【特別座談会】SELF SHIFT ideas 〜学びは「自己」の時代へ〜 新たな未来社会(Society 5.0)に求められる
ビジネスパーソンの学びとは【前編】

リクルートマネジメントスクール サービス開発チームではスタディサプリ教育AI研究所 小宮山利恵子所長をお迎えし、政府が提唱する新たな未来社会(Society5.0)(※1)に求められるビジネスパーソンの学びについて対談しました。リクルートマネジメントソリューションズの主な対象は社会人ですが、学習指導要領が2020年度から順次変わるなかで学生の学びも大きな変化を迎えています。彼・彼女らが大人になった時にどういう時代になっているのか。今の社会の現状と学びをめぐる環境変化についてもお伝えします。

対談メンバー
●小宮山 利恵子氏(スタディサプリ教育AI研究所 所長/東京学芸大学大学院 准教授)
●渡部 数満(リクルートマネジメントソリューションズ HRテクノロジー事業開発部 サービス開発リーダー)

※1 「Society 5.0(ソサエティー5.0)」は、仮想空間と現実空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)を指す。
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、政府において日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された。


学生の「学び」は大きな変化を迎えている

――まずは、学生の学びや環境についての話からお願いします。

小宮山:2011年に小学校に入学した子たちの65%が今(存在し)ない職に就くといわれています。今彼・彼女らがなりたい職業の上位に「YouTuber」が来ていますが、もう少し経つと全然違うものが出てくるかもしれなくて。私も小学生の子供がいますが、親からはあまりアドバイスができないなと思っています。(子供が)やりたいと思うことについて何か与える、環境を整えることしかできない。自分たちとは時代背景が変わっていくと思うからです。

学校教育は2020年に大改革が行われるといわれています。改革の主な軸は3つ。1つ目は「主体的な学び」。リクルートマネジメントスクールで掲げているセルフマネジメントにも通じるところです。2つ目は「英語改革」。日本はライティングとリーディングを中心にやってきたので、これまでやれてこなかったスピーキングとリスニングをやっていこうと。小学校3、4年生から英語学習をスタートして、小学校5、6年生から英語を必修にしていこうという動きがあります。3つ目は、2つ目にも関連しますが「大学の入試改革」。英語の「4技能評価」への転換の他に、共通テストで数学と国語については記述式が入ってきます。回答だけでは見ることのできない思考力や表現力も含めて総合的評価をしよう、という流れです。

並行してテクノロジー面でも、プログラミング教育も2020年小学校で必修化されます。スタディサプリもそうですが、タブレットを使って勉強するスタイルも広まっています。自治体によっては授業のなかでスタディサプリを見ながら学習するところもあります。世界的な流れとしては5G(※2)が来るので、動画を使った学習が主流になると思います。

渡部:時代が変わったというのは本当にそのとおりで、親は選択肢や機会を示すことしかできないなと思います。でも一方で、子供たちが正解を欲しがると感じることもあります。今後の教育のなかで、主体的に、自分で選ぶという方向に転換していくと思うのですけど、大人も子供もマインドセットを変えていく必要があると感じています。「答えがない」のは、自由を楽しめる人にとっては嬉しいことですが、道筋が示されている方が安心するという人にとっては不安な状況でもあります。

小宮山:学校教育は、高度成長期に早く同じものを一斉にできる人たちを育てるための教育から、変化が激しくて、どんどん順応しなければならない社会に必要な教育へと変化していっています。答えが1つというのは通用しないんですよね。正解が1つであることにマインドセットが縛られてはいけないなと思っていて。
YesかNoか、正解が分かっている人しか手を挙げてはいけない、という質問ではなく、HowやWhatを聞くような質問が重要だと思っています。

渡部:HowやWhatを聞くような質問については、僕も家でやるようにしています。例えば子供に、「君はどうしたい?」とオープンクエスチョンで聞くんです。「お父さんは、君がどうしたいかについての答えを持っていないし、どうしなさいとは言わないから自分で決めていいんだよ。ただそう決めた根拠だけ教えて」と言うと、「学校で習っていない」という返事が返ってくることも。子供にもすでに、「答えがある」というマインドセットがあるんですね。さらに質問で掘り起こしていくと、だんだん自分なりの答えが出てくるんです。子供も最初は正しい答えを出さないと、と思ってしまう。

小宮山:答えが何なのか、親が何を求めているかを考えちゃうんですよ。だから私の場合、わざとバカっぽい答えをしています。何か真面目なこと言わなくてはいけないのでは、と思わないように。そうではなくて「普通に今思っていることでいいんだよ、その考えは変わってもいいのだから」と言うといいかもしれませんね。

※2 大容量、超高速通信、低遅延の要件が検討されている第5世代移動通信システム。

社会人の「学び」は自分軸から始めてほしい

――それでは、社会人の学びの状況についてはいかがでしょうか。

渡部:これからは他者がどうこうではなく、「自分軸」がすごく重要だなと思っています。自分軸というテーマを、大人の学びの世界にもどんどん増やしていきたいですね。KPI(※3)を設定して目標達成を目指したり、効率的・生産的に何かを生み出したりするだけではなくて、自分軸で仕事をし、自分の人生を生み出していく。そういった自分軸やセルフマネジメントの必要性に、企業も気づき始めているように感じます。

小宮山:もし、今の会社が潰れて(転職)市場にぽーんと投げ出されたら、自分自身どういう市場価値があるかを考えてみたことってありますか?
そういう時に周りの人が責任を取ってくれるわけではありませんから、自分の軸をしっかり持っておくことが重要です。
今はさまざまなアセスメントが出ています。そういうものを参考にしながら、「自分は何が好きか」ということを追求した方がいいと思います。

私の場合は自分の家庭環境が悪かったこともあり、奨学金を頂いてここまできたので、もっと多くの子に学びの機会を与えたいというところから教育が軸になりました。好きには濃淡があると思うんですけど、「すべてのことを同じ工数・エネルギーをかけてやる」のではなくて、「この時はこれが好きだからやっていく」ということでいいと思います。

渡部:やっぱり、基本「好き」で生きていきたいなと思いますね。僕は社内外で「本業はミュージシャン」と、冗談半分本気半分で言い張っています。とはいえ、99.9%副業から(お金を)頂いているのですが。でも、創作活動やバンド活動を通じて身につけた表現方法や、チームマネジメントは、リクルートマネジメントスクールのコース開発や事業開発の仕事にすごく生きていたりするのです。狙ってそうしているわけではなく結果論なのですが。好きを軸にすると、不思議と仕事と人生がシームレスにつながっていくのが面白いなと思います。それがひいては自分がユニークな、人とは違う軸で生きていけることにもつながっていくと。

小宮山:私は一時期ワインに嵌(はま)ったことがありました。今では、仕事関係の食事会などでワイン選びを任せてもらったり、同じ趣味の方と話題が広がったりすることにつながっています。

渡部:さまざまなコミュニティに所属するようになると、それぞれから面白い情報があがってくるので、さらに活性化していきますね。ビジネスパーソンでも社内だけの交流に閉じずに社外のコミュニティにどんどん参加していってほしいです。リクルートマネジメントスクールもそんな機会を提供できる場にしたいと思って運営しています。

※3 KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、業績管理評価のための重要な指標。KPIを正しく設定することは、組織の目標を達成する上で必要不可欠である。

社会人の学びの変化
「リベラルアーツ×ビジネススキル」という新しい学び方

渡部:最近リクルートマネジメントスクールでは、「アートをどうみるか」、自分で絵を描いてみて自分の思考の特徴を捉える、「ART&LOGIC(アート・アンド・ロジック)〜感性とロジックを活用した発想力強化〜」というコースが人気で満席続きです。
自分の「認知」にクセがあることを再認識して、物事を多面的に捉えるきっかけを作る目的のコースです。

小宮山:描くって自分と向き合うことですからね。五感を使うというのがすごくいいと思います。私はテクノロジーと教育の分野で仕事していますが、テクノロジーは、何かを学ぶ上での補助だったり、表現ツールでしかなく、クリエイティビティを生かすには、五感を使った学び、手を使った学びが必要だと感じています。さらに、自分でリアルな体験をしていくのが重要。ネット上で情報はいろいろ拾えますが、いかに一次情報を自分で体感・体験できるかということです。

渡部:アートのコースも一見仕事に直結しないように感じて、受講を躊躇する方もいるようです。でも、結果的にはビジネススキルにつながっているのです。というのも、リクルートマネジメントスクールでは、この分野のコースを「リベラルアーツ×ビジネススキル」という組み合わせを意図的に作り、提供しています。「アート×論理思考」であったり、「アート鑑賞×思考力・言語化力」であったり、「読書×発想力」であったり。教養のお勉強で終わらずに、今後のビジネスに生かせるスキルやマインドセットを持ち帰っていただくことを目指しています。なので、自分が興味関心を少しでも持った時に、その好奇心に素直になって飛びつくことは大事だと思います。まずは楽しんでコースを選んでいただきたいです。

小宮山:好奇心が1番大事だってビル・ゲイツ氏も言っていますよね。好奇心があれば学ぶし、学ぶことによっていざという時の選択肢が増えます。

小宮山:「仕事に直結しないけれど重要」というテーマでは、哲学があります。今、心理学と共に人気ですね。哲学を学ばないとビジョンが見えず、ビジョンがみえないとミッションが見えてこない。
ただ、こういう学びへの投資は、すぐに数字で結果が見えてくるものではありません。もしかしたら投資してもアウトプットが出るのは今じゃなくて、もう少し先かもしれない。ただ、日本を変えていくという視点で見たら重要なわけです。哲学を学ぶ時間が日本人は少ないと思います。

渡部:哲学の先生曰く、哲学とは意味を生み出すことだといいます。例えばこのコップとは何かといった時に、そのまま見れば「水を飲むための器」ですが、より本質的に捉えると、「液体の移動手段」と言い表すことができます。つまり、哲学的な問いや思考によって、新しい概念が生み出されるわけです。これは創造的課題解決そのものですよね。リベラルアーツへの関心が高まっていることもあり、哲学のコースも大人気ですぐに満席になりました。

◆後編はこちら

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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