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人材育成の考え方と成功させるためのポイントとは?

  • 公開日:2023/11/16
  • 更新日:2024/03/10

人材不足に悩む企業が多い現在では、経営目標を達成するために人材育成を行い、社員のパフォーマンスを高めることが強く求められています。人材の成長は企業の成長にとって必要なものです。ただし、やみくもにキャリアを開発するのではなく、人材育成にはいくつかの手法があり、階層別の社員に合わせて適切な育成を行っていくことが大切といえます。

そこで今回は人材育成の考え方と成功させるポイントについてご紹介します。

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人材育成とは?

人材育成とは企業に貢献できる人材を育成することを指します。新卒採用・中途採用にかかわらず、採用した段階ではすぐに自社の仕事に対応できるわけではありません。

人材育成に取り組むことで社員のパフォーマンスを高め、企業業績の向上が期待できます。また育成する側にとっても、育成経験を通じて育成側の自信にもつながるというメリットがあります。

似たような意味を持つ言葉で「人材開発」というものがあります。人材開発と人材育成は業務の遂行に必要なスキルや知識などを身につけるという点では重なる部分があり、中長期的に企業に貢献できる人材に成長させる観点を持つため、同義で使われることがあります。

人材開発は全社員を対象とし、組織全体の力を高めていくことを目的としています。対象が組織全体に及ぶため、組織に不足しているスキルや能力を身につけるといった形で実施されることが多いでしょう。

「人材育成」について詳しくはこちら

人材育成の手法

人材育成は、育成対象に応じた種類があります。例えば階層別に分けると新入社員、中堅社員、管理職を対象とし、それぞれ人材育成の目標は異なります。

人材育成の手法は大きく「OJT(On the Job Training)」「Off-JT(Off the Job Training)」「SD(Self Development)」の3つに分類されます。

ここではそれぞれを紹介していきます。

OJT(On the Job Training)

OJTとは、On-the-Job-Trainingの略称で、日常の業務を通じて必要な知識・スキルなどを身につけられるよう意図的・計画的に指導することを指します。企業内で行われる人材育成の1つで、新入社員や若手を対象に制度化している企業が多いです。

Off-JT(Off the Job Training)

Off-JTとはOff-the-Job-Trainingの略称で、職場を離れ能力開発に取り組む方法のことを指します。例えば、階層別の研修やロジカルシンキング・プレゼンテーションなどのビジネススキルを身につける研修、各社の業務に必要となる専門的な研修などが該当します。

SD(Self Development)

SDとはSelf-Developmentの略称で自己啓発のことを指します。社内外のセミナーに参加したり、書籍を通じて学びの機会を得たりと方法は多岐にわたります。業務に関連する資格取得やスキル取得もSDに該当します。SDを促すため、通信教育の受講費用を補助したり、資格取得時にお祝い金を出したりする企業もあります。

目的に応じてこれらの手法を使い分けたり、組み合わせたりして人材育成を行うことがポイントです。

人材育成の考え方

自社に合う人材育成の在り方を考える場合は、以下のステップを踏み、育成対象となる社員に必要な要素と現状を比較し、問題を明確にします。

・経営理念・ビジョンなどから、求める人材像や組織像、人材育成方針を明確にする
・人材配置の現状を分析し、目標とのギャップを見つける

課題が明らかになったら、どのような方法で解決していくかを検討していきましょう。

ここでは階層別の人材育成の考え方についてご紹介します。

新入社員・若手社員の育成の考え方

今のビジネス環境で働くためには、失敗から学ぶ経験(できない自分に向き合い克服する)、正解のない問題に対する経験(自分で考え抜く、結果が出るかが分からなくても動き続けながら改善していく)などが必要になります。しかし、昨今の新入社員や若手社員は、経済の変化、教育の変化、ITの進化などにより、入社するまでにこのような経験を積みにくくなっています。

そのため、自分がチャレンジしたことをやりきった経験はあっても、自分の意に沿わないこと、苦手なこと、正解がないこと、先が分からない不確実なことなどに不安や葛藤を抱えながら、自分で何とかしていくという経験を積める場が減っています。構造的に人が育ちにくい現状となっているのです。

こうした世代の環境変化を理解し、ミレニアル世代、Z世代、両世代が持つ価値観といった世代の特徴を理解したうえで定期的にコミュニケーション機会を設けてサポートしていくことが必要です。

新卒~若手世代の特徴

新入社員・若手社員に必要なビジネススキル

新入社員や若手社員が身につけておくべき基本的なスキルに「コミュ二ケーション力」が挙げられます。新入社員や若手社員はまだ1人で業務を遂行することが難しいため、周囲の協力を仰ぎながら業務を進める必要があります。そのため、周囲と円滑にコミュニケーションが取れれば仕事の進行がスムーズに行えるようになります。

具体的には、「相手の立場に立った行動や言動ができるスキル(ビジネスマナー)」「上司や先輩に適切なタイミングで報告や相談ができるスキル(報連相)」「ロジカルに伝わりやすく相手に伝えるスキル(ロジカルシンキング)」の3つのスキルは必ず押さえておきたいものです。

中堅社員の育成の考え方

一般的に、中堅社員に求められる役割は多岐にわたり、企業によってもさまざまです。中堅社員と呼ばれる層は20代から50代と幅広く、年齢や役割もさまざまなため、一括りにして考えにくいところがあります。

しかし、どのような企業でもある程度共通して求められる役割があります。それは、個人の担当職務を遂行すると同時に周囲に積極的に働きかけること。組織の目標や方針を理解して上司を補佐したり、後輩を指導したり、職場全体のチームワークや風土づくりに貢献したりといった職場の中核としての影響力の発揮が求められています。

そのため、まずは自身が求められている役割を中堅社員が認識する必要があります。

周囲の期待や上司の補佐、後輩の指導、チームワークや風土づくりに関心を持つなど自身の求められている役割を認識させ、個々人の課題となる学習テーマ、レベルに合わせた育成方法が必要となります。

共通して求められていることは、周囲への働きかけです。上司から指示される立場ではなく、指示する機会を増やすことがポイントになります。主体的な意志に基づき他者をリードする経験を重ねることで、企業の成長にもつながります。

個人のスキルに合わせて計画的な人材育成を行うためには「スキルマップの活用」も有効です。スキルマップとは、各自の持つスキルのレベルを一覧にまとめたもの。各スキルで到達すべき基準を段階的に分け、現在どのレベルにあるかを表示することで、各自や所属チームなどのスキルレベルが可視化されます。

どのレベルを目指すのか、目標を考える際も1on1などで中堅社員本人への丁寧な聞き取りと相談を行い、具体的な行動目標も設定しておくと良いでしょう。

中堅社員に必要なビジネススキル

中堅社員は、まだ進め方が確立されていないことや、時には企業や組織にとってまったく新しい取り組みとなる業務を任されることもあり、問題解決スキルが必須です。チームで業務に取り組む場面も多くなるため、問題解決のステップやスキルを身につけておくことが必要でしょう。

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リーダーや管理職の育成の考え方

リーダーは継続的に高い個人業績を上げつつ周囲に目を配り、チームとしての業績達成を主導する役割があります。対してマネジャーや管理職は、組織の成果を持続的に出すことを求められています。

リーダーは担当業務外の相談を受けることや上位層が同席する場に立ち会うことが増えたり、事業・組織の状況について意見・提言を求められたりします。業務の難度や役割責任も上がり、周囲に対する影響力が高まります。それと同時に他メンバーの指導やメンバー同士の関係性づくりに配慮することも必要です。

それだけでなく、自分の担当業務に没頭することを抑え、上司や先輩の方針に自律的に支援や補佐を行うことを伸ばしていくことが必要になります。リーダーを育成するうえで、この「伸ばすと抑える」を双方行うことがポイントです。

また、メンバーの指導・育成力はすぐに身につくわけではないため、リーダーの時から管理職同様のマネジメント力の育成を行っていく必要があります。

特にメンバーからチームのリーダー・マネジャー・管理職への役割転換期において、多くのビジネスパーソンがつまずきがちなのは「ピープルマネジメント」(任せる・育成・チームづくり)です。

ピープルマネジメントでつまずきやすいポイントは以下になります。

  • 部下を信頼して権限委譲することができず、仕事を任せきれないこと
  • 任せた仕事に対して適切なフィードバックができず、部下を育てられないこと
  • プレイング業務とマネジメント業務のバランスを取れないまま、チームへのリーダーシップが発揮できず、強いチームをつくれないこと

リーダーやマネジャーといった管理職は、組織、メンバーそれぞれのパフォーマンスを引き出して組織として総合的な成果を最大化することが評価につながります。特に、部下の自律を促すことを考慮し、コミュニケーションを取っていくことは部下の成長につながります。リーダーや管理職の育成には、ピープルマネジメントのスキルの獲得が重要です。

ピープルマネジメントを効果的にするために1on1ミーティングを取り入れるのもおすすめです。

【コラム】効果的に実施するためには
1on1ミーティング導入時に陥りがちなポイントと会話例

管理職に必要なビジネススキル

管理職は、事業・組織の状況について意見・提言を求められる機会が増えます。また、一方的に考えを発信するだけではなく、相手の意見を聞く力も求められます。

しかし、管理職だからこそ「率直に意見できない」ということも起こっています。一方で部下のミスや期待に応えられないことに感情的になりすぎてしまうこともあるでしょう。

感情に振り回されずコミュニケーションを取る「アサーティブ・コミュニケーション」「アンガーマネジメント」といったスキル取得は管理職に効果的といえます。

人材育成を成功させるためのポイント

人材育成は企業の成長に欠かせません。しかし、人材育成に取り組んでいても効果を感じられないという企業も少なくないでしょう。ここでは人材育成を成功させるためのポイントをご紹介します。

人材育成の目的を明確化する

人材育成は目的を明確化することによって、目的を達成するために必要なことが見えてきます。例えば、新人社員を短期間でデジタル人材へ育成することが目的の場合、デジタル人材のCDPと新人研修体系の構築が必要になります。新人研修後も現場でスピーディーに育つ環境を用意することが重要です。一方でCDPに関しては社会や業界の変化に合わせながら、またデジタル人材の実際の成長を見ながら育成プランを更新するのが良いでしょう。

人材育成に重要な人事評価制度

人材育成において、透明性の高い人事評価制度を設けることが重要です。事前に「何を評価するのか」を明示することで、評価制度を具体的な目標設定に結び付け、モチベーションの向上を図ることができます。

評価される側が何を評価されているか分からない状態だと「頑張っても評価されない」という思考に陥る可能性があります。そのため、人材育成の計画には必ず評価基準を設けましょう。

社員の自発性を引き出す環境づくり

入社前にやる気に満ちあふれていた社員が、入社後に指示待ちになってしまうケース、やる気を失ってしまうケースはよく見られます。

この原因の1つに挙げられるのが、自分で考えて行動するよりも、ルールや前例に従うことを良しとする社内風土です。

・不要な社内ルールをなくす
・納得性の高い評価制度をつくる
・チャレンジを奨励し、失敗を責めない

といった企業として社員の自発性を引き出す環境づくりに取り組む必要があります。

実践機会を設ける

研修の実施は人材育成の一環として有効ですが、研修での学習内容を定着させるためには実践機会を設ける必要があります。研修受講者に行動計画を立ててもらったうえで、学んだ内容を生かせる業務を任せたり、一部権限を委譲したりすると良いでしょう。例えば、マネジメントスキルを強化する研修の場合、研修受講者に新人社員のOJTを任せたり、上司の仕事を一部委譲したりするなど、実際にマネジメントスキルにつながる実践機会を設けます。また、上司と共に一定期間ごとに振り返りを行うことで、実践を促進することが可能です。

教育体系をつくる

教育体系とは、簡単にいうと自社で実施する教育の位置づけを示した見取り図です。企業の組織力や従業員の能力を高めるために必要な教育の全体像を示したものを指します。

教育体系には、目指す人材像・組織(教育の目的)や人材開発方針(教育スタンス)、教育の全体像、研修メニューなどが含まれます。

教育体系で特に重要なのが、目指す人材像・組織と人材開発方針です。教育の目的とスタンスを明確にすれば、あとはそれに従って研修体系を構築していけば良いでしょう。

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人材育成の導入事例

ここからは実際にリクルートマネジメントソリューションズのサービスを活用した人材育成の導入事例を簡単にご紹介します。

デジタル人財の短期間育成を計画する企業の事例

設立以来、「音声サービス事業」と「光サービス事業」の2本柱で長らくビジネスを続けてきたNTT東日本では、新たな事業の柱創出として「デジタル事業」を第3の柱にしようとデジタル人財の育成が急務となっていました。新人社員を短期間でデジタル人財へ育成することを目的として、CDPと新人研修体系の構築をサポートしてくれる企業を探していたところ、リクルートマネジメントソリューションズと出会い、CDP・新人研修体系構築のコンサルティングを依頼。2019年12月から2020年3月までの4カ月間研修のコンサルティングを受け、トラブルに見舞われながらも新人研修を実施することができました。

新人研修を受けた2020年入社の1期生は、研修の一環として設けたAI・IoT・クラウドの1年目必須資格を受験した全員が合格しています。

導入事例について詳しくはこちら

新任管理職に意識変化を起こすための研修刷新を行う企業の事例

コマツ(小松製作所)の抱える課題は、新任管理職の業務量が増え試行錯誤する余裕がないことでした。そこで、新任管理職をフォローし、能力を高めるために新任管理職研修の刷新を行いました。最重要ポイントは限られた時間でプレイヤーから管理職への意識変化を起こすこと。そのため、WEB学習とアクションラーニングの導入を想定し、いくつか研修プログラムを検討していました。以前から信頼のあるリクルートマネジメントソリューションズの提供する2日間のマネジメント研修「M-BT」に魅力を感じ導入。M-BT以外の研修プログラムも経験学習モデルをベースに見直しました。

研修全体を通して一貫したメッセージを発することで、研修の目的・意義を明確に伝えることができたと考えています。

導入事例について詳しくはこちら

おわりに

今回は、人材育成の概要や手法、階層別の考え方、成功させるポイントについてご紹介しました。人材育成は、企業が長期的に競争力を維持・向上できるかどうかにかかわる重要事項です。人材育成は長期的な戦略であり、時間と手間がかかります。一方で、競合他社との差別化や、企業に貢献する人材の成長につながります。長期的な視点を持って積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

企業における人材育成において自社にあった教育体系をプランニングすることは非常に重要です。リクルートマネジメントソリューションズでは教育体系構築を支援する情報発信をしていますのでぜひご参考にしてください。

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