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従業員満足度(ES) 改善に繋げる組織診断活用のポイント

  • 公開日:2014/02/20
  • 更新日:2024/10/03

「従業員満足度(Employee Satisfaction)」とは、労働環境に対する従業員の満足度を指す言葉です。少子高齢化による人手不足の影響により、「労働力の確保」が多くの企業の課題となっている昨今、「従業員満足度」は注目を集めています。当記事では従業員満足度の概要や、従業員満足度を調べる「組織診断」についてまとめました。

従業員満足度(ES)とは

従業員満足度(Employee Satisfaction)とは、職場の給与や福利厚生、マネジメント、働きがいの有無、人間関係といった「労働環境」に対する満足度を表す指標です。従業員満足度が高いほど業務へのモチベーションや定着率が高くなり、逆に従業員満足度が低いと離職率が増加しやすいところが特徴といえます。

従業員満足度が注目されている背景としては、「労働力の確保・維持」が多くの企業で課題となっているためです。近年は少子高齢化によって労働人口が減り、人材獲得競争も激化している傾向にあります。そこで、人材を定着させる企業づくりのヒントとして、従業員満足度という概念も高い注目を集めるようになりました。

従業員満足度(ES)を構成する要素

従業員満足度は、「仕事」「職場」「上司」「会社」に対する満足度を総合することによって決まります。各要素について詳しく見てみましょう。

仕事への満足

1つ目は、仕事内容への満足度です。満足度が高い状態の例としては、「仕事に対してやりがいを感じている時」が挙げられるでしょう。やりがいを感じる瞬間は人それぞれですが、能力を仕事に生かせている時や、仕事を通して成長している実感がある時、仕事が会社や周囲に貢献していると感じられた時などが該当します。

一方、従業員の望むキャリアと仕事内容が合っていない時や、裁量がないと感じている時は仕事への満足度が下がりがちです。「実際は貢献しているのに貢献度が見えにくい」など、労力に見合った評価が得られない時もモチベーションが低下しやすくなります。

職場への満足

2つ目は、職場環境への満足度です。従業員から見て「居心地が良い」と感じる職場は、満足度が高い傾向にあります。

職場の居心地の良さを構成する要素としては、人間関係や設備環境が挙げられるでしょう。特に人間関係は、従業員満足度を左右する大きな要因です。上司との関係が良好である職場や、コミュニケーションが取りやすい環境は満足度が高くなりやすいだけでなく、後述する「上司への満足感」にも繋がります。

併せて、職場の適切な空調や明るさ、オフィスの綺麗さといった設備的な働きやすさも、満足度を高める要因といえるでしょう。

上司への満足

3つ目は、上司のマネジメントに対する満足度です。職場には一般的に「上司と部下」という上下関係があり、上司が部署および部下のマネジメントを担います。このマネジメントが適切である環境ほど、従業員の満足度がアップしやすい傾向にあります。

具体的には、部下の仕事ぶりをきちんと評価する風土があり、部下のキャリア・成長を踏まえたサポート体制が整っている環境は満足度が高いです。一方、「仕事を丸投げする」「高圧的な指示をする」「結果だけで部下を評価する」などの風潮がある職場は、従業員満足度が低くなりやすいでしょう。

会社への満足

4つ目は、会社への満足度です。待遇や企業理念に対して不満がない場合は、満足度が高い状態といえます。

例えば待遇については、従業員が求めている労働環境を満たしているかどうかで満足度が変わります。一般的には業務量や給与額が適切であることや、残業が少ないこと、テレワーク・時短勤務OKといった働き方の自由度があることなどが満足度の向上に繋がるでしょう。

企業理念への共感度については、「企業理念をそもそも認識しているかどうか」「従業員の価値観の方向性と合っているかどうか」で満足度が変わります。会社の目指すビジョンに共感でき、従業員の目指すキャリアとマッチしていれば、満足度は高くなりやすいでしょう。

従業員満足度(ES)を向上させるメリット

従業員満足度が向上すると、従業員自身だけでなく、企業側にも以下のような好影響が表れます。

生産性が向上する

従業員満足度が高い職場とは、総じて従業員のモチベーションが高いところが特徴です。仕事にやりがいを感じていることから、自主的に組織へ貢献しようとする姿勢もあります。従業員満足度を高めることは、現場の生産性をアップさせることにも繋がるため、企業にとって大きなメリットになります。

顧客満足度(CS)が上がる

顧客満足度(CS)とは、企業のサービスに対するお客様の満足度のことです。数値が高いほどお客様の満足度も高く、リピーターの獲得にも繋がりやすくなります。

この顧客満足度(CS)についてですが、「従業員満足度の向上が顧客満足度の向上にも繋がる」という説が有名です。従業員満足度の高い職場は、従業員が積極的に業務に取り組むことから、お客様へのホスピタリティの品質も向上しやすくなり、結果的に顧客満足度も上がるという好循環を生みます。

顧客満足度については、下記の記事もぜひご一読ください。

離職率低下に繋がる

従業員満足度が高い職場は、定着率も高いところが特徴です。職場の従業員満足度の向上を目指すことで、離職率の低下にも繋がるでしょう。

従業員満足度(ES)を向上させる方法

従業員満足度を向上させる方法としては、企業理念の浸透によるモチベーションの底上げや待遇の改善が効果的です。

企業理念を浸透させる

企業理念とは会社の価値観であり、「これから会社としてどうなっていきたいか」という、方向性の提示でもあります。従業員がこのビジョンに共感できれば、日々の仕事にやりがいを感じ、会社への帰属意識や満足度も高まりやすくなるでしょう。

注意したいポイントとしては、「企業理念の押し付け」では従業員満足度は向上しないという点です。従業員が会社の一員であることに対して満足感を得るには、一人ひとりが企業理念に関心を持ち、共感していることが条件といえます。経営層だけで企業理念を作って提示するのではなく、現場のアイディアも取り込み、対話を心がけながら浸透を図ることが重要といえるでしょう。

適性や希望に合った業務内容にする

従業員の業務内容の見直しによって、従業員満足度の向上をねらうことができます。個々の個性や適性に合わせた配置はもちろん、異動先の希望を叶えるなど、当人の望む働き方に寄り添える環境を整えることがお薦めです。

組織診断を行い職場環境を整える

企業の今の状態を可視化する「組織診断」を行うことも、従業員満足度の向上に繋がります。現時点での従業員のモチベーションや満足度を明らかにすることで、今後の対策も取りやすくなるでしょう。

組織診断を導入する流れ

組織診断を行う際は、現場の負担も考慮する必要があります。具体的には、以下の流れで導入を検討するとよいでしょう。

1.目的や役割を明確にする

まず始めに、組織診断を導入する目的を決めます。組織診断と一口に言ってもさまざまな種類があるため、「どんな成果をゴールとしたいのか」を決めることが大切です。

組織診断の種類としては、従業員の満足度を明らかにする「従業員満足度調査」や、従業員の帰属意識を調査する「エンゲージメント調査」、従業員の精神状態を調べる「ストレスチェック」などがあります。どんな課題を明らかにしたいのかを話し合い、組織診断の責任者や担当者なども決めておくとよいでしょう。

2.調査項目を定める

次に、従業員に回答してもらう調査項目を設定します。組織診断で明らかにしたい回答が得られるような内容を目指しつつ、ねらった答えを促すような設問にならないよう配慮が必要です。

3.調査の対象や頻度を決める

調査項目を決定したら、調査に協力してもらう対象者と調査頻度を検討します。用意した項目のボリュームに応じて、従業員の負担にならない頻度を考えましょう。10問程度なら週1回から月1回、50問以上なら半年~1年に1回ほどの頻度がお薦めです。

4.従業員に告知する

調査内容が固まったら、従業員に告知を行います。調査目的や参加するメリットも伝えることで、より調査に協力してもらいやすくなります。

5.組織診断を実施する

組織診断が始まったら、回答率などの進捗を確認します。具体的な目安としては、95%以上の回答率があると好ましいです。

6.調査結果の分析とフィードバック

調査の集計が終わったら、結果の分析と課題設定を行います。併せて参加した従業員に対し、調査結果や具体的に行うべき改善案などのフィードバックを行いましょう。協力してもらった成果を共有することで、次回以降の協力も仰ぎやすくなります。

組織診断のメリット・デメリット

組織の課題を明らかにする組織診断ですが、それぞれメリットとデメリットがあります。実施に際しては、組織診断がもたらす影響を考慮しておくことが大切です。

組織診断のメリット

組織診断を行う大きなメリットとしては、従業員への理解が深まり、課題への対策が取りやすくなるという点が挙げられます。

従業員のモチベーション・エンゲージメント向上に繋がる

組織診断では、従業員へのアンケートなどを通して、個々が考えている会社への不安や悩みを把握することが可能です。現状を踏まえたうえで効果的な施策を打ち出すことができることから、組織全体のモチベーションやエンゲージメント向上に繋げやすいところがメリットです。

離職率の低下

組織診断に基づいて社内環境が改善された場合、職場の働きやすさも改善される傾向にあります。「仕事のやりがいを感じやすくなった」「ワークライフバランスが良くなった」などの好条件が整うことで、離職率の低下にも繋がるでしょう。

組織診断のデメリット

組織診断の分析に外部ツールを活用する場合は、サービスの利用費もかかります。組織診断にかかるコストをあらかじめ共有し、社内の了承を得ることが大切です。

また、人事や経営層といった運営側だけでなく、調査対象となる従業員には、普段の業務と並行して調査に協力してもらうことになるため、時間的な負担がかかる点に注意が必要です。調査項目のなかに回答したくない設問がある場合は、精神的な負担も発生してしまうリスクがあります。従業員の負担を抑えられるよう、調査頻度やボリュームには十分配慮しましょう。

組織診断を導入する際の注意点

最後に、組織診断を導入する際の注意点をご紹介します。

調査後はフィードバックを行う

組織診断を行った後は調査内容をまとめたうえで、必ず社内に共有することをお薦めします。

組織診断は企業体制の改善に役立つ調査ですが、現場に時間的な負担を強いる作業でもあります。よって組織診断後には、協力してくれた従業員に対して必ずフィードバックと改善点の共有を行い、「あの調査には何の意味があったのか」という不満が生じないよう配慮しましょう。

組織全体の理解を得てから行う

組織診断は、現場も含めた会社全体の協力のもとで実施する調査です。組織からの理解を得ないまま調査を行った場合、課題が明らかになっても改善策の決裁が経営層から下りないこともあります。調査対象である従業員にも快く協力してもらえるように、社内の理解を得たうえで導入を進めるとよいでしょう。

まとめ

従業員満足度の概要や、従業員満足度を調べる組織診断の進め方などについてご紹介しました。

従業員がやりがいと自律性を持って働く、生産性の高い環境を目指すには、従業員満足度の向上が欠かせません。リクルートマネジメントソリューションズでは、従業員満足度の向上をお考えの企業に向けて、組織診断に関するさまざまなサービスをご提供しています。ご希望の調査実施目的に合わせて項目を設計し、従業員の認識を定量的に測定するサービスも展開中です。興味がある方は下記リンクもぜひご一読ください。

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