び合う」という相互研鑽の姿勢も大事だと思います。環境変化のスピードが速いなか、若者と年長者の間で得手不得手や価値観のギャップも大きくなっています。どちらが正しいかではなく、年長者が若者から学ぶことや、先生が生徒から学ぶことも時には効果的なケースもあります。

小宮山:学校でも帰国子女がいて、先生より英語が得意なケースもありますね。

渡部:会社でもテクノロジーや昨今のマーケット環境については若者の方が詳しいこともあります。
そういう若手や年少者の持っている潜在的な力を引き出すことも、これからの時代に必要なリーダーシップです。

――最後になりますが、変化が激しい時代のなかで、これから学んでいこうと考えているビジネスパーソンに向けて、少し肩の力を抜くような言葉をかけるとしたらどんなことでしょうか?

小宮山:このコースを受講したらすぐこれができるようになる、というマインドではなく、自分の興味があれば受けてみる、という気軽さも持ってほしいです。大きな一歩を踏み出さなきゃ、ではなく、小さな一歩でいいから「自分の好きなことから始めてみよう」からスタートする。学ぶ目的も重要ですが、セレンディピティも重要です。

渡部:自分の興味関心や好奇心に素直になることが重要だと思っています。目的を持って学ぶことはもちろん重要ですが、自分の軸を見つけるためにも「楽しむ」という感覚も大事にしてほしいです。ぜひ、リクルートマネジメントスクールでの受講体験をそういう場にしていってほしいです。

小宮山:自分の人生に定年はなくて、ずっと学び続けることが人生になっていくわけです。あまり堅苦しく考えなくていいと思います。

渡部:「消去法で自分のやりたいことを見つける」でもいいと思います。強烈に自分はこれだというのがあればいいけれど、ない場合は自分軸をどう見つけていくか。あえていつもと違うことをやってみながら、自分のペースで自分の領域を探すのもいいのではないでしょうか。リニアな成長じゃなくてもいい。長い人生なので焦らずに。

小宮山:「自分とは何者か」「自分は何ができるのか」「自分の好きは何か」……自分を知るためにも立ち止まって考える時間は必要ですよね。そのためにリクルートマネジメントスクールを役立ててもらえればいいと思います。

【interviewer/text:浅賀桃子】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

PROFILE
小宮山 利恵子(こみやま りえこ)氏
スタディサプリ教育AI研究所 所長/東京学芸大学大学院 准教授

1977年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了。国会議員秘書、ベネッセ等を経て、オンライン教育アプリ「スタディサプリ」を展開する株式会社リクルートマーケティングパートナーズにて2015年12月より現職。2019年度より国立大学法人東京学芸大学大学院准教授を兼務。超党派国会議員連盟「教育におけるICT利活用促進をめざす議員連盟」有識者アドバイザー。教育新聞特任解説委員。近著に『レア力で生きる「競争のない世界」を楽しむための学びの習慣』(KADOKAWA、2019年)。

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レジリエンス入門 〜ストレスと上手に付き合い、しなやかに乗り越える〜
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