連載・コラム
【連載】“マネスタ”ユーザーインタビュー:ベンチャー企業マネジャーのリアル
育成に無自覚だった私が、オリジナルの「マネジメントの教科書」を作るまでの90日
- 公開日:2018/06/25
- 更新日:2024/03/26
![育成に無自覚だった私が、オリジナルの「マネジメントの教科書」を作るまでの90日](https://www.recruit-ms.co.jp/assets/images/cms/column/upload/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/c62e2696576642d29e4ac6fc1daffc01/1806081755_1623.jpg)
※マネスタは2022年6月で新規受付を終了いたしました。
~NPO法人 アスイク 岡崎愛さんのマネジャーとしての「一歩」~
人を惹きつける魅力があり、業務をアグレッシブにこなしていく、会社のロールモデルとして理想的な若手社員も、マネジャーに昇格してすぐに結果を出せるとは限りません。なぜなら、マネジャーの仕事は、プレイヤーの仕事の延長線上にあるわけではないからです。そもそもマネジャーに期待される役割を意識しておらず、本来の力を発揮できていない新米マネジャーもいます。
ベンチャー~中小企業向けモバイル活用伴走型マネジメント研修「マネスタ」を導入いただいた、NPO法人アスイクのマネジャーである岡崎さんもその一人。今回は、まさに今、プレイヤーからマネジャーへとステップアップしようとしている、岡崎さんの最初の一歩をご紹介します。
【企業紹介】
NPO法人 アスイク
東日本大震災後に避難所で学習サポート活動をスタートした団体。震災で浮き彫りになった子どもの貧困問題に取り組むために、仙台市などの自治体をはじめとしたさまざまなセクターと協働し、子どもたちや保護者の学習・生活支援、調査・政策提言活動を展開している。
【マネスタとは?】
モバイルとデータを活用した従来にない伴走型マネジメント研修です。
導入~3カ月間で事業推進のキーであるリーダー、管理職・マネジャーのピープルマネジメント力を改善します。
- 目次
- 「育成って私の仕事なの?」マネジャーの役割に気づいた日
- マネスタをきっかけに「なんとなくの直感」から卒業
- メンバーの話を聞くときは、必ず仕事の手をとめ、相手の目を見る
- みんなで力を合わせて、チームを成長させたい
- オリジナルの「マネジメントの教科書」が、背中を押してくれる
- おわりに 役割を自覚することで、個人もチームも強くなる
「育成って私の仕事なの?」マネジャーの役割に気づいた日
大学卒業後、ウェディングプランナーとして活躍していた岡崎さん。幸せをつくる仕事を心から楽しんでいたものの、教員免許を生かした仕事をしたいという想いが強くなり、小学校の非常勤講師にキャリアチェンジ。そこで、「教室の隅っこにいるような子たちはもちろん、手がかからないように見える子たちとも向き合う必要がある。教室全体ではなく、もっと一人ひとりと関わりたい」と考えるようになった。そして、その想いをかなえるべく、子どもたちの学習・生活支援を行うアスイクにジョインする。
一度やると決めたら即座に行動する実践力と、子どもたちの未来を輝かせたいという、誰にも負けない情熱を持った彼女。その働きぶりが評価され、わずか入社2年で「放課後まなびサポート事業」のユニットリーダーに。しかし、プレイヤーからマネジャーへ役割が変わってからも、彼女の仕事の進め方に大きな変化はなかった。
「代表の大橋と面談していて、『メンバーは育っている?』と聞かれたとき、『え、それって私の仕事なの?』と思ってしまうくらい、育成が自分の仕事であるという意識がなかったですね」と岡崎さんは振り返る。
一方の大橋雄介さんは、その当時の岡崎さんについてこう話す。
「岡崎さんは非常にアグレッシブで、学生や子どもたちを惹きつける魅力もあります。アスイクのロールモデルとして期待している一人です。ただ、ひょっとしたら、ひたすら前を見て突き進む彼女のペースについていくのが大変なメンバーもいたかもしれませんね」
![「育成って私の仕事なの?」マネジャーの役割に気づいた日](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/0b144e644b7e4ce4b493cd7290dee72d/%E3%80%8C%E8%82%B2%E6%88%90%E3%81%A3%E3%81%A6%E7%A7%81%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AA%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%80%8D%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%BD%B9%E5%89%B2%E3%81%AB%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%84%E3%81%9F%E6%97%A5.jpg)
マネスタをきっかけに「なんとなくの直感」から卒業
マネジャーとしての役割を十分に把握できていなかった岡崎さんは、代表の大橋さんの勧めで2017年12月から「マネスタ」を利用することになった。「マネスタ」は、まずマネジャーと職場のメンバーの現状を調査するために、サーベイを実施するところから始まる。
「私は論理的に考えるのが苦手で、『なんとなくの直感』でやってきたタイプ。サーベイの質問項目を見て『マネジャーってこんなことを考えるんだ……』と、そこで初めてマネジャーの役割を意識するようになりました。また、そのサーベイをするまで、メンバーから自分がどう見られているのか知る機会がなかったし、考えたこともなかったので、『ほんとに? こんな風に見られていたのね……』という驚きもありました」
そもそも、マネジャーになったという実感がなかったため、マネジメントに困っているという自覚もあまりなかったという。
「マネスタのチェック項目のなかに、『プレイング業務が多く、マネジメント業務とのバランスが取れない』というものがあり、『そうかも……』と思わずチェックしました。ほかのチェック項目にも自分にあてはまる内容があり、そこで初めて困っていることを認識したのです」
マネスタを通じて、マネジャーとしてすべきことがクリアになった岡崎さんは、学んだことをすぐに実行し始めた。
「それまで私は、メンバーがどんなことを感じたり考えたりしているのかについて、あまり興味を持っていませんでした。子どもたちのための企画をし、業務を遂行してさえいればいいと思っていましたが、同時にメンバーの成長と向き合うことが必要だと考えるようになりました」
それから、岡崎さんはマネジャーとしてのトライ&エラーの内容を、すべてB5判のノートに記録し、折を見て振り返るようになった。
![マネスタをきっかけに「なんとなくの直感」から卒業](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/3353abcd7eff43e2bd501605bca1de58/%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%82%92%E3%81%8D%E3%81%A3%E3%81%8B%E3%81%91%E3%81%AB%E3%80%8C%E3%81%AA%E3%82%93%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AE%E7%9B%B4%E6%84%9F%E3%80%8D%E3%81%8B%E3%82%89%E5%8D%92%E6%A5%AD.jpg)
メンバーの話を聞くときは、必ず仕事の手をとめ、相手の目を見る
マネスタで学んだ内容のなかで、岡崎さんがとくに意識したのはメンバーの声に耳を傾けることだった。
「まずはすぐに実践できることからということで、メンバーが何か話しかけてきたときは必ず、仕事の手をとめて、相手の目を見て、しっかり聞くことにしました。思えば、私がこれまで出会った尊敬する上司や先輩も、同じことをしてくれていたのです」
岡崎さんは、マネスタで学んだことを次々と実践していった。それに従い、ノートの内容もどんどん充実していく。
マネスタを始めて3カ月後に実施したサーベイでは、メンバーから「私のことをよく見ていないと分からないような、とても小さな変化にも気づいてくれた」などのフィードバックもあり、マネジャーとしての成長が実感できた。
「マネスタとの相性もよかったのだと思います。私は書籍での読み込み学習に苦手意識があるのですが、マネスタはアニメーションやイラストが多く、平易な文章でまとめられているので理解しやすかったです」
メンバーとの信頼関係を育んでいる段階で事業拡大によるチーム体制の変更があり、岡崎さんは新しいチームメンバーとまたイチから関係を築くことになる。さっそく、チームメンバーの相互理解を深めるために、キックオフ飲み会を企画した。
「私は普段お酒を飲まないので、これまで飲み会のメリットがよく分からなかったのですが、お互いを知ることができたのでやってよかったです。次は仕事に関するテーマで軽く話せる場をつくりたいと考えています」
みんなで力を合わせて、チームを成長させたい
マネスタをきっかけに、岡崎さんのマネジャーとしての意欲が向上したことは、サーベイの結果からもうかがえる。メンバー一人ひとりに気を配り、育成を意識するようになったのはもちろんのこと、各自のナレッジをシェアして、チーム全体で成長することを考えるようになった。
「教室を運営するなかで、新しいアイディアを試してみて、それが効果を生んだとしたら、絶対にそれはシェアしたいし、みんなからもシェアしてほしいと強く思うようになりました。アイディアを独り占めするのはもったいないし、許せないとさえ感じるようになりましたね」
一緒に働いているメンバーも、岡崎さんのマネジャーとしての成長を感じ取っている。同じチームでサブリーダーをつとめている今井涼夕子さんは、岡崎さんの変化を間近で見ている一人だ。
「岡崎さんはメンバーの声をよく聞いてくれますし、リーダーとして一歩先を見据えて、行動しているように見えます。その影響で、私もチームの目的や、チーム全体への働きかけをより意識するようになりました。一緒に目線を上げつつ、時には弱音も吐いていいのだと岡崎さんには伝えたいです」
![岡崎さんの「マネスタ」職場アンケートの結果(抜群)](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/68c8b1421e244fe880b9bb0a04e92faf/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%80%8D%E8%81%B7%E5%A0%B4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%83%88%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C(%E6%8A%9C%E7%BE%A4).gif)
![みんなで力を合わせて、チームを成長させたい](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/8f49ca34881e479aace3fc2503090f86/%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A7%E5%8A%9B%E3%82%92%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B%E3%81%A6%E3%80%81%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%82%92%E6%88%90%E9%95%B7%E3%81%95%E3%81%9B%E3%81%9F%E3%81%84.jpg)
オリジナルの「マネジメントの教科書」が、背中を押してくれる
代表の大橋さんは、マネスタを経て岡崎さんがマネジャーとして成長しただけではなく、チーム全体がレベルアップしたことを感じている。
「岡崎さんは、これまで自分で抱えていた仕事をメンバーに割り振ることが増え、それによって主体的に動くメンバーも増えました。主体的に動いて結果が出ると自信がつき、より積極的になります。チームにいいサイクルが生まれていますね」
子ども一人ひとりと向き合いたい そんな想いでアスイクの門をたたいた岡崎さん。プレイヤーとマネジャーを経験し、当時の想いはさらに大きく膨らんでいる。
「今後は企業と連携して、中学生が自分の未来をリアルにイメージできるキャリアプログラムを開発したいと思っています。それと同時に、アスイクで活躍する大学生やボランティアの方々が、それぞれの知見を生かして、教育プログラムを考えられるような環境をつくりたいです」
マネスタを始めてから約90日。岡崎さんがトライ&エラーを記録し続けたノートは、オリジナルの「マネジメントの教科書」になった。完璧なマネジャーが世の中にいないのと同じで、「マネジメントの教科書」は完成することはないのかもしれない。しかし、その教科書は、いつか岡崎さんが迷い立ち止まったとき、マネジャーとして進むべき道を示し、背中を押してくれるだろう。
![オリジナルの「マネジメントの教科書」が、背中を押してくれる](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/38437c192e99466ab3eaa3b8e7e79736/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%81%AE%E3%80%8C%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8%E3%80%8D%E3%81%8C%E3%80%81%E8%83%8C%E4%B8%AD%E3%82%92%E6%8A%BC%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%82%8B.jpg)
おわりに 役割を自覚することで、個人もチームも強くなる
岡崎さんのように、たとえチームの中心となり、アグレッシブに業務を進める力はあっても、マネジャーに求められる役割を理解していなければ、チームへの影響力は限定されたものになります。
そのため、まずは、マネジャーとしての自覚を持ち、基本的な知識と心構えを身につけさせることが重要です。そして、岡崎さんのように、マネジャーとしてトライ&エラーを繰り返すことが、プレイヤーからマネジャーへと脱皮する近道になります。
マネジャーの成長は、チームの成長に直結します。そして成長の連鎖は、やがて会社全体の組織力強化にもつながるはずです。
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第1回 ベンチャー企業マネジャーのリアル――就任からの60日
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第4回 育成に無自覚だった私が、オリジナルの「マネジメントの教科書」を作るまでの90日
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■「マネスタ」導入企業事例
経営と現場をつなぐミドルマネジャーを強化し、一気通貫の経営管理体制をつくる(日置電機株式会社様)
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