用語集
ロジックツリーとは? 種類や活用メリット・作り方のポイント
- 公開日:2024/06/14
- 更新日:2024/07/08
ロジックツリーは、おもにさまざまな課題解決に向けて、物事の要素を分解して図式化する論理的思考法の1種です。今回はロジックツリーの取り入れ方や期待できる効果、具体的な作成方法などを解説します。
ロジックツリーとは
ロジックツリーとは1つの物事に含まれる要素を階層式に細分化するフレームワークで、さまざまな課題の全体像を把握して解決策や意思決定を促す論理的思考法です。特定の事象やモノを構成している要素を、枝分かれ式に分解した図式に洗い出すことから、ロジックツリーと呼ばれています。例えば「日本の地域」で考えるなら、「47都道府県」⇒「各都道府県の行政区画」⇒「各行政区画の区や町」など、段階的に細かく分類して整理するのに使えるフレームワークです。
ピラミッドストラクチャーとの違い
ロジックツリーと同じように物事を細分化して整理する論理的思考法として、ピラミッドストラクチャーと呼ばれるフレームワークがあります。ピラミッドストラクチャーは、何かしらの結論に対して、その根拠となる要素を細かく分解するフレームワークです。ピラミッドストラクチャーでは伝えたい結論までの道筋を明確に示しますが、一方、ロジックツリーでは物事の成り立ちを可視化して分析していく点に大きな違いがあります。
ロジックツリーの種類
ロジックツリーを活用できるシーンとしては、大きく分けて、原因研究(Why)・問題解決(How)・要素分解(What)・KPIという4つに分類できます。ではそれぞれのシーンで、ロジックツリーがどう使えるのか、以下から見ていきましょう。
Whyツリー(原因研究)
何かしらの問題があるときに、その理由を細分化して原因を探るのにもロジックツリーが活用できます。例えば、「○○の業務に時間がかかる」との課題がある場合。「ソフトの動作が遅い」「工程が多い」など、まずは主となる原因を洗い出します。そこから「なぜそうなるのか?」との深掘りを続けることで、問題を引き起こす根本的な関連要素が見えやすくなります。
Howツリー(問題解決)
ロジックツリーは何か解決したい課題があるときに、どこから手をつけるべきなのか、具体的な行動や方向性を決めるのにも役立ちます。例えば前述と同じく、「○○の業務に時間がかかる」との課題があれば、「誰かと分担する」「新しいツールを導入する」などの改善策が考えられるでしょう。そしてその改善策にむけて、どのようなプロセスがあるのか細分化することで、課題解決への過程や優先順位を整理できます。
Whatツリー(要素分解)
ロジックツリーでは物事の構成要素を明確にすることで、発生している課題の特定や、その解決策の選択にもつなげることが可能です。ここまでの例と同様に、「○○の業務に時間がかかる」との課題がある場合。その業務で生じる作業を分解することで、特に工程が多くなる処理などが可視化され、改善すべき部分や対策が見出しやすくなります。
KPIツリー
ロジックツリーによって、KPIを細分化して達成すべき目標を細かく分解することで、日常業務に落とし込むことも可能です。例えば「商品Aの売上アップ」とのKPIがある場合。「集客数」「発注数」「リピート数」など、売上の構成要素を分類して細かな数値目標を作ることで、日々のタスクとして設定しやすくなります。
ロジックツリーを活用するメリット
ここまでに出てきたように、ロジックツリーは物事の分析や方向づけなど、幅広いビジネスシーンで取り入れられるフレームワークです。実際にロジックツリーを活用することで、具体的には次のような効果が期待できます。
問題の全体を把握できる
ロジックツリーによって問題の要素をひもとくことで、どのようにその事象が発生しているのか、全体像が見えやすくなるのが大きなメリットです。身近な例で考えるなら、仮に「〇〇の資格を取りたいのに勉強する時間がない」との悩みがあったとします。悩みのテーマ的には1つですが、「時間がない」のなかにも「仕事の残業が多い」「勤務先が遠くて移動が長い」など、複数の要素が絡んでいます。大きな問題を構成する、小さな問題を洗い出すことで、その物事全体を広い視野で俯瞰的に捉えやすくなります。
問題の原因を追求できる
何かしらの大きな問題は、さまざまな細かい事象が集まることで、表面化しているケースがよく見られます。つまりその全体像を構成するいくつもの要素は、言い換えれば1つの問題をつくり上げている原因ともいえます。ロジックツリーを活用して、問題を細分化して掘り下げることで、根本的な原因を探ることも可能です。
問題の解決策が見つかりやすい
前述のように、ロジックツリーによって問題の全体像や原因が見えやすくなることで、本質的な実態を理解しやすくなるのも利点です。どんなに複雑化した問題でも、細分化して要素ごとに考えることで単純に捉えやすくなり、解決策もシンプルに考えやすくなります。ロジックツリーを通じて、その問題が起きた仕組みを明らかにすることで、具体的な対策を練りやすくなる効果が見込めます。
アクションの優先順位がつけやすい
ロジックツリーによって、問題の原因やその解決に向けた対策を具体的に洗い出せることで、着手すべき優先順位も分かりやすくなります。ロジックツリーではその問題と要素ごとの関連性を明確にでき、各原因や対策に応じた結果、解決に向けてどう影響するのか見えやすいのも利点です。どれから対応できそうなのか、どこから手をつければ素早い解決につながるのか、実際のアクションの仕方も判断しやすくなるメリットがあります。
ロジックツリーの作り方
ロジックツリーの完成図は、左から右にかけて順番に、だんだんと要素が細分化されていく形になるのが一般的です。では実際にロジックツリーを作成する際の手順について、以下から見ていきましょう。
テーマを決定する
まずは解決したい問題や新たに取り組みたい課題など、ロジックツリーの大きな幹にあたる、テーマを決めます。例えば、「自社サービスの利益率を上げたい」「人材を定着させたい」「新規顧客の開拓数を増やしたい」など。なるべく明確な目標をテーマにして、原因研究(Why)・問題解決(How)・要素分解(What)・KPIのうち、どの方向性にロジックツリーするのか選択します。
MECEに要素を書き出す
MECEとは、Mutually(相互)・Exclusive(限定的)・Collectively(全体)・Exhaustive(網羅的)の頭文字を取った言葉です。簡単にまとめると「相互に重複せず、全体を網羅する」との意味があり、ロジックツリーでは、同じ要素の繰り返しや漏れのない分類をするのが基本。ロジックツリーの各縦軸では、並列関係にある要素を被らせることなく、なおかつ見落としのないように洗い出していきます。
MECEの解説はこちら
分解を繰り返し行う
ロジックツリーの縦軸に並ぶ各要素は、実際の行動やタスクに移せる段階まで細分化します。簡単な例として「節約に向けて家計を見直す」とのテーマにした場合、「食費を削る」「洋服代を減らす」などの段階ではまだ足りません。例えば、「出勤時のランチはお弁当にする」「毎月の洋服代は〇円まで」など、日常で実践できるレベルまで、具体的な要素へと分解していきましょう。
ロジックツリーを作るときのポイント
より効果的なロジックツリーを作るにあたって、細分化する際のコツをご紹介していきます。
ロジックはMECEで作成する
先ほども出てきたように、MECE(相互に重複せず、全体を網羅する)を大前提として、関連する要素を洗い出していくことが大切です。前段階の要素とのイコール関係はもちろん、縦軸に過不足がないか意識しながら作成してみましょう。またロジックツリーでは、縦に並ぶ各要素が同じグループになるように分解すするのもコツ。例えば冒頭に出てきた「日本の地域」で考えるなら、「東京都」と「横浜市」ではカテゴリーが異なるので、同じ縦軸には並びません。要素ごとの並列関係にも注意しておくと、MECEによる細分化ができます。
仮説を立てる
1つのテーマを分解する際には、「こんな要素もあるかもしれない」といった仮説を加えてみると、新たな視点も生まれやすくなります。ロジックツリー上で仮説として立てておけば、たとえ事実確認はできていなくても、あとから調査や検証をして新たな解決の糸口が見つかる可能性もあります。
具体的な行動につながるまで分解を行う
前述のロジックツリーの作成方法でも出てきたように、各要素は実践レベルまで分解しておくと、課題解決に向けてスムーズに動き出しやすくなります。十分に細分化できていないと、具体的に取るべき行動が見出せずに、ただロジックツリーを作っただけで終わってしまうケースも。きちんと優先順位を決めて実行に移せるように、To Doリストにできる程度まで洗い出してみましょう。
まとめ
ロジックツリーは、さまざまな要素が関連した物事の構造を分かりやすくして、具体的な実行策を促す効果をもたらすフレームワークです。個人の業務上で抱える問題から組織の課題まで、幅広い場面に使えるフレームワークでもあり、比較的取り入れやすいシンプルな思考法でもあります。またロジックツリーで組織内の問題を可視化して、共通の認識を持つなどの活用方法も可能です。なお以下の研修では、ロジックツリーの作成方法を学べる講座など、若手社員向けのさまざまなセミナーを実施しています。社内でロジックツリーの思考法を浸透させたい時には、ぜひご活用ください。
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