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公開日:2024/02/15
更新日:2024/02/15

リベラルアーツとは? ビジネスで必要とされる背景や学習効果・方法を解説

リベラルアーツは、紀元前の古代より、豊かな人生を歩む基礎力を養う学問として受け継がれてきたものです。今回はこのリベラルアーツの概要やビジネスにおける影響、学習方法について解説します。

リベラルアーツとは?

リベラルアーツを一言で表すなら、「より自由な思考や生き方の実現に向けた、総合的人間力を養う基礎学問」といえます。何かしらに特化した知識や技術ではなく、さまざまな事象や課題に対し、幅広い価値観をもって解決策を見出す基盤となるのがリベラルアーツです。

そもそもリベラルアーツの概念は、古代ヨーロッパにおける市民教養が原型になっています。もともと紀元前のローマ帝国では、算術・幾何学・天文学・音楽の4つの科学的学問(数学)から、市民教養が始まりました。のちに文法学・論理学(弁証法)・修辞学の3つの人文学分野が取り入れられ、先ほどの科学的学問(数学)に統合した「自由七科」となり、中世から近世における基礎学問として定着。さらには医学・法律・神学を学ぶ入口にもなったのが当時の自由七科で、現代のリベラルアーツの起源となっています。

この自由七科による高等教育は、近代頃にはアメリカやアジアにも広まり、世界的な教養基準として注目されるようになりました。かつての厳しい時代を発展させ、そしてさまざまな既成概念や抑圧などに縛られずに生き抜く基礎力となったのが、「自由七科=リベラルアーツ」です。

リベラルアーツの必要性が高まる背景

リベラルアーツの必要性が高まる背景

リベラルアーツは、特定の知識を身につける専門的な学問や、職業スキルを磨く技能訓練とは異なります。前述にあるような自由七科を基本として、より画期的な物事の捉え方や考え方のベースとなる、幅広い教養を磨くのがリベラルアーツです。あらゆる問題解決や意思決定をする力にもつながり、現代では次のような背景からビジネスシーンでも注目されています。

加速するグローバル化への対応

少子高齢化が進む日本では、労働力の確保に向けて、外国人人材を必要とする企業も増えてきています。そこで外国人の従業員を雇用する企業や上層部側に、海外の文化や宗教なども含めた理解がないと、適切な管理や人材活用は難しいでしょう。例えば、指示がうまく伝わらない、従業員に精神的負担をかけるなど、さまざまな問題にもなりかねません。また日本の人口減少などの影響もあり、各企業で市場のグローバル化を視野に入れることも必要になってきています。海外進出でも同様に、各国に対する深い知識がないと、取引先とトラブルになったり需要に対応できなかったりする可能性も。こうしたグローバル化に取り残されないためにも、リベラルアーツによる幅広い教養が求められています。

イノベーションの創出

現在はSNSやオンラインサービスなどが著しく発達し、すぐにでも必要な情報が手に入れられる時代になっています。なおかつ高度な技術開発が進み、あらゆる付加価値のある商品やサービスもどんどん登場している昨今。消費者のニーズも多様化し、商品やサービスに対する要求も複雑になってきています。そこで今までにないような発想や解決策を生み出していくには、やはり物事を多角的に捉えられる幅広い教養により、世間の見方を柔軟にしていくことも重要です。

技術革新による社会の変化

AIやビッグデータをはじめ、目覚ましい技術革新と共に、社会の構造や市場も大きく変化しているのが現状です。世の中の仕組みが複雑になると同時に、社会やビジネスで発生する課題も、あらゆる要因が交錯して困難を極めるようになってきています。事業のなかで壁に直面した時、どれだけ専門性の高い知識やスキルがあったとしても、幅広い分野の理解力や判断力がなければ乗り越えるのは難しいケースも。また最先端のテクノロジーを正しく活用するためには、技術の仕組みを把握し、使いこなすだけの知識や能力が求められます。こうした高度なスキルの基本となるのが、リベラルアーツによって養われる総合力といえます。

なお事業をけん引する優秀な人材育成については、以下の記事でもご紹介しているので、参考にしてみてください。

<関連リンク>
「リーダーを育成したい!」まず考えるべきこととは

リベラルアーツで得られる学習効果

実際にリベラルアーツを学ぶことで、各人材にもたらされる影響として、大きく分けると次のような5つが想定されます。

思考力が高まる

リベラルアーツによって幅広い教養を深めることで、考え方の引き出しも増えていきます。簡単な例として、目の前にリンゴがあるとしましょう。単純に「リンゴ=甘い果物」という認識しかなければ、実物を見てもただ「美味しそう」としか感じられません。それがリンゴに対して、例えば生産地ごとの特徴や調理方法なども知っているとします。そうすると、「これは○○産で甘味が強いから、△△の食べ方にすると美味しそう」というように、より深い考察ができるでしょう。さらに知識を深めるなかで、「○○のこの部分はどうなっているんだろう」といった、知的好奇心にもつながります。このようにリベラルアーツを学び、視野を広げることは、高い思考力に直結します。なお現代における思考力の向上方法は、以下の研修でも詳しく解説しています。

<関連リンク>
【サービス】VUCA時代の思考力強化研修 | 考え抜く力を高める

固定観念にとらわれなくなる

基本的には自分の頭のなかにある知識に応じて、物事に対する理解度は変わります。つまり知識の幅が広がれば広がるほど、1つの物事への新たな選択肢も見えやすくなるのです。例えばリンゴを作って、自分で食べる方法しか知らなかったとしましょう。そこから仮に販売する知識を得たら、「リンゴを売ってお金をもらう」という新しい選択ができます。リベラルアーツによって幅広い教養を身につけることで、今までは知らないがゆえに選択できなかったことが選べるようになります。「これしか方法がない」と固執するのではなく、「こんな方法もあんな方法もある」というように、柔軟な発想力をもたらすのがリベラルアーツの特徴の1つです。

課題解決力が高まる

リベラルアーツによる確かな教養があれば、物事に対して一辺倒な考え方や見方ではなく、幅広く捉えることが可能です。何かしらの課題が生じている場合にも、あらゆる知識を持って深く思考することで、さまざまな作戦や適切な解消法を見出せるようになります。リベラルアーツから得られる思考力や発想力は、困難な課題に立ち向かうための大きな力にもなるのです。

信頼関係が築ける

リベラルアーツを通じて、高い思考力や発想力、課題解決力が身についていけば、さまざまな立場の人との信頼関係も築きやすくなります。例えば部下を育成する時には、幅広い教養があるほど語彙も豊かになり、より的確にノウハウを伝えることができます。その他にも、仮に取引先から「○○で困っている」などの相談を受けた際には、柔軟な発想力や課題解決力で手助けすることも可能でしょう。このようにリベラルアーツにもとづいた視野の広さによって多様な相手の立場に立てるようになることが、周りからの強い信頼にもつながります。

新しい価値を創造できる

リベラルアーツで教養を深めるなかで、物事を幅広い価値観で見られるようになり、新たな気づきも得やすくなるでしょう。例えば今までに培ってきた専門的な技能と、リベラルアーツによって得た知識を結び付けることで、斬新なアイディアが浮かぶ可能性も高くなります。さらに積極的に幅広い教養を磨くうちに、画期的なひらめきがしやすくなり、新たな価値創造にもつながりやすくなるでしょう。なお価値創造の手法は、以下の研修でも詳しく解説しています。

<関連リンク>
【サービス】価値創造に向けた仕事デザイン研修 | WQ

ビジネスで役立つリベラルアーツの学習方法

ビジネスで役立つリベラルアーツの学習方法

ここまでに見てきたような、リベラルアーツによる学習効果を得るためには、ビジネスに役立つ教養として定着させることが大切です。よりよい影響をもたらすリベラルアーツの学び方として、次のような例が挙げられます。

自分の興味・関心のある分野に特化した知識を学ぶ

さまざまな教養を身につけるのがリベラルアーツの基本ですが、大前提として重要なのは、主体的に学ぶ姿勢です。リベラルアーツを学習する第一歩として、自分の好きな分野の知識を深めることから始めましょう。例えば漫画や文庫本などで三国志が好きなら、中国の歴史から勉強してみるのもいい方法です。特定の知識を学ぶなかで、そこから好奇心が広がっていけば、リベラルアーツへつながっていきます。

専門知識外の分野にも触れて多角的な視点を身につける

学問に限定せず、他部署の業務を勉強したり、別の業界のビジネスモデルを学んだりする方法も考えられます。自分の知らない仕事に関わることは、未知の世界に触れて知見を広げることにつながり、リベラルアーツ学習の基礎となります。また専門外の分野で感じた疑問について、自分なりに調べていくうちに、興味が湧いてくるケースも考えられるでしょう。こうして積極的に知識を深掘りし、自分のなかで培っていくことが重要です。

物事の共通点や類似点を探索し観察力を養う

ただ漠然と知識を増やすだけでなく、例えば歴史的な出来事と現代の社会問題で似た部分はないかなど、物事を俯瞰して観察する習慣をつけるのがおすすめです。知識を深めるなかで、自分の周りで起きている事象と何か関連していないか考える癖をつけておくと、学習内容とビジネスを結び付ける思考にもつながりやすくなります。身につけた教養をきちんと生かせるように、アウトプットの練習もしておくのがベストです。

思考力を高めるために自律的な能力開発を行う

リベラルアーツを学ぶなかで、さまざまな知識に対して、自分なりの考察を加えていくことも重要です。例えば歴史なら、「○○の出来事は、△△の流れも影響しているのではないか」というように、自らの考えをまとめてみましょう。頭のなかで思考するだけでなく、ノートなどに書き出してみると、培った知識を実践的に活用できるスキルにつながります。なお思考力の育み方は、以下の研修でもご紹介しています。

<関連リンク>
ビジネスに活かす哲学的思考 〜創造的問題解決のための「考え抜く力」を身につける〜(174)
自律的な社員の育成 〜「伸ばす課題に気づく仕組み」で育成施策を促進する〜

まとめ

幅広い教養を磨くリベラルアーツは、日本の数多くの大学などでも取り入れられている学問の1つで、これからのビジネスにも効果的な影響を与えるとされています。あらゆる技術や仕組みが開発され、複雑に社会が多様化する現代。リベラルアーツをもとに、柔軟な考え方や価値創造を生み出せる人間的総合力こそ、ビジネスで勝ち残る重要な要素になると考えられます。ぜひこの機会に、リベラルアーツに注目した社員教育を検討してみてはいかがでしょうか。

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