今必要なビジネススキルとは? 第3回 若手のうちに鍛えたい「数字を使ってロジカルに伝える力」

執筆者情報
HRD・OD事業推進部
石岡 由紀子

ビジネスパーソンには、役割に応じて身につけると効果的に仕事が進むビジネススキルがあります。
元々得意なことや、仕事のなかで自然に身につけていくことができる場合もありますが、習得のために遠回りをしたり、その過程で壁にぶつかったりすることもあります。

私たちが提供するビジネスパーソンの学び場「リクルートマネジメントスクール」では、お客様から特定の社員に何を学ばせたらいいのか、というご質問を非常に多くいただきます。

そこで本連載では、企業で働くビジネスパーソンに、求められる役割に応じて必要になるビジネススキルについてお伝えしていきます。
連載3回目にあたる今回は、入社して3年目前後の若手社員を対象に、彼・彼女らが身につけておくべきスキルについてお話しします。


情報を正しく伝えられている?

ある入社3年目のAくんがいたとします。彼は商品企画部に所属する若手社員です。上司のBさんに、会議に必要なデータ作成を頼まれました。

Bさん「Aくん、データ作成ありがとう。昨年と比べて今年の売上の内訳で気になるところはあった?」
Aくん「大型取引先のキャンセルの影響が大きいみたいですね。商品Xの売上が落ちているのが目立ちました」
Bさん「商品Xは何パーセントぐらい落ち込んでいた?」
Aくん「あ、何パーセントかは分からないのですが、300万円減っていたので」
Bさん「そうか。来週の販売戦略会議に使うデータだから、今度からは前年売上額と対前年比率も出してくれるかな」

その後、Aくんが作成したデータをBさんは自分で加工し直して分析してみました。すると商品Xの前年売上が6,000万円だったのに対し、今年はAくんの言うとおり300万円減っており、これは前年売上に対し約5%にあたることが分かりました。一方、前年売上が500万円の商品Yは、前年より200万円の減少。減少額としては商品Xよりも小さいものの、売上比率の40%にもあたることがわかりました。
さらにその要因を分析してみると、商品XとYを購入していた大型取引先はそれほど減っておらず、むしろ少額の新規顧客が増えていないことがデータから読み取れました。
そして、販売戦略会議でその分析データをもとに検討した結果、商品XとYを中心に新規獲得キャンペーンを行うことになったのです。

若手社員の課題としてよく挙げられることは?

上記のシーンからAくんの課題を考えてみます。
(1)前年比率を出していなかったこと
(2)商品X売上減少の主な原因の見立てが間違っていたこと(大型取引先の減少が主な原因ではなかった)
Bさんとの会話では上記などが気になるポイントですね。また、Aくんはこのデータが何に使われるかを分かっていなかった可能性もあります。

若手社員が一人前のビジネスパーソンになるために身につけてほしい力は、「数字力」「ロジカルコミュニケーション」「目的志向」「生産性」です。
Aくんの例でも、この辺りの課題が垣間見えました。上司のBさんがこれを機にAくんに学ぶべきポイントを上手く伝えられると、とても効果的だと思います。
以下に1つずつ解説していきます。

若手のうちに身につけてほしい、「数字を使ってロジカルに伝える力」

ロジカルシンキングやロジカルコミュニケーションについては、前回の新入社員の回でもお伝えしました。入社1年目や、最近では学生のうちに学んだという人もいるでしょう。
しかしながら、ロジカルシンキングは一度学んだだけで完璧に身に着け、活用することが難しいスキルです。実際の業務で経験しながら会得し、さらには期待役割に合わせてブラッシュアップしていくことも大事です。

新入社員から一歩進んだ若手社員として意識してほしいロジカルさは、「事実をベースに伝える」ことです。そのためには「事実(客観)」と「意見(主観)」を分けて伝える必要があります。また、AくんがBさんから売上前年比率を聞かれたように、事実を数字で伝えられるとより相手の理解が進みます。
先ほどのAくんの例でいうと、「大型取引先のキャンセルの影響が大きい」ことはAくんの印象であり、意見でした。意見を伝えてはいけない、ということではなく、何が事実で、何が意見かを伝えられていれば、Bさんはその情報からの判断がしやすくなるということです。
意見と事実を混ぜて伝えてしまうと、相手に分かりづらいだけでなく、その人の情報全てが信用されなくなってしまう可能性さえあります。

もし先ほどの会話で、「商品Xの売上は昨年から約5%落ちています。これは私の意見ですが、大型取引先のキャンセルが要因となった可能性はないでしょうか」とAくんが伝えていたら、Bさんは売上下落の要因については事実がなく、もう少し調査が必要なことがすぐに分かりました。Aくんに要因分析のための追加調査をお願いしていたかもしれません。
これでAくんが想定した「大型取引先のキャンセルが大きい」という情報が間違っていたことが分かっても、彼が信頼を失われることはないでしょう。

若手社員の時代に、数字情報を上手く活用しながら事実をベースに報告できるスキルを身につけていれば、今後の企画力や業務の推進力向上に必ず役立ちます。

目的や成果を意識して仕事の全体像を捉える

もう1つ重要なスキルは、仕事の全体像を捉えることです。
今回のケースでいうと、AくんのデータはBさんを中心に課内で販売戦略を検討するための材料として必要なものでした。
仕事を指示するときに上司や先輩がその背景や目的を説明してくれればいいのですが、忙しくて省かれてしまうこともあるでしょう。そもそも、同じ課内で日常からさまざまな会話を聞いているのだからそれぐらい分かっているだろう、と先輩や上司が思いこんでしまうことも多いのです。
仕事の指示を受けたときは、それが仕事全体のなかでどのような位置づけで、何にどのように使うのか、そのためには具体的にどのようなアウトプットが、いつまでに必要かを自ら確認しておく習慣を早いうちにつけることをおすすめします。

全体像を掴んでおくことによって手戻りがなくなり、生産性向上にもつながりますし、さらには目的やその後の工程に照らして、相手の期待以上のアウトプットを出せるようにもなります。
もう少しキャリアが進み自分でやるべきことを組み立てるようになったとき、この視点は必ず必要になります。

生産性向上のための優先順位のつけ方とは?

それでも、若手社員は目の前の仕事をこなすので精一杯になりがちです。先輩や上司から急に頼まれる仕事も多く自分のコントロールが利きにくいですし、取り組む仕事も初めてのものが多く見通しがつけづらいため当然です。また、優先順位をつけるといっても、勝手に優先順位を下げられる仕事もない、というのが現実でしょう。

しかし、だからこそ生産性向上の工夫や優先順位の付け方については、研修や書籍、上手くやっている先輩に教えてもらうなどで、ぜひいろいろ取り組んでほしいと思います。
ここでは2つ、汎用的なポイントをお伝えします。1つは当たり前ですが、それぞれの仕事の「納期を確認すること」です。確認しないと全部「なる早」でやろうとしてしまい、毎日何かに追い立てられる状態になってしまい、メンタル的にもよくありません。
もう1つは、急ぎではなくても、今後の仕事の成果、効率化や自分の成長につながる仕事に少しずつでも取り組むことです。例えば会社になかった業務マニュアルを作成してみんなに共有する、企画書のひな型を作ってみる、など。上手くいけば先々の仕事の効率化につながりますし、自分の仕事を俯瞰して見る目を養うこともできます。上司との目標設定で、そのようなアドバイスをもらうこともあるかもしれません。そうでなくても、ぜひ自分から提案して取り組んでみてください。

そんな時間や余裕がないという方は、1日30分でも、また週に1〜2時間でもいいので先にそのための時間を確保しておくことです。タイムマネジメントの練習にもなります。機会があれば、タイムマネジメントを研修などで学ぶことをおすすめします。

自分の課題を把握するために周囲にアドバイスを求めよう

ここまで比較的多くの若手社員に共通する課題をお伝えしてきました。
その他にも、業務や個人のタイプによっても強化すべきポイントはさまざまあると思います。
例えば、対人対応の機会が多いのに苦手なタイプを克服できない方は対人対応力を、企画職の方は問題解決力やプレゼンテーション力を磨くことが必要になってくるかもしれません。
連載第1回でもお伝えしましたが、自分の課題には自分では気づきにくいものなので、上司や先輩など、周囲に聞くことをおすすめします。

最後に

新人から若手になると、社会人生活には慣れても、仕事については任される内容や期待が大きくなり、初めての経験のなかで上手くいかず思い悩むことが増えてきます。

しかし、さまざまな経験をし、さらにそれを振り返っていくことで、とても成長につながりやすい時期です。自分自身はもちろん、上司や先輩など周囲の力を借りてきちんと振り返ることで、初めはできなかったことが次はできる、ということが当たり前になってきます。
社会人という旅は、スタートしたばかりです。時には無我夢中で進むこともあるでしょうが、疲れすぎないうちに立ち止まって、次こそは上手くやろうと振り返りながら進んでいくことをおすすめします。

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バックナンバー第1回 今さら聞けない「ビジネススキル」とは何か?
第2回 新入社員に求められるのは「主体性」

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