連載・コラム
\新連載/
ベンチャー企業マネジャーのリアル--就任からの60日
- 公開日:2018/02/19
- 更新日:2024/03/27
![ベンチャー企業マネジャーのリアル--就任からの60日](https://www.recruit-ms.co.jp/assets/images/cms/column/upload/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/8e255c764fdd4e9cb477d190f7888b84/1802191620_2359.jpg)
※マネスタは2022年6月で新規受付を終了いたしました。
「管理職を任せたら、すぐにパフォーマンスを出してもらいたい」
それが、現場の事業責任者の本音だ。まして、事業が猛スピードで進行するような急成長企業においては、現場をリードするマネジャークラスのパフォーマンスが事業推進上の死活問題となる。
しかし、急拡大する組織においては優秀なマネジャーが不足する。しかもマネジャー自身、きちんとしたマネジメントを受けたことがない、前任は急に退職し引き継ぎもない……といったケースも日常茶飯事である。さらに、人事もまたマネジャー一人ひとりを支援するには人手も時間も足りないのが現実だ。
本記事は、弊社の中小・ベンチャー企業向けモバイル活用伴走型マネジメント研修サービス「マネスタ」が、3カ月にわたり伴走したマネジャーたちの奮闘記の一部を切り取ったものである。1人のマネジャーをモデルに、彼らのコメントを抜粋しながら、難題に立ち向かうマネジャーたちの本音に迫る。そして彼らを支援するためのヒントを探りたい。
- 目次
- マネジャーに就任。さて、何が起きるのか?
- Phase1:ある日突然、マネジャーに任命
- Phase2:管理業務ってこんなにあるの……!?膨大な量に圧倒される
- Phase3:とにかく、部下に苦労する
- Phase4:きっかけは、たった1つの自分ルール
- Phase5: 1人の部下の変化で、弾み車は回り出す
- 彼らの奮闘を支えるために、なにができるか
マネジャーに就任。さて、何が起きるのか?
ベンチャー企業でマネジャーになると、日々の生活はいったいどう変化するのか。とある新任マネジャーの就任からの60日をモデルケースに、マネジャーの本音に触れる各種データをご紹介してみたい。
【モデル:マネジャー Aさん】
・入社4年目・27歳
・女性
・ITエンジニア
・メンバー 正社員5名/非正規社員2名
※複数名へのインタビュー内容を基に分かりやすく改変したエピソードです。
Phase1:ある日突然、マネジャーに任命
Aさんの管理職就任は突然だった。
社会人3年目が終わり、怒涛の仕事量にやっと慣れてきた頃だった。
一緒に案件を進めていたマネジャーが、突如退職。「あの案件、どうしよう……!」と思っていたところ役員に呼び出された。助けてもらえるかと思いきや、「4月から、お前にマネジャーを任せるから。あの案件のリードも含めてよろしくね」と告げられた。
「無理です!!」とは言えぬまま、Aさんは急遽マネジャーを担うことになった。
![DATA](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/7ff823ab909c465886d5bda27affc2e7/DATE.gif)
急成長するベンチャー企業のような組織では特に、規模拡大にともないマネジメントポストがどんどん生まれる。まだ力の足りない若手であっても管理職を担うことは多い。
一方で、管理職を皆がやりたいと感じているかといえばそうではない。弊社が行ったある調査によれば、管理職に就任した人のうち、「やりたいと思っていなかった」と回答した人は4割にのぼる。
![図表1管理職就任以前に、「管理職になりたい」と思っていなかった理由(n=260)](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/320e33c912c04085803a1e97e4169301/%E5%9B%B3%E8%A1%A81%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E5%B0%B1%E4%BB%BB%E4%BB%A5%E5%89%8D%E3%81%AB%E3%80%81%E3%80%8C%E7%AE%A1%E7%90%86%E8%81%B7%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E3%80%8D%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E7%90%86%E7%94%B1(n%3D260).gif)
![Phase1:ある日突然、マネジャーに任命](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/e76056d1a30d495d9571470a996a6d9a/Phase1%EF%BC%9A%E3%81%82%E3%82%8B%E6%97%A5%E7%AA%81%E7%84%B6%E3%80%81%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AB%E4%BB%BB%E5%91%BD.gif)
Phase2:管理業務ってこんなにあるの……!?膨大な量に圧倒される
Aさんがマネジャーになってまず突きつけられたのは、管理業務の多さだった。
参加しなければならない会議、経費処理などの承認事項、採用面接、部下との面談や目標設定……。これまで未体験の手続きが大量に押し寄せる。そんななかで、期初の組織方針を発表しろ、とのお達しが届いた。
さらに、Aさんは例に漏れずプレイングマネジャーだった。それまでの業務が減ることもないまま、さらに適切な指導者もいないまま、これらの業務をこなさないといけなかったのである。
![DATA](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/0b39e958333b4b14bbba69204ddf3583/1802191624_1690.gif)
ベンチャー企業向けのマネジメント研修「マネスタ」のユーザーアンケートによれば、マネジメント上の課題として一番選択率が高かったのが、「プレイング業務との両立の難しさ」だった。
![図表2マネジメント上の課題](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/f47e8abfa009425bb751ae55db81e388/%E5%9B%B3%E8%A1%A82%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%82%B8%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E4%B8%8A%E3%81%AE%E8%AA%B2%E9%A1%8C.gif)
業務量の負荷ももちろん、視野・視界が異なる2つの役割を兼任するのは、並大抵のことではない。「マネスタ」ユーザーも、マネジャーになって驚いたこととして、業務量に加えて、プレイング業務との権限や責任の違いや、その両立の難しさについて多く言及した。
![図表3マネージャーになってみて、想像していたのと違っていたこと・驚いたこと](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/74b0e6e54c514616b4127863cec14937/%E5%9B%B3%E8%A1%A83%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%A6%E3%80%81%E6%83%B3%E5%83%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A8%E9%81%95%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8%E3%83%BB%E9%A9%9A%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8.gif)
また、「プレイング業務との両立の難しさ」に続くのが、部下に関する項目群である。目標設定、問題行動の修正、仕事の委任や指導……、新任のマネジャーが必ずといっていいほど頭を悩ませる、マネジャーとしての登竜門だ。
Aさんも、すぐに部下との問題に直面することになるのである。
![Phase2:管理業務ってこんなにあるの……!?膨大な量に圧倒される](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/228fcec7f30d4933aae34a7b8abc1c43/1802191620_6659.gif)
Phase3:とにかく、部下に苦労する
期初の業務はなんとかこなしたが、次にぶつかったのは部下の問題だった。
他部署の関係者から、「Aさんのメンバー、もっとちゃんと指導してください」というクレームが入った矢先、メンバーからは「今の仕事、やりたくありません」と打ち明けられた。
確かに、Aさんのメンバーの半数以上はAさんよりも若く未熟で、仕事を任せてみても予想以上にアウトプットの質が低かった。それなのに、マネジャーになってからは業績プレッシャーが格段と大きく、手取り足取り教えている時間もなかった。Aさんは結局、彼らの業務を巻き取ってしまうことも増えていった。
ただ正直、Aさんはプレイング業務の方が圧倒的に楽しかった。自分で思うとおりに仕事を動かせ、サクサクと進められる。わざわざ動かないメンバーの気を使う必要もない。なんでマネジメントなんてやらないといけないんだろう……と、Aさんは感じていた。
![DATA](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/0b39e958333b4b14bbba69204ddf3583/1802191624_1690.gif)
成長期のベンチャー企業のように、高い目標をスピード感を持って達成しなければならない状況において、自分自身もプレイング業務を抱えながらメンバーの力を引き出して成果をあげていくのは至難の業だ。ましてメンバーにローキャリアが多ければ尚更である。
![図表4マネージャーになってみて、想像していたのと違っていた・驚いたこと](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/f3cb02a3e4434fd98779ba8915a58bd4/%E5%9B%B3%E8%A1%A84%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%A6%E3%80%81%E6%83%B3%E5%83%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A8%E9%81%95%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%83%BB%E9%A9%9A%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8.gif)
せめて一緒に進める案件があれば指導もしやすいのだが、そうでなければ部下への関わりは後回しになってしまう。そうしているうちに、メンバーのパフォーマンス改善以前に、メンバーとの信頼関係が悪化していくのである。
![Phase3:とにかく、部下に苦労する](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/039f90fb964640c4a33941c8edfa7cf1/1802191620_5106.gif)
Phase4:きっかけは、たった1つの自分ルール
そんな、忙殺されるなか乗り切る状態が1カ月ほど続いた。メンバーが、自分に心を開いてくれていないのも感じていたが、多忙を極めるなかどうすることもできなかった。
事実、Aさんはマネジャーに就任後、メンバー一人ひとりとじっくり話す時間もなかったのである。
そんな時、人事が先日実施したマネジャーへの360度サーベイの結果が戻ってきたのだが、
「何を考えているのか分かりません」
「忙しいのは分かりますが、一緒にやってくれている感じがしません」
就任間もないAさんに対して、部下からは辛辣なコメントが寄せられた。
Aさんも、この結果にはさすがに堪えた。このままではまずい。どうすれば……。
考え込んだAさんの頭をよぎったのは、自身が新人だった時の上司だった。とにかく明るくポジティブで、口癖は「信じてるから、やっていいよ」。
笑顔で、仕事を任せてくれる人だった。
今思えば、すごい人だった……と、Aさんはその上司の懐の深さに今更ながら頭が下がった。と同時に、今の自分にはあそこまでメンバーを信じて任せることができないのも事実だと感じていた。しかし、なにか自分にも真似できることはないだろうか……と、思い返すうち、上司が必ずしてくれていたある1つの行動を思い出した。
それは、彼が毎日、とにかく小さなことでも自分のアクションを褒めてくれた、ということだった。
Aさんは、藁にもすがる思いで、メンバーたちと仕事の進捗を共有する定例会議で、彼らの頑張ったことを必ず1つずつ褒めよう、と決めた。些細なことであっても、それぞれの頑張りポイント、強みだなと感じたことを一言ずつ添えるようにした。
![DATA](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/f96d6a76adee4eee80cf1e7aae4522b7/1802191620_1028.gif)
実は、マネジャーという役割が、部下との間に壁をつくってしまうことも多い。急にマネジャーとして扱われ、距離を取られてしまうこともある。
![図表5マネージャーになってみて、想像していたのと違っていた・驚いたこと](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/34b6253073d1451ea0b381115e60f5ca/%E5%9B%B3%E8%A1%A85%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%A6%E3%80%81%E6%83%B3%E5%83%8F%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A8%E9%81%95%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%9F%E3%83%BB%E9%A9%9A%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8.gif)
何をしたらいいのか……答えがないのがマネジャーの仕事だ。しかし、あまりに指針がない状態では、行き詰まってしまう。そんな時、身近なお手本も重要なヒントになる。
![図表6マネージャーをやっていく上で、他の人の「見習いたい」ところ](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/53de64f4701740aeaee6e907d05cc4c0/%E5%9B%B3%E8%A1%A86%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%82%92%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%81%8F%E4%B8%8A%E3%81%A7%E3%80%81%E4%BB%96%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%80%8C%E8%A6%8B%E7%BF%92%E3%81%84%E3%81%9F%E3%81%84%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%93%E3%82%8D.gif)
![Phase4:きっかけは、たった1つの自分ルール](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/bb04d502137a4871814c0304276e994c/1802191620_9461.gif)
Phase5: 1人の部下の変化で、弾み車は回り出す
Aさんは、その週の定例会議で早速実践した。
しかし、「この仕事、すごくいいアウトプットだよね」と声をかけても、「いえ、別に普通です」と、メンバーたちは目を伏せるばかり。Aさんはがっかりしたが、気にせず続けることにした。
そうするうちに、Aさんはメンバーの仕事を必死に眺めるようになった。時間がなくとも、少しでも注意して見ることはできる。ふとした時に、周囲に彼らの評判を聞くこともできる。「なにかいいところはないか?」と、メンバーそれぞれのよい面を探すようにもなっていた。
そして、ポジティブフィードバックをするようにしてから3回目の定例会議を終えた後、あるメンバーがAさんに声をかけてきた。
「実は、今日褒めてくださったあの仕事、結構頑張ったんです。見ててくれたんだなぁって、ちょっと嬉しかったです」
そう話すメンバーの顔は、今度はちゃんと笑顔だった。
ほんの少しの変化だったけれど、Aさんは嬉しかった。
そして、それをきっかけにチームの空気が変わるのを感じていた。「マネジャーも、悪くないかもね」と、Aさんは少し思い始めていた。
マネジャーに就任し、60日を過ぎたところだった。
![DATA](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/0f307dcc3fa8433cbb5a4d8114e2dc9d/1802191620_6811.gif)
「見ていてくれる」というのは、メンバーとの信頼関係をつくる上で重要なキーワードになる。「マネスタ」のユーザーアンケートでも、メンバーを見ることの重要性に言及するコメントが多数見られた(図7)。
![図表7マネージャーたちの気づき](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/387fbd7796994bbf80dbfeb748336b69/%E5%9B%B3%E8%A1%A87%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E6%B0%97%E3%81%A5%E3%81%8D.gif)
なお、「マネスタ」ユーザーに、マネジャーとしてのやりがいを感じる瞬間がどんな時かを訊いたところ、最も選択されたのは自部署から「新たな価値が生まれたとき」であり、それに次ぐのが「メンバーが成長したとき」「メンバーが生き生きと仕事をしているとき」であった。当然、新しい価値を生むのは嬉しいが、それだけでなく、部下の成長や生き生きとした姿を見ることができることは、マネジャー自身においても、とても魅力あふれる体験なのである。
![なお、「マネスタ」ユーザーに、マネジャーとしてのやりがいを感じる瞬間がどんな時かを訊いたところ、最も選択されたのは自部署から「新たな価値が生まれたとき」であり、それに次ぐのが「メンバーが成長したとき」「メンバーが生き生きと仕事をしているとき」であった。当然、新しい価値を生むのは嬉しいが、それだけでなく、部下の成長や生き生きとした姿を見ることができることは、マネジャー自身においても、とても魅力あふれる体験なのである。](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/ecbea7cac9114506815e88ff81abbee7/%E5%9B%B3%E8%A1%A88%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%80%8C%E3%82%84%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%84%E3%80%8D%E3%82%92%E6%84%9F%E3%81%98%E3%82%8B%E3%81%A8%E3%81%8D.gif)
![Phase5: 1人の部下の変化で、弾み車は回り出す](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/c8f7361c8a2f40239e707e8b174027b7/1802191620_6639.gif)
彼らの奮闘を支えるために、なにができるか
新しい役割を担った時、人は、既にできる人からみれば「当たり前」といわれてしまうような、思わぬ落とし穴に落ちる。それが役割トランジション(役割が変化するタイミング)の宿命だ。
マネジャーへのトランジションは、権限の急激な拡大と業績圧力に加え、部下との関係づくりの難しさにぶつかる。信頼関係づくりに、これという特効薬はなく、日々のコミュニケーションの積み重ねが重要になる。さらにAさんのように、360度サーベイなど事実に向き合わざるを得ないきっかけが、マネジャーたちに変化への一歩を踏み出させる。
しかし、勇気ある一歩も、最初は必ずしもうまくはいかない。何度もチャレンジと振り返りを繰り返し、行動をチューニングしていくことが、マネジャーとして醍醐味を味わう重要なポイントになる。
![図表9うまくいかなかったこと](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/712ce7f70df243b5a36e2d893dd28240/%E5%9B%B3%E8%A1%A89%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%81%93%E3%81%A8.gif)
ただ、そうした日々のチャレンジを、一人で試行錯誤するのは楽なことではない。マネスタユーザーからは以下のようなコメントも見られた。
![彼らの奮闘を支えるために、なにができるか1](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/7e60bc7f72a8414faaa20190906db975/1802191620_9949.gif)
マネジャーに対して行った別の調査でも、5割以上が「理想やお手本となる管理職が身近にいること」がマネジャーとして活躍する上で助けになると回答していた(弊社「管理職意向の変化に関する実態調査 2016」より)。
マネジャーとして支援してほしいこととして、お手本となるロールモデルの存在や、他のマネジャーたちなどヨコ・ナナメのつながりが、重要な支えとなるのである。
こうした、マネジャーとしての自分の状態を観察してもらい、日々の小さな一歩を促し、振り返るサイクルを回していく仕掛けや、困った時に相談し合えるようなヨコの関係づくりは、マネジャーたちに現場で信頼関係を築き力強くチームを牽引してほしいと願う人事や事業責任者が仕掛けうる、マネジャー支援のポイントの1つとなるはずだ。
![マネジャーに対して行った別の調査でも、5割以上が「理想やお手本となる管理職が身近にいること」がマネジャーとして活躍する上で助けになると回答していた(弊社「管理職意向の変化に関する実態調査 2016」より)。 マネジャーとして支援してほしいこととして、お手本となるロールモデルの存在や、他のマネジャーたちなどヨコ・ナナメのつながりが、重要な支えとなるのである。 こうした、マネジャーとしての自分の状態を観察してもらい、日々の小さな一歩を促し、振り返るサイクルを回していく仕掛けや、困った時に相談し合えるようなヨコの関係づくりは、マネジャーたちに現場で信頼関係を築き力強くチームを牽引してほしいと願う人事や事業責任者が仕掛けうる、マネジャー支援のポイントの1つとなるはずだ。2](https://images.microcms-assets.io/assets/3f67c0f783214d71a03078023e73bb1b/14ff7aa5ffad42e7bf9824e18b7ac5b9/1802191620_8699.gif)
関連記事
■「マネスタ」ユーザー事例
第1回 ベンチャー企業マネジャーのリアル――就任からの60日
第2回 忙しさを言い訳にしていたところからメンバーの成長と向き合うまで
第3回 ある日突然、社長に「マネジャーやって」と言われたら?
第4回 育成に無自覚だった私が、オリジナルの「マネジメントの教科書」を作るまでの90日
第5回 何が正解か分わからない……!新米マネジャーが自分の役割を見つけるまでの90日間
第6回 ベンチャー企業マネジャーのリアル――職場と本人(リーダー、管理職・マネジャー)に起こった変化
■「マネスタ」導入企業事例
経営と現場をつなぐミドルマネジャーを強化し、一気通貫の経営管理体制をつくる(日置電機株式会社様)
驚異的な成長を支える組織づくりと人材輩出を同時に実現(株式会社セールスフォース・ドットコム様)
「任せるマネジメント」の原則を実践しながら学び、 リーダー層のメンバー育成力を養う(株式会社VOYAGE GROUP様)
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