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MECEとは? 論理的思考の基本となる考え方やビジネスにおける活用例、注意点

  • 公開日:2024/06/14
  • 更新日:2024/06/14

ビジネスには欠かせない、ロジカルシンキング(論理的思考)。その基本ともいえる思考法に「MECE(ミーシー)」あります。この記事では、MECEとはどんな思考法か、具体例から活用方法まで分かりやすく解説します。

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MECE(ミーシー)とは

MECE(ミーシー)とはのイメージ画像

MECEとは、物事の要素を細かく分解して、問題を把握する思考法です。

Mutually(お互いに)
Exclusive(重複せず)
Collectively(全体に)
Exhaustive(漏れがない)

の頭文字を取った造語で、「漏れなく、ダブりなく」という意味合いで使用されています。

もともとはマッキンゼー社で使われていた社内用語でしたが、最近ではロジカルシンキング(論理的思考)の手法として注目されています。

ロジカルシンキングとは

ビジネスにおけるMECEの必要性

問題を解決するには、物事を客観的に捉え、正確に分析することが重要です。しかし物事が大きく複雑だと、なかなか効率的にはいきません。そこで「物事を分解してシンプルにしよう」というのがMECEの考え方です。物事全体を細かく分け、漏れやダブりがないように整理することで、最適な解決方法を見つけ出します。

MECEは戦略立案だけでなく、市場調査や商品企画、業務改善や組織改革まで、あらゆるビジネスシーンで生かすことができます。ビジネスパーソンとして、ぜひ身につけたい思考法といえるでしょう。

MECEの分かりやすい具体例

MECEは「漏れがなく、ダブりもない」状態を指します。

例えば、子どもから若者向けに商品開発をしている会社があるとしましょう。「子どもと若者」だけでは大雑把なので、ターゲットを細かく分類します。このとき以下のように分類すると「漏れがなく、ダブりもない」状態となります。

  • 0〜9歳
  • 10〜19歳
  • 20〜29歳
  • 30歳以上

逆に、以下の3つは「MECEでない状態」といえます。

1.漏れがあり、ダブりがない状態

上記の例で、ターゲットを以下のように分類すると、どうでしょうか。

  • 10代
  • 20代
  • 30代以上

この場合ダブりはありませんが、10歳未満の子どもが入っていないため、漏れがあります。

2.漏れがなく、ダブりがある状態

次に、もっと細かくするために、ターゲットを年齢と性別で分けてみます。

  • 0〜9歳
  • 10〜19歳
  • 20〜29歳
  • 30歳以上
  • 男性
  • 女性

この場合、漏れはありません。しかし各年代には男性も女性もいるため、ダブりが生じます。

3.漏れもダブりもある状態

今度はターゲットを学生に絞って、以下のように分類してみましょう。

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 予備校生
  • 大学生

この場合は、短大生や専門学校生が漏れています。また予備校生には中学生や高校生も含まれている可能性があるため、ダブりも生じてしまいます。

MECEな考え方をするための2つのアプローチ方法

MECEでは、物事を俯瞰して全体像を把握することが重要です。しかし物事が大きく複雑になるほど難しくなります。そこで、MECEな思考をするための2つのアプローチ方法をご紹介します。

トップダウンアプローチ

物事の全体像を捉え、大きな分類から小さな分類へと細分化していく方法です。全体像を明確に把握できている場合に有効です。問題を体系的に整理することができるため、ゴールも意識しやすいでしょう。逆にいうと、全体像をしっかり把握していないと、漏れ・ダブりが生じやすくなります。

ボトムアップアプローチ

思いつく要素をひと通り洗い出し、それらをグループ分けすることで、全体像を把握する方法です。全体像が曖昧な場合や、どのように分類していいか分からない場合に有効です。ボトムアップアプローチは、まったく未知の領域に挑戦するなど、明確な基準やノウハウがないときにお薦めです。しかし要素の洗い出しが甘いと漏れが生じやすくなりますので、ご注意ください。

MECEな考え方をするためのフレームワーク

MECEな考え方をするためのフレームワークのイメージ画像

MECEな考え方をするためには、物事をどのように分解するか、“切り口”が重要となります。そのヒントとなるのが、既存のフレームワークです。各フレームワークで使われる切り口を活用することで、漏れなく、ダブりなく分解しやすくなるでしょう。

3C分析

以下の3つの観点から、業界を取り巻く環境を分析する手法です。経営戦略やマーケティング戦略を立案するときに役立つフレームワークです。

  • 市場、顧客(Customer)
  • 競合(Competitor)
  • 自社(Company)

4P分析

以下の4つの観点から分析する手法です。どのようにモノやサービスを販売していくか、マーケティングの施策を立てるときに使われます。

  • 製品・サービス(Product)
  • 価格(Price)
  • 流通(Place)
  • 広告・販促(Promotion)

5フォース分析

以下の5つの観点から、ビジネスの状況を分析する手法です。自社と競合だけでなく、業界全体の分析を行うことが特徴です。新規参入や新製品開発、新ブランドの立ち上げなど、収益性を検証する際に有効です。

  • 業界内での競争
  • 新規参入業者の脅威
  • 代替品の脅威
  • 供給業者の交渉力
  • 買い手(顧客)の交渉力

SWOT分析

自社を取り巻く環境を内部環境と外部環境に分け、さらにプラス要因とマイナス要因の両面から分析する手法です。主に経営やマーケティング戦略の立案に使われます。

【内部環境】

  • 強み(Strength)…商品やサービスなどで、他社と比べて優れている点
  • 弱み(Weakness)…商品やサービスなどで、他社と比べて劣っている点

【外部環境】

  • 機会(Opportunity)…市場環境などで、プラスとなる要因
  • 脅威(Threat)…市場環境などで、マイナスとなる要因

PEST分析

外部環境を以下の4つに分類して、将来自社に影響を及ぼす要素を予測する手法です。経営やマーケティング戦略の立案に活用します。

  • 政治(Politics)
  • 経済(Economy)
  • 社会(Society)
  • 技術(Technology)

7S分析

組織をハードとソフトの両面から7つの要素に分類し、分析する手法です。組織の現状を細かく分解することで、課題を見つけ出します。経営戦略の立案などに有効です。

【ハードの3S】

  • 戦略(Strategy)
  • 組織構造(Structure)
  • システム(System)

【ソフトの4S】

  • 共通の価値観(Shared value)
  • 人材(Staff)
  • 社風(Style)
  • スキル(Skill)

ビジネスにおけるMECEの活用例

ビジネスにおけるMECEの活用例のイメージ画像

MECEは、問題を提起する際や課題を解決したいときなど、さまざまなシーンで活用できます。具体例をいくつかご紹介しましょう。

【市場分析】
市場分析では、顧客の属性やターゲットの属性に合った施策を立案する場面が多くあります。MECEで属性を漏れなくダブりなく把握することで、施策の精度を上げることができるでしょう。

【売上拡大】
売上を伸ばしたいときは、「売上を構成する要素」について分解するという手があります。例えば「顧客数」「利用頻度」「1回あたりの利用金額」といった具合です。1つひとつの要素を伸ばすことで、売上拡大につながるという仕組みです。

【製造業の工程改善】
製造業界には「4M」という分類方法があります。人(Man)・機械(Machine)・材料(Material)・方法(Method)を指します。これらの要素ごとに分析することで、効率的に改善策を検討することができるでしょう。

MECEの注意点

MECEには注意点もあります。MECEの基本は「漏れなく、ダブりなく」です。ダブりがある状態では、要素が重複することで、分析や意思決定の効率が悪くなり時間がかかってしまいます。一方、漏れを避けるべき理由は、本来把握や検討しておくべき内容が抜けてしまい、判断などに間違いが起こる可能性があるからです。特に、視野が狭くなっている状態では、考えなければいけない範囲よりも小さな範囲で物事を捉えてしまい、大きな漏れが生じる場合があるため注意しましょう。また細かく分類することに夢中になって、そもそもの目的を忘れてしまっては本末転倒です。MECEはあくまでも、問題解決をするための手段です。目的を忘れずに進めるようにしましょう。

MECEの目的や分類の明確化

MECEでは、目的や分類を明確にすることが不可欠です。分類を進めていくなかで、分析の必要がない重要性の低い要素も出てくるでしょう。各要素は目的に合わせて優先順位をつけ、分析することが大切です。カテゴリの境界が曖昧で、はっきりと分類できない要素もあります。どこに分類しようかと迷ったら、「何のために分類、分析するのか」という目的に立ち返ってみましょう。

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まとめ

MECEを身につけることは、マーケティングや経営戦略の立案など、さまざまなビジネスシーンで役立ちます。MECEをはじめ、物事を体系立てて考えるロジカルシンキングは、ビジネスに欠かせないスキルです。しかし習得にはトレーニングが必須で、一朝一夕にはいきません。習得を助ける書籍やセミナーが多数あるので、それらを活用しながら粘り強く身につけていきましょう。

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