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用語集

ロジカルシンキングとは

  • 公開日:2019/09/24
  • 更新日:2024/03/19

ロジカルシンキングとは物事を結論と根拠に分け、その論理的なつながりを捉えながら物事を理解する思考法です。日本語では「論理的思考法」と言います。

物事を論理的に捉えながら話すことにより、聞き手にもわかりやすく伝えることができます。問題解決の際にも原因特定や解決策の立案に効果的な思考プロセスです。

ビジネスシーンでは「結局、何を言いたいの?」と言われない、分かりやすく筋の通った論理形成や相手を納得させるシナリオで話すスキルを身につけることはとても重要です。

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物事や考えをわかりやすく伝えるための「思考法」と「ツール(整理し、まとめ、見やすくするための道具、分析手法フォーマット)」を身につけ、聞き手に「結局、何が言いたいの?」と思わせることのない、わかりやすく筋の通った論理形成ができるようになることを目指します。

次にロジカルシンキングを身に付けるメリットや手法・フレームワークについてご説明いたします。

ロジカルシンキングを身につけることのメリット

ロジカルシンキングを身につけることのメリット

ロジカルシンキングを身につけることで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。

自分の考えが伝わりやすくなる

論理的に思考できるということは、人と情報共有をする際にも論理立てた説明ができるということです。特にビジネスシーンでは、感情的な部分が多い説明よりも、事実に基づいて無駄のないロジカルな説明の方が望ましいケースが多々あります。
論理が飛躍したり破綻したりせずに、首尾一貫した話ができれば、相手に自分の考えが伝わりやすくなるでしょう。もちろん、直接話す場合だけではなく、メールやチャットでの連絡時にもロジカルシンキングは役立ちます。
新しいアイデア・企画を提案したいときや、自社の商品・サービスを売り込む際などにも、論理的に分かりやすい説明ができれば理解や承諾を得やすくなるため、大きな強みになります。
2020年以降は、テレワークの導入増によりオンラインのやり取りが特に増えました。チャットでのやり取りやオンラインミーティングでは、相手の姿が見えず雰囲気を感じづらい側面があるため、わかりやすく論理的に伝える力がさらに求められています。

原因特定と問題解決の能力が上がる

ロジカルシンキングでは、常に原因と結果、つまり因果関係を理解しながら思考します。この考え方が無意識のうちにできるようになると、何か問題が起こった時に原因を特定したり、解決策を見つけたりする能力が上がるのです。
ビジネスシーンに置き換えると、進行中のプロジェクトで大きな壁に直面した際に、どうすれば現状を打破できるのか、どこを改善すれば良いのかなどを見抜く能力が上がるといえるでしょう。 ロジカルに考えることができず、表面的に対応してしまうと、解決に繋がりづらかったり、周囲に協力を得にくかったり、という状況が起きやすくなります。

ロジカルシンキングの手法・フレームワーク

ロジカルシンキングの手法・フレームワーク

ロジカルシンキングの重要性を理解した後で、主な手法・フレームワークを押さえておきましょう。
ここでは、ピラミッド構造、フレームワーク思考、ゼロベース思考の3つを取り上げます。

ピラミッド構造(トップダウンアプローチ、ボトムアップアプローチ)

ピラミッド構造とは、結論(仮説)を置き、その下の階層でその根拠を並べ、さらにその下の階層で結論の根拠に対する根拠を並べる、ということを繰り返してできる、結論を頂点とするピラミッドのことです。
ロジックを組み立てるアプローチには、ピラミッドを頂点から下に降りながら考える「トップダウンアプローチ」と、下から頂点に上る「ボトムアップアプローチ」の2つがあります。
トップダウンアプローチは、「仮説→根拠→事実」と仮説を出発点として論理展開を行う方法、ボトムアップアプローチは「事実→根拠→仮説」と積み上げで仮説を構築する方法です。

フレームワーク思考(MECE、ロジックツリー)

MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、「漏れなくダブりのない状態」を指し、「ミーシー」と呼ばれます。
例えば新商品を企画する際は、ターゲット設定から始める必要があります。ここで適切にターゲット設定をするためには、MECEを意識することが大切です。この場合、年齢、個人/法人、地域などの切り口で分類することが考えられます。
ロジカルに考える際には、ロジックツリーの活用が効果的です。
基本となるロジックツリーには、問題点の原因を掘り下げて考えることで根本的な原因を見つける「WHYツリー」、課題解決の方法を整理して優先順位をつける「HOWツリー」、大きな要素を小さな要素に分解する「WHATツリー」の3つがあります。

ゼロベース思考

ゼロベース思考とは、先入観にとらわれることなく、白紙の状態から考える姿勢のことです。思い込みにとらわれてしまうと、新しい発想を生み出すことができなくなったり、自分で限界をつくってしまったりします。
自分の中の無意識な思い込みや前提条件をなくして、どうすればできるのかをゼロベースで考えることが大切です。

ロジカルシンキングで活用する論理展開の手法

ロジカルシンキングでよく用いられる手法に、演繹法と帰納法があります。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

演繹法

演繹法とは別名「三段論法」とも呼ばれる論理展開の手法で、一般的な事実(ルール)と観察事項という2つの情報をもとにして最終的な結論を導き出すというものです。
有名な演繹法(三段論法)の例に、以下があります。

1.人間はいつか死ぬ(事実)
2.ソクラテスは人間である(観察事項)
3.よってソクラテスはいつか死ぬ(結論)

この場合、「人間はいつか死ぬ」という誰もが疑いようのない普遍的な事実に、「ソクラテスも人間である」という観察事項を当てはめたとき、「人間であるソクラテスはいつか死ぬ」という結論が導き出されます。
ビジネスシーンに置き換えてみると、以下のような論理展開となります。

1.利益率が120%を超える案件には、新しいプロジェクトの提案をする(社内でのルール)
2.A社の案件は利益率が130%である(観察事項)
3.A社には新しいプロジェクトの提案をする(結論)

帰納法

帰納法は、論理展開が演繹法とは逆の手法です。複数の事実から分かる傾向をまとめて、一般論を導き出します。
例えば、「友人のAさんがランニングを始めてから痩せたと言っていた」「テレビでもランニングは脂肪燃焼に効くと言っていた」などの情報から、「ランニングはダイエットに効果的だ」という一般論を導き出すことができます。
ただし、帰納法で導き出される結論は、あくまでもさまざまな事実や情報の傾向をまとめたものであって、普遍的な事実ではないことに注意が必要です。Aさんはランニング以外にも運動していたり、食事にも気を配っていたりしたおかげで痩せたのかもしれませんし、実際には体重や運動量によっても効果は異なるでしょう。
このように結論が確実ではないことから、帰納法は帰納的推論とも呼ばれます。
ビジネスシーンでは、アンケートによる市場調査が帰納法的な論理展開にあたります。
例えば、30歳以降の男女500人に水に関するアンケートをとった場合、「8割の人が週に一度は水を買うと答えた」「水道水は飲まないと答えた人が年々増加している」などの傾向があれば、「30歳以降の層にはミネラルウォーターが売れ続けるだろう」という結論(推論)を導き出すことができます。

ロジカルシンキングのトレーニング方法

ロジカルシンキングのトレーニング方法

ロジカルシンキングは、手法を知っていればできるようになるものではありません。具体的なトレーニング方法を知り、意識して実践することで論理的思考を鍛えることができます。
ではロジカルシンキングのトレーニング方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

ロジカルシンキングを日常的に実践する

ロジカルシンキングは、実践で身につけることができます。普段何気なく行っている業務も、ロジカルシンキングの手法を意識的に取り入れてみることで効率がアップしたり、新しい発見があったりするかもしれません。
トップダウンアプローチ(ボトムアップアプローチ)で論理展開(仮説構築)を行ったり、ロジックツリーで複雑な問題を漏れなくダブりなく考えたりすることは、良いトレーニングになります。無意識に行っていたことを意識的にロジカルに考えようとすると、初めはかえって時間がかかることもありますが、慣れてくると論理的な思考スピードが速くなってくることでしょう。

ゼロベース思考を習慣化する

ゼロベース思考の習慣化には、「これまでの自分の思考プロセスを確認し、思い込みや先入観を明らかにする」「ブレインストーミングで、できる限り多くのアイデアを出す」ことが有効です。
いずれのトレーニングについてもグループワークを取り入れ、チームのメンバーからフィードバックをもらうようにすると効果が上がるでしょう。

意識して結論から話す

結論から話し始め、その後に根拠や具体例、説明などを入れるようにするトレーニング方法も有効です。結論を頂点に置きその下で論理展開を広げることで、ピラミッド構造のトップダウンアプローチのトレーニングになります。
結論にたどり着くまでに時間がかかると、聞いている側も集中が途切れやすくなるため、結論から話すことで議論の生産性も上がるでしょう。

どんなことにも仮説を立てる

問題の解決策や新しいアイデアを出したいとき、闇雲にあれこれと考えるのではなく、まずは仮説を立ててみてください。そしてその仮説に向かって根拠を考え、根拠に基づくさまざまな事実を集めて展開していきましょう。
仮説が正しければ、仮説を結論として再構築し、根拠のあるアイデアとして採用することも可能です。

セルフディベートで論理的思考を補強する

セルフディベートとは、1人で行うディベートのことです。
ディベートでは、相反する意見のうちどちらかの側に立ち、意見について深く掘り下げて考え、根拠や事実、未来的な予測などを収集し、相手や第三者を説得させられるように主張します。ロジカルシンキングを鍛えるには好適な場だといえるでしょう。
通常のディベートでは相手や司会者、審判員が必要ですが、セルフディベートは1人で行うため、時間や場所に縛られずどのようなテーマでもできます。ライトなテーマから難しいテーマまで、さまざまなテーマを試してみることでロジカルシンキングを養うとともに、知見も広がるでしょう。

ロジカルシンキングの注意点

ロジカルシンキングの注意点

ロジカルシンキングを実践すれば、それだけで仕事の効率が上がったり、良いアイデアが浮かんだりするのかというと、決してそうではありません。
ロジカルシンキングにおける注意点を知らずにいると、思考の迷路に入り込んでしまい結論がいつまで経っても出ない可能性もあります。
ロジカルシンキングを実践する際には、以下のことに注意しましょう。

「前提」が変われば正解も変わる

論理上で前提としている事実やルールが変われば、自ずと正解も変わります。つまり、事実であると考えていた情報が誤ったものであったり、思い込みによって誤ったルールを用いたりしていた場合、誤った正解が導き出されてしまうわけです。
また、現在は普遍的な事実として知られていることでも、未来はどうなるか分かりません。前提としている事実が変化することもあるため、注意が必要です。

裏付けとなるデータ(事実)は無数に存在する

帰納法のように、さまざまな事実から一般論を導くときには、情報収集が論理を固める最重要要素です。そのため、初期段階で得られたデータとは異なる内容のデータが後から出てくれば、導き出される一般論や結論も変わることがあります。初めはAが結論だと思っていても、事実をさらに集めていくと実はBが結論かもしれないと考えるようになる可能性は十分にあります。
より普遍的で客観的な結論を導けるように、事実は無数に存在することを覚えておきましょう。

論理を展開する「視点」は1つではない

ロジカルシンキングでは、視点によって論理展開や結論が異なるケースがあります。自分の視点にとらわれず、さまざまな視点があることを理解しておくと、考え方の幅が広がるでしょう。

ロジカルシンキングの応用

ここでは、ロジカルシンキングを応用した手法についてご紹介します。ロジカルシンキングを身につけたら、さまざまなことに応用してよりスキルを磨いていきましょう。

ロジカル・コミュニケーション

ロジカル・コミュニケーションは、ビジネスシーンにおける対人関係にもロジカルシンキングを生かして、よりスムーズな関係を築くことです。
信頼関係の構築につながるだけでなく、簡潔で論理的なロジカル・コミュニケーションを実践すれば、ミスコミュニケーションが減り、業務の効率化にもつながります。

ロジカル・プレゼンテーション

ロジカルシンキングはプレゼンにも応用が利きます。ただ見やすい資料を作成するだけではなく、論理的に内容を構築してプレゼンすることで、説得力が増し、ビジネスチャンスの拡大にもなるでしょう。

おわりに

今回は、ロジカルシンキングの手法やトレーニング方法についてご紹介しました。ロジカルシンキングは、複雑な問題を的確に分析したり、固定観念にとらわれずに柔軟な発想をしたりするために欠かせません。ロジカルシンキングのトレーニングを通して、自分の頭で考える力を身につけることをお薦めします。

ロジカルシンキングの基本と使い方については、以下の講座で詳しく解説しています。

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◆ 使える!ロジカルシンキング ~“わかりやすさ”のための3つの基本思考~の 詳細はこちら から

ロジカルシンキングについてこちらのコラムでは具体的なシチュエーションを交えてご案内しております。
ぜひこちらもご覧ください。

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