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自律とは? 自律型組織・人材を育成する方法

  • 公開日:2024/10/03
  • 更新日:2024/10/03

変化に強い組織や人材を育むうえでは、自分の考えで判断し行動できる状態をいう「自律」をいかに実現するかが重要となります。本記事では、そんな自律と自立・自主性の違いや、自律的な人材を育成する方法などを紹介します。

自律とは

自律とは、他者からの支配や制約を受けず、自らの価値観や理念にもとづいて判断・行動ができることを指します。組織や人材の自律性を高めることは、企業にとって生産性の向上や新しいアイディアの創出といった多くのメリットをもたらします。

自律は英語では「self-directed」と表現され、ビジネスシーンにおいても多くの場面で用いられている概念です。特に、近年では「自律型組織」「キャリア自律」「自律型人材」といったさまざまな形の自律が企業の間で大きな注目を集めています。

自立と自律の違い

自律と混同されることの多い「自立(self-stood)」は、能力や資源などを他者に依存せずに自分の力で行動することを表す言葉です。両者の違いは、自立は外的な要素、自律は内的な要素の面で独立した状態を意味している点にあります。

自立した状態では他者の力を借りることなく行動が可能ですが、自律ができていなければ進むべき方向を見失い、誤った行動を取ってしまう危険性もあります。そのため、組織や人材の育成においては自律と自立の両立を目指すことが大切です。

自主性と自律の違い

「自主性」とは、決められた事柄を自ら率先して行う姿勢のことです。自律は判断と行動の両方を自らの意思で行うのに対し、自主性には判断は含まれておらず、特定の行動に取り組もうとする意思のみを表している点に注意が必要です。

自律型組織とは

自律型組織とは、権力が一部に集中しておらず、それぞれの部署や社員が裁量を持って判断・行動できる組織を意味します。

自律型組織が注目される背景

自律型組織が近年注目を集める背景には、ビジネスを取り巻く環境の激しい変化により、企業の意思決定が困難になっている事実があります。トップダウン型の企業運営体制では、現代社会の移り変わるスピードに対応できなくなりつつあるのです。

特に、昨今は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けてリモートワークの普及が進み、社内の連携のあり方にも大きな変化が生まれています。そのため、一人ひとりの従業員が自力で判断し、行動できる組織の構築が多くの企業に求められています。

自律型組織の種類

自律型組織は、そのあり方に応じて大きく3つの種類に分けられます。

ティール組織

ティール組織とは、目標達成に向けてすべてのメンバーが完全に独立して動く進化型の組織です。組織の形態がティール組織へと進化していく過程は、以下の5段階で表されます。

■絶対的なリーダーに従う衝動的組織(レッド)
■階層に沿って指示を下す順応型組織(アンバー)
■全体で目標実現を目指す達成型組織(オレンジ)
■現場から柔軟に意見を出せる多元的組織(グリーン)
■すべてのメンバーが自律して動く進化型組織(ティール)

ティール組織に到達すると、組織と従業員の目標達成に必要な行動が一致し、双方が共に成長していくと考えられています。

ホラクラシー組織

役職や階層が一切存在せず、部署やチーム単位で意思決定を行う組織形態をホラクラシー組織と呼びます。上下関係がフラットな分、変化に対応する柔軟性が高く、役割が明確な組織や短期的なプロジェクトに向いています。

アジャイル型組織

アジャイル型組織は組織全体をフラットな関係性の集合体と考え、各社員に権限を分散する点が特徴です。迅速かつ柔軟な意思決定ができるほか、従業員のリーダーシップが育まれるといった強みもあります。

ちなみに、リクルートマネジメントソリューションズでは自律型組織の制度設計から人材・組織開発まで、現場での運用・定着を見据えた一貫支援を行っています。以下のようなプログラムを活用することで、より効果的な組織づくりが可能となるでしょう。

注目されるキャリア自律とは?

キャリア自律とは、企業内の役職やキャリア観にとらわれず、人材自身の価値向上や目標達成を目指してキャリアを形成していくことを指します。

キャリア自律が注目される背景

キャリア自律が企業の注目を集めている理由としては、年功序列の崩壊や働き方の多様化により、主体的なキャリア形成が必要とされていることが挙げられます。

先の見えない現代では、社内でしか通用しないキャリアは従業員の将来の備えとして十分ではありません。企業があえてキャリア自律の支援に取り組むのは、こうした状況下において従業員を守り、安心して働けるよう後押しするためでもあるのです。

キャリア自律のメリット・デメリット

キャリア自律の実現には、メリットとデメリットが存在します。

キャリア自律のメリット

キャリア自律は企業に依存しないキャリアを追求するものではありますが、その促進は従業員の所属企業にとっても多くのメリットをもたらします。具体的には、業務のやりがいの創出やキャリアアップに主体的な従業員の増加などが挙げられます。

また、企業がキャリア自律の支援に積極的であることが分かれば、従業員の自社に対する愛着や信頼感が高まり、離職の防止が見込めるでしょう。同時に、新たな優秀な人材も集まりやすくなるはずです。

キャリア自律のデメリット

キャリア自律によって自社以外でも通用するようなキャリアを形成することは、従業員に「良い機会があれば転職したい」と考えるきっかけを与え、結果的に他社への転職につながってしまう可能性もあります。しかし同時に、「組織コミットメント目的愛着」を高め、それが「良い機会があれば転職したい」という意識の高まりを抑制するともいわれています。

そのほか、「キャリアを磨けば待遇も上がるはず」という期待感も、待遇の向上が実現しない場合には従業員を落胆させ、業務へのモチベーションを低下させてしまうでしょう。

キャリア自律を企業が支援する方法

従業員のキャリア自律を支援する方法としては、以下のような取り組みが挙げられます。

キャリア研修を行う

キャリアについての知識や考え方が学べるキャリア研修は、従業員がキャリア形成を意識するきっかけづくりに役立ちます。必要なキャリアへの意識は立場によっても変わるため、研修は新人や中堅、ベテランといった階層別に実施するとより効果的でしょう。

キャリア研修に関しては、リクルートマネジメントソリューションズでも多くのプログラムを用意しています。こちらも階層別に分かれていますので、きっと目的に合ったプログラムが見つかるはずです。

相談窓口を設置する

キャリア自律の過程で生じる不安や疑問への対応には、カウンセリングやメンター制度といった、従業員が悩みを相談できる場の設置が有効です。

一人ひとりの悩みに上司やメンターが耳を傾け、一緒に解決策を考えていくことで、スムーズな問題の解消が見込めるでしょう。

支援制度を設ける

より積極的にキャリア自律を支援したい場合には、副業や再雇用といった支援制度の導入も1つの方法です。特に近年は、新たなスキルの獲得やイノベーションのヒントにつながるとして、多くの企業で副業の解禁に向けた動きが進んでいます。

自律型人材とは

自律型人材とは、取り組むべき課題を自ら見つけ出し、率先して動ける能力を持った人材を指します。また、自分のアイディアを具現化する力や、最後まで行動を続ける粘り強さなども自律型人材の要件として重視されています。

自律型人材が注目される理由

自律型人材が企業に求められるようになった最たる要因は、近年の社会の多様化と少子高齢化です。リモートワークやAI利用といった新たな風潮が生まれるなかで、人々の働き方やキャリアデザインの幅は絶えず広がり続けています。

一方で、働く人々の数は年々減少を続けており、企業は限られた採用市場のなかから優れた人材を獲得する必要性に迫られています。そんな現代にあって、自律型人材は1人で多くの役割をこなし、新しい仕事のあり方にも柔軟に適応できる存在として期待を集めています。

自律型人材を育成するメリット

自律型人材を育成することは、企業に以下のようなメリットをもたらします。

管理職の負担が軽減する

自律型人材は、誰かから指示されずとも目の前の業務に率先して取り組み、自発的に試行錯誤を繰り返してより良い結果を目指すことができます。

その分、組織において業務の割り振りや指導を担当する管理職の負担は軽くなり、ほかの従業員をより手厚くサポートすることが可能となります。

業務効率化につながる

自ら考えて行動できる自立型人材は、業務の無駄もその場の判断で臨機応変に削減することができます。また、環境の変化にも柔軟に対応できることから、自立型人材は突発的なトラブルの影響を受けにくい点も特徴です。

こうした要因から、自立型人材が増えることは業務を円滑にし、組織全体の生産性を高めることにもつながります。

リモートワークでの生産性が向上する

リモートワークはその利便性の一方で、管理職の目が届きにくいことやコミュニケーションの減少などの影響により、従業員によっては生産性が低下してしまう可能性もあります。

しかし、自律型人材は自分自身を厳しく管理し、求められている役割を自力で把握して動くことができるため、リモートワークの場合でもスムーズな業務の遂行が期待できます。

現場目線での新しいアイディアが生まれる

既存の方法や前例にとらわれず、自らの視点で仕事への取り組み方を模索できる自律型人材は、斬新なアイディアや意見が求められる場面でも高い能力を発揮します。

決まりきったアプローチでは進展が見られない課題にも、確固たる独自の価値観を持った自律型人材なら、新たな視点から有効な解決策を提案することができるでしょう。

成長スピードが速くなる

仕事で必要とされるスキルのなかには、同じ業務を繰り返して経験を積むことで得られるものもありますが、なかには自発的に学ばなければ身につかないものも存在します。

その点において、自立型人材は成長に必要な事柄を自分で見つけ、獲得に向けて主体的に動くことができるため、本人と組織の双方に関して成長スピードの加速が見込めます。

自律型人材を育成する方法

ここからは、自律型人材を育成するうえで活用できるノウハウを紹介します。

自律行動を促進する3つの要因

自律型人材の育成においては、自分の行動を自分で決める「セルフマネジメント」、自分の行動が組織や周りに有益かどうかを考える「公共善の意識」、行動に移すうえでの後押しである「自律支援型のマネジメント」の3つの要因が重要であるとされています。

3つの要因を踏まえたうえで、自律型人材の育成には上司・組織によるサポートが有効です。

公共善の判断材料の提供

自らの行動が公共善にあたるか否かを考えるためには、十分な判断材料がなくてはなりません。従業員に対し、3つの取り組みで判断材料を提供しましょう。

■会社の理念・方針を伝える
「自社の理念・方針に合致しているか」という視点は、自律的に判断・行動を行う場合でも重要な判断材料となります。

■目的・目標の明確化
組織が目指す目的や目標が曖昧な状態では、行動の善し悪しを評価することはできません。前もって明確化し、広く共有しておきましょう。

■社内制度を整備
自分の行動が正しいかどうか迷った際に何らかのヒントを得られるような、研修などの社内制度を整えておくことも有効な取り組みです。

自律支援型のマネジメント(行動のサポート)

自律支援型のマネジメントとは、自律型人材が自分で決めた行動を遂行できるようにサポートする取り組みのことです。

■育成環境の整備
どれだけ判断力に優れた人材であっても、決めた行動を遂行できるだけの能力がなければ成果は得られません。従業員がしっかりと必要なスキルを学べる環境を整備しましょう。

■Will・Can・Mustの視点で自律行動を促す
従業員に自律的な行動を促すうえでは、Will(意思)、Can(能力)、Must(役割)という3つの視点を意識することが大切です。特に、Willの面から支援を行うことは自律性だけでなく、人材の組織へのエンゲージメント(愛着・思い入れ)を高めることにもつながります。

■評価・フィードバックを行う
行動を無事に遂行できた際には、その成果を正しく評価し、改善の余地を伝えることも忘れてはなりません。

まとめ

自らで意思決定・行動ができる状態を意味する「自律」は、何もせずただ現場に任せるといった「放任」とは異なります。人材や組織の自律性は、企業や上司による適切なサポートがあってこそ高まっていくのです。

そんな自律を支援する手段として、リクルートマネジメントソリューションズでは主体性に富んだビジネスパーソンを育成する豊富なプログラムを提供しています。基本的なビジネススキルの習得や営業職向けのスキルアップなど、多岐にわたるテーマを取り揃えていますのでぜひご活用ください。

社員の自律的なキャリアデザインを支援し、 パフォーマンス向上をねらう
【キャリア自律支援】キャリア研修・自律型組織づくり

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