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ロジカルシンキング(論理的思考法)とは? フレームワークやメリット、注意点を解説
- 公開日:2019/09/24
- 更新日:2025/01/09
ロジカルシンキングとは、「論理的」を意味するLogicalと、「考え」を意味するThinkingを合わせた和製英語です。当記事では、「ロジカルシンキングとは?」を分かりやすく紹介すると共に、ロジカルシンキングのメリットや、日常的に実践する方法についてまとめました。
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ロジカルシンキング(論理的思考法)とは?
ロジカルシンキングとは物事を結論と根拠に分け、その論理的なつながりを捉えながら物事を理解する思考法です。日本語では「論理的思考法」といいます。
ロジカルシンキングは、物事を論理的に捉えながら話すことにより、聞き手にも分かりやすく伝えることができるところが特徴です。問題の解決や解決策の立案にも効果的な思考プロセスであることから、ビジネス力を上げやすいスキルとしても注目されています。
クリティカルシンキングとの違い
ロジカルシンキングとよく似たワードとしては、クリティカルシンキングがあります。「論理的に考える」という点においてはロジカルシンキングと同じ思考法ですが、本質的な課題を捉えるために、物事に対して批判的なスタンスを取るところが大きな違いです。これまでの知識や経験に基づいた「きっとこうだろう」という先入観を疑い、多様な角度から考えることで、間違った前提から間違った結論が生まれることを防ぐ効果があります。
ラテラルシンキングとの違い
ラテラルシンキングとは、ラテラル(水平)に考える思考方法のことです。合理的かつ論理的に1つの結論を導き出すロジカルシンキングとは異なり、答えが1つとは限らないところが特徴といえます。既成の概念にとらわれず、新しいアイディアを生み出すことに長けた思考方法といえるでしょう。
ロジカルシンキングを身につけることのメリット

ロジカルシンキングを身につけるメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
提案力やプレゼン力の向上
ロジカルシンキングから導き出した論理的な意見には、感情論に基づく説明よりも説得力が生まれやすいという利点があります。「自分は好きだからこうしたい」などの感情で訴えるのではなく、「このような理由があるから、こうした方が好ましいと思う」と論理立てた説明をすることで、相手の承諾も得やすくなるところがメリットです。新しいアイディア・企画を提案したい時や、自社の商品・サービスを売り込むプレゼンテーションの場、メールやチャットでの連絡時など、ビジネスシーンのあらゆるシーンで役立つスキルといえるでしょう。
原因特定(分析力)と問題解決の能力が上がる
ロジカルシンキングを身につけると、問題の分析力や原因の特定力が向上します。なぜならロジカルシンキングは、原因と結果、つまり因果関係を理解しながら考える思考方法だからです。習慣的にロジカルシンキングを実践することで、問題解決力や業務改善に向けた分析力といった、ビジネスに役立つ力を養うことができるでしょう。
ロジカルシンキングの手法・フレームワーク

ロジカルシンキングの重要性を理解した後で、主な手法・フレームワークを押さえておきましょう。ここでは、ピラミッド構造、フレームワーク思考、ゼロベース思考、So What, Why Soの4つを取り上げます。
ピラミッド構造(トップダウンアプローチ、ボトムアップアプローチ)
ピラミッド構造とは、結論(仮説)を置き、その下の階層でその根拠を並べ、さらにその下の階層で結論の根拠に対する根拠を並べる、ということを繰り返してできる、結論を頂点とするピラミッドのことです。
ロジックを組み立てるアプローチには、ピラミッドを頂点から下に降りながら考える「トップダウンアプローチ」と、下から頂点に上る「ボトムアップアプローチ」の2つがあります。
トップダウンアプローチは、「仮説→根拠→事実」と仮説を出発点として論理展開を行う方法、ボトムアップアプローチは「事実→根拠→仮説」と積み上げで仮説を構築する方法です。
フレームワーク思考(MECE、ロジックツリー)
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、「漏れなくダブりのない状態」を指し、「ミーシー」と呼ばれます。
例えば新商品を企画する際は、ターゲット設定から始める必要があります。ここで適切にターゲット設定をするためには、MECEを意識することが大切です。この場合、年齢、個人/法人、地域などの切り口で分類することが考えられます。
ロジカルに考える際には、ロジックツリーの活用が効果的です。
基本となるロジックツリーには、問題点の原因を掘り下げて考えることで根本的な原因を見つける「WHYツリー」、課題解決の方法を整理して優先順位をつける「HOWツリー」、大きな要素を小さな要素に分解する「WHATツリー」の3つがあります。
ゼロベース思考
ゼロベース思考とは、先入観にとらわれることなく、白紙の状態から考える姿勢のことです。思い込みにとらわれてしまうと、新しい発想を生み出すことができなくなったり、自分で限界をつくってしまったりします。
自分の中の無意識な思い込みや前提条件をなくして、どうすればできるのかをゼロベースで考えることが大切です。
So What, Why So
「So What, Why So」とは、論理の飛躍をなくすことができる思考プロセスです。仮説を立てる際に「So What?(つまり、どういうことが言えるのか?)」「Why So?(なぜ、そう言えるのか?)」という2つの問いかけを繰り返していくことで、因果関係の矛盾や妥当性を洗い出すことができます。
例えば、「お客様に営業メールを送っても反応が薄い」という課題があったとします。この課題解決に向けて「So What, Why So」を用いると、以下のようになります。
「お客様に送った営業メールの反応が薄い。それはなぜ?(Why So?)メールを送った数が少ないからかな。つまり、どうすればいい?(So What?)メールの総数を増やせば改善されるだろうか。いや、メールの総数を増やせば反応があるとは限らない。つまり、どうすればいい?(So What?)もっとアクションを返しやすいメールの内容を考えてみよう」
このように、「So What, Why So」という2つの問いかけを意識することで、根拠と結論の理解を深掘りしていくことが可能です。
ロジカルシンキングで活用する論理展開の手法
ロジカルシンキングでよく用いられる手法に、演繹法や帰納法、弁証法があります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。
演繹法
演繹法とは別名「三段論法」とも呼ばれる論理展開の手法で、一般的な事実(ルール)と観察事項という2つの情報をもとにして最終的な結論を導き出すというものです。
有名な演繹法(三段論法)の例に、以下があります。
1.人間はいつか死ぬ(事実)
2.ソクラテスは人間である(観察事項)
3.よってソクラテスはいつか死ぬ(結論)
この場合、「人間はいつか死ぬ」という誰もが疑いようのない普遍的な事実に、「ソクラテスも人間である」という観察事項を当てはめたとき、「人間であるソクラテスはいつか死ぬ」という結論が導き出されます。
ビジネスシーンに置き換えてみると、以下のような論理展開となります。
1.利益率が120%を超える案件には、新しいプロジェクトの提案をする(社内でのルール)
2.A社の案件は利益率が130%である(観察事項)
3.A社には新しいプロジェクトの提案をする(結論)
帰納法
帰納法は、論理展開が演繹法とは逆の手法です。複数の事実から分かる傾向をまとめて、一般論を導き出します。
例えば、「友人のAさんがランニングを始めてから痩せたと言っていた」「テレビでもランニングは脂肪燃焼に効くと言っていた」などの情報から、「ランニングはダイエットに効果的だ」という一般論を導き出すことができます。
ただし、帰納法で導き出される結論は、あくまでもさまざまな事実や情報の傾向をまとめたものであって、普遍的な事実ではないことに注意が必要です。Aさんはランニング以外にも運動していたり、食事にも気を配っていたりしたおかげで痩せたのかもしれませんし、実際には体重や運動量によっても効果は異なるでしょう。
このように結論が確実ではないことから、帰納法は帰納的推論とも呼ばれます。
ビジネスシーンでは、アンケートによる市場調査が帰納法的な論理展開にあたります。
例えば、30歳以降の男女500人に水に関するアンケートをとった場合、「8割の人が週に一度は水を買うと答えた」「水道水は飲まないと答えた人が年々増加している」などの傾向があれば、「30歳以降の層にはミネラルウォーターが売れ続けるだろう」という結論(推論)を導き出すことができます。
弁証法
弁証法とは、あるテーマにおいて対立する2つの意見を統合し、新しい発想を生み出す思考方法です。弁証法の出発点となる意見をテーゼ(正)、テーゼの否定的な意見をアンチテーゼ(反)といい、双方の対立を打開する意見をジンテーゼ(合)といいます。
例えば「残業ゼロの職場にするため、社員には定時の18時には退勤させる」というテーゼと、「定時だと仕事が終わらないので、残業ゼロにはできない」というアンチテーゼがあったとします。この対立の解決策として、「残業しなくても社員の仕事が終わるように、業務フローの見直しをする」とするのがジンテーゼであり、弁証法的な思考プロセスといえるでしょう。
ロジカルシンキングの鍛え方

ロジカルシンキングは、手法を知っていればできるようになるものではありません。具体的なトレーニング方法を知り、意識して実践することで論理的思考を鍛えることができます。
ではロジカルシンキングのトレーニング方法にはどのようなものがあるのでしょうか。
ロジカルシンキングを日常的に実践する
ロジカルシンキングは、実践で身につけることができます。普段何気なく行っている業務も、ロジカルシンキングの手法を意識的に取り入れてみることで効率がアップしたり、新しい発見があったりするかもしれません。
トップダウンアプローチ(ボトムアップアプローチ)で論理展開(仮説構築)を行ったり、ロジックツリーで複雑な問題を漏れなくダブりなく考えたりすることは、良いトレーニングになります。無意識に行っていたことを意識的にロジカルに考えようとすると、初めはかえって時間がかかることもありますが、慣れてくると論理的な思考スピードが速くなってくることでしょう。
ゼロベース思考を習慣化する
ゼロベース思考の習慣化には、「これまでの自分の思考プロセスを確認し、思い込みや先入観を明らかにする」「ブレインストーミングで、できる限り多くのアイデアを出す」ことが有効です。
いずれのトレーニングについてもグループワークを取り入れ、チームのメンバーからフィードバックをもらうようにすると効果が上がるでしょう。
意識して結論から話す
結論から話し始め、その後に根拠や具体例、説明などを入れるようにするトレーニング方法も有効です。結論を頂点に置きその下で論理展開を広げることで、ピラミッド構造のトップダウンアプローチのトレーニングになります。
結論にたどり着くまでに時間がかかると、聞いている側も集中が途切れやすくなるため、結論から話すことで議論の生産性も上がるでしょう。
どんなことにも仮説を立てる
問題の解決策や新しいアイデアを出したいとき、闇雲にあれこれと考えるのではなく、まずは仮説を立ててみてください。そしてその仮説に向かって根拠を考え、根拠に基づくさまざまな事実を集めて展開していきましょう。
仮説が正しければ、仮説を結論として再構築し、根拠のあるアイデアとして採用することも可能です。
セルフディベートで論理的思考を補強する
セルフディベートとは、1人で行うディベートのことです。
ディベートでは、相反する意見のうちどちらかの側に立ち、意見について深く掘り下げて考え、根拠や事実、未来的な予測などを収集し、相手や第三者を説得させられるように主張します。ロジカルシンキングを鍛えるには好適な場だといえるでしょう。
通常のディベートでは相手や司会者、審判員が必要ですが、セルフディベートは1人で行うため、時間や場所に縛られずどのようなテーマでもできます。ライトなテーマから難しいテーマまで、さまざまなテーマを試してみることでロジカルシンキングを養うとともに、知見も広がるでしょう。
フェルミ推定を解いてみる
フェルミ推定(Fermi Estimation)とは、不完全なデータをもとに合理的な推測を立てる思考方法です。正確に計算しようとすると膨大な時間やコストがかかる情報を、論理的な思考をもとに概算します。
例えばグリーンスムージーの販売を考えている企業が、「グリーンスムージーを習慣的に飲む人はA都市に何人いるか」という予測を立てるとします。この際に、都市の人口や既存のスムージードリンクの店舗数などから需要を推察し、大まかな予測を立てるのがフェルミ推定です。フェルミ推定を解くためには前提知識や計算力、論理的思考が求められるため、ロジカルシンキングの練習として有用といえます。
ロジカルシンキングの注意点

ロジカルシンキングを実践すれば、それだけで仕事の効率が上がったり、良いアイデアが浮かんだりするのかというと、決してそうではありません。
ロジカルシンキングにおける注意点を知らずにいると、思考の迷路に入り込んでしまい結論がいつまで経っても出ない可能性もあります。
ロジカルシンキングを実践する際には、以下のことに注意しましょう。
「前提」が変われば正解も変わる
論理上で前提としている事実やルールが変われば、自ずと正解も変わります。つまり、事実であると考えていた情報が誤ったものであったり、思い込みによって誤ったルールを用いたりしていた場合、誤った正解が導き出されてしまうわけです。
また、現在は普遍的な事実として知られていることでも、未来はどうなるか分かりません。前提としている事実が変化することもあるため、注意が必要です。
裏付けとなるデータ(事実)は無数に存在する
帰納法のように、さまざまな事実から一般論を導くときには、情報収集が論理を固める最重要要素です。そのため、初期段階で得られたデータとは異なる内容のデータが後から出てくれば、導き出される一般論や結論も変わることがあります。初めはAが結論だと思っていても、事実をさらに集めていくと実はBが結論かもしれないと考えるようになる可能性は十分にあります。
より普遍的で客観的な結論を導けるように、事実は無数に存在することを覚えておきましょう。
論理を展開する「視点」は1つではない
ロジカルシンキングでは、視点によって論理展開や結論が異なるケースがあります。自分の視点にとらわれず、さまざまな視点があることを理解しておくと、考え方の幅が広がるでしょう。
ロジカルシンキングの応用
ここでは、ロジカルシンキングを応用した手法についてご紹介します。ロジカルシンキングを身につけたら、さまざまなことに応用してよりスキルを磨いていきましょう。
ロジカル・コミュニケーション
ロジカル・コミュニケーションは、ビジネスシーンにおける対人関係にもロジカルシンキングを生かして、よりスムーズな関係を築くことです。
信頼関係の構築につながるだけでなく、簡潔で論理的なロジカル・コミュニケーションを実践すれば、ミスコミュニケーションが減り、業務の効率化にもつながります。
ロジカル・プレゼンテーション
ロジカルシンキングはプレゼンにも応用が利きます。ただ見やすい資料を作成するだけではなく、論理的に内容を構築してプレゼンすることで、説得力が増し、ビジネスチャンスの拡大にもなるでしょう。
おわりに
今回は、ロジカルシンキングの手法やトレーニング方法についてご紹介しました。ロジカルシンキングは、複雑な問題を的確に分析したり、固定観念にとらわれずに柔軟な発想をしたりするために欠かせません。ロジカルシンキングのトレーニングを通して、自分の頭で考える力を身につけることをお薦めします。
ロジカルシンキングの基本と使い方については、以下の講座で詳しく解説しています。
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