挑戦的な企業文化を確立するため、「ジョブ型+職能型」のハイブリッド型人事制度へ
石山:2021年5月、私たちは未来の七十七グループの姿を描き、グループ役職員が一丸となって前進するための羅針盤となる「Vision 2030」を策定しました。そして、この「Vision 2030」では、地域と七十七グループが持続的に成長していくために「挑戦的な企業文化を確立する」ことを掲げました。人事部では、その実現のため、大きな制度改正としては半世紀以上ぶりとなる人事制度改革を行うことを決め、企業文化に変革を起こすべく検討を開始しました。
私たちはまず、2021年5月に従業員意識調査を行いました。従業員の想いを起点にした人事制度にしたかったからです。調査の結果、「堅実でまじめな社風は良いけれど、一方でチャレンジ精神や人事制度などに課題がある」という声が多いことが分かりました。特に、多くの若手・中堅行員が、年次や経験を重視した職能型の人事制度に不満を持っていることが明らかになりました。チャレンジを奨励するためには、お客様や地域への貢献を適正に評価し、成果を給与に反映するシステムに変える必要がありました。
この調査結果を踏まえ、2021年9月から、リクルートマネジメントソリューションズのコンサルタントの協力を得て、新人事制度を構築しました。キーワードは「挑戦」「選択」「エンゲージメント」の3点です。第一に、ジョブ型雇用(役割等級制度)を導入し、職務や役割によって給与が変わる仕組みに変更しました。これは年齢や経験にとらわれず、地域・お客様に対しより付加価値の高いソリューションを提供できる行員を増やしていくことが、地域と七十七グループの持続的成長に繋がると考えたためです。ただし、職能型(職能資格制度)の要素は残しました。なぜなら、これまで培ってきた能力や経験も七十七銀行のビジネスに活用していくことが重要だと考えたからです。私たちにとっては、「ジョブ型+職能型」のハイブリッド型人事制度が現時点でのベストだと考えています。
第二に、行員に「キャリア自律」を促し、キャリアを主体的に考え、その実現に向けて挑戦する体制を整備しました。職務や役割によって処遇が変わる新人事制度においては、一人ひとりが「自分は将来何をしたいか、どうなりたいか」を考え、その実現に向けて行動することが必要不可欠です。行員の価値観も多様化し、これまでのゼネラリストだけではなく、各分野のスペシャリストになりたいと考える行員も非常に多くなっていたので、それぞれのキャリアが実現可能となるよう処遇面等を見直し、キャリアの選択肢や成長機会を拡充しました。それによって、モチベーションとエンゲージメントを向上させたいと考えています。
このようにして、2023年4月、私たちは57年ぶりの人事制度改革を実行しましたが、制度改革の前と後では、「行員に求められる意識」が大きく変わることは想像に難くありません。一番の懸念は「いかにスムーズに新人事制度を定着させられるか」ということでした。