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オンボーディングとは? 目的・導入方法・実施のポイント・事例

  • 公開日:2024/01/30
  • 更新日:2024/09/12

オンボーディングとは、乗り物に乗っていることを意味する「on-board」を由来とし、新しい仲間の順応を促進する取り組みです。人事用語では、新しく会社・組織に加わった人材にいち早く職場に慣れてもらうことで、組織への定着・戦力化を促進するための取り組みのことを指します。

入社後に組織風土や仕事に対してギャップや違和感があり、解消できないままでいると、持っている力を発揮したり、早期に成長したりすることができず、離職につながる原因にもなりかねません。そのため、人事だけでなく上司や同僚が積極的にオンボーディング支援を行えるように入社前から計画しておくことが重要となります。

オンボーディングの目的と必要とされる背景

オンボーディングの目的は、新入社員や中途入社者の早期離職を防止し、定着率を上げることです。近年では、新入社員の3割が3年以内に離職するといわれており、離職率の高さの背景には、「転職市場の活発化」だけでなく、「入社前と入社後のギャップ」や「人間関係の問題」などのネガティブな要因もあります。

コストをかけて採用や教育を行った人材を短期間で失わないために、「組織に馴染めない」という課題を解決するオンボーディングが注目されているのです。

また、オンボーディングには、会社のルールやシステム、人間関係に早く適応させることで、成長のスピードを速めるという目的もあります。

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オンボーディングとOJT・Off-JTの違い

オンボーディングとOJTは、共に企業の人材育成のプロセスにあるものですが、その目的が異なります。OJTは「仕事を通して業務知識を得てスキルアップすることで、即戦力として実務にあたること」を目的として行われるのに対して、オンボーディングは「組織に馴染ませること」を目的としている点に違いがあります。そのため、OJTでは業務に関するレクチャーが行われますが、オンボーディングでは業務に関する知識に限らず、企業独自のルールや文化も含めて、組織に馴染むために必要なサポートが広く提供されます。

一方、Off-JTは、職場や通常の業務から離れ、特別に時間や場所を取って行う教育・学習を指しますが、業務に必要な知識やスキルの習得を目的としている点で、OJTと共通し、オンボーディングとは異なっています。

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オンボーディングの導入方法

オンボーディングの導入方法

ここでは、自社でオンボーディングを導入することになった際に、どのような手順で行えばよいのかを解説します。

1. 目標を設定し、スケジュールを組む

まずは、「得てほしいスキル」や「活躍してほしい場面」など、新入社員に目指してもらいたい姿を明確にイメージします。

例えば、

・半年後に担当業務の会議に自分の企画を持ち込めるようになる
・営業担当として3ヵ月後に自分の力で新規受注を一件獲得できる
・自分の組織の業務を一通り理解して会議で質問できるようになる

などです。

目標を設定したら、オンボーディング実施のスケジュールを組みます。入社してから1週間、1ヵ月、半年、1年と期間ごとの目標と内容を決めておくことで、受け入れ側も新入社員も、現在地のイメージを持ちやすくなります。

2. 関係者に情報を共有し、環境を整える

新入社員の直属の上司だけでなく、配属される現場の社員や関わりのある他部署と、オンボーディングの実施計画を共有します。企画者だけの視点でなく、現場の目線で計画を見てもらうことで、より実現可能性の高い目標を再設定できることもあります。

また、オンボーディングの実施計画を前もって関係者に共有することで、新入社員を受け入れる心構えを事前に整えることができます。面談やランチミーティングを行う場合もあるため、あらかじめスケジュールを調整しておくなど、受け入れる環境を整えておきましょう。

3. オンボーディングを実施し、振り返りをする

新入社員が入社し、オンボーディングの実施が始まったたら、新入社員とコミュニケーションを取りながら、実施計画の微調整を行うなど、臨機応変に対応するようにしましょう。オンボーディングの目的は、新入社員を組織に馴染ませることなので、大量のインプットを行うなど、新入社員が負担に感じるようなことが行われていないか注意する必要があります。

オンボーディングの実施中や実施後には、今後のオンボーディングの実施に向けた改善点を把握するために、必ず振り返りを行います。ヒアリングをする際は、直属の上司だけでなく、オンボーディングを受けた新入社員や関連する他の社員も含めて意見交換を行うことで、認識の齟齬がないかを確認することができます。

オンボーディング実施のポイント

オンボーディング実施のポイント

オンボーディングの実施の流れが分かったところで、オンボーディングを成功させるために、覚えておきたいポイントをご紹介します。

人事の担当者が事前にコミュニケーションを取っておく

現場と新入社員の双方の期待値のズレを最小限にすることで、オンボーディングもスムーズに実施することができます。一般的に、入社前の新入社員とのコミュニケーションは人事の担当者が行うことが多いため、窓口となる担当者はオンボーディングの事前準備であることを意識して、入社予定者と接するとよいでしょう。

また、現場との事前のすり合わせも重要です。オンボーディングの実施計画が正しく伝わっていないと、新入社員に不安を感じさせてしまうこともあるため、社内での事前準備はしっかりと行いましょう。

多方面からのサポート体制を整備する

組織に馴染むことを目的とするオンボーディングは、新入社員と直属の上司だけで完結するものではありません。組織全体で新入社員をサポートする風土を醸成するために、業務上は直接関係のない社員であっても、積極的な声掛けを行う必要があります。

また、入社当初は「誰に相談していいか分からない」と悩むことも多いため、相談できる社員を複数人紹介しておくと、人間関係の構築もスムーズになります。さらに、誰にも聞けない状況も想定し、マニュアルなどの情報の格納場所を伝えておくと、新入社員も安心できるでしょう。

小さな目標を設定する

自分自身が入社した当初のことを振り返ると、右も左も分からない時期があったことを思い出す人も多いのではないでしょうか。分からないことが多い状況で大きな目標を与えてしまうと、達成のイメージを持つことができず、新入社員にとってストレスになる恐れがあります。そこで、細分化した目標を達成しながら、大きな目標に近づいていくスモールステップ法を意識することで、日々の小さな達成感を新入社員のモチベーションの維持につなげることができます。

オンボーディングの成功事例

オンボーディングの成功事例

ここでは、リクルートマネジメントソリューションズの支援事例をもとに、実際にオンボーディングを導入した企業の成功事例をご紹介します。

株式会社バンダイ【新卒採用】

個人の考え方や経験、感性を尊重する風土があるバンダイ。定性を大事にするからこそ、新入社員と育成担当の関わり方が属人的になる懸念があり、現場の上司とOJT担当者に新入社員育成を委ねつつ、客観的な視点も交えてフォローする「仕組み」をいかにしてつくるか、という課題が。

そこで、アセスメント・サーベイを活用することで、仕組みの面から新入社員育成を支援。さらに、新入社員とOJT担当者の相互理解を深める合同研修や、横のつながりをつくるためのチャットツールの専用ルームの開設も実施。

定量データを活用した新入社員育成支援の「仕組み化」は、「見える化」にもつながり、「ロールモデルとなる社員はこういう傾向がある」といった手がかりとなる情報をもとに、活躍できる人材を見極めるなど、相乗作用も期待しているそうです。

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株式会社三菱UFJ銀行【キャリア採用】

2019年頃からキャリア採用を強化し、今後一層キャリア採用を強化していくうえでも、「キャリア入行者を受け入れる土壌・文化づくり」が必要に。そこで、誰もがキャリア入行者のオンボーディングに必要なことを理解できる「オンボーディングハンドブック」を全行に配布することを決定。

ハンドブックの制作にあたって、アンケートやインタビューで100名以上のキャリア入行者たちの生の声を収集。それらの内容を「三菱UFJ銀行あるある」や「入行後の壁」としてまとめ、キャリア入行者向け、受入部店向けの2種類のハンドブックをリリース。

行内からのオンボーディングハンドブックの反響はとても大きく、部店でも、ハンドブックの声を参考に独自の取り組みを増やすなど、受け入れの様子が変わってきているそうです。

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オンボーディングのまとめ

今回は、企業などの組織において、新しい仲間の順応を促進する取り組みである「オンボーディング」について解説しました。新入社員や中途入社者の離職率を下げるために、オンボーディングを導入する企業は増えており、オンボーディングの導入に関する悩みを抱えている人事担当者も多いでしょう。

リクルートマネジメントソリューションズでは、今回ご紹介した導入事例以外にも、オンボーディングに関する情報収集に役立つコンテンツを発信しています。自社の施策検討に役立つ情報として、ぜひご活用ください。

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