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クリティカルシンキング(批判的思考法)とは? ロジカルシンキングとの違いや背景、メリットを分かりやすく解説

  • 公開日:2024/01/17
  • 更新日:2024/09/11

クリティカルシンキングとは、物事に対して疑いの目を持って考えることで、本質を見極める思考法のことです。実践するメリットや具体的な流れなどについて詳しく説明します。

クリティカルシンキング(批判的思考法)とは?

クリティカルシンキング(批判的思考)とは、現状の課題・問題が何か、その事象を「批判的」に捉えて、本質的な課題は何か、それに対する仮説・回答は何かということを網羅的に、かつ深く考え抜く思考法のことをいいます。組織でクリティカルシンキングを活用することで、主体的解決者として、計画立案や問題解決、そして意思決定の基盤・技術を築くことができます。また分析、推論、伝達といったクリティカルシンキング・スキルは円滑なコミュニケーションにおいても重要です。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

クリティカルシンキングと似た思考法に、ロジカルシンキング(論理的思考法)があります。クリティカルシンキングは、物事に対し「これは本当に正しいのか?」「他に方法はないのか?」と疑いながら考えるのが特徴です。一方ロジカルシンキングでは、物事に筋道を立てて、矛盾がないように根拠を積み重ねることで結論を導きます。

例えば「販促費用100万円で、夏と冬にセールを行う」という課題があったとしましょう。それぞれの思考法によるアプローチの一例を紹介します。

〈クリティカルシンキング〉
・そもそもセールは必要なのか?
・春や秋にセールを行った方が効果的なのでは?
・季節限定のセールより、年間プロモーションを強化したらどうか?

〈ロジカルシンキング〉
昨年のセールでは、夏は売上30%アップ、冬は売上10%アップした

夏の方が、費用対効果が高い

在庫は夏向けの商品が多い

夏のセールに一本化して、販促費用100万円を使った方が良い

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは、アプローチの仕方が違うものの、どちらも「物事を論理的に考えて、結論を出す」思考法です。両方のスキルを組み合わせて物事を多角的に見ることで、より深い思考を重ねることができるでしょう。

クリティカルシンキングが必要な理由と注目されている背景

今ある知識やこれまでの経験にとらわれると、考え方が偏ってしまうことがあります。クリティカルシンキングは、そのようなこれまでの知識や経験だけに基づく考えの偏りをなくし、本質的な課題や解決策を見つけるために必要とされる思考法です。

その背景には、今の時代がこれまでのやり方では通用しないような、想定外の事象が発生するVUCA時代であることが挙げられます。将来予測の困難な状態だからこそ、過去の経験に頼るだけでなく、論理的・構造的に思考して未知の問題に対処する必要があるのです。

クリティカルシンキングのメリット

クリティカルシンキングのメリット

クリティカルシンキングは物事を深く考えるために欠かせない思考法ですが、業務においてどのようなメリットがあるのでしょうか。クリティカルシンキングによって得られる主なメリットは、以下の4つです。

円滑なコミュニケーションが取れるようになる

自分と相手との間に認識のズレが生じていると、コミュニケーションをうまく取ることができません。自分の意図を正確に伝えたいという場面で、クリティカルシンキングによって自分の主張に説得力を持たせ、相手の行動を促すことができるでしょう。相手の話を聞くときも、発言の背後にある相手の意図を汲み取りやすくなるため、円滑なコミュニケーションにつながります。

数値データから的確な判断ができるようになる

管理職の場合、担当部署の「売上・コスト・利益」を管理したり、統計データをもとにマーケティング戦略を立てたりする必要があります。クリティカルシンキングが身に付けば、数値データが何を意味するのかを把握し、的確な判断ができるようになります。

矛盾点を発見しリスクを回避できるようになる

物事の本質を見極めるクリティカルシンキングを通して、一見論理的に導かれたように見える結論でも、矛盾や漏れが見つかることがあります。計画を動かす前に、結論をあらためて評価・判定する習慣をつけることで、問題発生を未然に防ぐことができます。

新しいアイディアを発見できるようになる

知識や経験が豊かになってくると「自分の考えが絶対に正しい」と思い込み、他の可能性を考えられなくなってしまうことがあります。しかし、自分の考えを「もしかしたら間違っているかもしれない」と常に批判的に見ることで、過去の経験からは思いつかないような、今の時代に合う新しいアイディアを導き出せることがあります。

クリティカルシンキングを実践する流れ

実際に、どのような流れでクリティカルシンキングを行うのでしょうか? 具体例な流れを紹介します。

課題や目的を決める

まず「クリティカルシンキングで何を解決したいのか」という課題や目的を明確にしましょう。ゴールが見えていないと、いくら思考を重ねても方向性がブレてしまい、結論がなかなか出ないという状況になりがちです。目的は「何を」「いつまでに」「どのような状態にするか」を具体的に設定することがポイントです。具体的であればあるほど、スムーズに思考を進めることができるでしょう。

前提が正しいか調べる(疑う)

次に、前提とする条件が正しいのか、あえて疑って考えます。「そもそも、これは正しいのか?」「考えは偏っていないか?」「他に考えるべきポイントはないか?」といった視点で考えてみましょう。その際に大切なことは、事実に基づいて検証することです。経験による憶測や、固定観念にとらわれないように注意しましょう。

課題や問題点を書き出し仮説を立てる

具体的な課題や問題点を書き出して、整理します。その際も自分の感情や思い込みを捨てて、客観的な事実に基づいて行うことが重要です。書き出していくうちに新しい問題点や疑問点が出てきたら、カテゴリ別にまとめましょう。課題を視覚化することで、思考も整理されていくはずです。課題を洗い出したら、重要度の高い課題に対し、解決するための仮説を立てます。仮説はなるべく多く出し、有効かどうか一つひとつ検証していきます。

課題解決に向けて施策を実行する

解決策が決まったら、実行に移します。実行したらPDCAサイクルを回しましょう。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を繰り返すことで、より効果的な施策にブラッシュアップしていくことができます。

クリティカルシンキングを強化するトレーニング方法

クリティカルシンキングを鍛えるときのポイント

クリティカルシンキングを身に付けるためには、日々のトレーニングが大切です。しかし、クリティカルシンキングのトレーニングはどのように行えばよいのでしょうか? ここでは、簡単に取り組めるクリティカルシンキングのトレーニング方法をご紹介します。

相手の立場を考えて話すことを心がける

「相手に自分の意図を分かりやすく伝えられない」と感じている方は、「伝え方に問題はないか」という視点を持ち、普段の会話のなかで具体的に話すことを心がけてみてはいかがでしょうか。主語をなるべく省かない、具体例を挙げる、「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞を多用せずに、具体的な名前を出す、といったことを実践してみましょう。

×「あの資料、確認してもらえましたよ」

〇「昨日提出してくれた新入社員研修の企画書、Aさんに確認してもらえましたよ」

仮説を立てて検証する

クリティカルシンキングは、思い込みを排除して考える思考法ともいえます。自分の思い込みに気づくためには、仮説・検証のプロセスを繰り返すことが効果的です。ロジカルシンキングのフレームワークを活用して、仮説から結論を導くだけで終わるのではなく、導かれた結論が妥当であるかを検証することによって、仮説(思い込み)の誤りに気づけるでしょう。

×「Aさんは、コミュニケーションスキルも高く、仕事も速いので、リーダーに最適だ!」

〇「そもそも、リーダーにはどんな能力が求められているのだろうか?」「Aさん以外にコミュニケーションスキルが高く、仕事が速い人はいないだろうか?」

事実と意見を区別する

事実とは「実際に起こった事柄」、意見とは「ある問題に対する考え」です。例えば、「〇〇分野の今年の市場成長率は30%だった」というのは事実ですが、「〇〇分野は今後成長が期待できる有望市場である」というのは意見であり、人によって受け止め方が異なる可能性があります。相手が事実を話しているのか、それとも意見を述べているのかに注意しながら話に耳を傾けることは、クリティカルシンキングの良いトレーニングになります。

×「新入社員のAさんは、今後の活躍が期待できる有望な人材です」(意見のみ)

〇「新入社員のAさんは、現場から高く評価されています。私は、Aさんが今後の活躍が期待できる有望な人材であると思っています」(事実と意見)

前提や情報が正しいか疑ってみる

クリティカルシンキングのポイントは、「さまざまな角度から物事を疑う」ことです。与えられた前提や情報をただ受け入れるのではなく、「なぜそのような前提なのか?」「その情報は本当に正しいのか?」と、あえて疑ってみるクセをつけましょう。前提や情報が事実と異なっていた場合、意思決定や戦略に大きな変更が生じます。反対意見も積極的に取り入れながら、慎重に検証することが大切です。

「Aさんは、リーダー候補として現場から期待されている」

「Aさんの具体的な実績は何か?」「上司の主観が入っていないか?」

おわりに

今回は、クリティカルシンキングの意味やメリット、トレーニング方法などをご紹介しました。物事を客観的に捉えるクリティカルシンキングは、円滑なコミュニケーションや、データに基づく判断に役立ちます。ビジネスはもちろん、日常生活でも役立つ思考法のため、自主トレーニングや研修などを利用して身に付けてみてはいかがでしょうか

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